ビリヤードとは?
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ビリヤード(billiard)は、室内で行うスポーツ。撞球(どうきゅう)、球撞き(たまつき)ともいう。フランス語で棒を指すbilleが語源とされている。 専用のテーブル(台)の上で静止している球を「キュー」と呼ばれる棒で撞くことによって別の球に衝突させ、それらの球を自分の思い通りにコントロールしようとすることを目的とした競技である。 ビリヤードのプレイは常に一人で静止した球を撞き、対戦相手と直接球を突き合うことはない。そのためショットの成否は全て自らのプレイによる結果であり、よい結果を残すには強い精神力が求められる。 そのため個人の体格差や体力差が優れていれば必ず勝てるとは言えず、むしろ技術の熟練度や、プレッシャーに負けない精神力を備えているほうがよい結果を残すことが多い。そのためメンタルスポーツのひとつとされる。 また実力により適正なハンデを振ることにより、初級者からプロまでが同じテーブルで直接対戦することができる。 [1] 使用するテーブルの形状によって大きくキャロム競技とポケット競技に分けられ、それぞれによって使用する道具等が若干異なる。スヌーカーはポケット競技に含められることもあるが、ゲームの特性上スヌーカーとその他のポケット競技は大きく異なるため別の競技として考えることが多い。 ビリヤードをプレイする台のことをテーブル、または俗に台と呼ぶ。テーブルの台座部分は主にスレートと呼ばれる石やその代用品でできており、ラシャ(羅紗、クロスとも呼ぶ)と呼ばれる柔らかい専用の布でその表面を覆われている。ビリヤードのプレイは全てこのラシャの上で行われる。ラシャは緑や青地のものがほとんどであるが、赤やベージュといった色も存在する。 テーブルの周囲は主に木製でできたエプロンもしくはスカートと呼ばれる外枠で覆われている。スカートの上面はレールと呼ばれ、その上面はテーブル中央のスレート部分よりも一段高くなっており、その段差の内側にはラシャを張ったゴムの壁が三角柱を横に寝かせたような状態で貼り付けられている。このゴムの壁をクッションと呼び、球が当たると跳ね返るようになっている。このクッションの内周は長辺と短辺の比が2:1の長方形をしている。 ポケット競技やスヌーカーで使用されるテーブルには四隅と長辺の真ん中の合計6箇所に、ボールがそこへ入ると落ちるように穴があいており、これをポケットと呼ぶ。一方でキャロム競技に使用されるテーブルにはポケットは存在しない。ポケットテーブル、キャロムテーブル共にそれぞれの競技によって大きさの違うテーブルが存在する。 ビリヤードに使用されるテーブルは、ビリヤードの球同士を衝突させ、それらの球のアクションを支配しようとするという競技の特性上、限りなく水平であり、かつスレート同士の継ぎ目に段差がないことが求められる。そのためビリヤードテーブルは足が4本のものが多く、それぞれ高さを微調整できるようになっている。 ビリヤードは室内で行われるため、テーブルも室内へ運び入れることができるようにすべて分解できるようになっている。またビリヤードをプレイするにはテーブルの周囲にある程度の空間が必要となるため、1台のポケットテーブルを設置するためには最低でも10畳ほどの空間が必要となる。 ビリヤードで使用するボールは「球」(たま)と呼び、あまり「玉」と呼ぶことはない。キューの先で球を打撃することをショットする、あるいは撞く(突くとも)と呼ぶ。キューで手玉を撞くことを英語では「shot」と言うが、日本語ではあまり「打つ」とは言わない。 キューで直接撞く球を特に手球又はキューボール (cue ball) と呼び、手球をぶつけようとする球を特に的球と呼ぶ。手玉は白あるいはクリーム色(あるいは黄色)をしている。ポケット競技で使用される手球には赤または青で小さな丸印(スポット)が1箇所つけられているのが一般的である。手玉の回転が分かりやすくなるように、やや大きめのスポットが複数付いたものもある(ドットボール)。また狙った位置を撞くことができているかをチェックできるようにある面から見て同心円を描いてある、練習用のものもある。 的球は手球と区別しやすいように、手球とは違った色に着色されている。さらにスヌーカーを除くポケット競技で使われる的球には通常、表面の対極となる2箇所に1から15までの番号が印字されている。一方でキャロム競技用の的球(通常赤色)や、スヌーカーで使用される的球には番号は振られない。ほとんどのゲームにおいて手球はプレイを通じて変わらないが、的球はショットごとに変わりうる。 通常プレイにおいてはルール上的球を直接撞くことはないが、ナインボールにおけるバンキング時、またポケットゲームの1つであるスクラッチ・ゲームにおいては的球を直接撞くこともありうる。ただし通常的球を直接撞くことは、チョーク汚れが的球についてしまうためお店によって禁じられていることが多いので上記ゲームをプレイする場合においても注意が必要である。 球を撞く棒状の道具をキュースティック (cue stick) 、省略してキュー(cue)と呼ぶ。プレイヤーが手球の狙った点を撞きやすいように、先になればなるほど細くなっており、手元に近い部分ほど太くなっている。またキューは大抵の場合、持ち運びができるよう真ん中から2本に分かれるようになっていて、真ん中から先の部分をシャフト、柄の部分をバットと呼び、継ぎ目の部分をジョイントと呼ぶ。分割できないワンピースのキューもある。 ポケットビリヤードで使用されるキューは、40インチ(約101センチ)以上(Billiard Congress of Americaのルールブックによる)であれば長さや重さに制限はないが、150cmほどの長さで500gをやや超えるものが主流である(キューの重さはオンスで表記され、主流の18〜19オンスは約510グラム〜約538グラムとなる)。ゲームの種類やショットによって、これとは長さや重さの異なったキューを使用することもある。 自分で所持しているキューをマイキューと呼ぶ。一方、店に備え付けのキューはハウスキュー(俗に芝キュー)と呼ぶ。 キューはビリヤード場や専門店、インターネットを含む通信販売などにて購入できる。様々なメーカー(後述)がキューを販売しているが、大きく分けてプロダクション・キューとカスタム・キューに分けられる。 プロダクション・キューは大量生産されているキューで、ビギナー、ライトプレイヤーを含めた一般のプレーヤーの多くが使用している。一方、職人による手工品をカスタム・キューと呼ぶ。 ハウスキューに使用されていることの多い、比較的安価なプロダクション・キューは装飾も単色の塗装のみのものであったり、柄が入っていても塗装によるものであったりする場合が多いのに対し、比較的高価なプロダクション・キューやカスタム・キューはインレイ(貝殻などを埋め込んだ装飾)や、ハギ(木の組合せによる装飾)などが施されており、また同じような柄であってもその文様が微妙に異なっていたりする。 またカスタム・キューはオーダーメイドによるものも多く、値段もプロダクション・キューに比べ非常に高価であることが多い。一般に、プロダクションキューよりも良い木材を用いて製作させることから、性能も高いとされる。 キューの多くは木製であるためにプロダクション・キューの新品の同一商品においても、使用される木材の成長度合いや採取された年月、部位、また乾燥度合いなどが違うため一本ごとにシャフトやバットのしなり具合などが違う。そのため全く同じ性能のキューは存在しないともいえる。上級者の場合、それぞれのキューの個性を感じ、自分に合ったキューを見つけ、またそのキューの特性にあわせたプレイができるが、あるレベルに達しないプレイヤーは違いが分からないため自分に合うキューも分からず、またプレイのスタイルも確立してないためキューに合わせることもできない場合が多い。従って最初のマイキューなどは、デザインや重さ・振りやすさなどで好みのものを選ぶのが良いとされている。 上述のようにキューは一本一本個性が異なるため、ビリヤードを志す者であればなるべく早いうちにマイキューを購入し、なるべく同じ環境で練習するほうが自分のプレイスタイルを固めるためによい。 キューには、プレイキューと呼ばれるプレイ全般で使われるキューの他に、ブレイクショット(ポケット競技での初回のショット)を行うためのブレイクキュー、ジャンプショットを行うためのジャンプキューなど特定の目的にのみ使用されるものもある。これらは主にポケット競技で使用される(ただしスヌーカー競技においてはジャンプショットはファウルとなる)。キャロム競技においても通常のプレイ用とは別にマッセ用のキュー(プレイキューよりも若干短い)を使用する人もいる。 プレイキューだけを所有している人も多いが、上級者あるいは資金の豊富なものはブレイクキューやジャンプキューも所有していることもある。またそれらを複数所有するものもいる。また蒐集だけを目的とするコレクターもいる。 ブレイクは通常のショットに比べ非常に大きな力が加わり、キューやタップへのダメージも大きくなるのでプレイキューを使ってブレイクすることはあまり推奨されておらず、ブレイク専用のキューを用いるプレイヤーが多い。自身で所有していない場合、ハウスキューを用いる事もある。後述のブレイク・ショットの項目も参照。 ジャンプショット専用のキュー。手球を上から撞くために通常のプレイキューでは取り回しがしにくいため、ジャンプキューはプレイキューよりも短い。後述のジャンプショットの項目も参照。 シャフトは真ん中より先の部分を指し、主にメープルなどの堅い木でできており、先には破損防止のためにプラスチックや象牙、ベークライトなどのキャップ状のものが付いている。これは先角(さきづの、あるいはフェラル、俗にコツ)と呼ばれる。先角の先には皮製のタップが取り付けられ、ルール上手球に触れてよいのはタップ部分のみとされている。 シャフトは大きく分けてノーマルシャフト(1本の角材から削りだしたもの)とハイテクシャフト(1つあるいは複数の木材から作成した複数のピースを貼り合わせて1本のシャフトにしたもの)がある。ハイテクシャフトは、様々なメーカーから発売されているが、314、ハイブリッドシャフト、ACSSなどがある。ハイテクシャフトは、ディフレクション(俗にトビと言われる)を軽減する効果がある。 シャフトはブリッジ(キューの先端を支える、利き腕とは逆の手のこと)をスムースに前後できなければならないため、ニスなどの塗装のないものが好まれるが、すべりをよくするためにグラスファイバーなどでコーティングされているものも存在する。その際、一般的な木製のシャフトであればすべりをよくするために紙やすりなどで研磨することもあるが、グラスファイバー製のシャフトにおいてはそのような行為は推奨されていない。 バットとはキューの真ん中より後の部分で柄にあたる。シャフトとは異なりブリッジを通過することはあまりないため、装飾を保護するため全体的にニスで塗装されているものが多い。またキューを構えた際、手で持つ部分周辺をグリップと言い、糸を巻いてあるものが一般的である。また糸を巻いた上からニスを塗装してあるもの、糸を巻かずにニス塗装してあるものなどがある。最初から巻いてある糸をほどいて、その部分に皮を巻いたりシート状のコルクを巻いてプレイする人もいる。また滑り止めのための、チューブ状のゴムシートを装着する人もいる。 バットの一番後ろの部分(キュー尻)からは金属製のネジが差し込まれていることがあり、このネジのことをウェイトねじ、バランスねじなどと呼ぶ。キュー自体の重さを替えるためにこのネジを交換したり、取ってしまうこともあるが、キューのバランスが変化すること、またバットの強度が落ちる場合もありうるので慎重に行うべきである。なおゴム製の蓋(俗に尻ゴム、バンパー)をしてあることが多い。このゴム蓋はキューを立てたときのクッションの役割も果たしている。またキューによってはキュー尻に、さらにエクステンションといわれるバットを継ぎ足すことができるものもある。 またバットがさらに分割できるようになっているものもあり、これは分割したバットとシャフトを接続することでジャンプキューとして使用できるようにしたものである。(ブレイク&ジャンプキュー) ただしジャンプ&ブレイクキューはジャンプショット専用キューと比べると性能が落ちるとし、ジャンプキューとブレイクキューをそれぞれ別々に所有するプレイヤーもいる。 ジョイントはシャフトとバットの継ぎ目でネジ状になっており、主に金属製であることが多い。ジョイント部に金属を用いない、いわゆる木ネジと呼ばれるキューは、打球感がより素直に感じられると言われている。いかにしっかりとシャフトとバットを接続するかというところで各メーカーの工夫がされており、ダブルジョイント、トリプルジョイントというように大小のネジを組み合わせたもの、雄ネジと雌ネジの形状を変化させたもの(ウェービーピン)、接合面をすり鉢状にしてあるもの、また着脱が簡単なユニロックなどがある。 タップはシャフトの先端にあるフェラルのさらに先に取り付けられる、主に牛や豚の革で作られた厚さ5mm〜8mm程度、円盤状のパーツである。これは手球に回転をかける上で非常に重要な部分である。 タップはそのままではつるつると滑ってうまく的球に回転がかからない上、ショットミス(キューミスという)を起こしやすいので、チョークと呼ばれる専用の滑り止めを使用する。タップの革の質や固さ、繊維の細かさや、チョーク自身の硬度などで、的球への回転のかかり具合や、かかるタイミング、打球感、耐久性などに影響があり、非常にデリケートな部分である一方、あるレベルのプレイができるようになるまではこういったことには意識が行かないのが一般である。 初心者はチョークの塗布を忘れがちであるが、チョークを全くつけないとキューミスが増え、タップに思わぬダメージを与えることがある。 またタップは一枚革のもの、複数の革を貼り合わせた積層タイプのもの、樹脂製など様々な種類があり、それぞれに特徴がある。 樹脂製のタップは、最近公式試合に使用できるようになり、プロ・アマチュア共に使用する人が増加している。樹脂製タップは非常に硬いため、比較的強いショットを求められるブレイクキュー及びジャンプキューに使用される。しかしその硬さゆえに撞くことができる撞点が限られ、手球に微妙なタッチを加えることができないのでプレイキューにはあまり使用されない。一部ビリヤード店では球に傷が付く恐れがあるとして、使用を禁止している場合がある。 一般にチョークの主成分は石灰であり、2cmくらいの大きさの立方体に固められた状態で販売されている。多くはラシャに付いてもあまり目立たない色である青や緑に着色されているが、赤やベージュといった色のものも存在する。使用する際手にチョークが残らないように、使用する面を除いた5面を包装されており、使用面にはわずかに窪みがつけられているものが多い。 チョークの主成分は、黒板に文字を書くための白墨と同じであるが、研磨剤が配合されており、これが タップの表面に食い込むような形で付着する。(黒板用のチョークを使用しても、タップにはあまり付着しない)またそのため、チョークを使用することでタップが少しずつ削られてゆく。 他、手が届かない場合に補助に使うメカニカル・ブリッジや、ポケット競技においてボールを並べる時に使うラックと呼ばれる器具もゲームによって使われる。 その他手汗をよくかく人はキューのすべりをよくするために、グローブをはめてプレイしたり、キューにパウダーをつけるひともいる。 ビリヤードのゲームのほとんどは二人(それ以上のこともある)で行い、一方のプレイヤーがミスショットをするによってプレイヤーが交代する。言い換えると相手が失敗しない限り自分がプレイすることはできないし、自分が失敗しない限り主導権を握り続けることができる。それは即ちビリヤードとはいかにミスショットをしないゲームかということを表すともいえる(ここでいうミスショットとは、ファウルのほかに得点とならないショットを含む)。ナインボールで例えるならば、バンキングによって先攻を得た後、1番から9番までノーミスで突き切り、それを定められたセット数繰り返すことが一番確実な勝利方法といえる。 ミスショットをしないためには常に正確な狙い(エイミング)、ショットを毎回行う必要があるが、非常に強いプレッシャーのかかる場面においては普段どおりのショットができないことも多い。どのような局面であっても一定の精神状態を保ち続けることが安定したショットをする上で重要となることから、ビリヤードはメンタル・スポーツであるとされている。 またあるショットによって得点を上げたとしても、その次のショットを行うに当たってどの位置に手球を持っていくと自分にとって有利になるのかを考えておく必要があり、これをポジショニング・プレーと言う。 ポケット競技では的球をポケットし、手球を次の的球を狙いやすい位置に持っていくことを「ネキストを出す」と表現する。ネキストとは「next」(ネクスト)がなまったものと考えられており、「ネキ」と省略することも多い。ポジショニング・プレイを「ネキ出し」と言う事もある。(ポケットすることを「入れ」、ポジショニングプレーを「出し」と言うこともある) キャロム競技ではポケット競技と異なり、テーブルの上から的球が消えることはないため手球の止まる位置だけではなく、的球が止まる位置や、それぞれの球が走るコースなども考慮しなければならず、より高度なポジショニング・プレーが求められる。3つ球、4つ球競技において極力球の位置を動かさずに連続して得点を上げるセリー突きもポジショニング・プレーの一つといえる。 大声で騒いだりしないことも当然であるが、他のプレイヤーの正面あたりに入り込まないように心がける、やむを得ず入ってしまった場合はむやみに動いたりしないことが推奨される。 ビリヤードは非常に大きなテーブルを使用するため、どうしても手の届かないところに手球が行くことがある。身長の高い人間・手足の長い人間は小柄な人間・手足の短い人間よりもそういう場合は普段と同じフォームでプレイできる範囲が大きくなるため、若干有利になるといえる。また威力のあるブレイクや強い回転をかけるショットを求める場合は、ある程度の筋力と体重があったほうがのぞましいとされる。 しかしどれほど大柄な人間であっても常に同じフォームでプレイすることは不可能であり、大柄な人間が小柄な人間より圧倒的に有利であるとは言い切れない。また車椅子を使用するプレイヤーもいることから、プレイヤー自身の努力によって肉体の体格差をかなりのところまで跳ね返ることができると考えられる(これはプロのビリヤード選手をみても、背の高い者・低い者、太った者・痩せた者、若い者・年配の者が入り混じっていることからも推測できる)。 一般にキャロム競技は手球を突き、ワンショットで手球を2つ以上の異なる的球に当てると得点されるゲーム。得点した場合は続けて突く事ができる。 ゲームは赤球1つと白球2つを用い、2人で行うものが多い(ただし四つ球は赤球を2つ使う)。手球は白球で、一方の競技者が撞くことのできる手球は最後まで変らない(例外としてショット毎にどちらの白球でも自由に選んで撞いて良い「エニーエニー」と呼ばれるルールもある)。手球は近年弁別の必要上一方を黄色としている。以前は将棋における玉将のように一方の白球に小さな黒丸或いは黒い点を付け、俗に黒球と呼んでいた。 当て方に制限を設ける事でバリエーションがあり難易度が異なってくる。四つ球、ボークライン(最近ではカードルと呼ぶ)、スリークッションが公式競技としては有名。またバウンドゲーム(ワンクッション)もあるが、あまり普及していない。 キャロムの台はサイズから中台(ポケットと同じ9フィートサイズ)と大台(10フィートサイズ)に分けられる。中台は主に四つ球、三つ球。大台は主にスリークッションに用いられる。 どちらの台もポケットと呼ばれる穴がなく、四方をクッションと呼ばれる仕切りで囲われている。 スリークッションはその競技の特性上、ラシャを湿気から守りコンディションを一定に保つ必要性から大台には通常ヒーターが内蔵されており、常時保温されている。 ポケット・テーブル(通常長辺が9フィートサイズ)を使って行う競技をポケット・ビリヤード(アメリカではプールという呼称が一般的)と呼び、様々な競技ルールがある。 ポケット・ビリヤードのキャロム競技に対する最も大きな違いは、使用テーブルにおけるポケットの存在である。ポケット・ビリヤード用の台には、四隅と各長辺中央の、計6つのポケットが設けられている。ここに狙った球を落とす(これを「ポケットする」または「入れる」と言う)、または落とさないようにする事が、ポケット・ビリヤード各競技における最も重要な要素である。ポケットにはそれぞれネット等が張られ玉が床に落ちないようにされており、ここに球が溜まるのがプールとも呼ばれる所以とされている。ただし、現在の日本国内においては、次のゲーム開始時に便利であるようにポケットされたボールがレールを伝わって自動的に一箇所に集められる構造になっている場合が多い。 手球をキューで撞く事により、競技ごとのルールに従って他の的球に衝突させポケットに落とす事。また、手玉をポケットに落としてはならないという点が各競技ルールの基本である。 公式競技としては、ナインボール、エイトボール、ローテーション・ゲーム、ストレートプール(14-1、フォーティーン・ワン)、ワンポケット・ゲーム等が有名である。 また、一人で行えるゲームとしてはボウリングと同じ採点方式をポケットビリヤードに応用したボウラード(JPBAのプロテストに採用されている)等がある。 また、主にイギリスを中心とした旧英連邦諸国において人気が高い競技のスヌーカーもテーブルにポケットがあり、ルーツとしては同じポケットビリヤードの一種ではあるが、使用するポールもテーブルも上記競技とは全く異なり(テーブルの表面積が2倍近くもある上、テーブル上には目の付いた毛織布が張られており自然にカーブする。ポケットの構造も異なる上、使用する球の数、大きさも異なる)、通常のポケット・ビリヤードと比べてポケットする事が極めて難しい設定となっているため、そのゲーム性は全くといって良いほど異なる(相手にポケットのチャンスを与えないセーフティープレーの比重がポケットとは比較にならない程大きい)。そのため、一般的に「スヌーカー」は「ポケット・ビリヤード」の一種ではなく別のジャンルの競技として扱われる場合が多い。 近年ではポケット・ビリヤード、キャロム、スヌーカーの全てを含む呼称として「キュー・スポーツ」という言葉が用いらるようなってきている。現に英語版Wikipediaで本項に該当するページはCue sportとなっている。 スヌーカーも含め、ポケットビリヤードではセットの開始時に、複数の的球が決まった形に固めてセットされる。そのままでは的球をポケットすることが困難なため一番最初のショットはこれを崩す(散らす)ために行われる。これをブレイクショットと呼ぶ。1つの手球で複数の的球を散らす必要があるため、通常のショットよりも非常に大きなエネルギーを手球に与える必要があり、そのためキューやキュー先(タップ、フェラル)へ大きな力が加わる。そのためタップの劣化が進むためにタッチが変わることを嫌い、ブレイクショットには専用のキュー(ブレイク・キュー)を用いるプレイヤーが多い。ブレイク・キューを個人で所有していないプレイヤーのなかには、ハウスキューで代用する人も多い。また場合によってはタップやシャフトを破損することもある。 ボウラードなどはできる限り毎回同じような配置にすることがスコアを伸ばす際有利に働くため、さほど強いショットを行わないことが多い。またナインボールなどでも同様の理由から毎回一定の強さのブレイクを行うプレイヤーもいる。こういったゲームをプレイする場合、あえてブレイク・キューを使用しない人もいる。 ジャンプ・ショットとは手球が的球を飛び越えるように放つショットのことである。またスヌーカー競技においてはジャンプショットはファウルとなる。 ジャンプ・ショットはキューをやや上方より突き下ろすことで手球をラシャに叩きつけるようにショットし、手球の反発力を利用してジャンプさせる。キューを上から突き下ろすという独特のフォームを取るため、通常よりも若干短いキュー(ジャンプ・キュー)を使用することが多い。 かつてはそのフォームから、キューのシャフトをバットから取り外し、シャフトだけでジャンプショットを放つプレイヤーが多かった。しかしBilliard Congress of Americaによってキューの長さは最低40インチ(約101センチ)以上と定められ、シャフト単体ではこの長さに足りないため、シャフトに通常のバットよりも短いバットを付け加えたものが、ジャンプ・キューの始まりと言われている。 現在では各キュー・メーカーよりさまざまなタイプのジャンプ・キューが発売されており、バットよりもシャフトの方が短いもの、バットの方が短いもの、非分割タイプのもの(ワン・ピース・キュー)、ブレイク・キューと兼用のもの(バット部分がさらに分割できる)などがある。 なお、ビギナーが手球の下端を強く突くことで故意にキューミスさせ、手球をジャンプさせるシーンを見かけるが、故意のキューミスによるジャンプはルール上ファウルであることに注意されたい。 ドローショットのミスによるミスジャンプはファウルではない(もちろん正しい的球に手球があたり、ノークッションファウルの適用外である必要がある)。 またジャンプさせた手球を狙った的球の上部に当て、その的球をさらにジャンプさせる高等テクニックもある(的球ジャンプ)。 日本と違い、アメリカ英語ではbilliardsと言った場合キャロムを指すことがあり、ポケットのあるゲームはpool、pocket billiardなどと呼んで区別する場合があるので注意が必要である。 日本ではあまり見かけないが、アメリカではバー等に設置されたコイン式の有料ビリヤード台を良く見かける。この台はコインを入れると手球を含む16個のボールが貸し出されるようになっており、このような台ではもっぱらエイトボールが、ゲームに負けた方が次のゲームのゲーム代を置いて次のプレーヤーと交代し勝者が続けてプレーするというスタイルで気軽な娯楽として楽しまれている。 しかし、ゲーム中に手玉がポケットされてしまうとゲームが続行できないため、この様な台では的球と違うサイズの手玉を用いる事により機構上対応されている。とはいえ、手球以外の玉は一度ポケットされる次にコインを入れるまで出すことができない。エイトボールのルール上8番ボールをミスポケットすると即負けとなるのは、このコインテーブルの機構に由来する。 (近年のナインボール・ルールで理由を問わず的球を台上に戻さないようになったのは、主にアメリカにおけるテレビ放送の都合によるスピードアップを目的としてのものであり、上記コインテーブルの仕組が原因ではない) 日本における競技試合は、主に2通りの形式で行われている。(ただし以下はプールについての概要であり、キャロム競技については事情が異なる) 公式戦は、ビリヤードに関連する団体が主催して行う試合である。想定される参加者の所属する地域に関しては、全国レベルのものから、参加者の所属する地域をある程度限定するもの、地域対抗の形式のものなど各種ある。参加者に対してハンディキャップは設定されないことが多い。国内トーナメントとオープントーナメントがある。 各地のビリヤード場が主催して行う試合である。想定される参加者の所属する地域は、ほとんどがその店舗の近隣を想定されているが、そのように規定されている場合は少ない。公式戦と異なり、異なる技量の参加者同士が拮抗したゲームが行えるよう、参加者の技量「クラス(級)」に対してハンディキャップを設定する、あるいは参加者の技量を参加条件として限定している場合が多い。 アマチュアのプール・プレイヤーの技量は「クラス」(「級」とも言われる)に分けられる。プールの場合のクラス分けは、ビギナー、C、B、A、SAなどの等級に分けられている場合が多いが、各等級の明確な定義は定められていない。またプロがアマチュアのハウストーナメントなどにゲストとして参加する場合、別にクラスが設けられることが多い。ほとんどの場合クラスは自己申告に基づいて運営されており、参加者の実際の技量を絶対的に示す基準になりえておらず、「異なる技量の参加者が拮抗したゲームを行う」という本来の機能を果たしていないと指摘する意見もある。 ビリヤードのプレイは数値に表せるものではないため、万人に通用する明確な基準を作成するのは非常に困難である。 またクラスをあまり細かく分けすぎるとハンディの振り方が煩雑になり、大雑把過ぎると異なった実力の2人が同クラスとなり不公平感が生まれるなど、調整が非常に困難な部分である。なお一度クラスを申告した場合、その後同じ試合のより下位のクラスとして出場することは認められないことが多く、そのため明らかに上のクラスの実力があっても下のクラスから昇格しようとしない人間も多い。また女性は男性よりも有利なクラスが設けられていることもあり(体力・体格・腕力面よりもプレイ人口比率面からの優遇と考えられる)、公平に見て実力の劣る男性が、上級者である女性にハンデを振らなければならないという場合が生じることもある。 なおここでいう「同じ試合」とは、例えばあるお店で開催される月例会(マンスリーハウストーナメント)において、一度A級として出場した場合翌月以降もA級での出場となる、という意味でありそれ以外の試合に出場する場合はこの限りではない。(ただしあまり推奨されないし、認められないことも多い) ナインボールにおいては獲得すべきセット数に差をつけることでハンディを決定する。(例:A級3セット、B級2セット、C級1セットのハンディの場合、A級プレイヤーが3セット取るまでにC級プレイヤーが1セット取れば、C級プレイヤーの勝利となる) ローテーションにおいては獲得すべき点数に差をつけることでハンディが決定する。(例:A級180点、B級120点、C級60点とし、その得点を先に獲得した者の勝利となる) 主に関西でプレイされることの多いジャパンナイン(あるいは5-9)という特殊なナインボールゲームのルールにおいては、セット数などによる勝敗という概念がないため、加点となる的玉の個数、またはその点数、あるいは点数の入り方などによって調整する。 キャロム・ビリヤードにおいては各個人が「持ち点」と呼ばれる点数を持ち、その持ち点によってハンディが決定する。 ビリヤードは穴に入れる関係上、ある程度の高さの台が必要になる。この手間を省く為に台を傾け、キューを右下に固定したものがフランスで作られ、愛用した貴族の名をとって「バガテル」と呼ばれる様になった。バガテルはアメリカに渡り、さらに独自の進化をとげて、フリッパーピンボールとなった(バガテル以降の詳細は「ピンボール」参照)。 ^ 「POOLPLAYER ISABU」(著:山下東七郎)によると、ビリヤードの才能の一つとして「決して揺れない心」と表現されている。 |
[ 99] ビリヤード - Wikipedia
[引用サイト] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89
