朝日とは?

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汚職や情報隠しなど一連の不祥事を受けた防衛省の改革論議がスタートした。首相官邸の主導で発足した有識者会議が来年2月にも中間報告をまとめる。
論議のテーマとして挙げられているのは(1)文民統制の徹底(2)厳格な情報保全体制の確立(3)防衛調達の透明性確保の三つだ。いずれもこれまでに指摘されてきたことばかりだ。問題の体質が一向に改まっていなかったということだろう。
安全保障は、国の存亡にかかわることである。それを理由に、多くのことが秘密扱いとされてきた。だが、守屋武昌前事務次官の収賄事件や、インド洋での海上給油の情報隠しでわかったのは、安全保障という看板の裏で、利権の構造ができあがり、文民統制を軽んじる風潮がまかり通っていたということである。
もはやこの役所に自浄能力があるとは思えない。防衛省は今年1月に庁から省に昇格したばかりだが、「省」にふさわしい組織や人材を備えていなかった。「庁」に戻して出直しさせるぐらいの覚悟で、改革に取り組む必要がある。
何よりも考えなければならないのは、政治の役割だ。守屋前次官は4年間も次官を務めた。自分の意に沿わない人は飛ばし、「防衛省の天皇」とささやかれるほど権勢を振るった。こんなことができたのも、歴代の首相や防衛庁長官が重用していたからこそである。
軍部が暴走した戦前の歴史を持ち出すまでもなく、実力組織である軍隊をどうコントロールするかは政治に課せられた重い責任だ。
ところが、守屋前次官が官房長、防衛局長、次官を務めた9年間に、防衛庁長官と防衛相は延べ10人以上だ。これでは政治による統制は期待できないし、中には適格性を疑いたくなる人もいた。
防衛相には、人格に優れ識見に富む人物を選ぶことが大切だ。そのうえで、少なくとも3年ぐらいは任せることを考えてみてはどうだろうか。
組織改革にあたり、透明性を高めなければならないのは当然のことだ。有識者会議は「防衛調達の透明性確保」を論議するというが、問題は武器や装備品などの買い方に限らない。防衛政策全般に風通しを良くしなければならない。
それには、情報を囲いこむ体質を改めさせる必要がある。安全保障を理由に公開できないものは、あくまでも例外であることを徹底させなければならない。
有識者会議の論議の項目で気になるのは、「厳格な情報保全体制の確立」だ。これは必要なことではあるが、だからといって透明性という原則がなおざりにされてはいけない。
こうした大きな構えで、防衛省の組織のあり方にメスを入れるべきだ。それにしては、有識者会議のメンバーに政府の懇談会の常連や防衛庁・自衛隊のOBばかりが目立つのは心配だ。役所に痛みを求めない提案に終わっては、防衛省だけでなく日本の政治の危機である。
ロシアで行われた下院議員選挙もロシア流なのだろうが、これでも民主主義かと首をかしげたくなるものだった。
プーチン大統領の与党「統一ロシア」が議席の3分の2を確保し、圧勝した。予想通りの結果であり、プーチン氏が展開してきた政策は信任された。
だが、あまりにも不思議なことの多い選挙である。まず、現職大統領のプーチン氏が与党の名簿1位で立候補した。当選はほぼ確定したので、大統領を辞めるか、当選を辞退するしかない。
任期途中で別のポストに立候補するのも理解に苦しむが、辞めるのなら大国ロシアのトップの交代であり、本来なら国民の重大関心事であるはずだ。当選を辞退するというなら、この立候補は有権者を欺いたことにならないか。
私を支持するのかしないのか、それだけを言えばいい。あとは私が決める。有権者はそう言われたに等しい。投票によって議員や指導者を選び、国の政治のありようを選択する。それが普通の民主選挙だとすると、だいぶ違う。
プーチン氏の身の振り方をめぐって、さまざまな憶測が語られている。憲法は大統領の連続3選を禁止しているので、2期目の大統領をいま辞任しておき、来春の大統領選に改めて立候補する。あるいは下院議長や首相として実質的な権力を引き続き握る、などなどだ。
ソ連崩壊でロシアになって16年。民主政治がまだまだ定着していないことの表れなのだろう。次期大統領にしても、プーチン氏が近く候補者を指名すればそれで決まりと言われている。
プーチン政権の8年間で、ロシアがめざましい復興をとげたのは間違いない。原油高で経済は絶好調だし、暮らしも改善された。「強いロシア」路線を掲げ、外交的な存在感も増した。
エリツィン時代の政治混乱、生活困窮を思えば、有権者がプーチン与党に圧倒的な支持を与えたのも無理はない。
だが、そうした追い風にもかかわらず、政権はかなりの無理を重ねた。テレビの支配を強め、野党指導者を拘束し、大動員をかけてプーチン人気をあおり、大勝利を確実にしようとした。
来春にはプーチン大統領の2期8年の任期が終わる。その権力構造を延命し、継続するには、尋常な勝利では足りないという計算があったのだろう。
いまのロシアには、プーチン氏がトップにいることで、さまざまな利権や権力を争う勢力の均衡が保たれている面がある。民主主義を多少ねじ曲げてでもプーチン氏の影響力を残し、秩序を温存する。そんな思惑が現体制を支える諸勢力には共通するのかもしれない。
任期や選挙などに縛られずにプーチン体制の継続を目指すとすれば、それは「王朝」に近くなる。いかにロシア流とはいえ、民主主義とはほど遠い。
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[ 133] asahi.com:朝日新聞社説
[引用サイト]  http://www.asahi.com/paper/editorial.html



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