マンガノゲンバとは?
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友達のいない陰気な女子高生・爽子。その風貌からホラー映画の「貞子」と呼ばれ、クラスメートから敬遠されていた。そんな爽子に初めて分け隔てなく接してくれる男の子・風早くんが現れる。クラスの人気者・風早くんとの交流を通じて、爽子と周囲が変わってくる... レビュアーは、感性アナリストの黒川伊保子さん。いじめられても全く被害者意識のない新しいヒロイン像の魅力を指摘。加えて「お互い小さなことでも役に立ち、感謝を言葉にして存在価値を確かめ合うことが、どれだけ人を成長させるか。社会にちょっと疲れた大人にも、人間関係の基本を作るヒントとなる作品」。 就職活動中の主人公・三島ジンは、お台場で元同級生の岡野なな子と出会う。その時、東京をマグニチュード8の直下型大地震が襲った...崩壊した東京を舞台に、震災からのサバイバルを描いた大地震シミュレーションマンガ。 これまで、イマジネーションを駆使した幻想的な作品を描いてきた古屋兎丸さん。「それだけでは作家としての限界が見えてしまう」と、今回の作品では初めて緻密な取材を行い、震災のリアリティーを徹底的に追及したという。その一方で、「阪神大震災から復興しているのを見ると、人間って強いんだって思う。災害の怖さだけでなく、そうした人間の強さを描きたい」。 主人公はスーパーの深夜警備員をしている32歳・富岡ゆうじ。これまで友達や恋人と呼べる存在がいなかった彼は、ある日得体の知れない不安に襲われて「友達が欲しい」と星に願う... レビュアーは、マンガ評論でも知られる大学教授・中条省平さん。「今の日本で、若い人は不安というものを非常に重要な感覚として持っている。その不安を笑いの中に封じ込め、最先端のギャグとして描いている」。 2002年8月、大地震が引き起こした地割れで本州が2つに分裂する。復興のためサウスエリアをアメリカに、ノースエリアを中国に管理され、分断国家となってしまった日本。その時まだ幼い少年だった柳舷一郎は、後に立派な青年として登場。分断した日本の再統一や離散した日本人の再結集を誓う。 「国家が分断されるほどの打撃から日本人は立ち直れるのか?」という壮大なテーマに挑むかわぐちかいじさん。書斎の本棚にある蔵書の中で、特別に思い入れのあるのがレオナルド・ダ・ヴィンチの画集だと言う。「ダ・ヴィンチが絵を描くために調べるエネルギー、理解できるまで絶対やめない探究心はすごい。自分は時間に追われると、たまにエイヤで描いてしまうことがある。そんな自分への戒めとして、折に触れて眺めている」。 姉の死をきっかけに、魂が体から抜け出す「幽体離脱」ができるようになった主人公・柾彦。幽体離脱を繰り返し、夜空を飛ぶ柾彦は、姉の死の真相や「幽体世界」の謎に迫ってゆく。 レビュアーは美術評論家の布施英利さん。幽体離脱した者同士が天空で出会うシーンから「それぞれ現実の社会ではしがない人間なのに、天空では別人のような輝きをもっている。遠く離れたところにいる人たちが、どこか共通の時空に集まって交流する・・・そんな幽体世界の描き方は、現代のインターネット上のコミュニケーション空間を象徴しているようだ」。 ボクシング元世界チャンピオンの花岡拳は引退後、居酒屋を経営するも、客入りは今ひとつ。ある日、拳は事業に成功したリッチマン・塚原会長に出会い、ビジネスの極意を学んでいく... マンガ家になる前に、洋品店経営で苦労した経験がある三田紀房さんにとっては、格別の思い入れがあるというこの作品。「3倍大げさに」「わかりやすく」「大胆な決めセリフ」という「三田流ヒットの法則」をここでも貫く。「ベタでださいことに自分は拒絶反応がない。むしろ気持ちいいくらい」。 大学時代、数々の山を制覇した名コンビ・平岡と三上。卒業後別々の道を歩んでいた二人が、新たに発見された未踏の8000m級の山に挑み始める。学生時代からの二人の友人で、今は三上の妻になっている靖子は、本当は平岡を愛していたことに気づく... レビュアーは精神科医の名越康文さん。「激しい愛ゆえに怖くなってしまい、その感情を無意識に抑圧してしまうことが女性心理ではよくある。三上を選択してから何年も過ぎて自分の真の愛に気づく場面、二人の男が山から生還したときに自分は二人とも失うだろうと予感する場面など、女性作家ならではの深い表現がある」。 気弱な少年だった幕之内一歩はある日、後の世界チャンピオン・鷹村守と出会い、ボクサーの道を歩み始める。ライバルとの激闘、仲間たちとの友情を通じて日本を代表するボクサーに成長してゆく一歩を描いた、長編ボクシングマンガ。 ボクシングへの深い愛情を作品に込めた森川さん。この作品の連載中に、自らボクシングジムのオーナーになってしまったという。様々なボクサーとの交流を通じて感じた「ボクサーが倒れずに頑張れる理由」が作品の根底に流れている。実直に描くのが信条という森川さん。「自分もマンガに頑張る。他の職業の人も頑張る。その『頑張る』を伝えたい」。 時代は幕末。あてもなくぶらぶらしている、少し間抜けな浪人・鈴森岩十郎。賞金首・寛壱に遭遇した岩十郎は、百両目当てに寛壱をつけ狙い始める... レビュアーは書評誌編集長・横里隆さん。ほんの端役にまで延々とモノローグを語らせる斬新さを指摘。「読者を次々と登場人物に感情移入させてジェットコースターのように翻弄する」。「人の愚かさ、情けなさをエンターテイメントとして笑い飛ばす域に達している」。 「瀕死のタウンガイド オーイ・メメントモリ」 しりあがり寿 1999年〜 (メディアファクトリー「ダ・ヴィンチ」) 生と死の狭間をさまよう「瀕死のエッセイスト」が、「いま話題のスポット」を訪れては生と死について考え、悩み、「メメントモリ!(死を想え)」と叫ぶ。タウンガイド形式を取りながら、時に鋭い視点から生と死を捉える異色の作品。 一見ヘタだけどウマい「ヘタウマ」な絵に自分の可能性を見出し、そのスタイルを貫いてきたしりあがりさん。「オーイ・メメントモリ」では、死に直面する人間の悲壮感をラフなタッチの細い線で描く手法を編み出した。「笑うことで、死ぬことそのものが、ちょっとでも恐くなくなれば」。 「リストランテ・パラディーゾ」 オノ・ナツメ 2005年〜2006年 (太田出版「マンガ・エロティクスF」) 舞台はローマ。主人公の若い女性・ニコレッタは、「雇用条件が老眼鏡着用」という風変わりなレストランで働き始める。そして給仕長の老紳士・クラウディオに恋心を抱き始める... レビュアーは、恋する男女の心理を脳機能研究の立場から分析する感性アナリスト・黒川伊保子さん。「老眼鏡紳士の魅力に目をつけたところが素晴らしい。老眼鏡の男性が、近い距離の相手にゆっくりと目線を合わせるのはとてもセクシー。初老の男性は男性ホルモン分泌量が減ってきて、じっくりと目の前の女性の話が聞けるようになってくる。そこがまた魅力。現実の40代、50代の男性もぜひこんな大人の男を目指してほしい」。 一旦解散したオーケストラが再結成することになった。練習会場に現れた指揮者は、メンバーが誰も知らない怪しげな老人・天道。半信半疑で始まった練習だったが、天道の指揮によってオーケストラの音が見違えるように変わってゆく... 天才ピアニストを描いた作品「神童」で、音楽マンガの扉を開いたと評価されるさそうさん。「マエストロ」では、少年の頃からあこがれの存在だった「指揮者」を描くことに挑戦。「演奏者から優れた音を引き出す力をもち、主人公のキャラに合った破天荒な一言」を生み出すことに心血を注いでいる。 「らぶきょん〜LOVE in 景福宮」 パク・ソヒ(翻訳・佐島顕子) 2006年〜 (新書館「ウンポコ」) 韓国で2002年から連載され、大ヒットとなったマンガの日本翻訳版。「韓国にまだ王室が続いていたら」という架空の設定で、ごく普通の女子高生と皇太子の結婚生活を描いた王宮恋愛コメディ。 レビュアーは、韓国のエンターテイメントに詳しいライター&ナビゲーターの田代親代さん。「究極のシンデレラストーリーに、愛や権力に対する一途なまでの思い、韓国独特の感情・恨(ハン)が見事に凝縮されている。『韓流ドラマの王道』をマンガで満喫できる作品」。 2003年に連載が始まった「金魚屋古書店出納帳」の続編。「そこを訪ねれば見つからないマンガは無い」と言われるマンガ専門古書店・金魚屋。老若男女を問わず様々な人たちが、思い入れのあるマンガを求めてこの店を訪れる...さまざまな名作マンガが実名で登場する、異色の心暖まる人間ドラマ。 芳崎さんは、作品に登場するマンガ作品の選定やエピソード作りのため、足を運んでマンガ収集家やファンの生の声を取材している。「『マンガが人と人、人と世の中をつなぐ絆になる』ということを描いていきたい」。 人間を間引く法律が制定されている20××年の日本。突然の死亡予告証“イキガミ"を受け取り、24時間後の死を宣告された若者の、最後の生き様を描いた物語。 レビュアーは精神科医の名越康文さん。「青年誌掲載のマンガだが、30代40代の人にも勧めたい。その年代になると自分の人生を想像力の中で振り返ることができる。登場人物にシンクロするうちに、自分がなぜ生きているのか、何が本当に大切なのかにはっと気づく瞬間があると思う」。 「アタゴオルは猫の森」 ますむらひろし 1999年〜 (メディアファクトリー「コミックフラッパー」) 1976年から描き続けられている「アタゴオル」シリーズの最新作。舞台は自然豊かな土地、ヨネザアド大陸のアタゴオル。陽気なデブ猫・ヒデヨシと、常識的な人間の青年・テンプラたちの何気ない日常や冒険を描いた、メルヘンファンタジー。 「人間中心でしか描かれないマンガを、自然代表、声なき声の代表として猫の側から描いてみたかった」と、さまざまな猫のファンタジーを描いてきたますむらひろしさん。「銀河鉄道の夜」など、宮沢賢治の世界のマンガ化でも知られている。「アタゴオル」シリーズでは30年間にわたり、「自然と人間の共存」というテーマを文学ではできない表現で描こうとしている。 世界各地に伝わる神話・伝承。それらの裏に隠されている歴史の真実を、異端の民俗学者・宗像教授が解き明かしてゆく伝奇ロマン。 レビュアーは小説家の夢枕獏さん。古代史の事実の隙間にフィクションを入れていく作者の手腕に感服。「小説なら描くのに何十枚もかかるような登場人物の人生や想いを、たった1コマで感じさせてしまう。マンガ表現の素晴らしさを実感させてくれる作品」。 古代中国。科挙に合格し都で役人になった秀才・李成潭は、なぜか国家機密の神仙調査機関に配属される。上司の龍玉将軍にこき使われながら、妖怪退治に奔走する李成潭であったが... 「陰陽師」など、常に斬新な手法でマンガを描き続けている岡野さん。この作品では毛筆だけで絵を描いている。墨の微妙な濃淡と、躍動感溢れる筆遣いによって、幽玄な神仙たちの世界を創りあげた。「読み手に元気を与えるエネルギーを発するような絵を描きたい」。 幕末の江戸へワープしてしまった現代の脳外科医・南方仁。南方は、現代最先端の医術を駆使して江戸時代の人々を救ってゆく。 レビュアーは、世界60カ国で医療援助活動を行ってきた医師・山本敏晴さん。山本さんは海外で、道具も何も無い状況で手術をした経験から南方仁の行動に共感。「限られた器具や環境でも、この主人公のように最善の努力をして目の前の人を救っていくのが間違いなく大切なこと。医療関係者を目指す人に読んでほしい作品」。 大学1年生の菅平くんが下宿を始めた家は、女性ばかり4世代5人暮らしの古いお屋敷。何やら怪しげな雰囲気の漂うこの屋敷に君臨するのは、102歳の老女・エリザベスだった...強烈なキャラのエリザベスを中心に展開する、破天荒なコメディマンガ。 21歳の時脳梗塞で視野の一部を失いながらも、「マンガ家は天職」と生き生きしたキャラを描き続ける山下和美さん。「40代以上の女性読者もまだまだいける!と元気が出るように」生み出した、前代未聞のパワフルヒロイン・エリザベスを描くときは、豪快ながら可愛げのある表情作りに苦心する。 鎌倉の女子高を舞台に、「恋人」だった従妹との別離、先輩への憧れなど、女の子同士の感情の揺れを繊細に描いた物語。 レビュアーは感性アナリストの黒川伊保子さん。「可愛い、憧れる、一緒にいたい...そんな感覚を学校へ行く糧にする。誰でも少女の頃はそういう時期があるもの。思春期の女の子はいろいろな悩みを抱えて自分が好きになれなくなりがちだけど、そういう人こそこのマンガを読んで、等身大の自分を愛してほしい」。 舞台は一見平和な「そいるニュータウン」。奇妙な一家失踪事件をきっかけに、人々の悪意、昔の大量殺人事件など、町の闇が表出してゆく... 高校時代に出会ったロウブロウアートの力強い線に憧れ、試行錯誤の末、人物から背景まですべてを筆ペンだけで描きあげる独特の画風を完成させたカネコアツシさん。「面より、線で描く絵が好き。線の強弱やリズムで酔えるような絵が描きたい」。 レビュアーは精神科医の名越康文さん。一癖も二癖もある登場人物が見せる優しさこそ現代の日本に欠けているものと指摘、「『自分の中にいる得体の知れない自分』を受け入れる過程の中でこそ、他人への優しさは身につくもの。それを見事にドラマとして描き切っている」。 主人公は、少しアウトローで霊感の強い少年・日野耳雄。彼の周りには、怖いながらもどこか面白い、ヘンな妖怪ばかり現れる...ちょっと怖いけど笑える「ホラーギャグ」マンガを確立したといわれる押切蓮介さん。自ら結成したテクノバンド「カイキドロップ」のライブでも、歌や映像を使ったホラーギャグの仕掛けを用意。自分の笑いの感性が観客とずれていないかチェックしている。「何でも妖怪のせいにしてみる」ため、パソコンには思いついたお茶目な妖怪ネタが大量にストックされている。 レビュアーは教育評論家の尾木直樹さん。「10年前なら大人や教師が夢やモラルを話すことができたが、今は嘘くさいと思われてしまう。でも思春期の子供たちには、今でもそういうテキストは必要。この作品の登場人物の言葉は、読者の少年たちにメッセージを届ける力を持っている」。 事故のため自らのゴルフ人生を閉ざした、かつての天才ゴルファー・杉本真がゴルフの才能あふれる少女・ひかりと出会う。杉本はひかりを育て、ともに世界の頂点を目指してゆく。 「あまりゴルフに興味が無い青年誌の読者に、いかにマンガとして読ませるかを考えている」と言うかざま鋭二さん。プロゴルファー・坂田信弘氏との仕事を通じてスイングの重要性を知り、リアルなスイングの絵を追求。肩のバランスやドライバーとアイアンショットの描き分けなどは、ゴルフ通をも唸らせるものとなった。「この作品を読んで、ゴルファーを夢見る女の子が増えてくれるとうれしい」。 普通の人々の甘くもあり苦くもある様々な人生の断片が、コーヒーを通して暖かく優しく綴られる、連作短編集。 レビュアーは、美術解剖学を研究している評論家の布施英利さん。この作品に見られる様々な仕掛けが右脳と左脳の働きの違いに見事に呼応していると指摘。「全編を通して静かな時間の流れがあり、脳を常にフル回転させて疲れている現代の人にこそ読んでほしい作品」。 主人公は小学4年生の平勝平太。ある日、父が仕事先から持ち帰った材料でレーシングカートを作り、勝平太に与える。まっすぐに走らないカートを乗りこなす勝平太はみるみるドライバーの才能を発揮してゆく... これまで様々な「天才」を描いてきた曽田正人さん。「ただ天才だから速い、というマンガにはしたくない」と語る。そのため、速さの裏付けを技術も含めて丁寧に描写する。また、レースそのものだけでなく、普段は見られない舞台裏のドラマなども描くため、サーキット場のあらゆる場所を取材している。 戦国時代に立身出世を目指しながら、茶の湯と物欲に魂を奪われた男、織田信長の家臣・古田左介。左介を中心に、数々の戦国武将たちが茶の湯の名物に執着する姿を描いた異色の歴史マンガ。 レビュアーは精神科医・名越康文さん。「美の世界に徹することもできず、上昇志向だが出世するには器が小さい主人公・左介の姿は、21世紀の日本人の姿そのもの。だから共感する。豊かでも空虚感が蔓延する現代を生きるヒントが、茶の湯の名物の『質や深み』に魅せられる人を描くこの物語にあるのではないか」。 食べ物を巧みに織り込んだ、8ページ1話完結のショートストーリー。太めでメガネの中年男・大森さん、通称「ピータン」を軸に、恋や仕事など、日常のありふれた出来事をコミカルかつ時に切なく描いた作品。 「楽しいことは特別な日ではなく、普段の暮らしの中にある」と語る伊藤理佐さん。散歩に出かけながらネタを考え、何気ない行動や言葉をストーリー作りのヒントにしている。 主人公は大きな団地に住む小学生・ともお。ともおと家族や友だちが織りなす、ほのぼのとした日常を描いた物語。 レビュアーは、児童文学の翻訳家・金原瑞人さん。極上の短編小説のような、何気ないセリフを効果的に響かせる使い方に驚くとともに、「ともおは取り柄がなくても幸せそうだし楽しそう。こういう子どもっていいよな、自分の子はこんな風に育ってるかな、とふと考えさせる作品」。 「ジョジョの奇妙な冒険」 荒木飛呂彦 1987年〜 (集英社「週刊少年ジャンプ」→「ウルトラジャンプ」) 1987年より連載が続いている大河ロマン。ジョースター家とディオの確執を、シリーズごとに時代や場所を変えながら描いてゆく。 「かっこよさではなく、美しさを追求したい」と語る荒木飛呂彦さん。ミケランジェロに影響を受けた登場人物の独特のポーズは後に「ジョジョ立ち」と呼ばれ、振動や気配まで伝える擬音表現も荒木さんならでは。独創的でスケールの大きい荒木ワールドを展開し、後進のアーティストたちに多大な影響を与えている。 絶対音感と熱いハートをもつ獣医・岩城鉄生が、様々な困難を乗り越えて動物たちの命を救う、熱血獣医師の物語。 レビュアーは、命の尊さを科学的な視点から研究している大学教授・高木美也子さん。「主人公が『この世の中に生きている意味がないものなんてない!』と言い切るセリフが作品を象徴している。また、ペットも子供も深く愛しているようで実は相手に投影した自分を愛しているだけ、というエピソードなど、考えさせられるところの多い作品」。 大正時代、骨董屋「雨柳堂」店主の孫息子・蓮は「物に込められた想いを知る力」を持っていた。“もの"に宿る想いを通して、その所有者の愛憎や時代に翻弄された運命を描いた幻想譚。 歴史ある街・金沢で、大好きな工芸品に触れながら生まれ育った波津彬子さん。若くしてこの世を去ったマンガ家の姉・花郁悠紀子さんのアシスタントをしながら、点描やかけ網といった技術を受け継ぎ、「どのコマも大事なんだ」という精神を学んだという。手書きのニュアンスを究め、背景や細やかなデザインの骨董品を丁寧に描いていく。 世界の果てのゴミ捨て場。ぬいぐるみ、ラブレターなど、捨てられた「もの」たちの切ない思いが詩的に描かれる。 レビュアーは書評誌編集長・横里隆さん。「この作品は現代の寓話。『落ちこぼれていることは生きる価値がないことなのか』と問いかけてくれる。自分の居場所がない、息苦しいと感じている人に読んでもらいたい作品」。 小学6年生のユカは、おしゃれが大好きでスタイル抜群。見た目はモデル並みだが、中身は子供そのもの。天真爛漫なユカを中心に繰り広げられる数々の騒動を描いたコメディーマンガ。 「子供の時の感覚のまま描いている」と言う東村アキコさんの周囲には、普段から笑いが絶えない。そのユーモアの原点は、父の健一さん。「子供の頃の実体験や父とのエピソードがそのまま作品に活かされている」と語る。 「ピアノの森」 一色まこと 1998年〜 (講談社「ヤングマガジンアッパーズ」→「モーニング」) 幼い頃、森に放置されたピアノと出会った主人公のカイ。指導者やライバルと出会い、徐々にピアニストとしての才能を開花させていく... レビュアーは音楽構成作家・新井子さん。「カイが初めてショパンを弾きこなせたときに擬音もピアノを歌わせているような表現に変えるなど、ピアノの音表現へのこだわりを感じる。2人の少年を使って芸術家の心の中の矛盾や葛藤を描いているようで目が離せない」。 普通の中学生だった主人公のコユキは、ある日、帰国子女の天才ギタリスト・竜介と出会う。コユキは竜介らとバンド“BECK"を結成し、さまざまな試練を乗り越えてゆく。 「マンガは音が出ないから、読者に音を想像してもらえるのが武器になる」とあえて音楽マンガに挑んだハロルド作石さん。楽器や演奏者の動きのディテールにこだわる一方で、コマの流れやテンポに非常に気を使っている。 球は遅いがコントロールは素晴らしいという卑屈なエースを筆頭に、個性豊かなナインが新設された野球部で甲子園を目指す。新感覚の野球マンガ。 レビュアーはスポーツライター・生島淳さん。野球マンガでは珍しい、女性作者ならではの繊細なキャラ描写に驚くとともに、緻密な取材に基づいていると思われる、日常のトレーニングシーンの描き方に感心。「現状に即した知識や情報がすごくあって、流行のメンタルトレーニングにもまっすぐに取り組んでいるところが興味深い」。 「キャプテン翼」シリーズ高橋陽一 1981年〜 (集英社「週刊少年ジャンプ」→「週刊ヤングジャンプ」) 1981年から始まり、現在も「キャプテン翼 GOLDEN23」として連載が続けられている人気サッカーマンガ。主人公はサッカー大好き少年・大空翼。日向小次郎、若林源三、岬太郎といった個性あふれる仲間たちと世界の頂点を目指していく。サッカーマンガの草分けといえる作品、 「連載初期はマンガの中で読者にサッカーのルールを説明していた」と言う高橋陽一さん。翼やライバルの「必殺技」などで読者の子どもたちを引きつけ、現在のサッカー人気の礎を作った。 細菌を直接目で見ることができるという特殊能力を持った主人公がある農業大学に入学。擬人化された様々な菌たちと、農大の学生たちで展開するユニークな学園物語。 レビュアーは精神科医・名越康文さん。ユーモラスな細菌たちの表情に注目。「天気がいいだけで幸せな気分になったような、『ご機嫌』な表情をしている。それは現代人が最も忘れてしまった表情かもしれない。心も体もほだされて、なごまされる」。 主人公は広告代理店で働くミナミ、27歳。恋に仕事に揺れ動き、悩みながらも少しずつ前に進んでいく。働く女性の葛藤、生き様を鮮やかに描いた作品。 作者のおかざき真里さんは、かつて広告代理店でCMプランナーとして活躍していた。CM制作のため、1日10枚、年間3千枚画コンテを描いた経験をマンガに生かし、「浮きゴマ」と呼ばれる独自のコマ割りを生み出す。 レビュアーは、語感を通して人間の感性を分析する感性アナリスト・黒川伊保子さん。ヒロインが「おかえり」という言葉に支えられるエピソードから、「男社会の中で頑張り過ぎてしまう女性を癒してくれる作品。こういう切ないマンガにふれて、たまにはワンワン泣くのも大事」。 大学卒業後もバンドを続けるが、音楽に本気になれないフリーターの種田と、そんな種田にいら立つOLの芽衣子。バンドを軸に描かれた、少しほろ苦い青春物語。 「個性的なキャラで引っ張るより、普通の話をマンガ的に見せたい」と語る浅野いにおさん。高校時代に不条理なギャグで注目されるも、その後長いスランプを経験。スランプ突破の鍵は「マンガ漬けで社交性がなかった自分を変えて友達をつくったこと」。 「大使閣下の料理人」 原作・西村ミツル 漫画・かわすみひろし 1998年〜2006年 (講談社「モーニング」) 実際に大使館で料理人として働いていた西村ミツル氏の回想記が原作。「公邸料理人」を通して外交の最前線を描いた物語。 レビュアーは銀座のクラブのママであり作家の、ますい志保さん。「常連客が外国からの商談相手を接待するために店にやって来ることも多い」と言うますいさんは、「一番大切なのは相手を理解しようとする気持ち。単なるイエスマンにはならない懐の大きさも必要、とこのマンガから学んだ」。 1991年に連載が始まった大ヒット格闘マンガ「グラップラー刃牙」の第3シリーズにして完結編。主人公・範馬刃牙は、父親であり地上最強の生物として君臨する範馬勇次郎と、長年の争いに決着をつける最後の闘いに挑んでいく。 1コマの絵の迫力にこだわるため、コマごとに切り離して描く手法をとる板垣さん。いったん作画に入ると途中に休みも入れず、極限まで自分を追い込みながら一気に描き上げる。「僕にとっての強さは、わがままを通す力」。 「お金」という切り口から様々な業界を徹底取材し、各業界の「儲かる仕組み」を描いた、オトナ向けの社会科見学マンガ。 レビュアーは「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者、公認会計士の山田真哉さん。「実社会ではピンチになったら大抵ダメになるもの。だから経済マンガはピンチを切り抜けすぎると嘘臭くなってしまう。この作品は、『ダメになるけど別の希望を見出す』という結末のつけ方が上手い」。 破天荒な警察官・両津勘吉が、旺盛な好奇心と驚異的な行動力で周囲の人間を巻き込み、大騒動を巻き起こす、一話完結型のドタバタギャグマンガ。 週1回の連載を、30年間休むことなく続けてきた秋本治さん。両さんは出世せず、主な登場人物も変化させないかわりに、エピソードに時代の流行とウンチクを注ぎ込む。そのため常に取材のアンテナを張り巡らしている。「主人公・両津の顔は50万回以上描いたけど、いまだにうまく描けないし、何度描いても飽きない」。 吉川英治の「宮本武蔵」を原作にして、作者の大胆で斬新な解釈から宮本武蔵、佐々木小次郎ら剣客たちの姿を生き生きと描く。 レビュアーは、古武術研究家・甲野善紀さん。原作には書かれてない幼少期から丁寧に描いて創り上げた「井上版小次郎」像や、命を懸けて斬り合う中で、自分と相手が一体化するような武術の達人の身体感覚の描写に注目。「武士という、日本の風土が生んだ人間の有様が描かれている」。 主人公・百太郎は老人介護の現場で、在宅痴呆、介護虐待といったシリアスな問題に立ち向かう。これまで誰も描かなかった「老人介護」というテーマに正面から取り組んだ作品。 介護の大変さが言葉だけでなく絵で伝わるよう、表現にギリギリまで工夫を凝らしている。「人間の強さと弱さに直面するドラマが凝縮されているから、このジャンルに挑みました」。 |
[ 149] マンガノゲンバ
[引用サイト] http://www.nhk.or.jp/genba/list.html
