改訂とは?
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ずっとストップしていました「初歩のUML」。第4回をお待ちになっていた方々には、大変ご迷惑をおかけしました。このたび@IT編集局と協議した結果、「初歩のUML」を12回程度の本格的な連載にすることになりました。そこで、第1回〜第3回の改訂したものを2月中にリリースし、第4回を3月初旬にリリースすることにしました。 第4回では、モデルのJavaによる実装についてお話する予定でしたが、連載改訂案ではまず、言語から離れた形でモデリングの本質を理解していただき、その後UMLとJavaのマッピングについても取り上げるように考えております。 本連載では、UMLの表記法を説明するというよりも、モデリングの本質的な目的と意義・効果を通して、必要性を理解していただくことを目標とします。どうぞこれからも初歩のUMLをお楽しみください。 UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)は、フローを書くとソースコードのほとんどを自動生成してしまうような旧来の似非CASEツールの一部のように思っている方も多いようです。UMLは、そのようなものではありません。 「UMLはオブジェクト指向を使ってモデリングする際に使われる統一的な言語なのです」といっても、何のことかよく分からないですよね。最近書店に行くとUMLコーナーができるくらい、ものすごい人気。過剰ともいえる盛り上がりを見せています。現在はソフトウェア技術者だけがUMLユーザーとなっていますが、今後何年かの間に普通のビジネスマンがUMLを使用することになるでしょう。ビジネスの構造をとらえる手法(ビジネスモデリング)としてUMLはすでに使われはじめているからです。このことは、オブジェクト指向という考え方がビジネスをモデリングする際にも有効であるということを意味しているのです。このように大人気のUMLの正体とは、いったいどんなものなのでしょうか? そのことを知るには、まずモデリングとは何かということを考える必要があります。モデリングとは「対象問題について深い理解を得るために、その対象をある目的または観点から眺め、細かくて余計な部分を取り除くことで、本質的な部分だけを浮かび上がらせる方法」なのです。 UMLは、オブジェクト指向をベースとするソフトウェアの構造をソースコードよりも抽象化した形で構造的かつ形式的に表記する言語を提供します。UMLというモデリング言語を使って頭の中でソフトウェアの構造を整理することが「モデリング」という行為そのものであり、その結果作成された成果が「モデル」です。 UMLによるモデリングを学んでいくことで、ソフトウェアの構造を、少ない情報量で多くの知識をほかの人に伝えることができるようになります。 ここで、ソフトウェア開発において、なぜモデリングが重要かということを説明しましょう。ここで例として挙げるのは、モデリングを使用しないチームとモデリングを使用するチームの特性についてです。 知識の共有ができにくく、問題領域の本質が見えにくいという傾向があります。議論がロジックのみに終始し、複雑さの中で問題を解決しようとします。よって技術が個人に隠ぺいされ、知識の構築ができずチーム全体として最新技術を共有知として構築できません。 構造(イメージ)が議論の中心となり、ロジックは個人にできるだけ隠す習慣がついてきます。標準化されたイメージングモデル(UML)によって、問題領域を単純化し最適解を導き出すことができ、単純さの中で問題を解決する習慣を自然と身に付けることができるようになります。開発サイクルにおいては、分析から実装まで直結するオブジェクトモデルを使ってイメージを共有することができます。また、モデリングは個人の技術蓄積にも効果をもたらします。オブジェクト・モデリングによって、自然と抽象化の訓練がなされ、先端テクノロジの普遍概念を見抜き、時代によって変化するテクノロジを、普遍概念からの差分(サブクラス)として無理なくとらえるようになるからです。 さて、前置きが長くなりましたが、ここからUMLのダイアグラムについて説明していきます。できるだけシンプルに分かりやすく解説しますので、じっくりお付き合いください。 UMLにはさまざまなダイアグラムが用意されていますが、その中で最も多用される重要なダイアグラムはクラス図です。クラス図は、クラスの内部構造とクラス間の関係をモデリングする際に使われます。例えば、単純なクラス図の例として、会社と社員の関係を考えてみましょう。クラス図は図3のようになります。このモデルは、次のようなことを表しています。 この図には会社クラスと社員クラスが表されています。クラスは四角形で記述し、内部に、上段からクラス名、属性、操作が書かれます。属性と操作は、Javaのプログラムコードに落とされる際には、変数(インスタンス変数とクラス変数)とメソッドになるものです。分かりやすくするために、属性と操作部分を省略してしまうこともあります。 会社クラスと社員クラスの間の線は「関連」といいます。関連は、クラスから作成されるインスタンス間のつながり(リンク)の可能性を示すものです。会社には何人かの社員が必ずいます。また、会社に所属する人のことを社員といいますので、両クラスにはクラスの構造上で概念的な関係があるということを示したものが関連の意味です。注意すべきことは、関連は属性として表現されないことです。具体的にいうと、会社クラスの属性に社員リストという属性を入れてはなりません。(図4:会社の属性に社員を書いてはならない)これは、UMLのクラス図の約束事だと思ってください。実際にモデルをソースコードに落とす際には、関連はコレクションクラスなどで実装される属性となります。 また、線の上の「1」、「*」は多重度と呼ばれます。この多重度はある程度UMLを理解している人でも根本的な誤解や混乱をしてしまっている人も多いので、少し詳しく説明してみましょう。 多重度を理解するには、実際にクラスからインスタンスを生成して、自分自身がそのインスタンスになったつもりになるとよく分かります。では、さっそくやってみましょう。あなたは、社員インスタンスの田中さんになったつもりで聞いてください。あなたは、BeanStoreという会社で働いているということにしましょう。そのとき、あなたから会社を見るとBeanStoreという会社が1つだけ見えます。このモデルでは、あなたはどこかの会社に必ず所属していなければならないというルールを元に定めています。なぜなら、どこにも所属しない社員インスタンスはあり得ないからです。また、複数の会社に所属することもできないというルールも前提とされています。つまり、あなたから見た会社という関連相手は必ず1つなのです。このことから社員クラスから見て会社に向かう線の先に「1」を書いてください。 次は、会社クラスのインスタンスになったつもりで聞いてください。あなたは、複数の社員を雇うことができます。このときの可能性を考えてみましょう。あなた(会社インスタンス)から見て、社員が1人もいないときの会社(A)、社員が1人のときの会社(B)、社員が数名の会社(C)になったときなどが思いつくでしょう。このとき、会社クラスのインスタンスには、0からN個の社員インスタンスがつながる可能性があると考えるわけです。N個の表現はUMLではアスタリスク「*」を使います。よって、0個からN個は「0..*」と表現し、会社クラスから社員クラスに向かう線の先に「0..*」と書きます。 ここで、多重度の犯しやすい過ちについて話しておきましょう。複数の会社インスタンスが存在するケースがあり得るからといって図7のように多重度をつけないようにしてください。あくまで、1つのインスタンスに対して相手が幾つつながる可能性があるかということを、それぞれのクラスに対して考えるのです。 図7は完全に異なるモデルとなってしまっています。いかがですか、多重度の考え方が分かりましたか? それでは、ここで問題を出しましょう。図7では、会社と社員のモデルがどのように変化してしまったのでしょうか? それぞれのインスタンスになってみて相手のインスタンスのつながり関係を想像しながら答えを考えてみてください。 図7のような多重度をつけると複数の会社に所属する社員がいるということになります。例えば、下記の山田インスタンスを見てください。山田インスタンスは、BeanStoreと@ITに所属しています。もちろん、このような社員が存在することをモデル上で示す必要がある際には、会社側の多重度を「1..*」と示さなければなりません。また、インスタンスの絵に、社員が存在していない会社(豆屋)を追加することで、このクラス図の理解を深めることができます。 ただ、この表現では複数の会社で同じ社員番号を使わなければななりません。この問題を正しく表現する方法のひとつに、関連クラスがあります。関連クラスについては、この連載の中で取り上げる予定です。 「*」は、0以上か1以上かはっきりしない時(させたくない時)に使うとよいでしょう。また、多重度を省略することがあります。この場合、まだ多重度が明確になっていないと考えてください。ただ、「1」の省略系として使われることもあります。 いままでインスタンスの図を簡単なイメージ図として書いてきましたが、UMLの表記法にはこのようなインスタンスのイメージ図を示すためにオブジェクト図(注)が用意されています。オブジェクト図は、クラス図では表現できにくいインスタンス同士の複雑な関係を補足するときなどに有効です。つまり、オブジェクト図は、クラス図から生成されるインスタンス同士のつながりの事例を示すことでクラス図を補足するために使用されます。 例えば、図8のインスタンス・イメージをオブジェクト図として示すと図9のようになります。N対Nの分かりづらいインスタンス間のつながり関係が手にとるように分かるでしょう。 オブジェクト図の四角形の中には、「インスタンス名:クラス名」を書きます。モデルの意味上、インスタンス名をあえて付与する必要がないときは、四角形の中を「:社員」のように省略できます。また、インスタンス名だけで意味が通じる場合はコロンを省いて「田中」と記述します(図10)。文字列にアンダーラインを付けるのを忘れないでください。インスタンス間の線はリンクと呼ばれ、クラス図の関連から作られる実際のオブジェクト同士のつながりを意味するものです。 図10 オブジェクト図では、インスタンス名とクラス名の両方を記述した図(左)を省略できる。インスタンス名を省略する場合の記述(中)、クラス名を省略する場合の記述(右) 今回は、これでおしまいです。今回はクラス図の基本中の基本となる関連について説明してきました。次回からは、クラス図を中心にUMLの中で初心者が知っておくべき表記やUMLを使ううえで重要な考え方について取り上げていきたいと思います。 オブジェクト指向の世界ではオブジェクトは、クラスやインスタンスの総称として使用されています。たとえば、型(クラス)や実体(インスタンス)がどうのこうのということはどうでもよく、単に「あのオブジェクト、このオブジェクト」と言うときに使われます。UMLでは、オブジェクトというとほとんどがインスタンスの意味として使われているようです。よって、オブジェクト図は、インスタンスの図ということです。 情報マネージャのための「今日のひと言」 - 2007/11/27『お客さまから学ぶ』 ビジネスのポイントは、お客さまから学びましょう。経営書でいくら勉強しても、……>>続きはクリック 技術者としての力量を数値で把握していますか?ITSSレベルを無料で判定、12月25日(火)まで ホワイトペーパー利用者に「Amazonギフト券」を抽選で100名様にプレゼント!――TechTargetジャパン リニューアル・キャンペーン @IT情報マネジメント トップ|アーキテクチャ トップ|会議室|利用規約|プライバシーポリシー|サイトマップ |
[ 170] 連載:【改訂版】初歩のUML 第1回
[引用サイト] http://www.atmarkit.co.jp/fjava/devs/renew_uml01/renew_uml01.html
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1988年に出たロングセラーの待望の改訂版。農産物の自由化に伴う残留基準設置の必要性から多くの農薬が新規登録され、農薬解説も大幅にふえて約450種。インターネット検索用の番号や、発ガン性・ダイオキシン・環境ホルモンの有無なども記す。 元大阪大学大学院理学研究科助教授。『農薬空中散布に反対する会』、『農薬空中散布反対全国ネットワーク』などの代表をつとめ、農薬やプラスチックをはじめ、公害・環境問題に関わる。著書に『松枯れ-農薬空中散布では防げない』(日本消費者連盟)、共著に『残留農薬データブック』、『こんなに使っていいかしら 家庭にひそむ農薬』、『床下の毒物 シロアリ防除剤』(三省堂)、『市民運動の時代です』(第三書館)、『環境百科』(駿河台出版社)他。反農薬東京グループ顧問。 環境問題研究者で、反農薬東京グループの科学ブレーン。共著に『残留農薬データブック』『床下の毒物 シロアリ防除剤』(三省堂)、『ダイオキシンが未来を奪う』『農薬と環境ホルモン』(反農薬東京グループ)、『親子で読む 環境ホルモンってなあに?』(毎日新聞)。 反農薬東京グループ代表。反農薬東京グループは、農薬をはじめとする有害化学物質の乱用に対して、人の健康や生態系を守るために活動している市民団体で、1983年、ダイオキシンを不純物として含む水田除草剤CNPの追放運動から生まれた。農薬空中散布反対運動に携わるほか、シロアリ防除剤、街中での農薬散布、室内化学物質汚染などの危険性を指摘し、活動してきた。現在『生活環境における有害化学物質の規制を考える議員と市民の会』の事務局を担っている。共著に『残留農薬データブック』『床下の毒物 シロアリ防除剤』(三省堂)、『親子で読む 環境ホルモンってなあに?』(毎日新聞)。 (財)生活環境問題研究所主任研究員。豊中アジェンダ21や池田市環境基本計画などの市民参加プログラムに携わり、市民と行政の緊張感のあるパートナーシップ構築の支援を行っている。高槻市のダイオキシンの汚染原因の解析なども行っている。共著に『残留農薬データブック』。 (2)がん性・ダイオキシン・環境ホルモンのレベルが一目でわかる毒性マーク(●▲△3段階で表示)をつけた (4)化学文献・毒性文献検索用番号、ISO(国際標準名)名を入れ、インターネットでの検索をしやすくした。 初版刊行時はゴルフ場農薬やポストハーベスト農薬、新農薬残留基準などが社会問題になっており、農薬による環境・食べ物汚染を懸念する市民と行政との交渉の場や報道関係者などで広く利用され、一定の役目を果たせたことを嬉しく思っています。 もともと本書は市民向けに編纂しましたが、急性毒性だけでなく、発がん性や変異原性・生殖毒性・催奇形性・免疫毒性・環境毒性など、広く毒性情報を収録すると同時に、農薬だけでなく化学物質取締り行政上の問題点などについても記述したこともあって、一般市民だけでなく、研究者や関連行政関係者にも広く利用されてきたことは望外の喜びでした。 行政の研究機関の要職にいる知人から、「いろいろな化学物質の製造・廃棄とダイオキシン生成の可能性やその他問題点について、『農薬毒性の事典』ほど詳細に書いた本は他には日本では見当たりません。いつも参考にしていますが、新しい農薬も入れて改訂版を早く出してください」と言われていました。 この間、国際基準との整合性という名の下に、一部の残留農薬基準が大幅に緩和され、農薬や農産物の種類も拡大されました。また、一時新農薬の登録が減少していましたが、最近になって再び多くなり始めたことと、不快害虫用や日用品などに殺虫剤や殺菌剤などが数多く使用されるに至って、初版に記載されていない農薬類が増加し、読者からの問合せが増えてきました。 一方、環境中や食品中のダイオキシンの分析結果が社会的に集積されてきました。生殖毒性関連では、環境庁(当時)が発表した環境ホルモン(外因性内分泌撹乱化学物質)の疑いのある物質のうち約70%が農薬で占められているように、農薬の環境ホルモン作用が近年問題になり、次々に新しい試験データが明らかにされています。 本書については、「農薬は毒である」という視点に偏りすぎているとの評価もありました。私たち筆者は、間違いなく、「農薬は本質的に毒である」という視点に立っています。農薬とは、生物に対する農薬の毒作用を綱渡り的に利用したものです。使い方を誤ればヒトも死ぬ、だからこそ、その使用にあたっては、人や自然にとってのマイナス作用の正確な情報が必要であると考えています。農薬の危険性をよく知った上で使用することは、安易な使用に歯止めをかけ、環境への負荷を減らすことにつながることは間違いありません。改訂にあたっても、この基本的視点はまったく変わっていません。より良い事典を目指し、できる限り新い情報を利用すること ケミカルアブストラクト(アメリカ化学会が監修する化学関連文献抄録集)で毒性に関する文献を収集し、国や自治体の環境研究所や衛生研究所の主に環境汚染や残留農薬調査に関する報告を取り寄せ、その内容を吟味したため、結果的には大改訂になりました。 初版と大きく異なる第一点は、縦書きを横書きに改め、収録項目数(見出し農薬名=原体名)を244から406に増やした点です。406の農薬には、現在登録されている農薬(原体数で約500)のうち主な農薬約300のほか、すでに登録は失効しているが今も問題を残す農薬約70、日本では農薬登録されていないが日本に輸入される農作物に使われていたり、日本では他の用途(シロアリ防除剤や防疫用薬剤あるいは食品添加物)として使われている薬剤約30などが含まれます。これら個々の農薬の解説内容を充実させると同時に、多くの残留農薬分析結果や、ダイオキシンあるいは農薬環境汚染調査結果を記載しました。 第二点は、初版は一般市民を念頭にして編纂しましたが、改訂版では一般市民だけでなく専門家の利用も考えて、それぞれの農薬の特性や最新毒性情報を検索できるようにし、特に医師や研究者からの要望が強かった化学構造式もあわせて記載した点です。 ケミカルアブストラクトにおいて個々の化学物質ごとにつけられた登録番号CASナンバーと、アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)監修の化学物質毒性関連データ集において個々の化学物質ごとにつけられたRTECSナンバーを記載し、すべての農薬に英名を表記しました。本書に記載した国内外の農薬データベースにアクセスして、これらの登録番号を入力すれば、その農薬の理化学的性質や毒性の最新情報が得られます。また専門的知識があれば、化学構造式からその物質の特性がある程度推定可能ですし、化学物質の製造・焼却等におけるダイオキシン発生の可能性の有無も容易に推定できます。 第三点は、個々の農薬ごとに、発がん性、ダイオキシン含有・発生、環境ホルモン作用の有無をそれぞれ三段階に分類し、●▲△の記号で表記したことです。試験動物や微生物について得られた試験結果がそのまま人に直ちに適用できないことは十分に承知しています。一方、これらの試験が人や他の生物での毒性を類推するために行われていることも確かであり、その試験結果を人や他の生物に適用できないと一概に否定する合理的理由もありませんので、試験動物や微生物での発がん性や環境ホルモン作用を参考にし、ダイオキシン含有・発生の有無については、研究報告や化学構造式を考慮して評価しました。 第四点は、付録の充実です。農作物の農薬残留基準は、130以上の農作物、230の農薬に及ぶものですが、そのすべての数値を載せました。これは日本食品衛生学会の御好意により、同会会誌『食品衛生学会誌』より転載させていただいたもので、著者一同深く感謝しています。また農薬関連年表も充実させ、本文該当頁も併記しました。 農薬類には、「クサキラー」とか「クサダウン」といったような、漢字で書けば「殺し」とか「死す」に当たるような直截的な名前もあれば、「OMH-K」や「S-421」のように記号そのもののような名前もあります。名称からだけでは成分名を知ることは難しいので、農薬、シロアリ防除剤、防疫用剤などの商品名から成分がわかる索引を充実させました。 その他、農薬を老人福祉施設室内で散布して50人近くの人に健康被害が発生しても誰もとがめられない制度になっている農薬類関連の多数の法律と、その間の問題点についての解説もさらに充実させました。 農作物中の残留農薬の分析結果については、厚生労働省によってある程度公表されるようになりましたが(といっても、国民が口にしたあとで作物の汚染状況を知らされても、まさに後の祭りです)、農薬の毒性情報の詳細は未だに公開されていません。情報公開法が述べるように「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため」に公開されるべきです。大切なことは、農薬の毒性が予め広く国民に知らされ、その使用の是非を国民の判断にゆだねるべきですが、その公開は企業の利益を害する恐れがあるとの理由で、国は未だに公開していません。そのために、改訂にあたっても多くの時間と労力を費やしました。国民の生命より企業の利益を重視する農薬行政に強い憤りを感じつつ、改訂作業を進めました。 他の化学物質と異なり、もともと環境中に放出して使われる農薬は農作物汚染に止まらず、生物種の存続にかかわる問題にまで広がり、農薬問題は農薬専門家の枠組みを越えて対処しなければならないことが明らかになってきました。農薬をはじめとする化学物質に関する既存の法律は、一般環境の汚染によって人の健康に影響を及ぼす場合の規制に重きが置かれ、生態系そのものへの影響評価は軽んじられてきました。また、一般環境よりも人の住環境を含む生活環境における汚染が著しい化学物質について、これを規制する法律がほとんどないことも問題点のひとつでした。本書は、今後、化学物質の生態系への影響や生活環境への影響の評価と規制の必要性を説くということを念頭において書かれている点もご理解ください。 本書が農林業における農薬のみならず、日常生活における合成化学物質に過度に依存した生活を見直し、環境ホルモンやダイオキシン問題などに怯えなくても済む環境作りに役立つことを心から期待し、初版同様多くの人に利用されることを願って定価を極力抑えました。 農薬の成分 農薬製剤、原体(有効成分/活性成分)、補助成分(不活性成分/共力剤)、単剤、複合剤、不純物、分解物、代謝物、農薬関連物質、異性体 農薬の化学構造による分類 カーバメート系薬剤、抗生物質、ジチオカーバメート系薬剤、ジフェニルエーテル系薬剤、天然物系薬剤、トリクロルピリジル系薬剤、トリアジン系薬剤、ピレスロイド系薬剤、フェノキシ系薬剤、有機塩素系薬剤、有機水銀系薬剤、有機スズ系薬剤、有機リン系薬剤、天敵農薬、微生物農薬(バイオ農薬) 農薬の剤型別分類 粉剤(DL粉剤/フローダスト(FD)剤)、粒剤、粉粒剤(微粒剤/微粒剤F/細粒剤F)、乳剤、水和剤、フロアブル剤(ゾル剤)、油剤、水溶剤、液剤(微量散布用液剤)、燻蒸剤、燻煙剤、噴霧剤 (エアゾール)、MC(マイクロカプセル)剤 農薬の用途別分類 殺虫剤(殺ダニ剤/殺線虫剤/浸透性殺虫剤/昆虫成育制御剤IGR)、殺菌剤(種子消毒剤/土壌消毒剤/土壌殺菌剤/浸透性殺菌剤)、殺虫殺菌剤、除草剤(選択性除草剤/非選択性除草剤/一発処理剤)、殺そ剤、植物成長調整剤(植物ホルモン/着果促進剤/落果防止剤/促進肥大剤/摘果剤/発芽防止剤/節間伸張抑制剤)、忌避剤、犬猫用忌避剤、誘引剤(性フェロモン)、展着剤、検疫用燻蒸剤、ポストハーベスト農薬 農薬以外にも用いられる薬剤 衣料用防虫剤、家庭用殺虫剤、カビ取り剤、工業用殺菌剤、シロアリ防除剤、食品添加物、トイレタリー、動物用医薬品、防疫用薬剤 農薬の毒性による分類 急性毒性による分類(特定毒物/毒物/劇物/指定なし)、経口半数致死量(LD50)、魚毒性による分類 農薬の作用機構 光合成阻害、エネルギー代謝阻害、神経刺激伝達阻害、ホルモン作用撹乱、タンパク合成阻害、その他 農薬の散布方法 噴霧法・ミスト法、散粉法・散粒法、燻蒸法・燻煙法、潅注法、塗布法、浸漬法・塗抹法、無人ヘリコプター散布法、空中散布法 農薬の使用基準と適用病害虫の範囲及び使用方法 農薬残留に関する安全使用基準と適用病害虫の範囲及び使用方法、収穫前日まで使用可能な農薬、適用外使用、水産動物の被害防止に関する安全使用基準、水質汚濁の防止に関する安全使用基準、航空機を利用して行う農薬の散布に関する安全使用基準、違法使用に対する罰則 農薬容器 容器への表示、MSDS(化学物質安全性データシート)、使用済み容器の処理、空容器は自家焼却をやめて産業廃棄物に 有人ヘリコプターによる空中散布 不妊虫の放飼、誘殺板の投下、航空機を利用して行う農薬の散布に関する安全使用基準 有機農産物と日本農林規格(JAS)法 隣接地からの農薬の飛散、有機農産物認証制度下でも使用が許されている農薬 非農耕地での登録農薬の使用 公園・街路樹、学校・保育園、ゴルフ場、河川敷、鉄道・道路・空港用地、団地、一般住宅 毒性に関する用語 毒性とは、遺伝毒性、急性毒性、経気毒性(吸気毒性/吸入毒性)、経口毒性、 経皮毒性、催奇形性、姉妹染色分体交換 (SCE)、生殖毒性、染色体異常、相乗効果、胎仔毒性、代謝、対照群 (対照区)、DNA損傷、投与群 (試験群)、特殊毒性、発がん性、複合毒性、変異原性、慢性毒性、免疫毒性、有意差なし、用量-反応曲線、用量との関係がある・なし 毒性試験のいろいろ 急性経口毒性試験、半数致死量(LD50)、急性経皮毒性試験、急性吸入毒性試験(半数致死濃度/LC50)、眼刺激性試験、皮膚刺激性試験、皮膚感作性試験、急性遅発性神経毒性試験(コリンエステラーゼ阻害)、神経毒性試験、1年間反復経口投与毒性試験(最大無作用量=無毒性量)、発がん性試験(GLP基準/閾値がない)、繁殖毒性性試験、催奇形性試験、変異原性試験/1)細菌を用いる復帰突然変異試験(エームス試験)/2)哺乳動物の培養細胞による染色体異常試験/3)小核試験/4)細菌を用いるDNA修復試験(レック・アッセー)、生体内運命に関する試験 毒性試験の問題点 1)実験に供する農薬、2)試験動物、3)慢性毒性・発がん性試験、4)催奇形性試験、5)複合毒性 発がん性の危険度評価 アメリカ科学アカデミーの危険度評価、デラニー条項廃止と食品品質保護法(FQPA)、動物実験で発がん性が判明した農薬は使用中止すべき 新たな毒性:環境ホルモン作用(内分泌系撹乱作用) ウイングスプレッド合意声明、偽ホルモンの作用(閾値がない)、環境ホルモン系農薬 水系への農薬の残留 魚毒性試験(半数致死濃度)、水質汚濁性農薬、水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準、水質汚濁に係る登録保留基準(環境基本法)、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁防止に係る暫定指導指針値と公共水域水質評価指針 生態系への農薬の影響 薬剤抵抗性(耐性)、生物濃縮(イエバエの抵抗性獲得/生物濃縮係数)、生物モニタリング調査 農薬の残留性試験 作物残留性試験、土壌残留性試験、作物残留性試験、土壌残留性農薬、土壌残留に係る農薬登録保留基準 食品と残留農薬 農作物における農薬残留基準と作物に係る農薬登録保留基準、ADI=一日摂取許容量/最大無作用量(無毒性量)/安全係数(不確実係数)/ADIが設定できない/TDI(耐容一日摂取量)、新残留基準(国際平準化/コーデックス残留農薬部会/日本型推定一日摂取量方式/可食部係数/加工調理係数)、農薬新残留基準の告示取消しを求める行政訴訟(スミチオン[MEP]の毒性試験データの提出命令) 食品中の農薬残留 残留農薬の実態、農薬の一日摂取量、加工食品中の残留農薬、輸入農産物の残留農薬、途上国での有害農薬使用(農薬ブーメラン) 「不検出」=NDのもつ意味 分析検査の方法(公定分析法)、分析上の問題点、1) 検査される食品の絶対量が少ない、2) 分析対象の問題、3) 検出限界(=ND)の問題 急性中毒 急性中毒症状(遅発性神経毒物)、農薬による急性中毒者数は年間1/000人、科学警察研究所資料では年間約700人の中毒者、中毒者の40%を占めるパラコート剤、農薬用散布中の急性中毒事故例 流産・先天異常・がん 閾値がない、環境ホルモンの影響、免疫毒性(アレルギー/スギ花粉症)、化学物質過敏症とMCS(多発性化学物質過敏症)、社会的にアレルゲンや環境汚染物質を減らす運動を 「リスク評価」と「予防原則」 「リスク評価」の手法(不確実性/リスク-ベネフイット比較)、「予防原則」の手法(フロンガスの例/モントリオール議定書/環境と開発に関するリオ宣言) 農薬の輸出 輸出用農薬には農薬取締法が適用されない(公害輸出)、ロッテルダム条約(PIC条約)、反古になった農水省通達、開発途上国の未使用農薬、PAN(国際農薬監視行動網)(ダーティーダズン・キャンペーン) [3]化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) 特定化学物質(第一種特定化学物質)、指定化学物質/第二種特定化学物質 [4]化学兵器の禁止及び特定物質の規制に関する法律(化学兵器禁止法) 特定物質/指定物質/第二種指定物質 [19]特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善促進に関する法律(PRTR法) 化学物質の排出量の届出(PRTR=環境汚染物質排出移動登録制度)、化学物質安全性データシート(MSDS)の交付(第一種指定化学物質/第二種指定化学物質) [23]廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法) ダイオキシン類対策特別措置法/特定有害廃棄物等の輸出入の規制に関する法律(バーゼル法)、農薬空容器の処理(産業廃棄物管理票=マニフェスト票)、建築廃材の処理 [25]薬事法、殺虫剤指針 動物用試薬品/医薬品/医薬部外品/雑品扱い、殺虫剤指針、適用除外の再審査制度、抜けおちているヒト・環境への影響評価 読売新聞2002.10.21で、"「農薬毒性の事典」出版、改訂版 環境問題のバイブルに"として、紹介されました。 農薬や殺虫剤、食品添加物など生活の中で使われる薬剤の毒性や環境への影響をまとめた「農薬毒性の事典・改訂版」(三省堂、3000円)=写真右、左は旧版=が出版された。88年に発行され、国内に類例のない事典としで農家や一般の消費者からも絶賛された初版を、最新のデータを基に全面的に書き直した。輸入野菜の残留農薬やシックハウス症候群、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)などの問題が深刻化する中、環境問題の新しいバイブルとなりそうだ。 元大阪大理学部助教授の植村振作さんと市民団体「反農薬東京グループ」のメンバーらがまとめた。薬剤の種類別に用途や毒性、農作物への残留性などをまとめた第1章、農薬の定義、中毒症、農薬登録の仕組みなどを解説した第2章に分かれでいる。1章で掲載した薬剤は406種類で、初版の244種類から大幅に増やした。日本で未登録だが輸入農作物に残留する農薬なども盛り込んでいる。 専門家以外にも分かりやすいように、すべでの薬剤に発がん性、ダイオキシン含有・発生、環境ホルモン作用の有無を示すマークをつける一方、研究者向けに全薬剤の化学構造式も掲載。商品名や成分名のほか、野菜や果物名から関連の農薬を探すことができる索引もつけた。 植村さんは「一般の農家や消費者向けの本としで作ったが、出版前から専門家の期待が大きく、国内外の論文から詳細なデータを集めた。基本的に農薬は毒。国はそのデータを公開すべきなのに、メーカーの利益を守るために公開していない。この本で多くの農家、一般消費者が正確な事実を知っでほしい」と話しでいる。 農薬と同じ成分を持つ薬剤が家庭にもあふれている。殺虫剤、防虫剤、カビ取り剤、トイレ用芳香剤などがそうだ。中国産野菜から検出された農薬「クロルピリホス」は、日本ではシロアリ防除剤として、つい最近まで広く使われた。 しかし、こうした薬剤の毒性について、私たちは十分な情報を得ているだろうか。著者らは「農薬の危険性をよく知った上で使用することは、安易な使用に歯止めをかけ、環境への負荷を減らす」と訴える。記述は平易で一般向き。十三年前に出版された初版の全面改訂版。 一般向けの農薬解説書として定評のある「農薬毒性の事典」(元大阪大大学院助教授の植村振作さんら共著=三省堂)が、初版以来十三年ぶりに内容を大幅に改め、このほど改訂版として出版された。 一九八九年発行の同書は、農薬の毒性情報や汚染実態などを分かりやすく説明し、専門家の評価も高かった。その後、残留農薬基準が変わり、新しい農薬も増えたため、内容を一新することになった。 改訂版には初版の二倍近い四百六の農薬を収録、「発がん性」「ダイオキシン含有」「環境ホルモン作用の有無」について三段階で“格付け”するなど、毒性をより理解しやすくした。野菜の種類などから関係する農薬も調べられるなど索引も充実している。 中国野菜に残留し、空中散布で環境汚染…。農薬をめぐる問題は後を絶たない。ただ、どれだけ危険なのかは専門家でないと分かりにくい。そんな農薬について詳しく解説した「農薬毒性の事典・改訂版」(植村振作ほか著)が出版された。 初版から十四年。新しい薬品が増えたため、取り上げた農薬は約四百種類とほぼ倍増し、六〇〇頁を超える大冊となった。 農薬ごとに通称や商品名、用途、残留基準を列記。毒性は発がん性、ダイオキシン含有の可能性、環境ホルモン作用が一目で分かるよう、それぞれ三段階の記号を付けた。さらに毒性試験の結果、中毒の症状、食物や環境の汚染実例などを収録している。 例えば、中国産冷凍ホウレンソウから基準を超えて検出されたクロルピリホスなら、リンゴやナシに使われる有機リン系の殺虫剤で、環境ホルモンの疑いがあり、腹痛や視力減衰などの中毒症状を引き起こし、シロアリ駆除による健康被害が多いことが分かる。 |
[ 171] 三省堂-農薬毒性の事典 改訂版
[引用サイト] http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/nouyaku_doku_2.html
