クラミジアとは?
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性器クラミジア感染症については,無症状の場合がかなりあり,そのため性器クラミジア感染症に感染しても性器クラミジア感染症の検査を受けている人の割合はかなり少ないと考えられます。ですから感染者の実数を把握することは困難です。アメリカ合衆国では,年間300万人の人が,性器クラミジア感染症に感染していると推計されています。また,アメリカ合衆国では,思春期の女性の10人に1人が,性器クラミジア感染症であるとされています。 アメリカ合衆国では,性器クラミジア感染症の報告において,女性の場合,46%が15-19歳の女性であり,次いで33%が20-24歳の女性です。アメリカ合衆国では,この傾向は,他の性感染症(性的接触によって感染する病気)においても同様です。これに対して,2000年の横浜市感染症発生動向調査の性器クラミジア感染症の女性患者の報告数の年齢階層別の分布を見ると,20-24歳が29%,25-29歳が26%,15-19歳が21%となっています。グラフ「2000年の横浜市感染症発生動向調査の性器クラミジア感染症の女性患者の報告数の年齢階層別の分布」を参照して下さい(下線部をクリックして下さい。)。しかし,日本においても,10代の女性が,もっと性器クラミジア感染症の検査を受けるようになれば,アメリカ合衆国の数字にもっと近い数字が出る可能性があります。 性器クラミジア感染症は,クラミジア(Chlamydia trachomatis)という細菌によって起こされる性感染症(性的接触によって感染する病気:STD:sexually transmitted disease)です。性器クラミジア感染症に感染しても,女性の約75%,男性の約50%で何の症状も起こさないので,クラミジアに感染した人の大部分は,自分が感染したことに気づかず,医療機関も受診しないことが多いです。 男性では,感染のきっかけとなった性交渉後1-4週間で,尿道炎の症状が起きることがあります。尿道が赤くなり,分泌物が下着に付着していることがあります。朝の起床直後は,尿道の壁が乾燥した分泌物で密着して接着したような状態となることがあり,排尿時の痛みを感じやすいです。睾丸が腫れ,痛む場合もあります。 女性では,感染のきっかけとなった性交渉後1-4週間で,膣の分泌物,頻尿,排尿時や性交時の痛み,骨盤痛が起きることがありますが,症状が気づかれない場合が多いです。 早く診断がつけば,性器クラミジア感染症は,抗生物質できちんと治療ができます。しかし,診断されず,治療も受けずに,放置すると,女性では,子宮頚管炎から骨盤炎を起こし,不妊や子宮外妊娠の原因となる可能性があります。女性の場合,治療されない性器クラミジア感染症の40%が骨盤炎となります。この骨盤炎が気づかれないことは珍しくありません。そのような骨盤炎の内,20%が不妊症となり,18%で慢性的な子宮・骨盤部の痛み,9%で子宮外妊娠が起こります。子宮外妊娠は妊婦の死因ともなりえます。また,最近の研究によれば,クラミジアに感染している女性は,感染していない女性に比べて,HIV感染者との性交渉において5倍の確率でHIVに感染してしまうことが,分かっています。 妊娠中の母親が性器クラミジア感染症であると,生まれてくる新生児に,クラミジアによる結膜炎や肺炎を起こすことがあります。 trachomatisは,性器クラミジア感染症以外でも,封入体結膜炎やトラコーマといった眼疾患やトラコーマ・クラミジア肺炎を起こすことがあることが知られています。 Chlamydia trachomatisは,クラミジア属の一つの種ですが,他の種としては,オウム病(:オウム・インコ類などの鳥から感染する。肺炎や心臓疾患を起こし重症死亡例もある。)を起こすChlamydia psittaci,クラミジア肺炎を起こすChlamydia pneumoniaeが知られています。 性器クラミジア感染症は,性交渉において,コンドームを最初から最後まできちんと使用すれば,防ぎえる病気です。 性器クラミジア感染症は,女性の場合,放置すると,不妊や命にかかわる子宮外妊娠などに結びつきえるこわい病気です。そのため,女性に対してアメリカ合衆国のCDC(疾病管理センター)は,無症状でも性器クラミジア感染症の検査を受けることを勧めています。20歳以下の性的に活発な女性の場合少なくとも年1回の検査,また20歳以上で1つ以上性器クラミジア感染症になる危険因子を持っている女性の場合は年1回の検査を勧めています。性器クラミジア感染症になる危険因子としては,次のようなことがあります。 性器クラミジア感染症の患者に決まった性交渉の相手がいる場合,その相手も性器クラミジア感染症の患者である可能性があります。ですから,決まった性交渉の相手も性器クラミジア感染症の検査を受ける必要があります。そうでなければ,決まった性交渉の相手も性器クラミジア感染症の患者であった場合には,せっかく性器クラミジア感染症の治療をして治っても,決まった性交渉の相手から再び性器クラミジア感染症に感染してしまうことになります。 性器クラミジア感染症の治療を受けた人は,治療終了後2-3ヶ月後にもう一度性器クラミジア感染症の検査を受けて,感染が続いていないか,再発していないか,確認した方が,安心です。 |
[ 58] 性器クラミジア感染症について・・・横浜市衛生研究所
[引用サイト] http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/infection_inf/chlamydia1.htm
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疫 学 本来、クラミジア肺炎とは、クラミジアによる肺炎という意味であり、肺炎クラミジア、トラコーマ・クラミジア、オウム病クラミジアによる肺炎が含まれる。しかし、肺炎クラミジアならびにトラコーマ・クラミジアによる肺炎と、人獣共通感染症でしかも症状の強いオウム病とは病態や対応が異なるため、区別して扱われており、感染症法では前2者をまとめてクラミジア肺炎(オウム病を除く)として分類している。 クラミジアは細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生微生物であり、DNA とRNA を有し、2分裂で増殖する。感染性の基本小体が宿主細胞に吸着・侵入し、封入体の中で増殖形態である網様体に変化して分裂増殖した後に、再び基本小体に戻り、細胞破壊と共に細胞外に放出されるという特異なライフサイクルを有する(IDWR2001年第45号「感染症の話」)。 C. trachomatis 肺炎の発生は新生児、乳児期にほぼ限られる。感染母体からの新生児・乳児肺炎の発症は3〜20%と高率であると報告されているが、本症は4 類感染症定点報告の疾患であり、正確な発生数の把握はされていない。成人では、性感染症として咽頭に感染することが知られているが、免疫低下時以外は肺炎にいたることはきわめてまれである。 C. pneumoniae による疾患としては急性上気道炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎、また慢性閉塞性肺疾患(COPD)を主とする慢性呼吸器疾患の感染増悪、および肺炎である。C. pneumoniaeは市中肺炎の約1 割に関与するが、発症年齢がマイコプラズマ肺炎と異なり、小児のみならず、高齢者にも多い。性差ではやや男性が多い。また、他の細菌との重複感染も少なくない。家族内感染や集団内流行もしばしば見られ、集団発生は小児のみならず高齢者施設でも報告されている(IASR Vol.22 No.6 p10 (144 ))。感染既往を示すC. pneumoniae IgG 抗体保有率は小児期に急増し、成人で5〜6 割と高い。この抗体には感染防御の機能はなく、抗体保有者も何度でも感染し発症し得る。 感染症発生動向調査によるクラミジア肺炎の定点からの年間報告数は、1999 年(14 週以降)が129 例であり、また2000年では178 例であった。性別では、1999 年が男性63%、女性37%で、2000年が男性58%、女性42%でいずれも男性が多かった。年齢ではいずれも0〜14 歳と65 歳以上に多く見られた。季節的には特定の傾向は認められなかった。実際にはマイコプラズマ肺炎と比べて、多くの症例が確定診断をされずに異型肺炎として治療されている可能性があり、この報告数は実情よりかなり低いものと思われる。また生後6 カ月未満の症例には、C. pneumoniae とC. trachomatis が混在しているものと思われるが、現時点での把握は困難である。 クラミジア子宮頸管炎をもつ母親から分娩時に産道感染し、生後3カ月までの間に肺炎を来たす。結膜炎、鼻炎を先行することが多い。 ヒトを宿主とし、飛沫感染で伝播して主に急性呼吸器感染症を起こす。感染から症状発現までの潜伏期間は3 〜4 週間で、接触が密接な者の間で小規模に緩徐に広がる。肺炎発症の機序としては、上気道に初感染し下降して肺炎に至るものが主とされるが、上気道感染巣から血行性にいたる経路もありうる。本菌による肺炎では非定型肺炎の病態を示し、クラミジアの即時細胞毒性や免疫反応の関与も考えられている。また最近、C. pneumoniae は血管などに慢性感染も起こしうることが明らかとなり、動脈硬化性疾患に関わる疑いが指摘されている。 新生児・乳児肺炎は通常は無熱であり、多呼吸、喘鳴、湿性咳嗽などの呼吸器症状を呈する。一般に、酸素投与や人工呼吸を要する症例は少ないが、低出生体重児などでは重症化する場合もある。 上気道炎、気管支炎では乾性咳嗽が主体で、肺炎では喀痰を伴うこともある。遷延性の激しい咳嗽を有する症例が比較的多い。38 ℃以上の高熱を呈する症例はあまり多くない。小児においては比較的軽症の症例が多いが、高齢者や基礎疾患を持つ例では重症例も見られる。一方で症状を欠く無症候性感染もまれでなく、本来は自然治癒傾向が強い。他は咽頭痛、鼻汁、嗄(さ)声、呼吸困難などであるが、特異的な臨床所見に乏しい。 新生児肺炎では、胸部X 線像で両側肺野にび慢性の粒状影やスリガラス影などの間質性肺炎を認め、ときに過膨張を呈する。白血球増多はないが、末梢血好酸球数は増加する。CRP や赤沈は上昇、ときにIgM の上昇を認める。病原体検出法としては、抗原検出法として、直接蛍光抗体法、酵素抗体法などでクラミジア抗原を検出するほか、DNA 診断法(PCR, LCR)で特異遺伝子を検出する。分離も一部の施設では試みられる。また、血清中の抗C. trachomatis 抗体を測定する方法もある。 胸部X 線陰影の分布は主として中下肺野に多く、複数の部位に認めることもある。陰影の性状は、軽症では間質性陰影が主体であるが、実質性陰影を呈するものも多く、特徴的な所見はない。CRP や赤沈上昇が多く認められるが、10,000/mm 3 以上の白血球増多は約半数に留まる。特異的診断としては、病原体検出を咽頭ぬぐい液などから試みるが、分離は困難なため、酵素抗体法(属特異抗原検出キット)、DNA 診断法(PCR)などが用いられる。通常、血清中の抗C. pneumoniae 抗体を証明する抗体価測定法がもっぱら利用される。Micro‐immunofluorescence(MIF)法は標準法とされるが、一般にはELISA 法による特異抗体測定キットが普及し利用されている。血清診断では原則として、ペア血清での有意な抗体価上昇で診断する。 鑑別すべきものには、マイコプラズマ、ウイルス、リケッチア、他のクラミジアの感染症などがあるが、これらと、あるいは一般細菌との混合感染もしばしば認められる。臨床所見のみから鑑別することは困難である。 細胞壁合成阻害薬であるペニシリン系やセフェム系などのβ‐ ラクタム系薬ではクラミジアの増殖を阻害できず、臨床的に無効である。また、アミノ配糖体も無効である。 新生児・乳児のC. trachomatis 肺炎では、テトラサイクリン系薬が児の歯牙黄染や骨発育障害を来たす恐れがあるため投与しない。通常はマクロライド系薬を使用し、エリスロマイシンの点滴静注などを行う。母親に対する治療も行うが、授乳の関係でマクロライド系薬が望ましい。 C. pneumoniae 肺炎の成人での第一選択薬は、ミノサイクリン、ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系薬や、ニューマクロライド系のクラリスロマイシン、アジスロマイシンなどであるが、ニューキノロン系薬も抗クラミジア効果が優れたものがある。投与期間はクラミジアの特殊な増殖様式から、10日から2週間と長めの投与が望ましい。軽症例に対して通常は内服抗菌薬で十分効果が得られるが、中等度以上の肺炎で入院が必要な場合はミノサイクリンなどの点滴静注を行う。予後は通常良好であるが、高齢者や基礎疾患を有する患者では重症化することもある。 一般治療として、激しい咳には鎮咳剤を投与する。肺炎が広範囲で呼吸困難が強く低酸素血 症があれば、酸素吸入を行なう。ARDS や器質化肺炎を来たした場合は、有効な抗菌薬とステロイドの併用も考慮する。 家族や身近な人の症状を聞いて家族内感染や流行が疑われた場合には、有症者の検査、治療を行うことが望ましい。 クラミジア肺炎(オウム病を除く)は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約500カ所の基幹定点より毎週報告がなされている。報告のための基準は以下の通りとなっている。 ○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。 |
[ 59] IDWR: 感染症の話 クラミジア肺炎
[引用サイト] http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_07/k02_07.html
