描写とは?
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だが実際に、《そのまま》を書くな、《描写》しながら文章を書け、と言われてもそう簡単にできるものではない。 作文なら学校で教えてくれるだろう。だが大抵の人は、小説の書き方など知らずに生活している。小説作法なんて、普段の生活に役には立たない。だから最初から《描写》ができるような人間なんて、まずいない。 よって《描写》を身につけるには経験が必要だ。習慣として普段から《描写》しながら文章を書き、目につくものを《描写》するような生活を送らない限り、《描写》を習得することはできない。 しかし本当は《描写》なんて、そんなに大したものではない。練習のためにも、それなりの「やり方」「コツ」と言うものがある。 事物・人物・状況・事象など。これからは、描写しようとしている「もの」や「こと」を《描写対象》と呼ぶことにする。 まず常に自分に言い聞かせなければならないのは、「いきなり描写対象を言葉に置き換えることはできない」と言うことだ。 右の「描写対象と言葉」図を見てほしい。上方の水色の丸が《描写対象》で、下方の歪んだ丸が《言葉》を表している。 描写対象に同じ形のものはふたつとない。もしかすると探せば、似た形のものはあるかもしれない。 だが《言葉》とは類似したものの平均値に過ぎない。言葉になってしまった時点で描写対象のかたちは、わかりやすく変えられている。言葉とは、他人と同じようなイメージを共有することで通じるものだ。 だから描写対象と言葉。ふたつのかたちを重ねてみると、はみ出していたり足りなかったり、代用するには適当ではない。 ごくまれには、全く同じかたちのものも見つかるかもしれないが、そんな幸運なかなかあるものではない。 「言語化する」と言う行為は、描写対象と同じ形のものを作り出すと言うことだ。ならばひとつの言葉で、描写対象を代用しきることは不可能だと言うことになる。 ではどうやって、描写対象の「かたち」を表現するのか。実は、描写の基本とは「ほのめかす」ことである。 次の「描写のモデル1」図を見てほしい。描写対象の周囲に並んでいる、たくさんの赤い丸は「言葉」だ。 描写対象と同じ形のものを探すことは難しい。語彙数には限界がある。そこで「そのまま」を書かない。描写対象の中心に触れない。周囲を描く。ほのめかす、とはそう言うことだ。 赤い小さな丸が円上に並ぶことで、中央に大きな丸が浮かび上がっているのがわかるだろうか。 小さな赤い丸の「言葉」は《あったこと》《事実》を書く。これで読者のイメージは統一される。 だが単体では意味を持たないものが、ある順番で並ぶことにより、互いにつながり合い、意味を持つことがある。 「雨が降った」と言う文章の後に「靴が濡れた」と書いたとしよう。すると読者は、靴が濡れたのは雨のせいだと考えるだろう。 また、映画に《モンタージュ技法》と言うものがある。複数のカットを組み合わせてつなぎ、ひとつの作品にまとめる手法だ。 銃を撃つ兵士のシーンがあったとしよう。このすぐ前後に、泣き叫ぶ子供や、逃げまどう人々のシーンを配置する。すると受け手は、兵士が民衆を脅したり危害を加えているのだと解釈するだろう。 ひとつは、読者のイマジネーションにゆだねること。もうひとつは、読者の抱くイメージを語り手が操作し、統一すること。 |
[ 118] 描写:5
[引用サイト] http://www.h7.dion.ne.jp/~p-o-v/lecture/byosha-5.htm
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高校生に小説を書かせた場合、指導以前の彼らの自然状態では記述ばかりになりやすく、あらすじだけになってしまい、描写が現れにくく、その結果として一定分量以上には書けないことが多い。この現実だけをもって仮説を立てることは危険ではあるが、 現実場面において、人間は目を凝らし耳をすましてはいないのではないか。あるいは、認識の受け皿には、たとえ目を凝らし耳をすましたとしても、瞬時瞬時の外界の姿が折り重なって一つの継時的な姿にまとまってしまっているのではないか。まるでパイのように。 それゆえ、基本からかけ離れた瞬時の描写に出会った場合に、「外界事象を叙述した文」以上の意味を感じるのではないか。その意味とは、視点人物が対象としてその事象を選び取った意味(事情)=(視点人物の評価)であろう。そして、視点人物が叙述者と多く重なるとき、それは叙述者の評価に多く重なる。 叙述は大きく、「描写」・「記述」・「説明」・「評価」、の四層に分けることが出来る。(「説明」の中に「解説・解釈」を含む。「評価」の中に「評価・心情表出」を含む) この叙述の四層を、表現対象(外界・内界)と表現スタイル(直接・間接)との2軸で切り分けると次のように図示できる。 これらの四層は縦一列に並ぶような性質のものではなく、円環をなしていると考えた方が良いように思える。つまり描写層は記述層と連続し、記述層は説明層と、説明層は評価層と、更に評価層は描写層と、それぞれ連続しているということである。 人は、文章表現をするとき、二つのチャンネルと二つのスタイルを使用する。二つのチャンネルとは外界用チャンネル(自分以外の外部世界を描こうとする時に用いるチャンネル)と、内界用チャンネル(自分の内部世界を描こうとする時に用いるチャンネル)である。 二つのスタイルとは間接的表現スタイルと直接的表現スタイルである。間接・直接という表現スタイルの差は、視点の存在と大きく関わる。直接的表現スタイルは、現実場面の視点に表現場面の視点をできるだけ近づけて、叙述する。間接的表現スタイル、は表現場面における視点を固定して、表現場面の視点本位に、叙述する。 また、現実場面視点は、現実場面が持つところの「時」の支配を受けるとともに、「時」を所有する(あるいは「時」を設定する)。そして、現実場面視点は、瞬時を、基本的な「時」として所有する。 描写は「ある限定された時空間」における「もの」や「こと」を叙述するものであるから、基本的には「瞬時」の現象文であるスル文(行為文・動作文・現象文)が描写文を作る。例えば次のような文である。例文と分類は、中島一裕氏の「対象のありよう・認知のありようからみた文の類型」によった。 そして、「ある限定された時空間」における「もの」や「こと」が、過去の時点から継続している場合、それを描写するためには「行動継続文」・「存在文」・「結果存続文」・「結果状態文」・「単純状態文」が用いられる。 つまり、描写文は基本的に瞬時の現象文であるのだけれども、(それは対象の持つ事物論理に即した場合と、現実場面視点が持つ思考論理・感情論理に即した場合とがある。)対象が持つ事物論理が継続性を持つ場合に、現実場面視点が持つ思考論理・感情論理がいくら瞬時性に即していても、事物論理の持つ継続性が文法的に優先されてしまい、記述文的(継時的)文型になる。だから、記述文的(継時的)文型だから、その文が「描写文でなく記述文だ」とはいえない。たとえば、次の例文は描写文である。 非常に要約的な記述に対して、読者が具体的形象を得るとき、(例えば「戦後二十年間と言うもの、日本人全体は勤勉に働いた。」という叙述に対して、ある読者が、過ぎしあの時のあの事、この時のこの事を克明に想起した場合)その記述はその読者に対して、描写機能を持ったといってよい。ただし描写は機能であるから、一般的には「手続き」が必要である。 「眼のつぶれたシャモが飼われている」という事柄が記述されているとも読めるが、「俳句が基本的に描写の文芸」であるという枠組み(暗黙の了解事項)によって、「闘鶏」だけでなく、それを注視している視点人物が、この文章に畳み込まれていると読み取られる。ただし枠組みに頼るだけではなく叙述上の工夫がされているのは言うまでもない。 「眼つむれて闘鶏の飼われけり」ではなく、まず闘鶏の全体像が提示され「視点人物の視野に入り」、その次に「良く見ると」その闘鶏は、眼がつむれているのを「発見する」という語句の順になっているのである。そのように、「眼がつむれていることを発見することができる、闘鶏と同じ高さ」に、視点があることも叙述しているのである。さらにこの俳句の主題は、枠組み・語順から生ずる描写機能の内の視点の位置・方向(闘鶏の眼と同じ高さで水平)、距離(眼がつむれているのが分かるほどの近距離)、が関わって、視点人物と対象との関係を「眼がつむれて飼われている闘鶏は不運でもあり幸運でもある。不本意であるかもしれないが、生きながらえていられることは、まずは結構なことである。私も同じようにこの人生を生きていくのだなあ。」と、とらえたものとなるであろう。つまり、俳句という枠組みが描写機能を作り出し、描写機能が対象と視点人物の評価を作り出しているのである。 描写のみで作られた詩である。意味付られないところがあったりしても、短い詩であるから、読み直してくれたり、保留して後から理解してくれるであろうという、読者への期待が、この詩の場合には前提(枠組み)になっている。そして、第二の枠組みとして、「連」をとりあげることができる。連という枠組みがあるからそれぞれの連はそれぞれの場面として成立し、それぞれの文は描写として機能する。 説明5羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二、三人はありそうなものである。 126そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をにきびから離して、老婆の襟上をつかみながら、かみつくようにこう言った。 描写131下人は、はぎとった桧皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急なはしごを夜の底へ駆け下りた。 132しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起こしたのは、それから間もなくのことである。 133老婆は、つぶやくような、うめくような声をたてながら、まだ燃えている火の光をたよりに、はしごの口まで、はって行った。 もちろん小説という枠組みがあって、描写・場面が成立するのであるが、小説内部にはもう一段階の枠組みがある。それは記述の枠組みである。舞台設定、人物設定などの設定を行う冒頭部分は、描写でももちろん可能であるが、記述によってそれがなされることが多いようである。終末部を、記述で始まった冒頭部分と呼応させて、記述によって枠組みを完成させることが多いようである。 対象が描写されると、空間というか場面というか平面というようなものが形成される。(場面は一般の場面と、空間も一般の空間と紛らわしいので平面を仮に使っておく) 叙述層で、人物描写を細分化して、談話描写・心理描写・動態描写・静態描写を取り立てるのは、談話平面・心理平面・動態平面・静態平面の重なり具合いをとらえようとすることである。もちろん、文単位でも、1文内の句単位でも、平面は形成される。(あるいは平面の1部分が形成される) 取り扱いに注意しなくてはならないのが談話描写と心理描写である。談話描写の中に1つの文章がある場合、地の文章と談話描写内の文章と、どちらが主でどちらが従か(多くは談話描写内の文章が従であるが)を決定して、従の文章については文章としての分析はしないことで、分析の複雑さを現在の所は回避しているが、戯曲などの談話描写本位の文章の分析が充分に出来ない状態である。心理描写も「回想」などでは談話描写の場合と同様なことが言える。また、語り手の評価層と登場人物の心理描写層の相似性にも、なんらかの位置づけが必要である。 事態を描写的に叙述するということは、常に、事態に対する意味付けは読者に委任されているということである。 「つまりこのポスターを見て通行人は自分で結論を引き出すべきなのである。彼が理解したときは、自分で思想をつくったような気になって、半分以上それに納得されてしまう。」(サルトル) このような力を持つ描写とは何かに対する解答を、思いつくままに書き並べた。描写論としてまとまるまでに、記述と描写の差異について、次のような課題を克服しなければならないであろう。 例えば、登場人物Aの会話が描写された場合、後続するのは何か。Aの会話描写(続けて何か述べる)、Bの会話描写(応答)、Aの心理描写(そう言ったのはどんな心理からか・自分でそう言ったことでどんな心理に変容したか)、Bの心理描写(それを聞いてどんな心理に変容したか) |
[ 119] 描写論のために
[引用サイト] http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/ronbun/byousharon.html
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鉛筆描写では材質の異なったモチーフをB3画用紙の空間内で構成、描写する力を見ます。構成するうえでは、モチーフを机上で配置・構成するのではなく、B3画用紙空間内でモチーフそれぞれの位置関係や大きさのバランス等を良く考える事が大切です。また、「数・大きさ・形状・状態は自由」という条件のモチーフがありますが、それを有効に使うことにより全体の空間感や構成が魅力的になるので、どのような扱い方をするかはアイデアをたくさん出して検討することが重要です。描写するうえでは、それぞれのモチーフの材質・色彩・構造等の特徴を良く観察し描きわけられるかがポイントとなります。 以上のように構成力と描写力を見ますので、日頃からこの2点をレベルアップできるように勉強を続けて下さい。構成力を見ることは他大学の入試問題でもあまり出題されることがなく本学の特徴となっていますので、たくさん構成のアイデアを出す訓練を日頃から続けて下さい。100のアイデアを出せる人は、1つしか出せない人の100倍良いアイデアが出る可能性があります。また、描写力をアップさせるには、これも人よりたくさん描くことです。ただ一番大切なことは、モチーフを良く観察することですから、この点を忘れないように勉強して下さい。 どの実技試験で受験するにも構成は非常に重要なポイントとなります。構成で全体の印象が変わり差がつく場合が多いので、試験時は、慌てて取りかからずに十分に草案用紙でアイデアを検討すること。そのための時間を必ず取りましょう。 日頃の勉強では試験時に選択する実技だけやるのではなく、デッサン、立体、色彩まんべんなくやることが先々の基礎となるので、ぜひ総合力をつけて下さい。 自己推薦入試では、全体を構成する大まかな形(円柱、三角や四角柱)の狂いが目立った。複雑な形でもまず単純な形を捉えてから各部を描き込むと良い。 3 モチーフは同一平面上に(机上)に配置、構成するのでなく、B3画用紙空間内で自由に構成すること。 より明快なデッサン力、指定された立体資料を充分に観察し、正確かつ精密にそのものの形、材質、機能等が理解できるような描写を求めている。受験者の取り組みを見ていると、試験開始と同時にすぐに描き始めるが、まず対象物を充分に観察し、形・素材・使用目的等をよく理解した上で取りかかって欲しい。 1,正確さ(立体を正確に描き表しているかどうか)ものの特徴を立体的に表現するために、斜め上から見た構図を取るのが一般的だが、その際、縦横の比率が狂いがちなので気をつけて欲しい。 2,明快さ(見た目にきれいに、素直に描けているかどうか):資料の形を追求し、部分的な質感の差等がわかるような表現を求める。 与えられたモチーフを下記の条件で構成し、B3画用紙に鉛筆描写しなさい。モチーフ:綿テープ、ウレタン、レモン 3 モチーフは同一平面上(机上)に配置、構成するのでなく、B3画用紙空間内で自由に構成すること。 与えられたモチーフを下記の条件で構成し、B3画用紙に鉛筆描写しなさい。モチーフ:毛糸、波形ボール紙、キウイ 3 モチーフは同一平面上(机上)に配置、構成するのでなく、B3画用紙空間内で自由に構成すること。 与えられたモチーフを下記の条件で構成し、B3画用紙に鉛筆描写しなさい。モチーフ:針金、ビニール袋、みかん 3 モチーフは同一平面上(机上)に配置、構成するのでなく、B3画用紙空間内で自由に構成すること。 与えられたモチーフを下記の条件で構成し、B3画用紙に鉛筆描写しなさい。モチーフ:発泡スチロール、ロープ、ピーマン 3 モチーフは同一平面上(机上)に配置、構成するのでなく、B3画用紙空間内で自由に構成すること。 |
[ 120] 入学試験問題・参考解答集:美術科工芸 実技/鉛筆描写
[引用サイト] http://www.tuad.ac.jp/admission/2005sanko-sui/craft/sketch.html
