治りとは?
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今度は深い皮膚欠損創・皮膚潰瘍の治癒メカニズム(ちなみに「深い」とは真皮が全て欠損している場合を指す)について説明。ここでも,乾燥は治癒の大敵である。適度に湿った状態(=湿潤環境)を保っておかないと治癒しない。 この場合は「浅い皮膚欠損創」と違い,表皮再生の鍵を握っている毛穴も感染も存在しないため,治癒過程としては次の2つの過程を経ることになる。 この時,創面を乾燥させると肉芽が死んでしまうし,仮に肉芽が覆ったとしてもその表面が乾いていては表皮細胞は移動できない。つまり,このような傷を乾燥させるのは表皮細胞にとって,水も食べ物もなしに砂漠を歩かせるようなものである。どうせ歩くのなら,砂漠よりは川べりの方がいいですよね。 つまり,創表面を乾かさずに「湿潤環境」を保つということは,砂漠でなく川べりを歩こうよ,というのと同じ。 具体的な例を出すとこんな感じ。76歳の男性,外果部(足の外側のくるぶし)の低温熱傷受傷。自宅で様子を見ていたが全く治癒しないために受診した例。 初診時の状態。黄色に見えているのは死んでいる皮下脂肪やその下の結合組織。直ちにポケット状の部分を切開して壊死組織を切除,アルギン酸塩で被覆した。この時点で,外果の骨が露出していたが,切開翌日からはハイドロジェルドレッシング(イントラサイトジェルを使用)を用い,フィルムドレッシングで密封した。 約1週間目の状態。創面がきれいな赤い組織で覆われているのがわかると思うが,これが「肉芽」である(写真がちょっとピンぼけだけど)。これが出てきたら「勝ちパターン」である。この頃からポリウレタンドレッシング(ハイドロサイトを使用)による被覆のみとした。 3週間ほど経った状態。創縁が収縮し,同時に周囲の皮膚から上皮細胞が伸びてきているのがわかると思う。 完全に上皮化した状態(初診から1ヵ月半くらいだったかな?)。骨が露出している高齢者の創であっても,きちんと治療さえすれば手術(皮弁形成とか植皮とか)をしなくても創を閉鎖することは可能である。 ちなみに,1の状態の傷を手術で閉鎖しようとすると,かなり大変だと思う。かなり気合を入れて手術をしないと,1回で創閉鎖に持っていくの難しいはずだ。手術をするとしたら "reversed sural arterial flap" と植皮の組み合わせが一番無難かな? このような症例はもちろん,手術でも治癒させることは可能であるが,患者の年齢を考えたら「手術なしの被覆材のみの治療」の方がはるかにメリットがあると思うが,如何だろうか。 |
[ 283] 深い皮膚潰瘍の治り方
[引用サイト] http://www.wound-treatment.jp/wound051.htm
