治療とは?

呪術医の時代から科学に裏打ちされた近代医療へと医学を変化させたとされるヒポクラテスは、「医師が病を治すのではなく、身体が病を治す。」と表現、患者など治療される側の「治ろうとする身体機能」を補助するのが治療であり医療行為だとしている。この考えは現代にも継承されており、患者自身の治ろうとする意思を尊重する形で、医療方針が選択されている(→インフォームド・コンセント)。
21世紀の現代では、生物の体の機能がより詳しく解ってきたため、より積極的な各種手法を導入する様式が一般的となっている。病気や疾病・怪我(外傷)などを医学的に観察(問診を含む)し、必要であれば各種検査(血液検査、尿検査、放射線検査等)を行う。結果に応じて疾患及び合併症を考慮し投薬(与薬)ないし手術など処置を行う。
また、入院生活の中で、主に看護師によって行われる、清拭(せいしき)、入浴介助などの看護、介護などをcare(ケア)と呼び、患者の状態の把握や、精神的なフォロー(メンタルケア)は治療による、転帰(治癒、寛解、軽快など)に大きな影響がある。こういった日常的なケアは衛生維持だけではなく、患者の刻々と変化する体調を間近に観察する機会でもあり、健康維持に役立つと考えられている。
治療には、病院や診療所などで、医師を主体として行う「医学的治療」と、歴史的な経験則に基づいて、医師でない民間人が行う「治療方法」(手法)は、特に民間療法などと呼称する場合もある。
民間療法では、経験によって培われた方法が用いられるが、科学に裏打ちされていないこともあり、誤った治療法や効果の無い治療法、あるいはより症状を悪化させかねない方法までもが流布されている。ただ、医療が職業としての医師が行う「有償のサービス」である以上は、一般でも簡単にできて対価を要求されない民間療法は、依然として人気がある。
他方健康ブームの一種として、新興民間療法が流布される場合もある。こちらは慢性病など現代医療では劇的に治療効果の得難い症状に対して(しばしば過剰な期待を含んで)こういった民間療法に縋る者も見られる。
日本の病院または診療所等で行われる、一連の診療行為には、通常、健康保険に適用するための病名をつけることが、一般的であるが、労働災害や交通事故に起因する疾病・外傷等には、原則的に医療保険の適用には行わず、前者は労働災害保険で、後者は一般に自由診療(保険外診療)の扱いになり、健康保険は適用されないケースも多い。詳細については、健康保険を参照のこと。
日本では人体を侵襲する治療行為は、医師免許を持つ医師または医師の指示を受けた看護師(やはり資格・免許を持つ)以外が行ってはならないことになっている。また資格を持つ救急救命士も、特定の救命措置に関して、気管挿管による気道確保や点滴の刺針・所定薬剤の投薬などの、所定の救急医療措置を行うことができる。鍼灸師(→鍼)による針治療も認められているが、こちらも資格による免許制である。
もしも、それ以外の無資格・無免許の者がこれら侵襲性の処置を行った場合は、医師法違反で逮捕されることになる(自己採血や糖尿病患者のインスリン自己投与などは除く)。
また予後不良と考えられる、非可逆治療方法の確立されていない重度の進行性疾患・疾病などの治療に対して、致命的な状態を回避し続け「延命」することだけを目的とした行為を「延命治療」または「終端医療」(ターミナルケア)と呼ぶこともある。その一方で、こういった延命治療ないし終端医療が回復を目指したものではないことから、患者の苦痛を引き伸ばす傾向も否定できず、安楽死のような処置も生まれた。
しかし安楽死が当人が望んだ結果(自殺)であるということで、処置を施した側の自殺幇助などが社会問題となったりもしている。こういった議論のある分野のもう一つの方向性として、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)と呼ばれる、無理な延命は行わず、生活の質を落とさずに苦痛を和らげる処方などで、より健全な状態で末期を迎える思想・医療方針も登場している。

[ 190] 治療 - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BB%E7%99%82



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