解決とは?

国務院は、このほど中国銀行と中国建設銀行について、株式制への再編を行い、さらに450億ドルの外貨準備を拠出して2行の資本金を充足することを決定した。国有銀行改革全体の進捗状況から見て、この決定は、中国の4大国有商業銀行の改革が実質的な段階に入ったことを意味している。
今回の措置は、国有銀行改革が新たな段階のスタート地点に立ったことを意味する。長い間、金融改革はほかの経済改革よりも遅れており、特に国有商業銀行の改革は最も遅れてきた。当初は、株式制商業銀行の新設という増量改革の手法で国有銀行改革に「外部圧力」をかける方法を試みたが、現状から見て、この試みは一定の成果を上げたものの、国有銀行の商業銀行への転換を力強く推進することはできていない。今回、中央政府が450億ドルの外貨準備を注入して国有銀行2行に対する改革に踏み切った。これは第16期3中全会における国有銀行の株式制改革の精神を具体化したものである。同時に、中国の銀行システムにおいて国有商業銀行が支配的・主導的な地位を占める現状からみて、銀行改革は銀行の内部管理やコーポレート・ガバナンスの全面的な改革と改善から着手する必要があるという考えが反映されている。今回の資本注入を皮切りに、今後、国有銀行改革に関する様々な措置が相次いで打ち出され、国有銀行改革は2004年の中国金融改革の焦点となろう。
今回の資本注入は、単なる資本注入ではなく、国有銀行改革全体、そして、国有銀行の歴史的な荷物の処理というより広い観点から捉えるべきである。
99年の国有銀行の不良債権移管にしても、今回の外貨準備からの直接な資本注入にしても、目的は国有銀行の不良債権の処理である。今回、国務院は中国銀行と中国建設銀行の株式制への再編を決定し、450億ドルの外貨準備を2行に(各々225億ドル、人民元に換算して約3800億元)資本金として注入した。この規模は非常に大きい。今回の措置は、国有銀行の抱える歴史的な要因による負荷、特に中国の移行期における国有銀行の負担する改革コストは、国有銀行自身の力や経営資本だけでは消化しにくい現状のもとで、政府は様々な資本注入の方法で処理しなければならないことを反映している。国有銀行改革の次のステップである戦略投資家の導入あるいは上場を、客を家に招くことに例えれば、今回支払った費用はごみ処理費用である。つまり、国有銀行という大きな家にある歴史的な理由によって残されたごみを処理し、客を出迎える準備をするのである。
それでは、なぜ今回は財政資金あるいは起債という方法ではなく国の保有する外貨準備を使ったのだろうか。理論的にみれば、財政による資本注入を行わなかったのは、財政負担への考慮である。さらに、外貨準備が急速に増えている中、今回の措置で外貨準備の有効利用に新しい道を切り開いた。無論、実際の効果はどうなるかはまだ不明であるが、少なくともこれは一つの試みである。近年、中国の外貨準備は毎月約100億ドルのペースで増えている。米国債の購入や、非常に低い国際市場の預金金利の獲得だけでなく、外貨準備をより合理的、効率的に運用する方法を検討するのが最近の重要課題のひとつとなっている。
外貨準備の運用方法の多様化に関する研究は、国際金融の分野における関心事でもある。実際、外貨準備によるエクイティ投資を行っているのは、中国だけではない。シンガポールや、台湾なども外貨準備による投資の多様化を試みている。今回、中国が外貨準備を使って国有銀行に資本注入したのも一つの新しい試みである。
現状から見て、国有銀行改革のテンポは間違いなく加速していくであろう。これは中国の金融システムの安定化にとって必要であるし、2006年に行われる予定の中国の銀行業の対外開放の重要な一環でもある。銀行不良債権処理を強化するタイミングの選択は評価に値する。理論的には、商業銀行の不良債権状況と景気循環は密接に関連している。景気後退期には、商業銀行の不良債権を処理すればするほど増えるのに対し、景気上昇期においては、不良債権処理の難度は相対的に小さい。99年にも中国は銀行不良債権を大量に処理したが、このタイミングは検討の余地がある。それに比べて、今回のタイミングの選択は適切である。
実際、現状のような経済の高度成長期、景気上昇局面に、政府が資本注入で国有銀行改革を推進し、不良債権を処理することは、不良債権の負担がそれほど重くなく、銀行の収益能力も比較的強く、資産構造の調整にとって有利であるため、非常に時宜にかなっている。これは、前回の景気後退期の「銀行不良債権を処理すればするほど不良債権が増える」という状況に比べて異なる効果をもたらす。
しかし、資本注入は改革の一つのステップに過ぎない。国有銀行を真の商業銀行に転換させるには、上場基準に沿って、国有銀行の不良債権を全面的に処理し、注入された資金が良い収益とリターンを上げられるように、内部リスク管理制度とガバナンス制度を整備し、新しい不良債権の増加を防がなければならない。このため、内部インセンティブ・メカニズム、内部リスク管理制度、業績評価制度、戦略策定など、新しい制度と措置が必要である。今回の資本注入は、「フリー・ランチ」ではなく、最後の「晩餐」であり、上場のための準備である。政府が注入した資金は、単に不良債権を買うために使うのではなく、貯蓄を効率的に運用できる新しいメカニズムを買うべきである。
(1)歴史的な負荷による2行の改革の制約を断ち切り、銀行業の新たな競争構図が形成される。これまでも、国有銀行は内部管理の改善や、経営能力の向上などで歴史的な要因による負荷の解消を試みた。しかし、膨大な不良債権は、4大銀行の足手まといとなり、国有銀行の経営状況に対する客観的な判断の妨げとなっている。資本注入と再編により、中国銀行と建設銀行が改革を先行し、この2行の再編の中で効果的な方法が証明されてから、次に中国工商銀行と中国農業銀行がそれを参考にして実施する。これは、国有銀行改革全体に対し模範を示すものである。
(2)経済成長に対する銀行支援の強化である。一般的に、不良債権の減少は、銀行の貸出能力を高める。今回の大規模な資本注入に加え、不良債権処理の措置もあり、経済成長に対する国有銀行の支援を強化する点では非常に有利である。これは国有銀行にとって資産構造を調整する良いチャンスでもある。
(4)資本注入を通じた国有銀行の再編は、政府が不良債権の勘定を払うというよりも、国有銀行のための新しいメカニズムを買ったと言った方が正しい。
(5)国有銀行の透明性を高め、公衆による監督を強化する。商業銀行の業務は公衆の利益に関わる。このため、上場企業の監督と同じように、(銀行も)情報開示を実施しなければならない。しかし、実際、多くの国有銀行の経営に関するデータは機密情報とされ、市場はそれを適時に正確に獲得することは非常に難しい。今回の再編を通じて国有銀行の透明性を高めることは、公衆による監督強化の環境作りでもある。
この点について、中国銀行香港の海外上場の成功は、今回の2行の再編の良い参考となる。中銀香港の手法から見て、上場前の不良債権処理ならびに、大規模な業務再編、内部の改革と再編は、銀行のコーポレート・ガバナンスと金融資源の使用効率を強化すると同時に、伝統的な国有銀行から、近代的資本市場のルールに則った透明性の高い近代的商業銀行への転換を促進することができる。
国有銀行改革に関する大きな措置の中、資本注入はすでに発表したが、国有銀行を近代的な商業銀行に転換させるには、銀行の内部ガバナンスおよび外部の監督・管理の強化などの措置が必要である。今後、次のような点について更なる検討が欠かせない。
第一に、中国銀行と建設銀行の先行改革の後で、中国の銀行システムとその競争構図に起こりうる変化、特に工商銀行と農業銀行の改革への促進効果、先行改革による外部競争環境の変化、歴史的な負荷に対する態度を検討しなければならない。
第二に、中国銀行と建設銀行の改革による貸出への影響を検討しなければならない。中国銀行と建設銀行の改革は、中国の銀行システムのかなり大きな部分に影響を及ぼすことになる。中国銀行と建設銀行の貸出態度の変化は、全体の貸出規模を直接左右する。例えば、不良債権処理の加速と資本注入は、中国銀行と建設銀行の貸出能力を向上させるが、資本注入後に厳格な自己資本比率の監督を実施すれば、自己資本比率規制は、資産拡大の制約となる。具体的にどの位の影響が出るかは、慎重なシナリオ分析や試算を行わなければならない。また、金融政策面でも相応の対策を採るべきである。
第三に、外貨準備による資本注入の金融市場への影響を検討すべきである。外貨準備を使用して国有銀行に資本注入を行ったことは、中国にとって大胆な試みである。金融市場特に外為市場にどのような影響をもたらすかは、更なる観察が必要である。たとえば、外貨準備を国有銀行に注入した後、国有銀行が外貨を売却しなくても、外貨貸出を増やし、企業が外貨を売却することによって、注入された外貨準備は再び外為市場に戻ってくることになる。中央銀行は再びベース・マネーで外貨を購入しなければならないため、マネーサプライに対する調節に細心の注意を払う必要がある。
第四に、注入された資本のリターンを検討しなければならない。これは、国有銀行の国有資本の価値の維持と増加の問題とも関係している。資本価値の増加を合理的に評価する指標を作成すること、規範化された近代的企業制度と市場経済的な手法に基づいて公開的・透明的・合理的な手順を通じて国有銀行の経営管理者を採用する方法、などは検討に値する課題である。実際、これらの課題は、国有資産管理委員会が着手している仕事に非常に似ている。
第五に、資本注入後の株主の多様化の進捗状況を検討しなければならない。資本注入後は、不良債権処理と株主の多様化といった問題が必然的に出てくる。この過程の中では、すべての社会資本を同一に見なすべきであり、外資の導入ばかり強調してはならない。
国務院発展研究センター金融研究所副所長。1999中央財経大学博士号取得。中国銀行杭州市分行副行長、中国銀行香港有限公司リスク管理部総経理補、中国証券業協会発展戦略委員会主任などを歴任。2003年8月より国務院発展研究中心金融研究所副所長。主に金融市場の監督と金融システムのリスク管理、金融政策と企業融資政策などを研究している。著書に『中国貨幣政策有効性の経済学分析』『金融的江湖』などがある。

[ 54] 中国の経済改革
[引用サイト]  http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/040203kaikaku.htm

日立プリンティングソリューションズ(http://www.hitachi-ps.co.jp)は,2003年9月29日,Linuxディストリビューションにおけるフォント流用問題についての対応を明らかにした(問題の経緯は「フリーのフォントに権利侵害の問題が見つかる」http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/LIN/NEWS/20030624/1/を参照)。日立プリンティングソリューションズは,日立グループのうち,プリンタ関連製品を扱う会社などを統合して2002年10月に設立された。問題のフォントを開発,運用してきた関係者が多く在籍しているため,今回の対応窓口となった。具体的な対応内容は,「フォントの権利侵害について」と題した文書で日立プリンティングソリューションズのWebサイトにて2003年9月29日に公開された。
要点は,(1)日立製作所とタイプバンクが開発した32ドット明朝体フォントの公開と配布は認めない,(2)これらのフォントから派生したフォントについても公開と配布は認めない,(3)ただし,32ドット明朝体の権利を使用したフォントの制作,公開,配布を“一定の条件”のもとに認める,というものだ。
これだけを見ると,問題の32ビット明朝体フォントを部分的に参考にして開発された東風(こち)明朝フォントの無償利用は難しく思える。
しかし,実際には,(3)の一定の条件がかなり柔軟なものになっている。条件の詳細はまだ決まっていないが,基本的には「非商用利用に限るなどの制限があるだけで,ライセンス料金は不要」(日立プリンティングソリューションズ 事業統括本部事業企画部 主任技師の小池 建夫氏)である。
日立プリンティングソリューションズは,東風フォントの開発者である古川 泰之氏らと,一定の条件に基づいた契約を交わす方向で話し合うとしている。そのため,東風明朝フォントは問題なく公開および配布できるようになる見込み。ただし,古川氏は「商業利用も可能なフォントの作成が開発動機であり,(今後の対応については)制作および配布活動の永久停止も含めて検討中」だという。
初代渡辺フォントなど,32ドット明朝体のタイプフェイスがそのまま流用されたドット・フォントを公開,配布することはできないが,TrueTypeフォントなど派生したフォントの制作,公開,配布については,日立製作所と無償のライセンスを結べば可能になった。
Linuxディストリビュータに関しても,無償のディストリビューションはもちろん,非営利のディストリビューションへの東風明朝フォントの添付は問題ないという見解である。実際には,フォント自体を販売するのでなければ,有償のディストリビューションであっても,フォントの添付は無償で可能だという。
問題の32ドット明朝体フォントは,1980年代前半から1996年まで,最盛期で20人弱の担当者が関与し,数十億円の開発費をかけて開発されたもの。財産権は日立社内の複数の部門がシェアしており,従来の主な用途はプリンタ内蔵向け,ワープロ内蔵向け,ROMへの組み込みだった。現在ではメインフレーム用の高速プリンタ用として使われているほか,放送局向け,電光掲示板向けにも利用されている。さらに,関連会社の日立インターメディックスが外部への販売権を持ち,販売も行っている。つまり,日立にとって過去のフォントではない。
■ついに一般消費者まで告訴した米レコード業界――次世代音楽ビジネスの主導権は誰の手に? (2003/09/16)
■女優のヌード・シーンに服を着せる――映画改変ソフトがハリウッドを揺るがす (2002/09/23)
■サイボウズOfficeの表示画面に独自性なし--東京地裁が著作権侵害の訴えを棄却 (2002/09/06)
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[ 55] 東風フォント問題が解決の方向へ無償利用も可能に:ITpro
[引用サイト]  http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/LIN/NEWS/20030926/1/



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