フィギュアとは?

フィギュアスケート(英語:figure skating)は、スケートリンクの上で音楽に合わせ、ステップやスピン、ジャンプなどの技を組み合わせて滑走するスケート競技のひとつ。リンクの上に図形(フィギュア)を描くように滑ることから、この名がある。
スケートの起源ははっきりしないが、すでに先史時代には北欧で動物の骨をブレードにしたスケート靴が用いられていた。それが南下してオランダに伝わり、運河の発達により国民各層で行われるようになった。農民たちは、凍った運河の上で目的地にできるだけ早く到着することに熱心であったが、貴族たちの間では、優雅さやマナーを重んじた芸術的なスケーティングが好まれた。彼らの滑走様式は、オランダ人の弧線滑走という意味の「ダッチロール」と呼ばれるようになり、フィギュアスケートの原型となった。これが、やがてスコットランドに伝わり、愛好家らにより図形を描いて滑走する技術が研究されるようになった。一方でフランスやドイツにおいては芸術的な滑走動作が研究された。
その後、1742年にイギリスのエディンバラで世界初のスケーティングクラブが発足して以降、各国においてスケーティングクラブが設立され、その国独自の形態で競技会が行われるようになった。フィギュアスケートはヨーロッパ全域で盛んになり、1882年にはウィーンでフィギュアスケート最初の国際大会が開催された。1892年には、スケート競技を国際的に統轄する国際スケート連盟が創立され、1896年から世界選手権が開催されるようになった。
オリンピックでは、1908年の夏季オリンピックで初めて実施された。夏季オリンピックではこの大会と1920年の大会のみで行われており、1924年にシャモニーオリンピックが開催されてからは毎回冬季オリンピックで実施されている。
フィギュアスケートには専用のスケート靴をはく。男性は黒、女性は白やベージュの靴をはくことが多い。スケート靴は革もしくはプラスチック製の靴の部分とブレードと呼ばれるややカーブした金属部分からなり、重さは約2kg ある。ブレードが氷に直接接する部分をエッジと呼ぶ。エッジの厚さは3-4mm 程度で、中央には溝が入っている。
フィギュアスケート用のブレードは先がギザギザになっているのが特徴で、このギザギザの部分をトウピック(トウ)といい、ジャンプやスピンのときなどに使われる。トウの部分が小さくかかとの部分が短いアイスダンス用のブレードもある。シングルのコンパルソリーではトウの小さいブレードやトウのないブレードが用いられた。
フィギュアスケートのスケートリンクは60m × 30 m のサイズが国際規格となっている。競技会では屋内リンクを使うのが一般的であるが、屋外リンクで五輪のフィギュアスケート競技が行われたケースもある。競技の前後や合間には氷の表面を滑らかに保つため、整氷車や手作業による整氷が行なわれる。
オリンピックや世界選手権など、代表的なフィギュアスケートの競技会で実施される種目には、以下のものがある。
このうち、男子シングルと女子シングルでは選手が1人で競技を行なう。これに対し、ペアとアイスダンスでは男女2人が組になって演技する。一般的な公式競技会では個人もしくは組を単位として出場する。
このほか、グループスケーティングとして、男女2人ずつの4人で演技をするフォアスケーティングや、男女20人のチームで演技をするシンクロナイズドスケーティングもある。
競技会は、競技者の年齢と保持するテスト級によって出場できる大会が決められている。テスト級はバッジテストと呼ばれる昇級試験に合格することで得られ、日本では初級から8級(8級が最上位、アイスダンスではプレリミナリーからゴールド)までレベルが分かれている。
競技会で上位の成績をおさめた選手や主催者に特別に推薦を受けた選手は、エキシビション (exhibition gala) に出演することができる。エキシビションでは採点はおこなわれず、競技におけるときのような要素の制約がない。シングルやペアの競技では禁止されている歌詞の入った音楽を使ったり、椅子や傘などの小道具を用いたり、衣装を着替えたり、といった演出も認められており、バックフリップのような危険な技を見せる選手もいる。選ばれた選手の試技により、競技の発展とアピールを行うものである。
男子および女子シングルでは、ジャンプ、スピン、ステップ、スパイラルなどが競技の技術的な構成要素となる。ペアではさらにスロージャンプ、リフト、ツイストリフトが加わる。アイスダンスではジャンプやリフトなどに制限がある一方、ステップにより重点がおかれる。要素ごとにさまざまな種類があり、その難易度に応じて配点も定められている。
氷についているほうの足はスケーティング・レッグ(滑り足)、ついていないほうの足はフリー・レッグ(浮き足)と呼ばれる。右足をスケーティング・レッグとしたとき(右足片方だけで滑るとき)、氷の表面に対してスケート靴のエッジを、
滑走には前方(フォワード)と後方(バックワード)の2つの方向があり、また右足(ライト)と左足(レフト)それぞれで滑るので、次の8つのパターンがあることになる。
インサイドとアウトサイドのエッジの使い分けはスケーティングの基本であり、競技者がもつスケーティングの技術や、ジャンプ、スピン、スパイラルなどの評価にも影響を与えるものである。
競技会におけるフィギュアスケートの衣装は、スポーツ競技にふさわしい品位を保ったものでなければならない[1]。過剰な露出や小道具の使用は禁止されており、衣装のルール違反は1点の減点になる。なお、エキシビションではこのような制約はない。
シングルやペアの女子選手はジャンプなどの動作で邪魔にならないよう、レオタードにミニスカートを組み合わせた衣装を着用することが多く、アイスダンスではスカート丈が長い傾向がある。スカートをはく女子選手はタイツを着用する。中にはブレードだけを外に出してスケート靴ごとタイツでくるむようにしてはく選手もいるが、これは靴の傷や汚れを隠す、足を長く見せる、など理由はさまざまである。2005-2006シーズン以降、女子選手のスカート着用義務が廃止されたことをうけ、パンツルックで演技するスケーターも増えている。
露出を避けるために(レギュレーションに加え、リンク内は氷が張られているので非常に寒い)、肌の色に近い生地を用いて、見掛け上ワンショルダーや露出の多い服装に見えるような工夫も見られ、サテンやレザーといった多種多様な生地やスパンコールなども用いられる。衣装の制作はバレエなど舞台芸術関連の業者に発注することが多いが、小規模ながらフィギュアスケートの衣装制作を専門とする業者もいる。また選手の家族など周囲の人々が手作りで縫製する場合もある。
化粧については、舞台用のものと共通する部分が多く、女子(稀に男子も)の場合は、氷上で、また遠くから見ても映えるように、アイシャドーや口紅を濃く入れる場合が多い。エキシビションにおいてはフェイスペイントすることもある。
フィギュアスケートの振付は、振付師をはじめ、コーチや場合によっては選手自身によって行なわれる。フィギュアスケートの競技経験のある者が振付を担当するのが一般的である。
共通事項として、フィギュアスケートのルールは非常に細かく定められており、クラス毎に規定に若干の違いがある。ここでは、各種目のシニアの場合のみのそれぞれのプログラムの規定を説明する。
男子女子ともに、シングルスケーティングのプログラムには、ショートプログラムとフリースケーティングがあり、先にショートプログラムが行われる。大会によっては、ショートプログラムで所定の順位に入った者のみでフリースケーティングを行うこともある。
演技時間は、2分50秒。その間に、「アクセルジャンプ(3回転もしくは2回転)」、「ステップからのジャンプ(4回転もしくは3回転)」、「ジャンプコンビネーション(4回転-3回転、4回転-2回転、3回転-3回転もしくは3回転-2回転)」、「フライングスピン」、「任意の単一姿勢での足替えスピン」、「スピンコンビネーション」、「異なる2種類のステップシークエンス」の8個の要素 (エレメンツ)を必ず1つずつ行う。余分な要素があったり、ミスをした要素をやり直してはいけない。ジャンプは規定より回転不足になるとその技術点から更にGOEとして3点減点される。また、ジャンプは基本的に各要素で同じ種類のジャンプを跳んではいけない(ただし、回転数が異なる場合はこの限りではない、例:シングルアクセルとトリプルアクセル)。4回転は演技中1回のみで、アクセルジャンプの要素でトリプルアクセルを跳んだ場合、他のジャンプの要素でトリプルアクセルを跳んではならない。
演技時間は、4分30秒。±10秒の幅が認められている。その間に、「最低1つのアクセルジャンプを含む合計8つまでのジャンプ要素」、「スピンコンビネーション、任意のフライングスピン、任意の単一姿勢でのスピンを最低1つずつ含む4つまでのスピン」、「異なる2種のステップシークエンス」の14個までの要素を行う。ジャンプのうちジャンプコンビネーション(またはジャンプシークエンス)は3つまでであり、そのうち3回連続コンビネーションは1つまでである。ショートプログラムと比べると演技に弾力性はあるが、ミスをした要素をやり直してはいけない。ただし、3回転ジャンプを予定していたが、2回転以下のジャンプ(ダウングレードを除く)になってしまった場合は、3回転ジャンプの飛んだ数には入らないので後でやりなおしてもよい。ただし、8個のジャンプのうちの1つとしてはカウントされる。
演技時間は、2分50秒。その間に、「アクセルジャンプ(2回転)」、「ステップからのジャンプ(3回転)」、「ジャンプコンビネーション(3回転-3回転もしくは3回転-2回転)」、「フライングスピン」、「レイバックスピン」、「スピンコンビネーション」、「スパイラルシークエンス」、「ステップシークエンス」の8個の要素を必ず1つずつ行う。余分な要素があったり、ミスをした要素をやり直してはいけない。ジャンプは規定より回転不足になるとその技術点から更にGOEとして3点減点される。また、ジャンプは基本的に各要素で同じ種類のジャンプを跳んではいけない。
演技時間は4分。±10秒の幅が認められている。その間に、「最低1つのアクセルジャンプを含む合計7つまでのジャンプ要素」、「スピンコンビネーション、任意のフライングスピン、任意の単一姿勢でのスピンを最低1つずつ含む4つまでのスピン」、「1つまでのステップシークエンス」、「1つまでのスパイラルシークエンス」の13個までの要素を行う。ジャンプのうちジャンプコンビネーション(またはジャンプシークエンス)は3つまでであり、そのうち3回連続コンビネーションは1つまでである。ショートプログラムと比べると演技に弾力性はあるが、ミスをした要素をやり直してはいけない。男子同様ザヤックルールが存在する。
ペアのプログラムも、シングル同様ショートプログラムとフリースケーティングがあるが、こちらは男女2人でしか表現できない技に重点が置かれる。演技の中には失敗すると危険な要素も多く、フィギュアスケートの中でも、最もアクロバティックな競技と言われる。
演技時間は、2分50秒。その間に、「リフト」、「ツイストリフト」、「スロージャンプ」、「ソロジャンプ」、「ソロスピンコンビネーション」、「ペアスピンコンビネーション」、「デススパイラル」、「ステップシークエンス」の8個の要素を必ず1つずつ行う。シングルスケーティング同様、余分な要素があったり、ミスをした要素をやり直してはいけない。
演技時間は、4分30秒。その間に、「3つまでのリフト」、「1つまでのツイストリフト(3回転もしくは2回転)」、「異なるもの2つまでのスロージャンプ」、「1つまでのソロジャンプ」、「1つまでのジャンプコンビネーションまたはジャンプシークエンス」、「1つまでのソロスピンコンビネーション」、「1つまでのペアスピンコンビネーション」、「1つまでのデススパイラル」、「1つまでのステップシークエンス」、「1つまでのスパイラルシークエンス」の13個までの要素を行う。ショートプログラムと比べると演技に弾力性はあるが、ミスをした要素をやり直してはいけない。
アイスダンスは、ペア同様、男女2人で競技されるが、こちらはリフトやジャンプは制限されており、ステップの技術が中心となる。氷上の社交ダンスとも呼ばれる。コンパルソリーダンス、オリジナルダンス、フリーダンスの3つのプログラムを行う。
採点方法は、コンパルソリーダンス以外はシングル、ペアと同様である。コンパルソリーダンスは、構成点が、スケート技術・演技力・曲の解釈・タイミング、の4項目(各10点満点)の合計点となる。
制限時間はなく、シーズン毎に国際スケート連盟 (ISU) から、所定の22種類のうち、3つの課題(ワルツ、クイックステップ、タンゴ等)が提示される。その中から大会ごとに抽選で1つが選ばれる。そのリズムとテンポの音楽に合わせ、規定のパターンを滑る。2007-08シーズンの課題は、オーストリアンワルツ、ヤンキーポルカ、アルゼンチンタンゴの3つ[2]。
演技時間は2分30秒。リズムはあらかじめ指定されており、2007-08シーズンはフォーク/カントリー[2]。
現在の採点法。2003年度のISUグランプリシリーズに試験的に導入され、2004年度からは本格的にISUチャンピオンシップスにも導入された。それ以外の国際大会や各国国内大会においては、導入年度にばらつきがある。
各プログラムにおけるテクニカル・エレメンツ・スコア(技術点)とプログラム・コンポーネンツ・スコア(構成点)の合計とディダクション(規定による減点)の総得点により勝敗が決する。
選手は上述した規定に沿った要素を実行する。技術点はそれらの要素の1つ1つに与えられる得点の合計点である。
新採点システムにおいては、仮に1つの要素で大きな失敗をしてしまってもその他の要素で高い点を得ることができれば、場合によっては、ミスなくこなした選手より高い点を獲得することが可能である。
手順1 : 演技のスロー再生によって選手の実行した要素が何であったかを判定し、その要素に対応した基礎点を与える。「技術審判(テクニカルコントローラーとテクニカルスペシャリスト)」によって行われる。
手順2 : 手順1で判定された要素の質を10人の「演技審判」が評価し、基礎点にGOE(Grade of Execution)による加減点を付加する。なお、「演技審判」全員の評価が反映されるわけではない。
しかし、要素の成否の判断は大変詳密であり、素人が見分けるには困難なものとなっている。 以下では上記の手順のうち、得点により大きく反映する手順1に相当する部分を中心に審査の内容を説明する。
ジャンプの成否に関しては、例えば選手が4回転ジャンプを試み、一見着氷に成功したように見えても、手順1で「技術審判」に回転不足(およそ4分の1以上回転が足りていない)と判定されると、その評価は手順1の時点で3回転ジャンプとなり、3回転ジャンプの基礎点が与えられることとなる。つまりジャンプの手順1での評価で最も重要なことは、必要なだけ回転できているかどうかということである。
しかし実際、観客席やテレビ画面で見た場合は、映像や視界の角度により「空中で3.6回り程度回転して着氷し、残り0.4回転分を着氷後にそれっぽく回転したもの」と、「空中で完全に4回転し、わずかに乱れた着氷をしたもの」と、見分けがつかないこともある。判定に関しては、「技術審判」がビデオでスロー再生して確認して、最終的な判断を出すこととなっている。この為、解説者でさえも、採点が発表されるまではジャンプが成功したかどうかを断言することは出来ない。
転倒よりも、見た目の印象としては分かりにくい回転不足のほうが得点は低くなることが多い。ここでは4回転トウループを例にその得点をみることとする。
4回転トウループの基礎点は9.0点であり、仮に転倒してしまったとしても、4回転トウループと認定されれば、その得点は「9.0-3.0(GOEによる減点)-1.0(転倒による総得点からの減点)=5.0点」となり、3回転トウループの基礎点4.0点よりも1.0点高い得点を得られる。(非常に出来のよい3回転トウループでGOEで1.0点以上の加点を得られればこの点数を上回ることも出来るが、3回転以上のジャンプで1.0点以上の加点を得ることは大変難しいことである。)
4回転トウループが回転不足(およそ4分の1以上回転が足りていない)と判定されると、まずそのジャンプには3回転トウループの基礎点4.0点が与えられる。転倒せずとも回転しすぎた質の悪い3回転トウループとなるとそこからGOEの減点をうけ、得点は4.0点よりさらに低いものとなる。
回転不足は特に4回転や3回転半、コンビネーションジャンプのセカンドジャンプ、サードジャンプにおいて起きやすいことである。
回転不足、転倒に次ぎ観客の印象と得点の乖離を生むのがこのザヤックルールである。これは「同じ種類の3回転以上のジャンプは2種類を2回までしか挑戦できない」というものである。具体的な例を挙げると、「3回転トウループに3回挑戦する」ことや「3回転ルッツ、3回転フリップ、3回転サルコウにそれぞれ2回挑戦する」ことはルール違反となり、最後に跳んだジャンプは得点にならない。また、2回跳ぶうち少なくとも1つはコンビネーションまたはシークエンスにしなければならない。2回とも単独ジャンプで跳んだ場合は、2回目のジャンプは強制的にシークエンスと数えられ、得点が0.8倍に減点される。
このルールは、同じジャンプばかりを繰り返すことはフィギュアスケート競技としてはふさわしくない、との意見が大勢を占めたことで定められた制度である。ルール発足の直接の原因ではないが、この名称は80年代に活躍したアメリカのエレイン・ザヤックが、競技中に自分の得意な3回転トウループを多用していたことにちなんで付けられたものである。
なお、このルールにおいては3回転ジャンプと4回転ジャンプは違う種類であるとみなす(例:3回転トウループと4回転トウループは同じトウループという種類のジャンプであるが、ザヤックルールにおいてはそれぞれを別の1種類とみなす)。
2007-2008シーズンより、ザヤックルールとは別に、フリースケーティングでのダブルアクセルにも、3回までという制限が課された。
回転不足とザヤックルールにおいて注意する点がある。それは、回転不足のジャンプには実質以下の2種類の判定が存在することである(トリプルアクセルを例にとっている)。
トリプルアクセルに挑戦する予定だったが、気が変わってダブルアクセルに挑戦して回転しすぎてしまったものという判定
回転の不足分が2分の1回転を超えているような場合は後者のような判定となることが多い。どちらにとられても得点はダブルアクセルの基礎点から減点を受けたものとなる。しかし、前者の場合はザヤックルールの適用を受けるが、後者の場合は適用を受けず、演技中に構成を変えもう1度トリプルアクセルに挑戦することもできる。
なお採点表では2006-2007シーズンより、前者のような評価を受けた場合は『3A<』と書かれ、後者のような評価を受けた場合は『2A』と書かれ区別されるようになった。
また、ザヤックルールと回転不足は同時に採点に影響を与えることがある。たとえば「4回転トウループを1回、3回転トウループを2回」組み込んだプログラムの場合、
4回転トウループが4回転と認定された場合は、そこで得られるジャンプの基礎点は「9+4+4=17点前後」である。
4回転トウループが回転不足で『3回転トウループへの挑戦』と判定されると、そもそも他に2回の3回転トウループが構成に入っているので、そのままの演技をしてしまうと3回転トウループを3回跳んだことになり、ザヤックルールにより最後のジャンプは0点となる。このときそこで得られるジャンプの基礎点「4+4+0=8点前後」となる。
前者と後者で約10点の差があるが、全てのジャンプが成功したように見えている場合、後者の点数は観客にとっては一見不可解なものとなる。
スピンとステップ及びスパイラルの場合 (詳細を読む場合は右の「表示」をクリックして下さい) 
現行の採点方式では、スピンやステップ及びスパイラルには1から4までのレベルという概念が取り入れられ、レベルが高いほど高い点が与えられるようになっている。このレベル獲得にはいくつかの要件が存在し、レベル判定は手順1で「技術審判」が行う。
スピンの場合、ある体勢でスピンを実施したと認められるには、完全にその体勢に入って2回転以上回転することが必須であり、回転数が2回に達していないと判定されると、どんなに難しい体勢で回転していてもレベル獲得にはつながらない。さらに、その判定はジャンプの回転数以上にシビアであるともされる。
ステップのレベルに関しては、素人目にはその基準が判別しがたく、例えば上半身の動きのどの程度からを「よく」動いているとみなすかや、同じ選手が同じ振り・同じ動きをしているにもかかわらず大会によって違うレベル判定を受けることがあるなど、審判によりレベル認定にばらつきがあるとも見られている。
スパイラルシークエンスにおいて、現行の採点方式ではスパイラルポジションで3秒以上それを維持することが明言されている。基準が明確になった反面、レベルを上げるために似たような形のスパイラルシークエンスばかりが見受けられるという事態も生じている。その代表的な形としては、ビールマンのポジションを取る選手が多いことなどがあり、レベル4を獲得するために没個性化しているとみる向きもある。
の5項目(アイスダンスCDは「SS」、「PF」、「IN」、「タイミング(TI)」の4項目)をそれぞれ10点満点で評価する。(ただし、GOE同様に全ての「演技審判」の評価が反映されるわけではない。)
実務的にはまずSSでの評価を決定し、その点数を基に±して他の項目の点数を決定する。したがって各項目間において極端な点数の乖離は生じない。そして、各項目の平均点に荷重を与え、それらを合計した点で決められる。荷重が与えられるのは、女子シングルやペアの技術点は、3回転半や4回転を取り入れる選手が多い男子シングルより低くでることが一般的であり、アイスダンスでは求められるものに若干の差異があるため、単純に足し合わせただけでは総合点を見たとき偏りが生じるからである。それぞれの種目での項目への荷重は下の表の通りである。
現在の採点システム(ISUジャッジングシステム)では、プログラムの後半のジャンプは基礎点が1.1倍になる。(例;3回転トウループであれば、通常の基礎点は4.0点であるが、後半に実施された場合は4.4点となる。)
このため、プログラム後半とみなされる時分に入った瞬間から直後にかけてジャンプを固めうちするという構成にしてくる者も現れている。これをプログラム構成的にはあまり好ましくないとする見方がある一方で、現状ではこれがもっとも効率よく点数を取ることができるのである。
また、旧採点時代(特に4回転時代)の男子シングルにおいてはほとんど見られなかった、3回転−2回転−2回転の3連続のコンビネーションジャンプをプログラムに入れる選手が多くなった。旧採点時代の男子シングルにおいては4回転ジャンプや3回転-3回転のコンビネーションにジャンプの主眼が置かれており、それ以外のジャンプは実質的に勝敗を左右するだけの価値はないものとみなされていた。このため、かつての男子においては試みられることすらほぼ皆無であった3回転−2回転−2回転コンビネーションジャンプであるが、ジャンプひとつひとつを厳密に点数化し加算していく新採点システム(ISUジャッジングシステム)の施行後は、これをプログラム後半に採用する男子選手が増加している。
3−2−2の3連続ジャンプを行う選手が増加する一方で、4回転からの3連続ジャンプを採用しようとする選手はまったく増加する傾向をみせない。これは、4回転ジャンプからの3連続ジャンプの難しさもさることながら、例えば、
演技前半に『4回転トウループ - 3回転トウループ - 2回転ループ コンビネーション』を行い、演技後半に『3回転フリップ - 2回転トウループ コンビネーション』を行う
演技前半に『4回転トウループ - 3回転トウループ コンビネーション』を行い、演技後半に『3回転フリップ - 2回転トウループ - 2回転ループ コンビネーション』を行う
上記2つの場合を比較すると、演技後半のジャンプの基礎点が1.1倍になるというルール上、後者の方が多く点を得られるからである。4回転からの3連続ジャンプは、点数的には、試みようとする必然性がほとんどなくなってしまったのである。とはいえ、ISUジャッジングシステム施行後の初のオリンピックであるトリノオリンピックでエフゲニー・プルシェンコとステファン・ランビエールが演技冒頭での4回転-3回転-2回転のコンビネーションジャンプを行うなどしている。
しかし後述する旧採点方法の頃は、4回転を成功させることが勝敗を大きく左右し、ショートプログラムとフリープログラムの両方で4回転を跳ばなければ勝負にならないとまで言われた時期もあった。事実2000年前後は4回転時代と呼ばれたほどに、世界初の4回転−3回転のコンビネーションを成功させたエルビス・ストイコやショートプログラムにおける世界初の4回転からのコンビネーションジャンプの成功者であるミン・ジャンを筆頭に多くの選手が4回転、そして4回転からのコンビネーションジャンプをプログラムに取り入れていた。
4回転時代といわれた旧採点時代後期、男子シングル上位のショートプログラムにおけるコンビネーションジャンプは、4回転ジャンプからのコンビネーションであることが当たり前とされていた。実際、2002年のソルトレイクシティオリンピックでは男子の参加者の実に半数以上が、ショートプログラムで4回転からのコンビネーションジャンプを予定し、実際に試み、跳んでいた。
しかし、現在は、ショートプログラムで4回転ジャンプからのコンビネーションを跳ぶ選手はきわめて少なくなっている。 現在の採点システムの下でのジャンプの基礎点は以下の通りである。
「3回転ルッツ- 3回転トウループ」と「4回転トウループ- 2回転トウループ」では後者のほうが圧倒的に難易度が高いにも関わらず、基礎点はほぼ同じであり、その上、難易度の低いジャンプは質を良く跳ぶことが容易いことから3回転-3回転のコンビネーションジャンプのほうがGOE(加点減点)もプラス加点で高くつきやすい。また、4回転ジャンプで回転も足りた上で着氷した場合でも、ステップアウトしたりターンが入ってしまえばショートプログラムにおいてはコンビネーションジャンプの要素を満たさないとみなされ(得点表には「+COMBO」と記される)、GOEで必ず-3され、実質6.0ほどにしかならない。
こうしたことから、あえて難易度の高い4回転ジャンプをプログラムに入れるより、3回転-3回転で安全に構成する選手が圧倒的多数を占めるようになった。
現在のようにプログラム後半に跳ぶジャンプを明確に高く評価するシステムがなかったこともあり、必然的に、体力的に余裕のあるプログラムの前半に、4回転ジャンプなどの難度の高いジャンプを集める傾向が極めて顕著にみられた(例えばアレクセイ・ヤグディンやエフゲニー・プルシェンコはプログラムの前半に4回転を1回あるいは2回跳び、次に3回転アクセルを2回決め勝敗の大勢を決してしまった)。
さらに、上述したジャンプの場合にあるように、4回転ジャンプに挑んでも回転不足で3回転と判定されてしまうと点数は5点以上落ち、ザヤックルールへの配慮も必要となるため、4回転はハイリスクローリターンなものとなっている。
また、ジャンプのGOEは、2回転アクセルが「3.0〜-2.1」の幅でつけられるのに対し、3回転ジャンプ以上の場合は「3.0〜-3.0」の間でつけられる。総じて、2回転アクセルとそれ以上の難易度のジャンプを比較した場合、難しいはずの後者のほうが加点幅は変わらないのに減点幅だけが大きい。それに加えて07-08シーズンからは2回転アクセルの基礎点が3.3点から3.5点に引き上げられた。
以上の点により、新採点システムの施行以降、プログラムに4回転ジャンプを組んで失敗するよりも安全に3回転ジャンプと2回転アクセルのみで構成し、確実性、完成度の高さで勝負する選手も多くなった。練習では4回転ジャンプを飛べていても戦術上、あえて試合で挑戦しない場合も多々ある。一方、コーチ・振付師・選手ともジャンプのみに頼るのでなくスケート全体の良質な構成を考える傾向になり、スピンやステップにも余念の無い演技を志向するようになった。
その後、選手やスタッフが採点システムの仕組みを熟知し、スピン、ステップのレベル獲得の研究、対応が進んだ結果、2006年世界選手権を皮切りに、フリースケーティングにおいては男子選手の4回転への挑戦回数が増加傾向にある。これは上位の選手がスピン、ステップのレベルを獲得し、4回転まで成功させると、いくら4回転の評価が低いとはいえ、それに次ぐ選手達たちも4回転を成功させなければ逆転のしようがないからである。特に、2006年ロシア杯においてフランスのブライアン・ジュベールが1つのフリースケーティングで3度の4回転を成功させた(これは上記の4回転時代ですらティモシー・ゲーブル、張民、本田武史のわずか3人しかなし得なかったことである)ことをうけ、男子シングルは再び4回転時代に突入すると予想する声もある。
かつて男女シングルとペアは、上記以外に規定演技 (compulsory) も行われていた。規定演技とは、最初に決められた図形を氷上に左右3回計6回描き、その正確性を競うものである。 1980年までは、この規定演技の比重が重く、ショートプログラムや自由演技(フリースケーティング)を得意とする選手たちが、集客性に乏しい規定演技の時点で優勝候補から外れることがあった。1981年以降はこの規定演技の比重が軽くなり、そしてついに、大会の規模を縮小したいなどの理由から1991年に規定演技は廃止された。
採点方法としては、「技術点(ショートプログラムではrequired elements、フリースケーティングではtechnical meritと言った)」と「プレゼンテーション(presentation、 アピール点もしくは芸術点などとも訳された)」の2つの点数があり、それぞれにつき6.0点を満点として評価を行った。
1998-1999からは、行う要素の数や種類が限定されるショートプログラムにおいては、技術点でミスの程度に応じた減点(ディダクション)が定められ、要求される要素をより高いレベルでミスなく満たすことができたか否かを、6.0を満点に減点方式で採点するようになった。
定められた要素の代わりに規定にない要素を行うことは、余分な要素をやったときの減点のうえにさらに0.1-0.2のディダクションが追加される。
要素の数や種類に自由度の高いフリースケーティングにおいては必ずしも厳密な減点方式にはなりえなかったものの、「6.0=完全無欠のもの」を目指していかにミスなくライバルより難しい技を決めるかが競われた。
なお、順位は、こうした点数の単純な合計の大小ではなく、それぞれのジャッジのつけた点数をマトリクス化して(相対評価)、決定された。
ジャッジはそれぞれ、己のつけた「技術点+プレゼンテーションの合計点」によって選手同士を1対1で比較し、
さらに、「PIFのポイント合計」によって選手同士は1対1で比較され、高いほうの選手に「CP(Comparative Point) 2ポイント」が与えられる。もしPIF合計が同じであれば、両者にCP 1ポイントが与えられる。
そして、順位に応じて順位点(factored placement scores)が与えられ、各プログラムの順位点の合計によって最終的な順位が決定した。
こうした手順で順位が決定することを当然ジャッジ側も踏まえており、JIFを先に考えてそれに得点をあわせるような形で採点されることが通例となっていた面もあった。滑走順の早い選手に高い得点を与えてしまうと、後の滑走者がさらに良い演技をした場合に得点が飽和してしまうため、ある程度配慮してつけざるを得ないのである。そのため、競技全体として、滑走順が遅い選手ほど高得点が出やすく、滑走順の早い選手には得点を抑えてつける傾向があった。しかし、上述したように、得点の単純合計がすなわち順位に連動するというものではないので、滑走順による高得点の出やすさ・出にくさは試合結果(最終的な順位)には直接影響しないということもできる。
それよりも、順位点の合計で競うため、たとえばシングルにおいてショートプログラムで4位以内に入っていないとフリースケーティングでたとえ1位であっても最終的に優勝するような逆転は不可能であるなど、各プログラムの出来を揃えることが重要であった。 (現在の「ISUジャッジングシステム(いわゆる新採点システム)」においては、最終順位は、テクニカル・エレメンツ・スコア(技術点)とプログラム・コンポーネンツ・スコア(構成点)の単純な合計得点で競うようになり、各プログラムの順位より点数が重要になっている。つまり、絶対評価でつけられた点数の合計で最終順位を競うようになったため、どんな順位からでも大逆転優勝が可能になったのである。例えば、2006年スケートカナダでステファン・ランビエールがショート7位からフリー1位で優勝、2007年四大陸選手権でキミー・マイズナーがショート6位からフリー1位で優勝するなどしているが、これは旧採点方法では起こり得なかったことである。)
この旧採点方法に関して、技術点にすら採点の明確な基準が存在せず、採点は審判の主観に任せられていたとする見方もあるが、それは誤りである。実際は採点にあたっては一定の観点が定められていた。 ショートプログラムの「技術点(required elements)」においては、規定に定められた8つの要素を確実に遂行できたかを主眼に、要素の繰り返し、失敗した要素のやり直し、要素の省力、転倒、両足で着氷するものに関しての減点が定められていた。また、フリースケーティングの「技術点(technical merit)」には、
加えて、たとえば男女シングルのフリースケーティングにおいては、6種類あるジャンプを3回転以上で全種類入れることが暗黙の要求であったりするなど、実際は明文化されない部分を含めある程度の「技術的諒解」によって順位がつけられていたとみることもできる。ある時代までは、トリプルアクセル、トリプルルッツを跳べる男子すらごく少数であり、3回転ジャンプを全て揃えられるかどうかで差をつけることが可能であった。しかしやがて男子シングルの上位は6種類の3回転ジャンプを跳ぶことができることが当たり前となって差がつけにくくなり、以降、ライバルとの技術的差を4回転ジャンプに求めていくようになった。旧採点方法ではスピンやステップを明確に得点化することができず事実上ジャンプの成否が評価を左右したこともあり、下位選手も一発逆転の可能性に賭けて4回転ジャンプを積極的に試み取り入れていくようになり、2000年前後には空前絶後の『空中戦』と呼ばれるジャンプ発展時代がおとずれた(俗にいう男子シングル4回転時代とはこのことをさす)。
2005年山梨国体(フィギュアスケート競技の紹介の中に日本スケート連盟競技規則に基づく旧採点方法の解説あり)
「銀盤カレイドスコープ」(海原零、集英社スーパーダッシュ文庫、本作を原作とした、漫画・アニメ作品もあり)
種目: スペシャルフィギュア・コンパルソリーフィギュア・ショートプログラム・フリースケーティング・コンパルソリーダンス・オリジナルダンス・フリーダンス
ジャンプ: トウループジャンプ・サルコウジャンプ・ループジャンプ・フリップジャンプ・ルッツジャンプ・アクセルジャンプ
一覧: オリンピック歴代メダリスト・フィギュアスケート競技会・フィギュアスケート用語・フィギュアスケート選手

[ 4] フィギュアスケート - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88



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