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久々に瀬尾まいこを読んで、そう思った。悪いわけではないのだが、あまりに素直な物語に拍子抜け。ネットの本読み人仲間であまりにも好評だったので期待しすぎたのだろうか。凡庸な小品佳作な物語としか感じられなかった。勿論、このほんわかとあたたかい風合いが、この作家の魅力であることは認める。しかしひっかかることなく一時間弱で読み終えたこの一冊に、残念ながら、ぼくはあまり感じるものはなかった。それはもしかしたら主人公の「占い師」という職業に、物語の期待を置いてしまったからなのかもしれない。
主人公のルイーズ吉田は、上司との折り合いが悪いことより三年前、勤めていた事務用品を扱う会社の営業を辞めた。一人暮らしを始めたばかりで、収入を確保するためにアルバイト雑誌で見つけた高額時給1,200円に引かれ、ジュリエ数術研究所」のドアを叩くことにした。所長のジュリエ青柳は「当たるも八卦、当たらぬも八卦」がモットーらしく「結局適当なことを言って、来た人の背中を押してあげるのが仕事なのよ」といかさまのようないかしたことをいい、主人公はたった二日間の研修で占い師をすることになった。ジュリエ青柳に褒められたちょっとアンバランスな顔つきと、営業で鍛えた話術を武器に、にわか占い師として占いを始めることになった主人公だが、たった二日の研修で占いを熟知できるわけもない。当初は占い本を駆使して真面目に占いをしていたが、元来算数の苦手なこともあり、しょっちゅう計算を間違える。お客さんが帰ったあとでそれに気づくこともあり、またどう見ても占いの本に書いてあることと正反対にしか見えない人もおり、そうこうしているうちに直感で占いをするようになった。お客さんの誕生日や、名前を聞いて計算している振りをして、お客さんの話し方や容姿を見て判断する。本に頼らない自分の言葉だから説得力があり、いつしか不思議なことに、主人公の占いは当たると評判になっていた。そして一年前に独立し、ショッピングセンターの片隅で占いをするようになった。一人、二十分三千円也。一日平均20人を占うから、合計6万円。場所代、諸経費を差し引いてもいい儲けになる。そんな占い師、ルイーズ吉田の物語。ちなみにルイーズ吉田とは、ジュリエ青柳がつけてくれた営業用の名前、本名は恐ろしく一般的な吉田幸子という名前。
ものは言いよう。この作品では、冒頭に占い研究所の所長ジュリエ青柳が語るとおり、人の「背中を押してあげる」ことが、商売としての「占い」のスタンスであるとしている。つまり、計算で求められる結果をそのまま伝えるより、お客さんの様子を観察し、直感でお客さんの求める答えを返すことが「占い」だと。それはある意味、街角に立つ占い師の位置づけをカウンセラーとして捉えるという観点でみるとき間違いではない。人が誰かに何かを相談するとき、本人の心のなかでその八割は進むべき道の決断はついていて、あとは誰かに同意してほしいだけだという話をどこかで聞いたことがある。ひとは決断をするとき、なかなか一人では決断しにくい。だから、占いや神様を信じるのかもしれない。そういう意味で、この作品で言う占い師が「背中を押してあげる」ということは決して目新しいことではない。ある意味、インチキ占い師。それが商売として成り立つなら、それでもよいと思う。
しかしちょっと困ってしまったのは、この作品の占い師は決して計算による結果をないがしろにしているわけでなく、計算結果を選んで伝えることも占い師の妙としていること。それはそれでいいのだが、そうすると主人公のルイーズ吉田が占い師を始めた当初、計算を間違えたり、あるいは占いの本が指し示す内容を伝えられなかったというエピソードはどうなるのだろうか。作品のなかでルイーズ吉田は、自分の性格を分析し「一つのことにひっかかるとそれ以上進めず」と述べているが、ぼくもここにひっかかってしまった。あれ?直感じゃなかったっけ?それが売りじゃなかったっけ?
直感だけで占うのがルイーズ吉田の占いであり、そしてそれが評判となり独立したのであれば、占いの計算結果はこの作品では不要ではないだろうか?あくまでも普通の占いの本にはない「ルイーズ吉田の直感による占い」がこの占い師の売りである。そして、それは作品のなかでも占い研究所の所長ジュリエ青柳によっても何度も語られる。もちろん作品的には、最終的にはこの占い師の「直感」をして作品を締めるわけだが、なにかちょっと中途半端な印象を持った。それは第四話で主人公のアシスタントとして新たに登場する竹子さんが、正当な算術占いを行なうとか、あるいは主人公自身が、占いの結果を気にし、強運の持ち主である現在の恋人通彦を、もとの恋人から奪いとったりとか、直感を売りにした主人公の物語の割に、正当な「占い」にふりまわされている様子がいたるところに見られるところにも感じられる。かといって、自分のことになるとというギャップの妙を楽しませるほどでもない。
いや、この作家の持ち味は、そういた理路整然とした物語のそれでなく、あくまでも微笑ましく、あたたかな雰囲気であるという人もいるだろう。またしても、ぼくが違うものを求めているのかもしれない。しかしそうだとしても、ひとりの読者として、ぼくはこの辺りをもう少しうまく書いて欲しかった。
通彦の突拍子もない料理だとか、お客さんがもってきたお土産は、例えそれが八丁味噌であろうが、その場で食べきってしまうというジュリエ青柳のエピソードも、何かもう少し物語と絡めて活かして欲しかった。このふたりの特殊なエピソードは、何度も物語のなかに出てくるわりに、物語に絡むことも、またそれぞれの登場人物の性格を際立たせるものでもない。唐突なエピソードにしか、ぼくには思えなかった。
ルイーズ吉田の前にちょこんと座ったのは、小学生の男の子。祖父母にもらったお小遣いで占いを頼みに来た。どっちのスーパーに買い物に行くべきか?図書係と掲示係、どっちになるのがいいのか?そんなある日、彼が放った質問は「お父さんとお母さんどっちにすればいいの?」。少年の一生を決める質問に、ルイーズ吉田は調査に乗り出した・・。
いまどきのよくいるタイプの女子高校生が相談に来た。「気を引きたい人がいるんだけど」。恋の相談だと思い、その場しのぎで適当に答えるルイーズ。言うことをすべてそのとおりにしても、全然効果がないと何度も店に現れる女子高校生。実は彼女が気を引きたい相手とは・・。
ある日ルイーズの前に「おしまいが見える」という青年が、ルイーズの手伝いをさせてほしいと現れた。彼の驚くべき能力を見せつけられたとき、青年はルイーズに告げた。「ルイーズさんの何かが終わりに近づいている」。クリスマスも近づく中、動揺してあわてるルイーズ。彼女のおしまいとは・・。
新たに、アシスタントを雇ったルイーズ。竹子さんというその女性は普段着でどたばたと仕事をするそんなタイプ。計算で出た結果を、お客さんの気持ちも考えずにそのまま伝えてしまう、そんな女性だった。その竹子さんがルイーズの彼、通彦を占ってみると、強運のはずの彼の運が真っ暗闇にはいろうとしているという。彼の運をとりもどそうと、躍起になるルイーズだったが・・。
作品としては、占い師ルイーズ吉田がお客さんから頼まれる占いが、なかなか正解といえる回答に辿り着かない「ニベア」「ファミリーセンター」という前半のふたつの作品は気に入った。主人公は占い師本人でなく、占いを頼むお客さんといえる物語二編。
逆に、ルイーズ吉田自身が主人公となる「おしまい予言」「強運の持ち主」の二編は、どことなく中途半端。「おしまい予言」は正直、なんだかよくわからなかったし、最後の「強運の持ち主」も、この主人公の何を書きたかったのかがわからない。彼女自身がもっと空回りしたあげく、最後に自分の本当に信じるものを見つけるという物語でもよかったのではないだろうか。あるいは、人と出会うことで主人公が成長する姿を、もっとわかりやすく書いてもよかったのではないか。決して悪いわけではないのだが、なにかすっきりとしない、そんな読後感が残った。
またもやネットで仲のよい方々に評判のよい作品に物申すになってしまったが、ぼくの感想は間違っているのだろうか?根本的な思い違いがあるのだろうか?
追記:レビューを一旦アップしたものの、どうも収まりが悪い。決算で忙しい終電間際の電車のなかで、もう一度考えてみた。その結果おぼろげながら、作品を中途半端に思えた理由が見えてきたような気がする。
この作品は、先にも述べたが前半と後半の作風が違いすぎる。同じ主人公ではあるが、性格の違うふたつの作品がひとつの作品として、それも前半と後半に分かれて載っていることが問題なのではないだろうか。前半はいわゆる日常の謎系ミステリーの物語、後半はある若い女性の物語とすっぱり分かれるから一冊の作品とみたときに収まりが悪いのではないだろうか。これが、例えば交互に語られ、また、そのつなぎをもう少しうまく書けば、もう少し座りのいい作品になったのではないだろうか。
そう思ったとき、あぁ、ぼくはおだやかであたたかな日常の謎系のミステリーというジャンルを好ましく思い、この作品を読み始めたときそれを期待していたのかなと、思った。この作品の場合、前半はとても好ましかった。
そしてこのことを追記することで、たぶんぼくが感じた違和感について、ほかの人にも納得してもらえるのではないかと思うわけなのだ。どうだろう?
この本に関してはあまり深く考えなかったからかな?特に違和感は持ちませんでした。瀬尾さんが好きですから贔屓目で見てしまったかもしれません。
確かに前半と後半印象が違いますね。私も前半部分のほうが好きだったので、物語の内容も前半二つの方がよく覚えています。
日常の謎系ミステリーに限らず、連作短編集は最近、独立した物語がぽんぽんと続く前半と、主人公自身について描かれ、全体をまとめる後半にくっきり分かれ、雰囲気も違うことが多いですね。長さの割合として、主人公についての最終話が、他のそれぞれの短編と同じくらいだと、まだ違和感がなくなるような気がします。
トラバ有難う御座います。凄い立派な記事でトラバ返しするのが恥ずかしいのですが^ ^;トラバさして貰いました♪最近、瀬尾さんにはまってます。
嫌いではないけど、物足りなさの残る作品でした。いや、何も残らなかった作品かもしれません(^^;でも瀬尾さんの作品は文章を読んでいるだけで幸せを感じることができます。多分、食べ物のせいだとは思いますけど(^^;
>紅子さん ぼくはこういう何気ない日常風景を描いただけの作品が、どうもあまり得意でないようです。「日常風景」でも構わないのですが、どこかに、心に触れ、ふるわせるようなものが欲しいです。
会社をやめて占い師に転職した、ルイーズ吉田こと吉田幸子。彼女の占いを頼ってくる様々な人々のかかえる悩み。それらの相談事に対してルイーズが出す占いの答えは…。「ニベア」「ファミリーセンター」「おしまい予言」「強運の持ち主
OLが性に合わなかったので占い師になったルイーズ吉田。今日もショッピングセンター二階の4畳のスペースで20分3000円で占うのだ。
物語の進み方もゆるゆるとしていて、読んでいて心地がいいし、読みやすい。そして読み終えて明るく前向きな気持ちになれます。ちょっと物足りないかな?とは思いますが、それも含めてたまには(たとえば疲れている時とか)こういう本をのんびり読むのもいい....
あれ。瀬尾まいこさん、作風が微妙に変わったかな?今までの瀬尾さんの作品には必ずあった、痛々しさを、この作品からは感じなかった。
瀬尾まいこ月間でもありますからね。家族モノか学校モノかと思っていたら、恋人モノでしたね。そういえばこういう恋人モノもある!!
にしても、よく思うんだけど、瀬尾まいこ小説に登場する男子(彼氏)はみんなこの本の通彦みたいな性格....

[ 124] 「強運の持ち主」瀬尾まいこ - 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜 - Yahoo!ブログ
[引用サイト]  http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/40646707.html

元OLの売れっ子占い師、ルイーズ吉田は大忙し! ある日、物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れる。ルイーズにもおわりの兆候が見えると言い出して…。表題作ほか3編を収録した連作短編集。
〈瀬尾まいこ〉1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本「卵の緒」でデビュー。「幸福な食卓」で吉川英治文学新人賞を受賞。
ショッピングセンターの片隅の占い師・ルイーズ吉田。彼女の元には「彼をふり向かせたい」「彼の好きなタイプの女の子になりたい」「結婚したいけれどできるでしょうか」という同じような悩みを持った女性たちが押し寄せます。当たるか当たらぬかは神のみぞ知る。どうにかしたい女の子たちの背中を押すのが仕事と割り切ったルイーズは、いつのまにか「よく当たる占い師」としてちょっと名前が売れ始めています。彼女自身には公務員の彼(同棲中)がいるのですが、彼は占いではまれにみる強運の持ち主。そしてルイーズとも相性がばっちり。強運かどうかはともかく、相性だけはいいみたい。彼の作るハンペン入りのカレーや、葛入りのおでんに我慢が… 
今までの瀬尾まいこの作品のタッチからすると微妙にちがっていて、何だかへー、という思いを抱いた。いや、別に悪い意味ではなく。今まで瀬尾まいこと言えば家族問題を取り扱った作品、というイメージが強かったのだが、今回はちがう、そこに私は新鮮な驚きを感じたのである。明るく突き抜けた作品だと思う。主人公ルイーズ吉田は占い師。直感で適当なことを言っていればお金が入ってくると考え、実践している。こう書くとすごく悪い人間のようだが、それはルイーズなりの占いのやり方なのだから、一概に詐欺だとかは言えないだろう。もっとも私は全く占いなるものを信じないのでこの本を読んで、ルイーズの適当な占いに振り回される人々ににやに… 
何と13ヶ月ぶりの待ちに待った新刊。瀬尾さん特有の歯切れのいい文章は健在である。瀬尾さんお得意の“食べ物効果”も恋人通彦の雑な料理を通して微笑ましく描かれている。どういう作品か瀬尾さん流に言うと・・・“ちょっとした気持ちの持ち方次第で明日は開けるのだ。”まず、本作の内容を簡単に説明しますね。意外と奥が深いので2回読むことをオススメしたい(笑)主人公はルイーズ吉田(吉田幸子)。短大を出てOLとなるが上司と折り合いが悪く半年で辞め、「ジュリエ数術研究所」にてアルバイトで占いを始める。1年ほど前から独立し1人でショッピングセンターの2階の奥で営業中である。恋人の名は通彦で同棲中。彼は以前に前の恋人に… 

[ 125] オンライン書店ビーケーワン:強運の持ち主
[引用サイト]  http://www.bk1.jp/product/2673737

文章:梅村 千恵(All About「話題の本」旧ガイド)瀬尾まいこの最新作。元OLの占い師・ルイーズ吉田、オーラは見えないけれど、霊視もできないけれど、けっこう人気。彼女のもとを訪れるのは・・・『強運の持ち主』・瀬尾まいこ(著) ・価格:1365円(税込)■元・OLの占い師・ルイーズ吉田。特別な能力があるわけじゃないけれど・・・、瀬尾作品らしいユーモアにあふれた軽やかな作品。そして・・・ 『図書館の神様』『天国まではまだ遠く』『優しい音楽』など、けっして偉大ではないが、かえがえのない存在である人の、けっして特別ではないが、ありきたりでもない日常を、独特の切り口で切り取った作品で人気の高い著者の最新作。 「私」は、元OLの占い師。ルイーズ吉田という名前で、ショッピングセンターの片隅で占いをしている。私生活では、「かつてない強運の持ち主」である通彦と同棲中。かつて、恋人に連れられてやってきた彼をあの手この手を駆使して、ゲットしたのだった。「当たる当たらないは問題じゃなく、相手が納得する答えを出さなければいけない――占いの師匠のモットーの意味が少しずつ分かり始めてきた「私」のもとには、今日もいろんな人が訪れる。 父と母のどちらを選ぶか決めてほしいという小学生の抱える現実は?「ある男性を振りむかせたい」女子高生の希望がかなわないのはなぜ? そうこうするうちに「終りが見える」という大学生まで現れた。彼は、「私」にも終りが見えるという。その言葉を通彦との別れを示していると思った「私」は・・・。 占い師という、やっている知り合いがいそうでいない、珍しくないようでけっこう珍しい職業の主人公。 彼女には、予知能力があるとか、人の背後にオーラが見えるとか、そういう特殊能力があるわけではない。四柱推命、姓名判断といった、きわめてオーソドックスな占い手法を一応取得はしているが、あとは、お客さんを観察して、そこから導きだされた自分の直感で占いをしている。いわば、人間観察のプロフェッショナルである。収録作品のうち、『ニベア』『ファミリーセンター』は、そんな主人公が、占いの顧客である少年や女子高校生の抱える「家庭の事情」を洞察し、その事情に人知れず(自分でも気づかないうちに)悩み、袋小路に入り込んでいる人たちに一筋の光を投げかけるという設定になっている。 また、家族という人間関係をモティーフにした作品という意味では、既存の瀬尾作品に通じる作品だ。そういう点で比較するなら、『幸福な食卓』『優しい音楽』の重くはないけれど切実な感動を求める瀬尾ファンにとっては、ちょっぴり物足りないかもしれない。 だが、じっくりと、あるいは、繰り返して読むと、本作は、なかなかに、示唆に富んだ、深く玄妙な味のある作品なのだ。
週3「鍋」でも、OKレシピ野菜たっぷり&調理簡単、いいこと尽くしの鍋。レパートリー増で週何度でも!

[ 126] 『強運の持ち主』 - [話題の本]All About
[引用サイト]  http://allabout.co.jp/interest/book/closeup/CU20060531A/index.htm



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