吊りとは?

吊り掛け駆動方式(つりかけくどうほうしき)は、電車・電気機関車等の電気車において、モーターから車輪に動力を伝達する(モーターを台車に装架する)方式の一種。手法としては単純で、すでに古典的な方式である。
釣り掛け、吊掛、釣掛とも表記するが、絶対的な統一表記はない。英語では nose-suspension drive 。
日本では、電車の駆動方式としてはカルダン駆動方式に取って代わられ、現存例は多くないが、電気機関車の駆動方式としては21世紀初頭現在でも広く使われている。
路面電車用バーサスペンション方式の吊り掛けモーターの例(筑豊電気鉄道2000形電車)。手前に軸受が見える。回転軸の右側にある棒状の部分を台車枠に取り付ける
モーターは車軸と平行に配置され、モーター軸から平ギアで車軸を駆動する。モーターの車軸側には軸受が設けられており、この軸受部分を車軸に乗せる。車軸と軸受の間にはアクスルメタルを挟む。
車軸と反対側の部分は台車枠に取り付ける。この取り付け部分の支持方式はノーズ・サスペンション方式とバー・サスペンション方式の2種類がある。
ノーズ・サスペンション方式とは図のようにモーターの片端に設けられたノーズを台車枠に固定する方式である。台車枠とノーズの間にはバネを挟む。大形の鉄道車両に多く用いられている。
バー・サスペンション方式はモーターの片端に棒状の部品(バー)を付け、このバーを台車枠に固定する方式である。台車枠とバーの間にはバネを挟む。軸距の短い台車の場合に有利である。主に路面電車、軽便鉄道で多く用いられたほか、江ノ島電鉄、箱根登山鉄道など比較的小型な車両を使う鉄道で使用されたが、大型電車では少数派である。[1]
どちらの方式でも、モーターは車軸と台車枠の間に橋渡しされた状態、すなわち車軸と台車枠に吊り掛けられた形になる。「吊り掛け」の呼称は、ここから来ている。車軸とモーターの位置関係がアクスルメタルで固定されるので、相対的な偏位は起こらない。
モーター重量の50%が車軸に直接かかり、バネ下重量が大きい。このため線路・台車・モーター自体への衝撃が極めて激しい。従って高速運転には本質的に不向きである。乗客にとっては乗り心地も悪くなる。発車の際には猛烈な騒音と激しい振動がおこる。
吊り掛け駆動用モーターは、衝撃に耐えるため、頑丈に作らざるを得ない。結果として重量は増え、バネ下重量も増加してますます衝撃が強まる。悪循環である。
高回転化は困難である。このため低回転・大トルク型のモーターを用いることになるが、このようなモーターとの組み合わせでは、山・谷の大きな、歯の粗い頑丈な歯車と組み合わされるため、歯面同士の打音は大きくなりがちで、走行時には吊り掛け式特有の激しい騒音を発する。
アクスルメタルや歯車などが、大トルクによる負荷や、大きな重量による衝撃のために消耗しやすく、又、ギアボックスを密閉できないため、メンテナンス上の配慮を要する。メンテナンスサイクルもカルダン駆動方式に比して短い。ただしトータルランニングコストに関しては、軌間や軌道の状態によっては必ずしもカルダン方式が優位とはいえない場合もある。
これらの問題点は近年改善が進んでいる。車軸架装ベアリングにおいてはプレーンメタルに代わってローラーベアリングが導入されるようになり、アクスルメタルやノーズがゴム緩衝されたり、歯車においても材質、焼入れ、歯の形や角度、バックラッシの最適化等が為されている。この結果、摩耗・消耗・騒音の抑制が図られるようになっているが、バネ下重量が大きくなる構造という根本的な制約を克服するまでには至っていない。
エジソン研究所出身のアメリカ人スプレーグ Frank Julian Sprague(1857年〜1934年)が、1887年に架空電車線方式と共に考案、ヴァージニア州リッチモンドに路面電車を運転開始したのが最初。このため「スプレーグ方式」と呼ばれることもある。
発祥国であるアメリカでは、世界の先陣を切って1930年代にPCCカー等の高性能電車が開発されたことに加え、1940〜50年代にニューヨーク等の地下鉄電車を別にして高速電車そのものが衰退したこともあって、路面電車の一部や動態保存車を除けば殆ど存在しない。
だが21世紀初頭においても、ヨーロッパを中心に電車の駆動方式の主流を、吊り掛け駆動方式が占める国は多く存在する。代表例としてはイギリス、オランダ、ベルギー、デンマーク、オーストリア等といった諸国において、主に都市近郊電車を中心として存在している。このほか、日本同様の1067mm軌間で、規格も近似する台湾でも、特急“自強号”用電車を中心に吊り掛け駆動方式電車が多数在籍する。
但し1980〜90年代前半位まで吊り掛け駆動方式を採用したケースもあるこれらの諸国でも、新車はVVVFインバータ制御へのシフトと共に駆動方式も改められており、同方式が過去のものになりつつあることに変わりは無い。
1890年には早くも吊り掛け駆動のスプレーグ式路面電車が日本に持ち込まれ、東京・上野公園で行われた第2回内国勧業博覧会に出品されている。1895年に登場した日本初の電車(京都電気鉄道、のちの京都市電)もこの方式であり、以後電車・電気機関車におけるほとんど唯一の駆動方式として広く普及する。
吊り掛け式モーターは、当初はアメリカ、イギリスからの輸入に頼っていたが、第一次世界大戦による輸入途絶を機に、1917年以降国産化が進められ、1920年代中期にはライセンス生産ではあるがほぼ国産化に成功していた。1927年には電車用150kW形、1928年には電気機関車用225kW形を国産開発するに至る。
1930年代以降、ばね下重量の低減に早くから積極的であった欧米の電気車ではカルダン駆動方式が実用化され、1950年代以降は日本の電車にも導入されるようになった。
特に、輸送力増強を迫られた大手私鉄が、その対策として即効性のある「電車の性能向上」に取り組んだことが日本でのカルダン駆動方式の普及につながっている。1951年頃からカルダン駆動方式の試験が開始され、1953年にまず京阪電気鉄道と帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)がカルダン駆動方式の新車を製造、続いてその他の大手私鉄各社も順次カルダン駆動を採用していった。また国鉄も、長距離優等列車に電車を利用する見地から、1958年以降は高速走行性能や乗り心地、騒音を改善できるカルダン駆動方式にシフトした。
1960年代後半以降、吊り掛け駆動の電車は一部の特殊例を除いて新規製造されなくなる。その後も遠州鉄道、江ノ島電鉄、近鉄特殊狭軌線、下津井電鉄や各地の路面電車など、一部私鉄が構造の簡便さや特殊な規格に起因する架装スペースの都合から採用を続けた例はあるが、これらも1980年代にはカルダン駆動に移行し、現在では吊り掛け式を新規採用する鉄道会社は皆無となった。
ただし、吊り掛け駆動の旧型車から走行装置を流用した「車体更新車」はその後も一部の私鉄が製造を続けており、1980年代以降に至っても東武鉄道や名古屋鉄道等で製造された例がある。
しかし1980年代以降、VVVFインバータ制御が実用化され、常時給油や職人芸的調整を要するプレーンメタルはおろか、刷子も持たない交流誘導電動機を使用することが可能になったことで、カルダン駆動方式の導入だけでは成しえなかった保守点検の簡便化が実現し、性能面でも飛躍的な改善がなされた。
この結果、大手私鉄の吊り掛け駆動更新車は性能・メンテナンス性ともに完全な新車に比べて大きく見劣りするようになり、運用の場を狭められ、廃車が進んでいる。また地方私鉄でも他社のカルダン駆動方式中古車・中古部品を譲り受け、吊り掛け駆動方式をすべて廃車とした事業者が多くなっている。
路面電車では高速走行を必要とせず、構造簡便で、かつ台車外側に吊り掛けることでホイルベースを極限まで短縮できることから、後年まで吊り掛け式が多く採用されたが、VVVFインバータ制御の実用化に加え、現在では各地で超低床路面電車の導入が少しずつ進められ、引き替えに吊り掛け車の廃車も進められている。路面電車型の低床車を使用する事業者では、現在なお吊り掛け車が主流である事業者もいくつかあるが、そのような事業者でも吊り掛け車の新規製造は行っていない。
1067mm軌間の普通鉄道最後の完全新造の吊り掛け電車は1983年製造の江ノ電1200形であり、バー・サスペンション方式である。
普通鉄道最後の完全新造の吊り掛け電車は1990年製造の三岐鉄道北勢線277形(762mm軌間)である。
日本における狭軌鉄道速度記録・175km/hを1960年に樹立した国鉄の試験電車クモヤ93形000号も、吊り掛け駆動車であった。
2007年現在、JR各社における吊り掛け式電車は、事業用等を含めて全て運用を終了しており、大手私鉄においても名鉄瀬戸線で使用されているもの(6750系)が残るのみとなっている。これについても数年中の置き換えが見込まれている。
一部の特殊な機関車では中空軸可撓吊り掛け駆動方式(EF66形)、カルダン駆動(EF80形等)や、それに近い「クイル式」や「リンク式」と呼ばれる方式を採用した少数例もあるものの、狭軌鉄道において大出力モーターを使用する場合には、信頼性において単純な構造の吊り掛け式に一日の長があり、現在でも広く用いられている。JR貨物における最新型の電気機関車では、一基で500kWを越える大出力吊り掛けモーターが使用されている。
^ 電車にバー・サスペンションの主電動機を採用した青梅電気鉄道(現・JR青梅線)は、1944年の国有化に際し電動車全車の電装が解除されたが、これはノーズ式が標準の国有鉄道とは規格が相違して、部品供給やメンテナンスに難があったためである。

[ 97] 吊り掛け駆動方式 - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8A%E3%82%8A%E6%8E%9B%E3%81%91%E9%A7%86%E5%8B%95%E6%96%B9%E5%BC%8F

生録のハイライトはやはり音楽の生演奏の収録だと思います。ここでは少しく私の経験をもとに、音楽演奏の収録について紹介します。
吊りマイクでの収録 次項・客席での収録 参考・ステレオ(長尺)マイクバーを作ってみた。 参考・三点吊り録音体験レポート
吊りマイクは比較的大きなホールに設置されているもので、公演の収録用として見た目の邪魔にならないよう天井から吊り下げられているものです。ワイヤーとマイクを連結している錘みたいな部分を衛星とかいうらしいです。
←"衛星"にステレオバー(40cm)を取り付けてワンポイントステレオ収録しています。
こうしたマイク2本による吊りマイクのほかに、以下のようなワンポイントステレオタイプのマイクロフォンもよく見かけます。
NEUMANN(ノイマン)/SM-69。吊りマイクの定番。とりあえずこれを備えているホールであれば、借りるにこした事はありません。むかしのN響の演奏(NHKホール)のビデオ見ると、いっつもこれが映ってます。
Sanken(サンケン)/CMS-2。公共ホールの常設の吊りマイクとしてもっともお目にかかることの多いマイク。(実際にはシルバータイプが多いです)
吊りマイクはホールの付随設備として、ホールを使う(借りる)利用者が任意に借りられるもので、飛び込みの人には多分貸してはくれません。よってここではあくまでホールを借りる「利用者」として書いていきます。
通常、ホール利用日の3-4週間前に、舞台運用の担当者(ホールにもよりますが、委託の業者の場合もあります)との打合せがありますので、録音の主旨と方法について取り決めます。このときキチンと利用内容に折り込んでおかないと、当日に申し込んでもダメということになりかねません。(理由は後述します)
吊りマイクの装置とマイク自体は多くの場合別に使用料が設定されています。マイクは通常、実績のある信頼性の高いコンデンサー型マイクが装備されていることが多いので、それらを超える性能を持ったマイクロフォンを持っていない限り、借りるに越したことはありません。通常はステレオ収録なので吊り装置とマイク2本分の料金がかかります。(一本でステレオ収録できるマイクの料金も2本分かかると思っていた方が無難です)
マイクの吊り位置は、特に注文をつけなければ(記録用収録の場合)天井近くまで吊り上げられ、ステージを遥か上から見下ろすような位置になる場合が多いようです。その場合(私の印象では)特に記録として欠点はないけれど、聴いて面白くない、消極的な迫力のない音に収録される気がします。
マイクの場所はワイヤーの吊り加減(有線/無線リモコン)で調整できるので、会場のスタッフに相談し、可能なら動かしてもらいます。
マイクの位置による音の録れ方の違いはまことに微妙、またあるときは明確で、一概に指針を挙げることはできませんが、私は多くの場合他の事情が許す限り極力ステージの演奏者との距離が縮まるよう、低く近くセットしてもらうことが多いです。マイクが近くてナマ過ぎる音に録れてしまった時、後から響きを付加して修正してもあまり不自然にはなりませんが、遠すぎてぼけた音を近くで聴いたように回復することは(許し難い副作用なしには)ほとんど不可能だからです。サラダを煮物にすることはできますが、煮物からサラダを作れないのと同じ(?)です。
吊りマイクに限った事では有りませんが、舞台開口付近の空間には、反響板や床からの反射などの影響で、演奏者に近いのにシャープな音が録れないスポットがある場合もあります。マイクを利用者の意志で動かす以上、最終的には自己責任ですが、ホールの音響担当の方に「それ以上近付けない方がいい」と言われたらその通りにした方がよいと思います。
←上手袖から見た吊りマイク。(自作の1mステレオバーに無指向性マイクを90cm間隔でセットしました。)
リハーサルでの試し録音・レベル設定は必須ですので、マイクのセットは(まず早くから会場に入って)早めにやってもらいたいところですが、会場によって手順が決まっていますので、無理は言えません。マイクの位置決めについては、ライトなど他の吊りものと干渉する、カメラのアングルに入る、マイクで照明に影が出来るなど、様々なことがあります。3点吊り設備が有りながら手順上使えなくなるような事態も起こり得ますので、事前の取り決めが最重要。現場での妥協も時には必要です。また会場のスタッフは多くの場合他の仕事を掛け持っていて、特にリハーサル/本番中は舞台の進行に集中しなければなりませんので、マイクのセットはなるべく人が少ない、ヤイノヤイノ始まらないうちに(!)済ませます。
ちなみに、国内の3点吊り装置は(私の知る限り)9割以上、以下のメーカーのものが採用されています。保安上の決まりがあるので、利用者が直接操作することは普通ないと思いますが、どういうものかを知る上で参考までに。。。
打合せ時の確認要目になりますが、比較的大きなホールには吊りマイクと合わせて各種レコーダーが備えられていて、定められた利用料金で使えるのが普通です。
ホールの機材を借りて録音する場合に特に重要なのは、録音は本来利用者の自己責任で行うものであり、たぶんそのようにホールの担当から断りがあると思いますが、仮におまかせで録音してくれるということになっても、その録音はあくまで「記録用」のものでありもとより「音質は問えない」ということです。より良い音で確実に録ってほしいということであれば「別途利用者で録音の専従者を雇うのが本筋でしょう・・・」ということになります。しかしながら比較的新しい(利用料金の高い場合が多い)録音の音質・便宜を織り込んで設計されたホールでは、標準的な記録用として、高品位のコンデンサーマイクやレコーダーを装備しているところもありますので、そういうホールの場合おまかせ録音でも非常に高品位に録れる可能性があります。
なお、収録に使うテープ、ディスクのたぐいは必ず利用者が用意しなければなりません。担当者を決めておかないと、自分から進んで持ってくる人は誰一人いませんので要注意です。その際、使用するテープやディスクに制限や指定のある場合があるので事前に確認しておきます。テープ、ディスクは十分余る長さのものを用意するよう言われると思いますが、交換がいらないよう気を利かせて長尺もの(カセットの120分やDATの180分)など用意すると拒否される場合があります。実際に録音できないのではなく、レコーダーが設計上長尺テープでの動作を保証していないというのがその理由です。
録音は任意の方式で良いのですが、可能な限り高音質のメディアに記録しておくことは有意義な投資と考えます。
音質はフォーマット上ではDATが最も優れていますが、一般にはプレイバックできる環境がないと思いますので、現実的な方法としてはCD-R(なければMD)をメインとし、バックアップとしてDATにも録っておく、というのが良策と考えます。DATは標準で120分までですが、業務用のテープで125分のものがあります。
なお、現在DATはメーカーが製造を終了し、ホールの備え付けのレコーダーもいずれ他のメディアに置き換わってゆくものと思われますが、1テイクの録音長等、他のレコーダーに置き換えられない特徴もあり、なお当分の間は稼働するものと思われます。
吊りマイクからの信号は音響調整室(機械室とか映写室とか、施設によっていろいろに呼ばれている、ステージの反対側の高い位置にあって、ガラス張りになってステージを見下ろせる部屋。通常、その部屋は一般の利用者は入ることはできません。)に送られます。標記の部屋には通常レコーダーが備えられており、ホール側で記録用の録音を請負う場合、普通はここで録音してくれます。操作をする人を利用者が選任し、自己責任で録音してくれという会場もあります。
ホールによって対応はまちまちですが稀には調整室/機械室に自前の機材を持ち込んで録音させてもらえるケースもあります。利用者で機材と資格をもった専従の録音担当者を頼めれば、よりよい結果を得られるかもしれません。
吊りマイクからの信号は音響調整室に送られますが、その部屋にはパッチ架というのがあって、パッチの繋ぎ換えで、吊りマイク(ならびに各種の)の信号をホールの各所に備えられた任意の端子盤(ないしマルチコネクタ)に送ることができるようになっています。したがってステージ袖の端子盤等、任意の端子盤に信号を送ってもらえるよう配線(パッチング)してもらえば、そこに備えられたレコーダーで録音できます。「録音のためのスタッフはいないから、利用者でやってくれ」と言われた場合、この方式になります。袖のレコーダーは効果音の送り出し等でも使う場合があり、場合によっては別途レコーダーを用達しなければならないこともあります。
通常、ホールのスタッフがレコーダーへのケーブルの接続まではしてくれますが、相応にご足労・お手間をとらせることなので、当日急にお願いする---ようなことにならないよう、録音の方法については打合せの要件に含めておくことが肝要です。
またステレオ・ペア音声の扱いの慣例?として、隣り合った2つのチャンネルを用い、番号の若い奇数番号をLに、次の偶数番号方をRにあることが多いようです。
吊りマイクの信号をステージ袖(等)に送ってもらう場合、パッチ盤での差し替えはじめ何段階もの人為的差し替え操作を経ますが、この操作は、耳で確認できない、担当者の注意力のみに依存する操作です。
なお、新しく設計された音響システムでは、パッチがコンピューター制御されているところもあるようです。
通常ホールでは、照明用電源と音響用電源(系統)が別に確保されており、ホールの音響設備はその電源(系統)によって駆動されています。話が専門的になりますが、これは、照明機器からのノイズを拾わないようにするのと同時に、音声信号系にある全ての音響機器が、完全に一致したグラウンド電位のもとで駆動されないと、音声にブーンというノイズ(電源ノイズ)が乗ってしまうなどの障害が発生するからです。このノイズは、機器の個々の故障や接点不良が原因ではないため、起きてしまうと原因の特定が難しく、現場では対処する余裕がありません。故に予防策として安定した音響用の電源が別途用意されているわけです。故に、ホールの音響調整室(調整卓)から信号を送ってもらい、持ち込みのレコーダー(等の音響機器)を使う場合、ホールの担当者が「使ってもよい」というコンセント、ないし担当者が用意してくれたテーブルタップ以外は、本来使うべきではありません。最悪の場合客席内に用意された(音響用ではない)コンセントで用いる機器(特に民生用機器)には信号を送れないという場合もあります。一方まるで頓着しない(音響用電源系統のない)ホールもありますが、電源の取り方がノイズの原因になることを知っていることは大切だと思います。
電池駆動のポータブルタイプのレコーダーの場合は、特に問題にはなりにくいと思われますが、ノイズの原因は実に多種多様かつデリケートで、100%安全といえる機器はありません。
会場内の音声は写真のようなキャノン(タイプ)と呼ばれるコネクターを介してやりとりされます。ホール内の入出力もそうですが、信号の引き回し距離が長くなることの多い業務用途の音声機器はみなこの形状の入出力仕様になっています。バランス伝送といって、1つの信号を3本の線(見かけ上3本まとめて一本の)で送受します。ノイズが乗りにくいことと結線時の信頼性の高いためこのような伝送方式:コネクタになっています。写真の上がオス、下がメスです。見かけ上突っ込む方がメスなのでヘンですが、接点の形状は文字通りオスメスになっています。
通常出力はオス、入力はメスといった割り当て(オス出しメス受け)をしますが、特段の決まりがあるわけではありません。事情によりメス端子に信号を送ってもらうことになった場合、下記のようなオス-オスの変換アダプター(ダンガンとも呼ばれています)を使って端子形状を変換します。
ホールの備品としてたいていはありますので(一定料金で)借りることができますが、一個4〜5百円ですので、用心のため買っておいてもよいと思います。
また、会場によっては(下手に持ち込みの機器を繋がれないように?)故意にオスで受けるように設計された〜と思われる端子板をみたこともあります。またあらゆる入出力がすべてメス出しオス受けに設計されたホールもありますので、そういう場合には上とは逆のメス-メスの変換アダプターを使わなければならない場面もあるかもしれません。
ホールの機材を使える場合は問題ありませんが、持ち込みの(ポータブル)MDレコーダーで録音する場合は(普通の電気店では売っていない)キャノンメス(オス)--3.5ステレオミニフォンプラグ(写真)の変換ケーブルを使わなければなりません。
ホールの音響機器は通常「+4dB」と言われる(詳しいことは省略しますが)ポータブルMDレコーダーのような一般家庭用機器で扱える信号よりも高いレベルの音声を扱っており、「+4dB」の信号をポータブルMDレコーダーのような一般家庭用機器に入れると、録音レベルを下げ、メーターが適正にふれている状態であっても音が歪んでしまうことがあります。歪む条件、歪み方の程度は、レコーダーの設計により(家庭用機器は設計仕様がまちまちなので)一概にはいえません。
対策としては、アッテネーター入りのアダプターを噛ます、ラインレベルコンバーター(ミキサー)を噛ます等の方法がありますが、現場の限られた時間で対処するのは、一般の利用者にはむずかしいと思います。
なお、たとえそのような事態になった場合であっても、基本的にその対策まではホールの音響担当の仕事ではありませんので、持ち込み機材で録音する場合は承知して取り組まなければなりません。
ホールは大きいので、吊りマイクを使った場合当然信号の引き回しも長くなります。マイクから調整室のパッチ架まで、小さなホールでも最低50mはあるでしょう。そこから一旦調整卓に入り更にステージ袖まで信号を送ってもらうと、ゆうに100mは下らない計算になります。大きなホールでは200mくらいにはなるでしょう。
またホールに備えられている吊り用のマイクはほぼ例外なく直流バイアス式コンデンサー型といって、作動させるのに電源を必要とし、その電源は主に調整卓から供給されます。調整卓の入出力端子は一括してパッチ架につながっていますので、マイクで拾われた極めて微小な信号は長い長いケーブルと数多くの接点を経由して、やっとレコーダーに到達することになります。ちなみにどれほどの引き回しの長さ、接点の数を経るのかおよその長さと最低に少なく見積もった接点の数を列記してみます。×印は接点、「パッチ(××)架」という標記はパッチ架がそれ自体に常に2か所の接点を内包していることをあらわします。
マイク×←→×吊り装置ー入力パッチ(××)架→×調整卓×←出力パッチ(××)架ー端子盤×←→×レコーダー
マイク×←→×吊り装置ー入力パッチ(××)架→×調整卓×←出力パッチ(××)架ー端子盤×←マルチケーブル→×マルチボックス×←→×レコーダー
信号の伝送方式が、長い引き回しに強い仕様になっているとはいえ、レコーダーにマイク直結と比べるとひどい遠回りであること、信号が劣化していることは間違いありません。
吊りマイク以外の方法となると、客席内での録音になりますが、もっとも取り組みやすいのは一本のマイクの中にL,R2個のマイクを内蔵し、ステレオ収録出来る、ワンポイントステレオ方式のマイクによる収録です。
そもそも録音自体が許されていればの話ですが、基本的に良い席、客席の前方で真ん中で迫力のある演奏が聴けるところが、録音するにも良いところです。
主にNT-4ワンポイントステレオマイクを使う場合になりますが、私の場合は「その録音をオーディオ装置で再生した時にどんなステレオイメージを得たいか」を念頭におき、マイクの位置を決めています。即ち演奏者=楽器(群)が左右のスピーカーを取り巻くどの辺で鳴ってほしいのかをイメージし。それを聴く自分の耳の位置に相当する場所にマイクロフォンを設置するわけです。
基本的にピアノや器楽・声楽の独奏等の、音源の小さいものの場合は近く、アンサンブルやオーケストラなどのように音源が広い範囲にある場合はその分離れます。独奏・独唱等の場合などは、きわめて最前列近くで録音します。
ステレオマイクのL,Rのマイクユニットの開き角(X-Y方式ワンポイントステレオの場合)は、機種にもよりますが、おおむね90度から120度の範囲が多いようです。図にも用いたNT4というモデル(90度)は左右のマイクユニットが剥き出しになっているので、軸上正面の把握がたいへんやりやすいです。(X-Y方式は、比較的近距離の音源を狙うのに適したマイクアレンジとされています)
ステレオ録音・再生の理想は、マイクをセットしたその場所で聴いた音がそっくりそのままのイメージで再生されることにあります。しかし多くの場合(というか程度の差ですが)再生時にはステレオイメージは狭まり、距離感は遠く、周囲の雑音は大きく、感じられるのが普通です。オーディオ装置の性能、規模にもよりますが、目をつぶれば実際の演奏とかわらない〜ような再生音を得るのは困難なことです。ゆえに私はその分を見越して、マイクを心持ち音源に近付けて録音するようにしています。
PAを使った興行では、最前列か、それが無理なら客席後方で音響をコントロールしているブースのすぐ前で録音するのがよいと思います。PAが入っているということは、ナマの音を聴かせようという意図はそもそもないので、スピーカーの音が入りにくい=デッドスペースになりやすい最前列か、もっともよくコントロールされた音響が期待できる調整卓のところしかありません。
マイクは専用のスタンドに取り付けて高々とブームを伸ばすのがベストです。客の雑音から離すためにも可能な限り高く、できれば演奏者をこころもち見おろす位まで高くできれば、迫力のある音が録れます。しかし、通常一般に公開されている演奏会ではそんなことはできません。
私のやり方は、マイクの高さの決定権をビデオ担当者に転嫁するやり方です。いまどき発表会演奏会等では必ずビデオを録るひとがいますので(興行のオフィシャルのビデオ収録担当者がベスト)まず率直にその人と話し合い邪魔にならない範囲でどこまで持ち上げて良いか、できればモニター(ファインダー)を覗かせてもらって協議します。だいたいビデオの人も同類(?)なので、紛争にはなりません。
興行の主催者から邪魔だと言われたら引っ込めざるを得ませんが、他の一般客に何か言われたら「ビデオの担当者と協議して決めた」と言えば、一旦はハグラかすことができます。
客席で聴く音は、演奏者から発せられる直接音と会場内にこだまする間接音がゴッチャになった音です。人間の耳は目的の音に神経を集中すると周囲の雑音を気にしなくなるのと同じように、客席で演奏等を聴く場合、演奏者から直接届く音に神経が集中します。残響の多い時にもその中から直に届く音に神経を集中して聴いています。直接音・間接音の比率で考えると、実際の状態(マイクが拾う音)よりも直接音を強く意識して聴いていることになります。よって録音する場合には、客席でイイ感じに聞こえる場所よりも「こころもち」ステージに近付いて、より直接音が強くなるよう収録することによって、再生した時にイイ感じになります。仮に直接音が強すぎて録れてしまっても、残響を電気的に合成して後から付加することはできますが、残響の中から直接音を抜き出すことはできませんので、どちらかというと残響の少ない、ドライな音が録れた方が好ましいです。
オーケストラピットのある会場で、ピット上に客席を設けたセッティングになっていたならば、ピット上は床自体が振動しやすく、余計な音を拾うことがありますので、マイクを置くならばピット上の席は避けた方が無難です。ピット上は歩くと音が違う(うるさい)のでわかります。またピット上の席、あるいはピットに隣接する列の座席は、取り外して移動出来るように脱着式になっており、概して揺れやすかったり、軋みがあったりします。床と椅子との固定状態をみればすぐにわかります。
種々の理由でおおっぴらに録音できないような状況で録音する場合、マイクスタンドはいかにも目立ちますので、小型のカメラ三脚や折畳式の譜面台、傘など色々なものをスタンド代わりに使ってきましたが、最近はK&Mの258に落ち着いています。持ち込むにも、誰が見てもマイクを固定するものだと思いませんし(?)床に置く部分がないのでつい自分で蹴ってしまうという事故がありません。
写真は椅子に取り付けたところです。この席に座って録音する場合、大敵なのはハナイキ。演奏にくらべ、拍手の音がモノスゴイ大音量で収録されます。
オーバーヘッド・ブームスタンドに K&M258を足して、4m超の高さに上げています。ちなみにビデオ用に外部マイクを用いたときの写真です。高さで客との距離をかせいでいますが、演奏の静かな部分ではどうしても客のざわめきが目立つ録音になります。
マイクロホンは、手持ちのワンポイントステレオマイクがもっとも手軽ですが、写真のように左右2本のマイクをステレオ--ペアにする方法もあります。
この例では床=スタンドからの振動による雑音を拾わないよう、ショックマウントを介して、マイクが取り付けられています。ステレオペアマイク方式といわれています。
たとえば無指向性マイクを用いた場合等では、明らかにワンポイントステレオマイクでは収録不可能な臨場感のある収録ができることもあります。
2本のマイクの指向性、間隔、開き角度等いろいろな組み合わせが研究され、数種類の定石ともいうべきセッティングが提唱されています。
以下に、ステレオペアマイク設置について参考になると思われるドキュメントを紹介します。(日本語ではありません)
CPの高いオーディオプロダクトのM-AUDIOのページ。"Record Now!" という1.8MB(英語版)のドキュメント。マイクロフォンの構造からステレオ・ペア録音、スタジオ収音の解説もある。★★★★
デジタル録音の黎明期、デンオンのPCM録音で活躍したB&Kマイクロフォン。今はDPAになってホール収録の定番。"Microphone University "の項をクリック。マイクロフォンメーカーとしての良心を感じさせる、多岐にわたる懇切で正直なドキュメント。ステレオ・ペア録音についても定説的内容を網羅。英語。★★★★★
ノイマン、DPAと並ぶクラシック音楽収録の定番ショップス。"Mikrofonaufsze" というPDF100ページ超のドキュメントが秀逸。ステレオ・ペア録音についても記述がある。ドイツ語。意味がわかれば最高のテキストになると思われる。★★★★
席の場所と時期(冷暖房の稼働状態)にもよりますが、空調の風が吹きつけてくる時があります。常時ではないので気付きにくいのですが、肌で感じるほどの風があったならば、マイクロホンは相当に「吹かれ」ていると考えられます。人が近くを通過しただけでもあおられます。気付いたら場所を変えるかウインドスクリーン等で防護します。風による「吹かれ」音は、非常に低いモコモコと鼓膜を圧迫するような音で、きちんとヘッドホンをしてモニターしていないと気づきにくいです。特に低音域まで周波数特性の伸びたコンデンサー型マイクを使う場合には要注意です。
空調を止めてもらえば解決しますが、システム上(ホール内部のみ)止めることができない。また止めても数十分はボイラーのノイズは止まらないなど、ホールによって様々な事情がありますので、よく確認する必要があります。
会場内は通路の確保が義務づけられており、通路に障害物などを置いてはいけないことになっています。会場を借りる利用者は、避難誘導の計画(担当者を選任)を作成し、客の避難誘導のルートを確保するという誓約を文書上に締結し、利用許可を得ています。(略式の場合もあるとは思いますが、基本的にはそうなっている筈です。)
したがって通路に録音機材やマイクスタンドを置いてはいけませんし、立退くよう言われたら直ちに撤退しなければなりません。通路や客席の間に電源ケーブルやマイクのコードを這わせる場合にも、会場が暗くなっても人がつまづかないよう、養生シートで覆ったり粘着テープで止めたりしなければなりません。そのために会場では大概、ケーブルを覆うシートを用意しています。粘着テープ類はネバネバが残る可能性があるのでテープに代わる方法があれば極力使わない方が無難ですが、使うなら布のガムテープになります。梱包用のクラフト(紙)テープは粘着が残ってしかも取りにくいので、どこのホールであってもオコラレます。
バッテリー駆動のポータブル機器を使う場合必要ありませんが、もし電源(AC100V等)が必要な場合、会場内のコンセントを用いることになりますが、これにも多くの場合勝手には使えないことになっています。○○kWまで○○円〜のような規定で使用料金が設定されています。
ロック/ポップス系音楽やカラオケ大会、ないしバラエティー系の興行では、PA業者(拡声全般を請け負う業者。機材・オペレータを派遣する)が入って客席の中央から後方(が多い)に音響を集中コントロールするブースを設け、音響の調整・操作にあたる場合があります。そこで音響全般を制御している調整卓(ツマミのいっぱい並んだ機械)は、録音用にバランスをとった音声を出力する機能とそのための出力端子を備えています。そして多くの場合そこで記録用(?)の録音をしています。仮に録音はしていなくても(相手次第ではありますが)理由を話して交渉すれば録音用に信号を分けてもらえるかもしれません。
「生録に使う用品について」で紹介したライン録り用接続コード(変換コネクタ)を一そろい持参すれば、録音不可能ということはまずないと考えられます。ただし、レコーダーに信号を分けたことにより、逆にPAの側に(見かけ上の現象として)ノイズを送り込んでしまう---ような、不慮の副作用が発生することがなきにしもあらずなので、断られるかもしれません。くれぐれも無理にお願いするのはやめましょう。
以下に調整卓(オーディオミキサー)の、設計上録音用出力として用いられる出力端子の例を掲げます。出力には業務用機器用の+4dB(キャノンor3極フォン)タイプと、民生用機器用の-10dB〜-20dB(ピン)タイプの2種類があります。
この例の場合、右上に一般(業務用でない)レコーダー用の-10dBの録音用出力-ピンジャックが備えられています。「ピン(L,R)ーステレオミニフォン」のケーブルで録音できます。
この写真の例はフォーンとキャノンが選べる場合です。ポータブルMD等のLINE INにつないで録音する場合「-20dB」に切り替えます。「標準フォンーステレオミニフォン」のケーブルで録音できます。
ミキサー等には、インサート(あるいはインサーション)端子という、外部の効果機器(等)を繋ぎ込める端子が用意されています。その多くは3極フォンの先っちょから信号を送り出し、繋いだ機器を経て、中間のリング端子を介して戻った信号を受け取る仕組みになっています。
望んだ信号(ステレオ2ミックス?)の通っている信号系にインサート端子があれば、そこから録音用に信号を分岐することが可能です。→接続コードの作り方
←ピンタイプのINSERT端子(ミキサー)名称は「アクセサリー」になっていますが、主旨はINSERTとまったくかわりません。通常は専用のジャンパープラグで短絡してあり、必要な時外して機器を繋げるようになっています。このタイプなら自作ケーブル必要なし。たいへん分かりやすい!
重要な注意! INSERT端子を利用した方法は、PAシステム上に大きなリスクを発生します。大概の業者は(実用上問題ないとわかっていても)やらせてくれないと思います。自分の責任のとれる範囲で、出来たら、おためしください。
客席での録音では、まわりの一般客がたてる雑音という、看過し難い問題に直面します。全体にざわついている興行なら問題ありません?が、音響的に繊細な(部分のある)音楽の演奏会では、プログラムをめくる音やせんべいの袋(飲食禁止の筈ですが)をカシャカシャさせる音、雑談、寝息(鼾)、ビンボウゆすり等、如何ともしがたい雑音に悩まされます。これらの音が録音を台無しにする理由は「距離の2乗に反比例」の法則の通りですが、中でも最悪なのが演奏者による聴衆への手拍子の要求や、曲が終わらないうちに始まる拍手です。音楽が演奏されていない部分での拍手や雑音なら、編集の段階でいかようにも処理できますが、曲が鳴っている状態で手拍子・拍手をされるとレベルメーターは振り切れっぱなし、音楽が録音できないから止せ〜とも言えず、どうしようもありません。あとで聞き直してみると、音楽が鳴っている時のレベルオーバーは極めて微細なものでも気になるのに、明らかにメーター振り切っていた拍手は特段歪んだ音には聞こえないのが余計に口惜しく、客席録音の真のいらだちがそこにはあります。(吊りマイクならそれほど極端に聞き苦しくはなりません)

[ 98] 吊りマイク 客席での収録
[引用サイト]  http://homepage3.nifty.com/K-rec/namaroku/Ensorec.html

吊りスカート (つりすかーと)は、ウエスト部分に取り付けた一対の紐で肩から吊り下げるようにして着用するスカートの総称である。
紀元前のエジプトにおいて、壁画や出土品に見られる女性の衣装は、スカートをサスペンダーで吊るようにして着用している物が多く見られ、それを起源とすれは、吊りスカートは5000年以上昔から存在していたことになる。
男性のズボンを支えるパーツとしてのサスペンダーは、17世紀頃のフランス上流階級で、ハイウエストに穿くズボンを支えるために考案されたようだが、このサスペンダーをスカートに最初から作り付けにしたのが吊りスカートである。エジプトの例はともかく、一般に吊りスカートは20世紀初頭に登場したという説が有力である。アメリカの1915年版の型紙集には既にハイウエストタイプの吊りスカートが掲載されていた。
そして、本格的に流行したのは1930年代で、当時の雑誌や映画にもしばしば登場している。日本でも昭和9年頃から流行し、いわゆるモガと称された若い女性達が吊りスカートを穿いて銀座を闊歩するような写真が残っている。この時代のモガの定番は丸い帽子とセーラー服、それに吊りスカートであったようだ。
戦後吊りスカートは、主に子供服のカテゴリに採用され、学校の制服を中心に全国で見られるようになった。1976年頃から1982年頃には再び流行した。当時の若者向きのスカートはそのほとんどが吊りスカートであり、有名なデパートや一部上場企業、銀行のOLの制服としても採用された。
その後、めまぐるしい流行の変化で、徐々に吊りスカートは衰退し、学校の制服や子供服からも吊りスカートは姿を消した。しかし2005年頃からパリコレでも再度吊りスカートが登場し、2006年以降日本でも新たなデザインの吊りスカートが若者向けのファッションとして登場している。概ね30年ぶりの流行の兆しであるが、最近の例では、70年代ファッションのレトロブーム的なもの、ヤング向けのパンク、ルーズスタイル的なもの、それにセレブスタイルものと傾向が別れてきたようだ。子供服のジャンルにも一部の商品で吊りスカートはあるが、それも最近の物は実用的なものより、大人のファッションをそのまま子供向けにダウンサイジングしたものが中心である。
2007年になると、ハイウエストのタイトシルエット系の吊りスカートが大人のファッションとして取り込まれ、特に20代から30代女性のOLにターゲットを絞ったセレブファッションとしても扱われている。これらは黒や灰色、あるいはブラックウォッチなどのタータン系のシックな柄を用いて製作され、フォーマルな用途にも対応している。デザイン的にもボタンを中央に3つあるいは、左右に3つずつ並べただけのシンプルなスタイルが主流である。また、このタイプのハイウエスト吊りスカートは、子供っぽいイメージを払拭するために、吊り紐が前ウエストの比較的外側に付いたデザインとなっている物が多い。通常、このように紐が外側に寄っていると、紐が肩から落ち易いものだが、これらの新しい吊りスカートでは、吊り紐は身長に合わせて短くし、背中で大きく十文字に交差させて着るようになっているので、紐が肩から落ちることも少ない。若者向けのローライズに穿き、長い吊り紐をわざとずり落としたりするパンク系やルーズ系の吊りスカートとは、明らかに一線を画する大人の女の吊りスカートである。
サスペンダーはズボンがずり落ちないために考案されたものであり、吊りスカートも当然その機能が優先される。
子供服の場合、ウエストの定まらない年代の子供体形では、ベルトの使用は困難であるし、成長期の年代になれば、体形が僅かの間に著しく変貌し、ウエストを特定することが難しくなる。
大人の場合は、ウエストベルトで下腹部を締め付けるボディコンシャスなスカートでは、長時間の着用は健康を害するおそれもあり、ウエストで締めない吊りスカートは、長時間座って作業をするOLにとっても着心地が良いという面がある。また、動きの多いウエイトレスなどもでも動き易く機能的なスカートが求められる。このような観点が、吊りスカートが子供服として、あるいは学校や企業の制服として採用された経緯である。
また吊りスカートは実用面以外に、着用した姿の可愛らしさから、大人の吊りスカートの場合では、見た目の女性らしさを強調する場合にも用いられる。この場合には吊り紐は全くの飾りで、紐は無くても着用できるものがほとんどである。イベントコンパニオンなどのユニフォームがその例である。
なお、吊りスカートを着用した場合、紐が長いと肩から落ちることがあるため、これを防止するためにブラウスの肩に吊り紐通しのタブを付けたり、吊り紐をH型にしたものもある。
実用面を優先する子供服や学校の制服では、スカートに一対の細紐を取り付けただけのシンプルなものが多いが、ファッション性を重んじてデザインされた吊りスカートは、吊り紐が1本だったり、逆に左右に複数本あったりするものもある。通常吊り紐は背中で十文字に交差されているが、逆に前で交差させたり、エプロンのように首の後で紐を結ぶホルターネックタイプの吊りスカートも登場した。また、吊り紐が前でH型になったデザインは、ドイツの男性用の民族衣装であるレーダーホーゼンに見られるように古くから存在し、スイスの女性用の民族衣装や、フランスや中南米諸国のハイスクールの制服として現在も多く見られる。このタイプの吊りスカートは吊り紐が肩から落ちることも無く、ウエストの大き目のスカートでありがちな、スカートが回ってしまう、ということも無いので非常に着心地が良いようである。
日本でも服飾デザインの世界で、ベーシックなタイプのプリーツスカートは、このようなH型の吊り紐が付いたものが一つの標準パターンになっていた時代もあり、過去において、しばしばH型吊り紐の吊りスカートが登場している。戦時中の女子青年団の制服もこのようなH型吊り紐付きの紺色のプリーツスカートであった。中原淳一が「ジュニアそれいゆ」に発表したファッションデザインには吊りスカートが多く見られ、H型吊り紐付きも見られるのは当時の流行を物語っている。
セーラー服の下などに吊りスカートを穿く学校は割愛。なお、’†’を付した学校は現在も吊りスカートの制服を用いている。
ヨーロッパ諸国でも日本と同様、制服や子供服として吊りスカートが見られた。フランスではリセと呼ばれる上級のハイスクールの制服として吊りスカートが採用されていた。ドイツでは少年少女合唱団の女子制服に吊りスカートが採用されているところがあるし、また、スイスやエストニアの民族衣装には吊りスカートがある。
アメリカでは1960年代まで、飲食関係の店の制服に吊りスカートは広く用いられたほか、ファッション雑誌などにも子供からヤングミセスまでの様々な年齢層向けの吊りスカートが紹介されていた。最近では再度流行し、若者向けの新作、レトロな復刻スタイルが人気を呼んでいる。
中南米諸国では、キューバ、ジャマイカ、ニカラグア、ペルーの学校の制服に多く見られる。特にペルーでは、小学校から高校まで、公立学校も私立学校もほとんどの学校で、灰色の2本ボックスプリーツでH型の吊り紐の付いた吊りスカートが制服として採用されている。またガールスカウト(ガールガイド)の制服にも吊りスカートを採用している国もある。
アジアでは、韓国や北朝鮮、台湾、タイ、インド、ミャンマーの小学校の制服に吊りスカートが存在するが、高校の制服としてはあまり例がないようだ。
アフリカ諸国では、レソト、マラウィ、マダガスカルの小学校〜高等学校の制服にサロペットスカート(胸当て付きの吊りスカート)が見られる。どの国も同じようなデザインで、色もベージュ色で共通である。

[ 99] 吊りスカート - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8A%E3%82%8A%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88

リコー・GR DIGITAL 「カメラは横吊り」とぼくはムカシから決めていて、いや別に深い理屈はないのだけれど、そのカメラがたとえ縦吊りができてもそうして使うことはない。縦吊りができるカメラはといえば、いま思い付く機種としてはブロニカのRF645、フジのGA645などで数は少ない。GA645は縦吊りのみだけど (だから使っていてこのことが気になって仕方なかった) RF645は縦吊りも横吊りもできる。 同じようにこのGR DIGITALも横吊りと縦吊りができる。フィルムGRシリーズからの“こだわり”なのだろう。同じように横吊りも縦吊りもできるカメラと言えばライカM5 ―― M型ライカの中ではもっとも魅力的で大好きなカメラだ ―― で、これは初期タイプは縦吊りしかできない「ツーラグ」だったが、その後横刷りも縦吊りができるようにストラップ取り付け金具が三つ付いた「スリーラグ」になった。ライカうるさ型の人には、M5はツーラグだ、とこだわるようだけど、ぼくは横吊りができるスリーラグのほうが“実用的”でイイと考えていて、実際スリーラグのM5しか持っていない。 そんなライカの話はどうでもよくって、じつは先日、ふと気が変わってGR DIGITALを縦吊りにしてみたら、これがなかなかよろしいではないか。すっかり気に入ってしまった。もちろん縦吊り用にストラップもあれこれ選んでみたが、結局、GR1の別売ストラップとして販売していたものがもっとも良くてそれを使うことにした。ストラップの細さと柔らかさが、軽くてちっちゃなGR DIGITALとぴったりマッチングしていてすこぶるイイのだ。カメラのストラップについてはぼくは一家言あって…、ま、そんなことはどうでもいいや。 で、GR DIGITALは横吊りにしていたときにストラップが付いていた側 (カメラに向かって右側) が縦吊りにしたことでじつにすっきりとしたので、その面に滑り止めのゴムを両面テープで貼り付けて、こうすることでいままでちょっと苦労していた撮影がウマくできそうだ。
先生こんにちは。今日はめちゃくちゃ暑いですね。ストラップって何気に十人十二色くらい、その人の好みだけじゃなくてそのカメラボディにはこれ、っていう不思議なコダワリというか、そこまでいかなくても何でかわからないけどコレはこれ(あ〜よくわからない文章になってすいません!)というのがありますよね。私のカメラではLXだけ何故だかどーしてグリップあろうがなかろうが縦吊です。いつも「どーでもいいや」と流される先生のストラップ一家言、どーでもいいやなんておっしゃらずに聞かせてください〜!
GR-Digitalは吊り金具の出っ張りが無いので,そういう工夫も出来るんですね。そもそもコンパクトデジタルカメラで両吊ができない機種が多いのは,なぜ?と疑問に思う今日この頃です。(デザイン重視?コストダウン?なのかなぁ)
田中様 縦吊りのデジカメって少ないですね。私もペンタックスLXを縦吊りです。本体の吊り金具がくるくる回るので、いつの間にかねじれてしまうのがデフォルトです(笑)
田中さん、こんばんは。昔使っていた (結納返しの品なのでまだちゃんと持ってます・笑)CONTAX TVS に付属していたストラップは1点で縦吊りにするCanon IXY みたいなタイプでした。これが調整幅の大きな長いネックストラップなんですがポケットや鞄に突っ込むことも多いカメラは嵩張るネックストラップよりリストストラップの方が便利だななんて思うこともありました。
田中様、はじめまして。ブログ以前からちょくちょく拝見させていただいておりました。ブログ化されてこのように直接コメントをさせていただけるのは、とてもうれしいことだと思っています。私は GR DIGITAL をメインカメラとして活用しているのですが、縦吊りと横吊りを簡単に変更できるようにストラップを改造しました。下記の URL はその改造について書いたエントリーのものです。http://boomove.com/weblog/gokigensan/2005/11/17203240.htmlお目汚しかもしれませんが、よろしければご訪問くださいませ。
ストラップは、いまハヤリの幅広のものがどうにも馴染めず ―― ごわごわしてカメラが持ちにくくなる ―― だから自分のカメラにはいっさい使用しません。素材が柔らかく肩当て部分が約3センチぐらいの幅のものがいいです。たとえばムカシのミノルタ・α-7のころの標準ストラップなどがぼくのベストワンです。中古カメラ屋さんなどで古いストラップが段ボール箱に入って「一本50円」とかで売っていると“目の色を変えて”その旧ミノルタのストラップを探します。というようなハナシは、いかにもオタクっぽく見えてイヤなんです。だからハナシをしたくなかったんです。M5のハナシも同じような理由で詳しく触れたくないんですよねえ。カンタンに言うと“好き”なだけです。大きさも重さも、カメラの外観デザインも好きです。そして、そのM5のメカニズムがたまりません。なにもかもが好きです。ぼくのM5をいちど、オーバーホールしてもらったことがあるのですが ―― ぼくはその人はM5のオーバーホールをさせれば文句なしに日本一だと思っていますが ―― そのときに、あれこれハナシを聞きながら分解していくのを数時間、見せてもらい、さらにいっそう好きになりました。縦吊りと横吊りが容易に変更したりできる、てのはなかなかのグッドアイディアですね。ただ、使ってないほうの取り付け紐がちょっとジャマじゃないですか。拝見したそのストラップそのものに少し興味を持ちました。こんど、どこかで探してみよう、と。昨日から、縦吊りに“衣替え”したGR DIGITALを使っていますが、ほほーっ、これはイイぞ、とすっかり気に入りました。ことほど左様に、ナンでもですけど、思い込みだけで拒否したり否定していてはイカンですねえ。多画素数に対する考え方にしたってそうじゃあありませんか…。
先生大丈夫です、先生のオタク度は本人は見せないようにしても雑誌記事や今までのHP文章の随所に感じられますので、ココなど読んでいる方みんな知っていると思います。ストラップは確かに分厚いのは邪魔でしょうがなく感じます。ずっと1日部屋で撮るというのがわかっているときは最初からはずしてしまう時もあります。移動の時は必須ですができたら付けないのが好みです(無理ですが)。あれこれ散々買ったり試したりしてきましたが、今手に入れられるので良いのはペンタのMZ−3とかの標準ストラップがペナペナで安っぽくてベストかなと。刺繍してあったりするのはすこし恥ずかしい感じがしてつけれません。珍しく書いてくださったM5へ想いや、中古屋のダンボール箱の前でウンコ座りしてお目当てのストラップを物色しているトコなど、「へえぇ〜先生でもするんだ」と近く感じ、とても嬉しかったです。
田中さん、こんばんわ。コンパクト・カメラの吊り方に言及されている所が、いかにもプロのカメラ・マンを感じさせます。僕の持っているコンパクト・カメラで、GX8は縦吊りしていますが、フィルムのTC−1は横吊の革ケースを購入しました。かつて、高級コンパクトとして名を馳せたカメラの中で、デジタルで生き残っているのがリコーのみとは、とても寂しい限りです。GR DIGITALの写りは優れており、そして、かつてのライバルのTC-1が、デジタルでよみがえることを切望している人も多かろうと思います。(てなわけで、リコーと同様に、密かにソニーも応援しています。)本論と関係の無い話題をしてしまい、申し訳ありません。
こんにちは〜。実はわたくしも、GR-DIGITALのストラップを1点リストストラップ(あれは、本当は、嫌いです)から、純正ストラップで縦吊りにして「うわっ、こりゃイイ!」と思ったひとりです。しっかりぶら下げられますし、スナップモード?に入ったら手首にグルグルっと巻き付けて右手でグリップ。スローシャッターのときは首でピンと張ってホールドに、などなどやっております。が、もう少し細いといいなと思っていたのです。三宝カメラ(ほか)でストラップ探ししそうです(笑)。
こちらでは、はじめまして。縦吊/横吊の両方に対応する機種としてはマミヤ7IIもあります。実は前機種のマミヤ7では縦吊しかできず、空撮などでは不便でした。7II発売時に従来の7の改造サービス(今で言うとファームアップ?)があり、ファインダー対物窓のコーティングと一緒に3ラグにしてもらいました。(これが何とも"手作業”の味わいのある仕上がり)以降、マミヤ7は横吊で使っていますが銀塩GR-1やベッサT(トリガー付)は縦吊で使っています。ストラップにかんしては、このベッサ純正品(A&AのACAM-104同等品)が使用感ではベストなんですが、ちょっと高価な気がしますね。ハクバのショルダーストラップBS20もリーズナブルでよさそうです。
へえー、皆さん意外ですね、結構ストラップにこだわってるんですねえ。そんなツマらんものにこだわってるのはぼくぐらいかなあと思っておりした。ナンだか意を強くしました。この写真 (↓) http://www.thisistanaka.com/photo/strap.jpgの、左側、EOS 30Dで使ってるのが旧ミノルタ・α-7時代のストラップです。 ―― なにを隠そう、三宝カメラの段ボール箱で売られていた激安ストラップです、見つけたらぼくがほとんど買い占めてます ―― 。その右側、GR DIGITALで使ってるのがフィルム時代のGR1/GR1sの別売ストラップです。肩当て部分から取り付け金具までの「幅」がゆるやかに細くなっているのがイイのです。肩当て部分が太いまま、突然、細くなっているようなストラップはだめなんですよ、ぼくは。
ブログ楽しみに拝見しています。私もストラップこだわり派で・・・純正のものは最近は使わなくなりました。GRDに関して言えば、ファインダをつけるので横吊です。Loweproのものをつけています
たびたびおじゃまします。3箇所に留め具を付けていると、ご指摘の通り使っていないひもが必ず 1つできてしまうんですね。ただコレも利点があって、首からかけたまま(特に私は安定するのでタスキがけにかけることがあるのですが)ノーファインダーでスナップを撮るときに、あまっているひもを持つことでブレを押さえることができます。また、通常に目の前で使うときもあまっている留め具を小指の根本でつかむことで、元々ホールディング性能の良い GR DIGITALをさらに安定させて、1/2秒ぐらいのスローシャッターも三脚なしで撮ってます。ちなみに、写真のストラップですが、これは純正の GS-1 に留め具を改造して付けたものです。
RICOH GR DIGITAL のレビュー・記事リンク集 6/3 田中カメラマンの製品レビュー追加
雨の日はGR DIGITALを首からぶら下げているのですが、縦吊りしています。 なぜ縦吊りなのかというと、縦吊りするためにストラップをつけた状態でケースに入るから。 横吊りの状態ではストラップが邪魔してケースに入らんのです。 なので縦吊り。 最近ブログ化したphoto of

[ 100] Photo of the Day カメラの縦吊り
[引用サイト]  http://thisistanaka.blog66.fc2.com/blog-entry-24.html



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