伝わりとは?
|
楽器からは、さまざまな高さや強さの音が出ます。また、楽器の種類が異なれば、音色も異なります。音の高さ・強さ・音色のちがいは、音の波としての、どのような性質によるものなのでしょうか。 今日のテーマは「音の伝わり方」。講師は、増渕哲夫先生です。音は空気中を伝わる縦波(疎密波)です。音の波を目に見える形で、確かめます。音の速さを計ったり、音の違いは何であるかを調べていきましょう。まず、音さを使って、音が振動しているということを実感できる実験をしましょう。音さに小さなペンの先を付けて、ボードに線が書けるようにします。音さを鳴らして振動した状態で、ボードに直線を書くと、小さな波線になりました。 人の声を波として目で見ることができます。まず、右側に赤いレーザーの装置を置、その向かいに筒状の鏡を置きます。レーザー光はゴムの枠に貼り付けた鏡で反射し、黒いボードに点として映っています。筒に向かって話をすると、レーザー光が振動して、模様ができました。音を出すことで、ゴムの膜が揺れて、その先端の鏡が振動したためです。しかし、このままでは波の形を見ることはできません。 声を出している時の振動を波にして見てみる実験をしましょう。先ほどスタジオと使ったものと同じレーザー光線の装置を使います。ここでは、反射したレーザー光線を、回転する鏡でさらに反射させて、黒い板に当てます。声を出してレーザーの光を見ると、声による振動を波として見ることができました。 低周波発信機はさまざまな音を出すことができる装置です。スピーカーに小さな球を置くと、スピーカーの振動で、球は飛びました。次に、スピーカーを横に立てて、スピーカーの近くにろうそくの火を置くと、火が揺れました。これは、スピーカーから出た音の振動が、空気中に伝わっているということです。音さ・レーザー光線・スピーカーと、ろうそくの実験から、音は波でできていることが分かります。 音の速さは具体的にどのくらいか、実験で調べてみましょう。まず、水道のホース340mをつなぎます。このホースの中の空気を伝わる音の速さを測ります。音の入り口でクラッカーを鳴らすと、その音がホースの中の空気を伝わり、反対側の出口に出てきます。かすかな音でも聞き取れるように、高感度のマイクを出口に入れます。クラッカーを鳴らすと、ホースの中の空気を伝わり、少し遅れて音が聞こえました。この時間を計るために、マイクをオシロスコープにつなげてみました。オシロスコープを使うことで、2つの音を目で見ることができます。左側の線は、一つめのクラッカーが破裂した音、右側の短い線は、ホースの中を伝わってきた音です。では、この速さを調べてみましょう。ビデオをコマ送りにします。ビデオは30コマで1秒です。340mのホースを伝わるのに、約1秒かかりました。音の速さは340m毎秒でした。 音の速度は、温度によって変化し、温度が1度上がるごとに0.6m毎秒ずつ速くなっていきます。音の速さを式で表すと、V=331.5+0.6t(温度)。tの値(温度)が0の時は331.5度です。夏の暑い日の熱くなった地面と、それほど熱くならない上空とは、音の速度が異なります。340m毎秒は、空気中での、15度の温度の時の速さです。 空気以外の気体中を伝わる音の速度は、どのように違うのでしょうか?二酸化炭素をホースに入れて、先ほどと同じようにクラッカーを鳴らして、オシロスコープで調べます。ホースを伝わってきた音は、1.37秒後に届きました。ホースに二酸化炭素を入れると、空気中よりも音の伝わりが遅くなりました。ホースにヘリウムを入れて実験すると、今度はホースを伝わってきた音が0.5秒後に届きました。ホースにヘリウムを入れると、音の伝わりが速くなりました。気体によって、音が伝わる速さが異なるということが分かりました。空気中での音速が331.5m毎秒に対して、二酸化炭素は258〜268.6m毎秒、ヘリウムは970m毎秒です。二酸化炭素は音の高さが低い時と高い時で、音速が違うため、幅があります。 音には3つの要素があります。先生は、いろいろな楽器に似た音が出るキーボードから、2種類の音を出しました。1つ目は、音の高さが異なります。2つ目は、音の強さが違います。3つ目は、音色が違います。音の高さ、音の強さ、音色を、音の三要素といいます。音の三要素は耳で聞き分けることができます。では、音の三要素は、波として何が違うのかオシロスコープを使って調べましょう。音の縦波をマイクが拾い、マイクとつなげたオシロスコープが横波で表示するしくみです。 音の高さの違いにより、横波はどのように変化するでしょうか?振動数と音の高さの関係を見てみましょう。低周波発振器は、さまざまな振動数の音を出すことができます。200Hz(1秒間に200回振動)と、500Hz、1000Hzの音を出して、横波を見ました。200Hzより500Hz、さらに1000Hzと振動数が大きくなりました。低い音に比べて、高い音は、波がたくさんあります。つまり、高い音は振動数が大きくなるのです。連続して振動数を変えてみました。すると、振動数が大きくなると、波が細かくなって、高い音になります。ただ、人間の場合は振動数が大きすぎたり、小さすぎると、耳で聞こえる音には限界があります。人は20Hz〜2万Hzくらいまで聞きとることができます。音楽の音階も振動数で表すことができます。「ラ」の440Hzは音あわせなどに使います。 音の強さの違いは、横波にすると何が異なるでしょうか?音の強弱で、波の高さが変わります。弱い音では、波が低く、強い音では波は高くなります。つまり、振幅が大きい音は、強い音。振幅が小さい音は、弱い音といえます。 音色によって、横波はどう変化するでしょうか?さまざまな音を聞いて、波形を見てみましょう。音さの音の波は、丸く山と谷を描いたような波です。このような波を、サイン波といいます。キーボードで出したフルートの音やトランペット、クラリネットと波の形が異なります。音色の違いは、波形の違いです。スタジオでは、リコーダーとギターの波形を見てみましたが、この2つの波も全然違う形をしていました。 <今日のポイント>☆音は縦波です☆音の速さと媒質・15度の空気中は340m毎秒の速さで音は伝わります・違う媒質の中では、音の伝わる速さは変わります。☆音の三要素(高さ、強さ、音色)<音の三要素>音の高さの違い=振動数音の強さの違い=振幅音色 =波形ちょっとした工夫をすることで、音の波を見ることができます。また、波を見ることで、分析して科学的に音を考えることができるのです。 |
[ 94] NHK高校講座 | 物理 | 第13回 波動 音の伝わり方
[引用サイト] http://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/butsuri/archive/resume013.html
