ダンサーとは?

話題のダンサー、今後注目の的となること間違いなし!というダンサーに直撃インタビュー。しなやかな身体と美しさを兼ね備えたダンサーの素顔を紹介。さらに、毎回ご本人からのプレゼント、もしくはサイン入りポラ写真(あるいは招待券も?)が抽選で当たります!
vol.14 白井 剛人がいる、世界があるという不思議さの感覚をダンスを通じて取り戻したい、ハッと気づかせたい!
1976年、長野県飯田市生まれ。'95年千葉大学工学部工業意匠学科に入学。学内でパフォーマンスを始める。'96〜2000年、伊藤キム+輝く未来のダンサーとして活動。'96年から<Study of Live works 発条ト>(ばねと)の振付家・ダンサーとして活動。2000年、<Rencontres choregraphiques internationales de Seine-Saint-Denis 2000>(ランコントル コレグラフィック アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ サン ドゥニ 2000/旧バニョレ国際振付賞)に国内推薦コンペ<横浜ダンスコレクション>を経て出場。'02および'03年、<トヨタコレオグラフィーアワード>(最終審査会)に2年連続して出場。'04年2月、愛知芸術文化センタープロデュースによるダンスオペラ≪悪魔の物語≫(振付:ユーリン)にダンサーとして出演。6月、<シンガポールアーツフェスティバル>に参加。7月、秋吉台国際芸術村+山口情報芸術センター共同プロデュースプロジェクト・Study of Live works発条ト ≪Runnning ChorDrive≫に参加。9月、立教大学文学部・集中合同講義の講師を担当。10月、JCDN<踊りに行くぜ!!vol.5>栗東・松山・福岡公演に出演。11月、新作ソロ作品≪質量, slide , & .≫をシアタートラムにて公演。'05年6月、三島由紀夫著≪禁色≫をモチーフとした、伊藤キムとの初デュオ作品をシアタートラムにて公演予定。
知性と身体との関わりを、ダンスの次元で手探りしていく試みがスリリングな<Study of Live works発条ト>代表、白井 剛さん。コンテンポラリーダンスと呼ばれるものが、どのような動機とアプローチによって立ち上がってくるのか、その一場面を垣間見させてくれるようなお話しを伺いました。
白井   生まれは長野県飯田市です。父は高校野球で活躍し、社会人野球で就職。<男の子はスポーツをやらなきゃ!>という考えを持っていましたので、その影響からぼくも小学校では野球に、中学校、高校ではバレーボールに熱中しました。体育会系ですね。
白井   母は絵が好きです。母方の家系には校長先生をしているおじいちゃんがいたり、それから遠戚に詩人がいて、その詩人をテーマに地元芝居を立ち上げる企画に姉が出演したり…といった感じ。兄弟揃って図工が得意で、姉妹はピアノを習っていました。ぼくはというと、野球もバレーボールもいつも補欠だったけれど好きでした。あの頃はスポーツに対してなぜかものすごく頑張っていたなと思います。その他、小学校低学年のときに、父の転勤のために長野市にいたことがあるんですが、マットや跳び箱に惹かれ、砂場でバック転の練習をしていたことを覚えています。
白井   テレビでヒップホップなど流行り始めたダンスを見ました。人前に出ることが苦手ということもありましたが、その割には自分なりのこだわりがあって、仮に踊るとしても、あの手のダンスの真似事をする気分ではなかったんです。田舎に住んでいたし、実際にバレエとかダンスを見る機会は全然なかったですね。
―― 千葉大学の工学部工業意匠学科に進学されたことは、ダンスを始めるに至る大きなステップになっていますか?
白井   何かを形にして行きたい!という気持はあったんですが、美大に入って芸術家になろうという勢いはなく、でもアイディアを考え出すことが好きだったので、将来的に仕事にもなりそうなデザインを選びました。ちょうど姉も親元を離れて千葉大に行っていたので、一緒に住めば経済的!との親の意向もありました。
白井   自分自身、モノへのこだわりがそれ程ないことに気づきました。車とか椅子、ここのアールが美しいとか…。それよりも、もっと根っこにある問いに関心があるんじゃないか、と。アイディアレベルのことを考えるときは、普段とは違う集中力を発揮。大学の試験も、課題とはちょっと違うことをやっていました。
白井   イラストレータとしてアルバイトをしていたこともありましたが、イラストに個性が出るほどにはならず…。
白井   サークル探しで、音楽系、美術系などいくつか回ってみた結果、やはり身体を動かすことが好きだったので、モダンダンス部に入りました。モダンダンス部といっても、ジャズダンスをやっている人や、舞踏のワークショップに通っている人、屋外で扇風機を持って裸でパフォーマンスをやっている人がいたりの野放し状態。基本的なレッスンに励むよりも、どんなことをやったら周囲にウケるか?ということにチャレンジするする雰囲気に満ちていて、良い意味で不秩序極まりない環境。入部したときには、その後発条トのマネージャーとなる根木山とぼくとで男は2人だけ。15人くらいいる先輩は女性ばかりでした。そんな中でも、何でもアリのアイディアをぶつけられる、行動をして見せて行く格好良さがあると思いました。
―― 白井さんが大学に進まれた'95年といえば、<コンテンポラリー・ダンス元年>と呼ばれていますね。<パフォミックス>で<珍しいキノコ舞踊団>と<H・アール・カオス>と<NEST>が登場。それ以前の先駆者としては木佐貫邦子さん、勅使川原三郎さん。フォーサイス、ピナ、キリアンも来日して、新しい時代の到来を感じさせるタイミングですね。それで、大学ではパフォーマンスはやっていたんですか?
白井   年に2回ダンス部の公演。それでは飽き足らないので、仲間同士でつくった<おやすみaventure>というグループで、学食の前でゲリラ的にパフォーマンスをやっていました。音楽バンドも一緒にできないかな、ということで粟津が参加し、今日まで一緒にやってきています。
白井   いろいろなダンスを観に行き始めました。<パパ・タラフマラ>のワークショップに通ったり。伊藤キムさんのソロを観て、ワークショップを受けてみたいなと思ったら、ちょうど男性ダンサーを募集中。運良く声をかけていただき、日常の稽古に週に1回くらいのペースで参加させてもらうようになったんです。ちょうどキムさんがバニョレ国際振付賞を取った後ですね。
白井   大学のダンス部で週3回、ちゃんとジャズダンスのアップとかがありましたよ。ぼくらの代で、それをできる人がいなくなってしまったけれど…。ぼくにはバレエの蓄積がないので、キムさんに教わったアップの仕方をしたりしていました。
白井   大学3年生の頃、周りは就職活動。ぼくは就職する気がなかったので、ダンスを続けていくことのできる名前を考えました。<発条>はバネで、弾力性があって跳ね返すことができる、ジャンプ力があるもの。バネは螺旋状に巻いている形をしているので、色々なことをやっていく中で、最終的に方向性が見えてきたらいいなということから。<我が子がバネのように育ったらいいなあ>という思いからですね。それから、人の名前にしたいと思い、<BANETO>に。ぼくが中心というよりは、いろいろなアイディアの真ん中に<BANETO>という何かがある、そいつに水をやったりエサをやったりして育てていくというイメージです。表記については、全部アルファベットだと今風過ぎるし、全部漢字だと舞踏っぽいなと思い、<発条ト>になったというわけです。どこ風でもない。ちょっと韓国風っぽいかなとも思います。正式名称は、<Study of Live works 発条ト>。普段は長ったらしいので、通称<発条ト>と呼んでいます。
白井   当初は、ぼくが発起人で、あと根木山と粟津の3人だったんですが、あとはさまざまな人たちが関わっていて何人とは正確には言えない状態です。
白井   大学に行きながら、すでに伊藤キムさんのところでも踊っていたし、同時に発条トもやっていたので、一番つながりのある業界がダンス業界。これを一度切ってしまってデザイン業界へ行くよりも、ダンス業界の方が自然に行けるなと思ったからです。
白井   もともと理系の頭で、ものごとを緻密に組み立てていくのが好きなタイプ。意匠学科の仲間とかのやり取りもブレイン・ストーミングをしたり、他人と関わりながら何かをつくり出していく方法は教わっているかなと思います。大学に行かなければ、きっとダンスには進まなかったと思います。
―― 新人コンテンポラリーダンサーの登竜門とも言われる<横浜ダンスコレクション>を通過してバニョレに行かれましたね!
白井   横浜ダンスコレクションで選ばれたらバニョレに行ける!という、卒業記念のノリでした。映像との組み合わせを6人で踊る≪Living Room≫という作品。映像の時間と生の時間について探りを入れていくというコンセプトです。
白井   それまでは、学内でやっていた程度ですから、ダンサー・振付家として国内ではもちろん無名。横浜ダンスコレクションでビデオ審査が通ったときには、<あっ、イケるんだ!>と思いました。
白井   キムさんのところで海外公演がありましたが、それ以外では初めて。いまだに旅行で海外に行ったことがないんです。
白井   ぼくの舞台を観に来たりしましたが、とくに感想もなく…。実家に帰れば、いつまでダンスなんか続けるわけにもいかないでしょうから、これからどうするの?と聞かれていました。25歳過ぎた辺りからずるずるとそのまま今日に…。
―― 白井さんが大学でダンスを始められて、そろそろ10年が経ちますが、その頃と今とを比べると、ご自身の中で何か変わったことはありますか?
白井   ダンスを始めた頃は何でもかんでもやりましたが、それには飽きてきています。すでに他の人がやってる!と、ダメ出しされたり。<発条ト>内部でも、メンバーそれぞれが自分のコアとなるものを模索し始めている状況もあり、軽率に何でもアイディアを出せば良いというわけにはいかない。そんなときに、久々にぼく自身がソロを踊ることによって、いろいろと確認したいと思い、≪質量, slide , & .≫(2004年11月、シアタートラム)公演に至りました。
白井   思いつきがすぐにできる点は楽なんですけれど、一人の作業なので自分がどういうことになっているか見づらい部分はあります。グループでの制作のように、いろいろとやりとりしながら作品が膨らんでいくという作業が取りづらいので、ボーっとしているだけで終わっちゃったりすることもありますよ。
―― ご自分のコアは何だと思いますか?≪丘サーファー≫(註1)でも語っておられますが、ダンスによって抽象的なものを具体的なものに、具体的といっても危ういところに立つということですよね。
白井   何をするか以前に自分が人前に飛び込んでいってしまうことを決めた、というところにぼくがダンスを始めた大きなきっかけがあると思います。≪丘サーファー≫では、踊りを舞台で起こしていくときの感覚を言葉で説明しようとしました。もともと<危うさ>みたいなものは求めていました。ダンスを始めた頃、学食の前でパフォーマンスをしていると、気持ち悪い変な人とか批判もある一方で、見てくれている人もいる。そして、そこで踊ってしまっている自分がいるのがいいんじゃないか。理屈じゃなくてもうちょっとダイレクトに伝えるとしたらどうしらいいのかな、というところを探っていく。ともとも理系の頭なので、頭の中で組み立ててしまう部分と、組み立てられないで投げ出してしまう部分、投げ出す部分を見据えた上でバランスを考えた作品を立ち上げていかなければと思っています。
―― コンセプトとして、先ほどの映像と生の時間をずらすとか、さまざまな戦略をお持ちですが、その上でもう一度身体を動かそうと思っておられるということですね。
白井   もしダンス以外に方法があればいいですが、今はダンスが一番ダイレクトだと思っています。
白井   人前に立っちゃう、歌手とかに憧れます。存在するということや、世の中があるって不思議だな、と小さい頃から思っていて、地球とか宇宙とかは、ない方が分かりやすいし自然な気がする。今ではそういう疑問を怖くなるほど感じることはないですが、人がいるとか世の中があるということの不思議さを、もう一度、舞台だとしたらお客さんにハッと気づかせたい、自分でもそれを感じたい。手探りするダンスですね。子供は、何かあるとすぐにそれに触ったり、広いところにいくと走り出したくなったり、動物的な生命力みたいなものがありますよね。ダンスをするのは、そいうものに憧れ、取り戻す作業であるのかもしれません。取り戻してどうなるのかは分かりませんが、きっと見ていて気持ち良いものだろうなと思います。赤ちゃんは、眺めているだけでも10分くらいはもつけれど、大人はもたない。子供は、何が起こっているかということが分かってしまっているみたいなところが魅力的。それから、自然の海のような圧倒的なものは見ていて飽きない。そういうものを反射していく皮膚感覚。反射という次元をどのように踊りで再現していくか?が大きな課題ですね。
白井   ダンサーは舞台の全てを知らない方が良い、振付をするぼくがそれを結んでいくという考えです。ダンサーが全てを知ってしまうと、演技になってしまってリアリティーがなくなってしまってもったいない、と思うんです。ただし、再現性に限りがあるから、<今、良かった!>というものを結んでいくだけでは難しいです。即興の要素を入れつつ、再現性とライブ感の可能性を探っていかなくてはと思っています。
白井   作品をつくり始めると、自分が出るんじゃなくて、誰かに踊らせたいという気持になるんですが、それだと身体のことを忘れていくので、やはりダンサーであることは大切かなと思っています。
白井   痛い目にも遭いますし、恥ずかしい面もありますね。でも、いずれある程度客観視できるようになるんだろうなあ、と思っています。パフォーマンスへの評価に右往左往されるのが良いのか、それは役者の自分だからと言ってしまうのもリアリティーがなくなってしまうかなとも思いますし…。
白井   ある程度自分なりにやった、と思うときは批判を受けても、仕方がないやと思いますが、自分が思い描いていた形にまでいかなかった場合には、痛い思いをしています。他人の評価は気にする方だと思いますね。
白井   マネージャーの根木山が、作品制作だけではなく、地域との繋がりの中でワークショップを開いていこうというという考えだからです。小学校での子供たちは、反応が動物的だったりして、ダンサーとしても面白いです。人と会うのは苦手な方なんですが、そういうところだと舞台上よりもかなりダイレクトに反応を体感できるのでためになります。
白井   確立した自分なりのテクニックとかはまだないので、毎回手探りしながらですが、それでもダンスを中心とした表現の可能性を探っていきたいと思っています。皆さんとは劇場でお会いしましょう!
註1:<丘サーファー>記事は、白井さんの踊る感覚について執筆したエッセーです。<舞台芸術 05>(発行元:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター, 発売元:月曜社, 2004年)誌上、もしくは、Study of Live works発条ト ホームページ(http://baneto.topolog.jp/)で読むことができます。
インタビュー・スペース:にしすがも創造舎(NPO法人アートネットワーク・ジャパン / 東京・西巣鴨)
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[ 289] Fuji-tv ART NET:ダンサーって!
[引用サイト]  http://www.fujitv.co.jp/event/art-net/clsc_06dancer/014.html

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この映画は、まず、映像が美しい。住んでいるところ-工場の廃虚。そこに住んでいる彼女。ダンスが好きで、人が好きだ。耳は聞こえるが、話せない。そんなハンディをものと...
ストーリー的には・・・多少もう一つ。でも映像と音はすごくよかった。とくにダンスシーンは迫力ものでした!
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