負けとは?

最近、よく聞く「勝ち組」「負け組」。就職活動から営業ノルマの達成など、どんなことでも青年を「勝ち組」「負け組」にわける見方がつくられています。私たち青年を追いたてるこの見方には、いったいどんな意味があるのか、神戸女学院大学教授の石川康宏さんに文章をよせてもらいました。 (民青新聞8月9日、23日付に掲載)
■この原稿を書くにあたり、民青新聞編集局からいくつか週刊誌のコピーをもらいました。それを読んで、人を「勝ち組・負け組」にわける議論の流行ぶりと、その議論がはたす役割の悪さにあらためて驚かされました。恋愛や結婚についての話題もあるようですが、それもふくめてほとんどが「勝ち、負け」の基準をもっぱら収入(給料)の多い少ないにおき、稼ぎの多い人間がこの社会の「勝ち組」で、稼ぎの少ない人間がこの社会の「負け組」だなどといっています。
なんともバカげた議論です。こんな議論に接すれば、多くの人は何かしら疑問や怒りをもたずにおれないでしょう。その理由の一つは、これらに「勝ち組・負け組」をつくりだすいまの社会にたいする批判、特に大量の「負け組」をつくりだすいまの社会にたいする批判がまったくないということです。そして、もう一つ、もっとハラがたつのは、その「勝ち、負け」の原因をすべて個人の努力や才能のせいにしていることでしょう。社会の欠陥にふれないこの議論は、あきらかにおかしい。なかには「もう仕方ないんだ」なんてあきらめ気味の方もいるかも知れませんが、こんなおかしな議論には、やはり「おかしい」とはっきりした心の構えをもつことが大切です。
誰だってしっかりした生活のできる仕事につきたい。だけど、そう願って仕事をさがしても、いまの社会にはそんな仕事がまったく足りない。そういう現実があるから、毎日苦労して生活しているのに、それを「オマエの責任だ」「オマエたちは負け組なんだ」などといわれたのではたまったものじゃありません。“一体こんな社会に誰がした!”。その健全な怒りを忘れてはいけないのです。
■若いみなさんは、知らないのかも知れません。1980年代の後半に「バブル景気」とよばれた時代がありました。いまの「不況」がはじまるその直前の5年ほどの時期のことです。なんとそのときには、仕事をさがしている人の数より、企業が人を採用しようとする数の方が多いという、そんな瞬間があったのです。パートやバイトの募集のことではありません。正社員の募集の数が、正社員での就職を希望する人の数より多かったのです。いまでは信じられない、まるで夢のような、しかし本当の話なのです。
そうした日本社会の仕組みが崩れてきたのは90年代に入ってからのことです。「不況のせいだろう」って? いえいえ、ちがいます。たしかに九一年からの今の不況は戦後最悪のとんでもなさですが、それでも、がんばって働いている人を企業が守ろうとしていれば、こんなにひどい社会の崩れは起きませんでした。問題は、雇用についての特に大企業の姿勢の変化にありました。長年働いた人でも簡単にクビにしていいという社会の空気をつくろうね企業のなかの正社員をへらして、安く使い捨てできるパート、バイト、臨時、派遣をどんどんふやしていこう。そういう明確な方針の転換があったのです。「総額人件費の削減」と「労働力流動化」の政策です。
■大企業経営者の集まりである財界が、それを95年に「新時代の『日本的経営』」という文書にまとめ、日本中の大企業の意志を統一しました。これが大きな転換点となりました。政府は、そのようなうごきをやめさせるどころか、逆に、この空気をひろげるために、労働や雇用のまともなルールをさだめた法律を次つぎと改悪していきました。労働法制の改悪です。このころから、ものすごい勢いで大企業のリストラがはじまり、中高年のホームレスがふえ、自殺者がふえ、失業者がふえ、就職難が激化します。「働きたくてもフリーターになるしかない」「私だって本当は正社員になりたいんだ」。そういう若い人たちが、どんどんふえてきたのです。いや、ふえずにおれなくさせられたのです。
一体これのどこが「個人の責任」でしょうか? そんなバカなことはありません。それはあきらかに話のすりかえです。いまのようにまともな働きぐちの少ない社会をつくったのは、財界の金もうけ戦略と、それにホイホイ賛成していった自民党やそのお仲間たちのまちがいだらけの政治です。本当に「責任」をとらねばならないのは、その人たちの方であり、決して私たちや若いみなさん方ではないのです。
そのことにたくさんの人が気づけば、いまの政治はもたなくなります。そこで、先手を打って「勝ち組・負け組」「負けるのはみんな本人の責任」、こういう議論が意識的に流されているわけです。この「勝ち、負け」論は、財界いいなり政治への怒りから、若い人や国民の目をそらす役割をはたしています。これは「社会のとらえ方」の分野での国民にたいする攻撃なのです。イデオロギー攻撃というやつです。こんな攻撃に負けるわけにはいきません。
■この夏の参議院選挙では、自民党が負けました。悪い政治を小泉首相の個人人気と、公明党の組織力でごまかす。そういう作戦の限界がいよいよやって来たようです。小泉内閣の「構造改革」政治は、財界による「労働者使い捨て」政策の応援を、その重要な柱にしています。この内閣で経済改革を担当している竹中平蔵大臣は『経済ってそういうことだったのか会議』(日本経済新聞社、2000年)という本のなかで、失業は本人が「役に立たないから」だと平然と言っています。こんな人たちの政治をいつまでもつづけさせて良いわけがありません。
しかし、もう一方で、その自民党へのせっかくの批判が、民主党に流れてしまったことは残念でした。民主党は、いまのような働く条件の崩れをつくりだした財界自身が、自民党とならぶ「二大政党」として育てたいと願っている政党です。みなさんも、どこかで聞いたことがあるでしょう。「もっと早く構造改革を」――民主党は、そんなことを財界への売り込み文句にしている政党です。こんな政党を大きくしたのでは、自民党が国民の批判で小さくなっても、財界やりたい放題の政治に根本的な変化は起きません。
小泉「構造改革」でもなく、民主党による「もっと駆け足型の構造改革」でもない、そもそも政治の目線の置きどころを、財界やアメリカの要求から、国民のくらしや仕事にきりかえる。そういう国民のための「民主的改革」を、みんなで練り上げ、より魅力豊かに語っていくことが必要です。次回は、そこに話題の力点をうつしてみたいと思います。いっしょに考えていきましょう。
■先日、ペラペラと雑誌をながめていると、「青年雇用対策――ヨーロッパではどうとりくんでいるか」という文章が目につきました。若い人たちの就労支援に、政府がどれだけ努力をしているかについての国際比較です。『学習の友』(2003年9月号)に宮前忠夫さんが書いていました。読んでみると、日本の政治は本当にダメですね。なんだかガックリとクビが落ちてしまいそうです。内容を少しだけ、紹介しておきましょう。
まず経済協力開発機構(OECD)という長い名前の、世界の先進国たちが集まった団体が、青年の雇用についてヨーロッパの政府は平均よりがんばっているけれど、日本とアメリカの政府は長く平均以下のままだと指摘しているそうです。小泉首相はアメリカの政治が大好きで、竹中大臣はアメリカの経済政策が大好きですが、どうやら、そもそもアメリカをお手本にしている時点で、雇用対策についてはダメダメということです。
もう少し詳しい数字も出てきます。GDP(国内総生産)にたいする青年雇用対策費の比較です。むずかしく聞こえますが、ようするにその国の経済の規模に照らして、政府がどれだけの努力を青年の雇用にふりむけているかという比較です。それで見ると、日本は0.003%。なんとフランス0.42%の140分の1なのです。グラフで見ても、限りなくゼロに近い、まったくもって地をはうような数字です。これはもう、日本の政府には、まるでやる気がないということでしょう。その他、ドイツが0.09%、アメリカといっしょにイラク戦争をすすめるイギリスでも0.15%です。日本とヨーロッパのちがいはあまりにも明白です。
■どうしてこんなに日本の政治はヒドイのでしょう。フランスやドイツだって、日本のようにたくさんの大企業があり、大きな財界が活動をしている同じ資本主義の社会です。それにもかかわらず、こんなに大きなちがいが生まれるのはなぜなのでしょう。
野村総合研究所のヨーロッパ社長もつとめた福島清彦さんが、『ヨーロッパ型資本主義』(講談社新書、2002年)という本で、アメリカ型資本主義とヨーロッパ型資本主義のちがいについて書いています。97年に、当時のアメリカ大統領クリントンは「福祉国家はもう終わった」と述べました。しかし、ヨーロッパ各国は、そのようには考えませんでした。「ヨーロッパの社会モデルは、高いレベルの社会的保護を提供し、社会的対話を重視しており、社会の結束を維持するのに必要な諸活動を支える公共目的の諸サービスを提供している」(2000年12月のEU首脳会議の宣言)。
さらに,同じ会議で,EUは次のような、社会政策にかんする六つの目標を決めました。(1)よい雇用をもっとたくさんつくること、(2)雇用の弾力性と安定性のバランスを定めること、(3)貧困と差別をなくし、社会の包容力を高めること、(4)社会的保護を近代的なものにすること、(5)男女の平等をすすめること、(6)外国との関係において相手国の社会政策を重視することです。詳しい説明なしにはわかりづらいところもあるでしょうが、それでも、よりくらしやすい社会をつくろうという、ヨーロッパ各国政府の落ち着きというのか、腰のすわった姿勢というのか、その大人の空気はわかってもらえるでしょう。
アメリカやその政策をお手本にする日本の政府は、「すべてを市場にまかせよ」という自由競争野放し型の資本主義をかかげていますが、ヨーロッパ政府は、それとはまったくちがった社会をめざしているのです。福祉・教育・生活など、人びとのくらしを支える基本問題で、政府と国民が共同でルールをつくる、まっとうな資本主義の建設です。大量の「負け組」を生みだしながら、それに知らぬ顔を決め込む日本の政府とは大ちがいです。
■話が少しむずかしくなりましたが、むずかしくなりついでに、ここで、マルクスの『資本論』を引いておきます。「“大洪水よ,わが亡きあとに来たれ!” これがすべての資本家およびすべての資本家国民のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」(第一部、原ページ285)。
働くものの生活ぶりなど資本は何も気にするものではない、もし、資本がそれを気にかけるとすれば、それは社会によって強制されたときだけだというわけです。この資本主義のとらえ方が、いまの私たちにはとても大切になっていると思います。そのまま野放しにしておくと、資本はいろいろな弊害をもたらします。だから、それを国民の力で適切にコントロールしなければなりません。生きいきと生産力を発展させる資本の活力を大切にしながら、しかし、それが「過労死」をうんだり、働くものを使い捨てたり、環境破壊をするような場合には、社会がストップをかけなければならないというわけです。そうやって、法律や政府の指導で資本に民主的なルールを強制するなら、資本主義の枠内においても、よりまともな社会づくりが可能になるのです。
ヨーロッパ型とアメリカ型のちがいには、おそらく政財界の力のつよさとともに、この資本をコントロールする国民の力の成熟度が、大きなかかわりをもっています。労働運動や市民運動のつよさとかしこさ、全体としての国民の高い政治意識やお互いの基本的人権を守ろうとする連帯の精神、こうしたものがヨーロッパ資本主義のより進んだ部分を支える力になっていると思うのです。
■ヨーロッパやILO(国際労働機関)の条約などを参考にしながら、日本にも「ルールある経済社会」をつくっていくことが必要です。それはたんに「必要」なことであるだけでなく、国民の成長と社会の力のつよまりによって、必ずきり開かれずにはおれない社会発展の一つの段階となっています。そこには人間社会の発展法則がつらぬいているのです。若いみなさん方の毎日のとりくみは、その発展を、ムダなく、すみやかに押しすすめるという役割を果たしているわけです。
民青同盟でがんばっているみなさんには、その運動の力をより大きく育てるためにも、ぜひ日本共産党の民主的改革の路線を、それこそ腰をすえて、じっくりと、大もとから学んでほしいと思います。そこには、日本にルールある資本主義をつくるための、よく考えられた貴重な政策と運動の提案があるからです。それらをしっかり学ぶことが、みなさん方の力をつよめる大きなエネルギーをうみだします。この社会をつくりかえる、実力ある運動をきずく最大の保障は、何よりも鍛え上げられた一人ひとりの知性の力です。
毎日のくらしは大変ですが、若い仲間どうし励ましあい、高めあい、成長をよろこびあいながら、同時に、政府・財界からの「勝ち組・負け組」攻撃にはキッパリとした反撃をおこない、社会改革の展望をしっかりともって、図太く、したたかいに生きていきましょう。みなさん方の運動のいっそうの活性化を、心から期待しています。

[ 123] 「勝ち組」・「負け組」を考える
[引用サイト]  http://www.dylj.or.jp/site/special/work/work_study_ishikawa.html

ほしの : 負けは負けでいいのですが「よくないです」ベンチは1点を防ぐために、細心の注意「細かな投手交代」をしてほしいのです。今日も3点とられるまで、はしけんをかえようとしなかった。いつも抑えられるはずはないので、今日は、調子よくないと、判断したなら変えればすむ事で、さジーもいたし。9回2点差で江草を登板させるぐらいなら、1死12塁鈴木尚のところで、かえてほしかったです。
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Excerpt: なんというか、改めて思う、 自分がどこを応援するかに関係なく 負けてるチームの野球の駄目さが気になってしょうがないです。 味方がリードしてくれた
(アジア予選3連勝で北京五輪出場を決め、日本ナインに胴上げされる星野監督=3日、台中の洲際野球場(共同))

[ 124] CherryBomb's blog: 負けちゃいました
[引用サイト]  http://pub.ne.jp/CherryBomb/?entry_id=641524



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