興奮とは?
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Q: 仏教の話を聞いて、冷静でいるってステキなことだな、と思っているのですが、仕事の中で、自分の好きな分野のものに取り組むときには、ある意味でとても『興奮状態』になってしまいます。でも、その興奮状態は仕事をとてもはかどらせてくれます。 A: 何かやりたいことがあるとき、やることに大きな楽しみがあるとき、刺激を感じるときは、かなり興奮するものです。興奮してやる気が出て、いろいろなことを元気にこなしてしまうのです。 興奮といっても2種類あって、興奮しすぎて何もできなくなってしまう、それでなすべきことができない、そういう興奮もあります。もうひとつは、なんだかやる気がどんどん出てきて、楽しくてしょうがないという感じで「やるぞ〜」という気分で何かをやれるような興奮。ものごとを元気でやる興奮、このようなエネルギーというのは、どなたも味わったことがあると思います。おもしろいことをやっていると、つい時間を忘れてしまって、いつまでも続けてやってしまうという経験。子供たちでも経験していることです。 いずれにせよ、興奮というのは、貪瞋痴から生まれてくるんですね。貪りか、怒りか、無知か、そのいずれかなんですね。貪りというのは、いわゆる「好きだからやる」という気持ちですね。あるいは怒り。何かいやなものがある場合、たとえば、部屋の中がゴミでいっぱいに散らかっていて、これはいやだと。とにかく早く掃除しなくちゃ、と必死になって掃除をやるといったこと、ありますね。それから無知。なにもわからないからとにかくやってみるということもありますね。 そういう興奮というのは、やはりからだには良くないのです。こころにも良くないのです。からだの状態もこころの状態も、かなり疲れるのです。ストレスがたまって壊れていきます。ですから、ずっとそのような興奮状態でいる人は、どこか落ち着きがなくて、こころは混乱状態にいるのです。 Q: しかし、私の場合でいうと、そのような興奮状態にならなければ、仕事もあまりはかどらない気がするのですけれど。 A: ここでお話ししたいのは、興奮とはまったく違う次元の、180度違う方向の「やる気」なのです。それは、不貪、不瞋、不痴の働きです。不貪、不瞋、不痴の明るさ、元気があれば、人のこころにもからだにもとってもいいのです。普通の興奮に基づいて行動すると、からだのなかに生まれてくるエネルギーというのは、からだを壊していく毒みたいなものなんですね。その反対の方向にエネルギーをつくると、からだを養っていくというか、からだとこころ、両方をよりよくしていくのです。 A: 落ち着いていて、さらにやる気がある。その両方をつなげることができると、正しいエネルギーになるのです。 やる気があるのだけれど、あまりにもやりたいがために落ち着きがない。やる気が出てくると同時に、落ち着きがなくなってしまうということが、よくあると思います。それは、悪い方向の興奮なのですね。正しい方向というのは、やはり大変落ち着いています。落ち着いているのだけれど、エネルギーもとても大きいのです。混乱はしない。何かをやり終えたからといって、ああよかった! などと舞い上がったり、途轍もなく感動するということもない。なんということもなく、クールでいる。いろいろなことをさっさとこなしていますが、落ち着いているのでほとんど失敗がなく、ほかの人よりとても早い。早いというのは、焦ってやるということではないのです。世の中一般の人は、仕事が遅いのです。なぜ遅いかというと、ひとつのことをやるのに、小さな失敗をかなり繰り返しているのです。ですから、失敗に要する時間を計算してみると、かなりの無駄があるのです。そんなわけですから、一回で終わるのであれば、ゆっくりやっている人の方が早いのです。 ウサギとカメの話のように、ウサギさんとカメさんが競争したら、カメさんが勝つんですね。この子供の童話でも、やはり真実を言っているのです。落ち着いた人は勝ちますと。何でも早くやりたいウサギさん、落ち着きがないウサギさんは、カメさんに負けます。ゆっくりしっかり落ち着いて歩めば、勝つのだということです。 A: 因果法則によって、きちんとものごとがわかっている、という状態です。ものごとをきちんと見て、理解して行動する人は、ひとつひとつ丁寧に終わらせていきますから、うまくいっても、ちっとも驚くことはありません。うまくいった、よかった、よかった、と感動するというのは、やはり混乱なのですね。びっくりする、感動するというのは、やはり、ただ興奮状態でいい加減にやった、ただやりたいから焦ってやった、ということでしょう。だから、どんな結果になるかもわからない。いろいろなところで失敗もする。そしてまた起きあがって、うまくいったところでびっくりするんですね。それで飛び上がって感動する。そこには、無知が働いていますね。 冥想をはじめたら、どんどんこころのエネルギーがなくなっていくのを感じる、という人がいます。なくなっていくはずはありませんよ。しかし、ちょっとでもこころが鈍っていく、つまり沈んでいくと、次に出てくるのは、妄想と眠気です。妄想や眠気が出てくる前に、すぐ、こころを活性化させてください。どうするのかというと、ただ、やることをしっかりやる、ただ、ゆっくりと確認し続けることだけなのです。それを続けていると、こころが落ち着いているということがどういうことかわかると思います。落ち着いていて、なおかつ、大きなエネルギーがある。そして、それによって、いらいらすることもありません。 普通の人にエネルギーがあると、どうしても落ち着きがなくなってしまいます。やりたくてやりたくてたまらない。そして、そのエネルギーを発散すると、今度はストレスがいっぱい溜まって終わっちゃうんですね。 私が今話したエネルギーというのは、消えないのです。ですから、力が生まれてくるように、気をつけて冥想していただきたいのです。一人でやるとき、エネルギーがなくなる感じや、やる気が消えてくるということは、どうしても起こります。それは、こころが慣れていないからです。貪瞋痴にはこころは慣れていますが、不貪、不瞋、不痴には慣れていないのです。慣れていないから、すぐつまらなくなってくる。つまらなくなってくると、沈んでしまう。はやく、その「つまらない」という感覚を消さなければなりません。 A: 方法はとにかく、単純なのです。ただ、その瞬間瞬間に、こころやからだの動きを確認していく。「つまらない」という感覚も確認します。とにかく、これも確認するんだ、これも確認するんだ、という感じで、確認していきます。余計なことを考えたりする暇がない、とても忙しいんだ、という感じです。とても忙しいのですが、やる仕事はとても単純ですから、やれるはずなのです。そして、忙しく確認する。こころが怠けないようにするのです。 冥想の世界では、ピーティ(pîti )という言葉を使っていて、冥想すると大きな喜びが生まれてくるといいます。喜びというのは、興奮ではないのです。 私たちがふだん知っている喜びとはすごく違うんですね。普通は、何かおもしろいものを見たら、おかしくておかしくて笑っちゃうとか、自分の好きなものを見たらうれしくなって元気が出るとか、そういう喜びですが、それとはかなり違うのです。 冥想の世界から喜び(喜悦感/sukha )が生まれると、からだにもこころにも重要なエネルギーが補給されますから、それによってからだの調子も良くなりますし、こころの状態もよくなってきます。 では冥想して落ち着いた人というのは、落ち着き払って何もしないかというと、まったく逆なのです。その人には、誰よりもエネルギーがありますから、とても活発に行動できるのです。なぜならば、悩みがないのですから。 |
[ 227] 【67】 興奮状態はよくないか
[引用サイト] http://www.j-theravada.net/qa/gimon67.html
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ただ、言い回しの意味はわかるが、個人的には「るつぼ」そのものがわからない。もちろんご存知の方も多いのだろうが、周囲の人に聞いてみると知らない人も多かった。 るつぼってなんだろう。「興奮のるつぼ」という言い回しからして、エキサイティングなものなのだろうか。 初めて「興奮のるつぼ」という言い回しを聞いたのはいつだっただろう。「ペナントレースも終盤を迎え、○○スタジアムは興奮のるつぼと化しています」などというあれだ。 「るつぼ」というからには、やっぱり「壺」なのだろうか。自宅にあった壺らしきものを引っ張り出してみたが、るつぼというにはどうもピンとこない。 ウィキペディアでるつぼについて調べてみると「固体などを強熱融解する際に使用する耐熱性のつぼ状の容器である」とのこと。なるほど、文系の私には縁がなさそうなものだ。 確かに私はこれまでの人生で、「固体を強熱溶解したいな」と思ったことはない。ならば知る由もないだろう。 そんな目的のためのものなんだなとわかったところで、実物を見るべく東急ハンズに在庫があるかどうか電話で問い合わせてみる。店頭で試験管などの実験器具が置いてあるのを見かけたことがあるからだ。 しかしさらに調べてみたところ、東京・神田に理科系の実験道具の品ぞろえが充実している店があるとの情報を入手。 やってきたのは「高野理化硝子」というお店。古くからありそうなとても立派な構えの店の中は、昔よく理科室で見たようなものたちでいっぱいだ。 さて、るつぼはあるだろうか。ネットで見たるつぼの写真の記憶を頼りに、探してみると…。 それらしきものを発見。お店の人に「これってるつぼですよね」と聞いてみると、「るつぼですよ」と確認できた。 さっそく購入。いろいろサイズがあるので、ここではなんとなく3種類を選択。「フタもいりますか?」と聞かれたので、よくわからないままに「はい!」と答えてフタつきで購入だ。 「これがるつぼか……!」。店の人がチラシで包んでくれたるつぼを手にして興奮気味。より詳細に実体に迫ってみよう。 ついにるつぼを入手。言葉だけ知るのみで、るつぼそのものは勝手に心に描くしかなかったわけだが、実物のるつぼが今この手の中にある。 やっと実物を手にしたのに、あんまりエキサイティングな気持ちになれない。「この中で固体が強熱融解されるんだ!」とイメージを膨らませてみても、興奮するというほどでもない。 そうだ、買う前に妻にもるつぼのことを聞いてみたところ、やっぱり実物は知らないと言っていたんだ。ならば見せてあげようではないか、本物のるつぼを。 「固体が、強熱融解されるんだ」とか「耐熱温度は700度くらいかな」などとも言ってみたが、特に響く感じでもない。 やってくる肩透かしの波を振り払うかのように、フタをパカパカやってみる。両手に持って興奮している様子を写真に撮ってみるも、無理のある感じは否めない。 たまたま家に遊びに来た義母と祖母にも見せてみる。「これが『興奮のるつぼ』のるつぼですよ!」という私の言葉に対して、無理に笑ってくれたような義母の笑顔が痛い。 そういうことだと思う。でもこれで終わりにしたくない。せっかく手にしたるつぼなんだ、もっとエキサイティングな気持ちになりしたい。 わかったことは「興奮のるつぼ」という言い回しがあっても、るつぼそのものにはあんまり興奮できないということだ。 言葉としても「白熱して溶け合っているような興奮が入っている容器」という意味で使われているわけだろう。るつぼに対して興奮を求めるのはおかしい。 それはわかっていつつも、もしやと思ってみたのだが、正直なところ厳しい結果に終わったと言わざるを得ない。 ただそれでも、るつぼコールではなんとなく興奮してきた気もしたので、気の持ち方は大切なんだと思います。 |
[ 228] @nifty:デイリーポータルZ:るつぼで興奮する
[引用サイト] http://portal.nifty.com/2007/06/15/a/
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性的興奮(せいてきこうふん)とは、生殖活動に伴う興奮状態であるが、動物の多くが発情中の異性の臭気や特異な行動によって引き起こされ一方で、人間を含む霊長類に至っては、様々なシンボルによっても興奮する事が確認されている。 性的興奮は、生殖活動においては、必要不可欠の要素で、性的興奮の有無によって、生殖活動における意欲に差違が認められると思われるし、積極的に性的興奮を催せる個体が、より多くの子孫を残す可能性が大きいのだから、選択的に性的興奮の能力に富んだ種族が繁栄する事が出来ると思われるが、特にヒト以外の動物ではその傾向が顕著である。 性的興奮を覚える対象として、もっとも普遍的なのが発情中の同種族の異性である。これは何かが単純な動物ほど、性的興奮の対象許容範囲が狭く、臭いや音・視覚的な特定のパターンを含む、顕著な興奮対象が見られ、逆にこれに合致しないパターンには大抵の場合、まったく反応を示さない。知能の高い動物ほど、直接的な匂いや行動に伴う音といった物よりも、視覚的なイメージや、複数種類に及ぶ情報で性的興奮を催す傾向が強い。 人間に至っては、様々な抽象的シンボルや、更には自身の空想からでも、性的興奮を呼び起こす事も可能では在るが、あまりに先鋭化し過ぎると、所謂変態性欲の範疇に入ってくる。 しかし人間の場合、非常に様々なシンボルに性的興奮を喚起させる能力に恵まれている事もあり、また生殖行為としての性行為以外にも、快楽を得るための行為や、コミュニケーション手段としての性行為など、様々に様式化されているという特徴もあるため、実に多種多様な性的興奮の様式が存在する。 もっとも普遍的なのは発情中の異性であるが、その発情を知らせる情報で、幅広く採用されているのが匂いである。匂いには俗に言うフェロモンがあるが、昆虫や一部の動物には特定の性フェロモンが存在する。 しかし人間の場合は明確な性フェロモンは存在している訳ではないようで、現在に至るまで、人間性フェロモンは発見されていない。しかし人間が性的興奮を覚える異性の香りは個々の人における主観の中では明確に存在しており、それらの人々は、匂いによって発情する。 もっともこの場合の匂いではあるが、人によってまちまちで、異性の肌の匂いに敏感な人もあれば、中には生理中の血の匂いや下り物の匂い、果ては他人には悪臭にも成りかねない汗の分解したアンモニア臭や、悪臭そのものの糞便の匂いに発情する人もある。 鳥類はその視覚的な物もあるが、それ以上に鳴き声によって求愛活動を行い、性的興奮を喚起する。昆虫などでは求愛活動に一晩中鳴き続けるし、哺乳類の多くも、求愛活動の段階において、特徴的な音を発生させる。 人間の場合は特に、言語によるコミュニケーションを日常的に行うため、求愛活動も言語的音声によって行われ、これを聞いた相手が性的興奮を催す。中には「異性の声」に無条件に反応する向きもあるようだが、特に情熱的な発音等に興奮したり、性行為時に興奮して発せられる、所謂喘ぎ声は、特に顕著な性的興奮を呼び起こす。またそれらの興奮を呼び起こす音を文字的に表現した物でも、人間は性的興奮を催す事が可能である。 しかし中には、様々な道具に関連した音までもを性的興奮に結びつける感覚の持ち主もおり、それらは様々な音に反応して、性的興奮を得ていると思われる。 異性の体に見られる身体的特徴に発情するのは、特に霊長類に強く見られる傾向である。この視覚的刺激には、発情中の異性の生殖器周辺の充血や特徴的な膨らみ等であるが、チンパンジーにおいては発情中の雌個体は生殖器周辺部が瘤のように腫れあがり、これを見た雄の個体は性的興奮を覚えるし、ニホンザルの場合は尻の充血・発色具合を見て興奮する。これは録画ビデオ映像によっても性的興奮が起こる事が確認されており、純粋に視覚的刺激によって性的興奮が起こっているとされる。 人間の場合は、日常的に衣服で体が隠れている事もあり、様々な身体的部位の見た目で性的興奮をする。顕著な例としては、男性が女性の胸部に性的興奮を覚えたり、女性が男性の体格に興奮する、体のラインが出やすい薄い衣服の輪郭に興奮する。当然、裸体そのものを見ても性的興奮を覚える訳だが、これには裸体と認識できる写真やビデオ映像、線画やシルエットといった二次的情報に対しても、性的興奮を覚える事が可能である。特に男性の場合は、視覚的なシンボルによって性的興奮を得るが、女性の場合では、想像上の各種シンボル的情報(場合によっては文字や概念)によっても性的興奮を得る事が可能である。 更には首筋のラインや顔の造型、足や手といった、比較的露出度が高い部位に、また興奮する訳だが、人間には想像力が在るため、乳房や臀部など被服に覆いかくされていてもその形状などが露わに認め得る部位の、二次的に裸体を連想できる視覚情報に性的興奮を覚える場合もある。しかしこれが先鋭化し過ぎると、異性が脱いだ着衣に性的興奮を覚え、肝心の異性の裸体には見向きもしないフェティッシュ等の特殊な性癖となって現れる事もある。 この項目「性的興奮」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。 このテンプレートは分野別のスタブテンプレート(Wikipedia:スタブカテゴリ参照)に変更することが望まれています。ただし、サーバー負荷軽減のため、スタブテンプレートの変更は加筆とともに行ってください。 |
[ 229] 性的興奮 - Wikipedia
[引用サイト] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E8%88%88%E5%A5%AE
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サンディエゴ発──長い間、性的興奮に関する研究は下半身の働きに関する不正確きわまりない測定に限定されてきた。しかし今、研究は新しい領域に入りつつある。ニュージャージー州からカリフォルニア州に至る全米各地の研究所で、研究者たちは、男性・女性を問わず被験者をMRI装置にかけ、性的に刺激されると脳がどのように反応するかを観察している。 そんな中、4月15?18日(米国時間)に、性に関する研究者と治療専門家の組織、性科学研究学会(SSSS)の西部地域会議がサンディエゴで開催された。席上、研究者たちは、数々の困難に直面しているものの、性的興奮のメカニズムについての洞察は深まりつつあると語った。「ボタンを押すと反射的に反応が返ってくるような単純なものではない」と、ラトガーズ大学のビバリー・ウィップル名誉教授は述べている。 最終的に、性的興奮に関する脳の研究は、性機能障害に対する新しい治療法や、おそらくは女性向けの『バイアグラ』タイプの薬剤の開発にも寄与するだろうとみられている。製薬会社によるこうした薬剤の開発は、今のところ難航している。また、こうした脳研究の成果は、身体障害者や、誤って性犯罪者とされた人たちなど、さまざまな人々に新しい希望をもたらすものとなる。 心理学者たちは、心理学の黎明期の時代から、自分の性生活の詳細を打ち明けてもいいと承諾した人たちを研究対象として、性的興奮を理解しようとしてきた。しかし、性的刺激の身体的な徴候を測定する効果的な方法の開発が進んだのは、ここ50年ほどのことにすぎない。 最初の測定方法が開発されたのは、1950年代だった。チェコスロバキア(当時)では、兵士は同性愛者だと公言すれば軍隊から除隊できたため、性科学者のカート・フロインド博士は、兵士たちの性的指向を確認する方法を考案する必要に迫られた。そこでフロインド博士は、勃起に伴うペニス周囲の空気圧の変化を測定する、一種の圧力計を発明した。さらに改良された装置──通称「ピーター・メーター」──は、水銀と電流を使って、ペニスの周囲に巻かれたバンドのサイズ変化を測定する。女性用には、タンポンに似た器具が使用される。この器具は、膣の内部をライトで照らし、周辺組織における光の拡散具合を測定することで、血液の流れを探知する仕組みだ。 こうした測定装置によって、心理学者は多くの研究材料を得てきた。昨年も、ノースウエスタン大学の研究者により、女性は性的指向に関係なくすべてのタイプのポルノ──男性どうし、女性どうし、異性間──に対して興奮する傾向があるという研究成果が報告された。一方、異性愛者の男性は、少なくとも1人は女性が出てくるポルノ作品を好み、同性愛者の男性には、その逆の傾向が見られるという。 しかし、性的興奮を測定する装置は完璧とはいえない。「女性用の測定器具は、男性用よりも複雑だ。女性の興奮の測定については理解が不足しており、器具の満足度も低い」と、ノースウエスタン大学心理学部のマイケル・ベイリー学部長は語る。さらにことを複雑にしているのは、多くの男性は、特に年をとると完全に勃起しなくなるという問題だ。性的刺激を男性と女性の間で比較することも難しい。 5年ほど前から、性科学者たちは研究に脳の画像検査を取り入れるようになった。「ペニスや膣を測定するよりも、脳の画像を検査するほうが、心に直接的にアクセスできる」と、ベイリー学部長は電話インタビューで語った。「私は心理学者なので、心の中で何が起こっているかに興味がある」 性科学者たちがおそらくもっともよく利用している測定技術は、脳内代謝の変化を測定する機能的MRI(fMRI)だ。fMRIを使えば、性的興奮やオーガズムを感じている際に、脳のどの部分がより活発に──あるいは不活発に──なっているかがわかる。 性に関する研究は順調に進んで来たわけではない。たとえば、カリフォルニア州サンノゼ在住のセックス問題セラピスト、リンダ・バナー氏がMRI装置を借りようとスタンフォード大学に交渉したとき、当初の相手の反応は好意的とは言えないものだった。「われわれはいくつかの問題にぶつかった」と、バナー氏はサンディエゴのSSSS会議で述べた。スタンフォード大学のMRI担当職員は、MRI装置の中に液体がこぼれることを嫌がり、こう言い放ったという。「オーガズムに関する質問をするなんて、考えるのも許しません!」 したがって、スタンフォード大学で行なわれた研究では、性的興奮については調査したものの、性的刺激によって装置を汚しかねない結果物が生じる段階までは調査ができなかった。 次に、技術的問題が持ち上がった。電子レンジ同様、MRIは金属を扱えない。入れ墨には金属成分が含まれるため、メイクに入れ墨を使っている女性は調査対象にできない。また、ある男性のポニーテールを束ねていた金属製のバンドのせいで「その人の検査がまるごとダメになった」こともあると、バナー氏は語る。 だが、この研究における最大の課題は、おそらく被験者を性的に興奮させるところにある。狭苦しく快適とはいえないMRI装置の中に横たわる被験者を、男女を問わず性的に刺激する方法を、研究者は考え出さなくてはいけなかった。いくつかの実験では、被験者はみずから肉体に刺激を与えている。ワシントン大学の実験では、特別なビデオ用ゴーグルとヘッドフォンを使用して、被験者にポルノを見せた。「この方法はうまくいった。MRIの中でも、性的興奮とオーガズムを引き出すことができた」と、同大学の神経放射線学部門の責任者を務めるケン・マラビラ博士は述べた。 数々の障害にもかかわらず、研究者たちは報告に値する多くの成果をあげた。とりわけ興味深いものとして、下半身麻痺の女性たちが自分自身の生殖器を刺激することによってオーガズムに達したという、ラトガーズ大学のウィップル教授のチームによる報告がある。脊髄損傷のせいで下半身への刺激自体は感じられないが、オーガズムは経験できるのだという。 ウィップル教授は、この現象について、生殖器からの信号の一部が迷走神経を通って脳に伝わるためではないかと推測している。迷走神経は、いくつかの内臓と脳をつなぐ、身体の生存に欠かせない神経だ。しかも、この神経は脊髄を通らないので、背骨に深刻な損傷を受けても、信号の伝送経路が断絶しないと考えられる。 ある実験では、MRIによる調査を受けていた女性が、何年も前に下半身が麻痺して以来、初めてのオーガズムを体験した。この女性は実験室で、その後も5回にわたってオーガズムを得ることができた。この瞬間はとても感動的だったので、女性もウィップル教授もともに泣き出してしまったという。 ウィップル教授──1980年代の初めにGスポットという言葉を作った神経生理学者──は、その他の研究成果をもとに、オーガズムは身体の痛みの感覚を一時的に抑制し、依存症に関連する脳領域を刺激するという学説を導き出した。「ここからどういう結論を引き出すかは、人それぞれの判断だ」とウィップル教授。 MRIを使ったワシントン大学の研究では、性的興奮が、抑制を、そしておそらくは善悪の判断をつかさどる脳の部分の活動を弱めるということを示唆している。「こうした脳の部分は、規則を守らせようとする働きがある。性的に興奮すると、この部分が不活発になり、ますます性的に興奮するというわけだ」と、マラビラ博士は説明する。 脳の走査によって、性的興奮の過程がより明確になっただけでなく、被験者が受けている性的刺激の程度についても、より正確に測定できるようになる可能性もある。こうしたことが測定できれば、性犯罪者に対する診断と治療を行なう際の重要な情報になるだろうと、トロント大学のレイ・ブランチャード教授(精神医学)は述べる。 現在、カナダの医師たちは性犯罪者の性的嗜好を探るために、ポルノ写真を見せ、勃起測定装置を使用している。しかし、このシステムは非常にずさんにもなりうる。ブランチャード教授は「脳の中を直接見ることができるなら、生殖器の興奮に注意を払うことなく、『なるほど、こいつは小児性愛者で露出症の強姦犯だな』などと断言できるようになるだろう」と期待を寄せる。 ブランチャード教授によれば、脳の走査結果を見ることで、不適切な性的興奮に対する最適の治療法も探しやすくなるだろうという。 一方、各地の研究所では、より大きな目標に性科学者たちの関心が集まっている。すなわち、男性にも、そして特に女性にも有効な新しい性機能向上法だ。バイアグラは、ペニスへの血流を増大させ、男性に対して驚くほど効果がある。しかし、男女ともに同様の生理的影響を与えるにもかかわらず、バイアグラは女性の性的興奮を高めるという点では望み薄だった。マラビラ博士は「何かを見落としているのだ」と言い、その失われたリンクを、身体の中で最も強力な性的器官――脳――の中に発見できるものと期待している。 他者との協力は脳内の快楽が動機?――協力行動を説明する新理論 (2002年07月29日) ロボットバイオニクス軍事・対テロWiredが見た日本宇宙・航空自動車ゲーム・仮想世界ガジェットMac & Appleデジタル音楽 |
[ 230] 性的興奮の脳科学――fMRIでオーガズムの解明に取り組む研究者たち | WIRED VISION
[引用サイト] http://wiredvision.jp/archives/200404/2004042202.html
