付き合うとは?
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このページでは、当財団で発行している冊子「がんとどう付き合うか(肺がん篇)」の内容を公開しています。冊子の配布も行っておりますので、ご入り用の方は係までお問い合わせください。(送料実費) この小冊子は、肺がんの「予防」「診断・治療」「社会復帰」「緩和医療」といった一連の流れに沿って現在の考えをまとめたものです。 「がん」は日本国民の死因の第一位を占め、年々増加し、平成12年には全国で約30万人の人々ががんで亡くなっています。全死亡の3人に1人の割合です。その中でも肺がんは、死亡者が約5万人と最も多く、がんで亡くなる人の6人に1人となっています(図1、参考資料1)。 肺がんの予防にはタバコを吸わないことが最も有効です。日本人の男性の喫煙率は約50%であり、女性の喫煙率(約10%)も年々上昇していますので、禁煙の徹底が求められています。また、CT検診や喀痰細胞診による検診によって早期に発見し、適切に治療すれば、ほぼ80〜100%治癒できるようになってきています。手術ができる時期に発見され、がんを完全に切除できた場合の治癒率は50%に達しています。 しかしながら、自覚症状がでてから検査を行って発見された肺がんは、進行していることが多く、治癒することは稀になり、恐るべき病気であることに変わりありません。肺がんが“難治がん”といわれるゆえんです。したがって、肺がんを克服するためには、今後とも、研究の推進、医療体制の充実を図る必要があります。 このようなことから、私たち自身も、肺がんに対する備えが必要になります。日頃から、禁煙を心がけ、生活習慣や生活環境を改善して、肺がんに結びつく危険因子をさけたいものです。また、検診を受け、肺がんの発見を早期に発見し、適切な治療を受け、治癒し、社会復帰したいものです。「自らの健康は自ら守る」という心構えが大切です。 そのためには、私たち一人ひとりが、肺がんに対する正しい知識を身につけ、肺がんという病気との関わり方−時には闘い、ときには共存−について、医師をはじめとする保健・医療・看護・福祉に携わる人々や家族など関係者とよく話し合い、どのように対応していくか、ともに考え、ともに理解を深めていくことが、一層必要となっています。 この小冊子は、そのための一助にと願って、肺がんの、「予防」「診断・治療」「社会復帰」「緩和医療」といった一連の流れに沿って現在の考えをまとめたものです(参考資料2)。 肺がんもまた、病気になってから治療するよりも、病気にならないように予防するに越したことはありません。予防することによって、生命が守られ、休業・休学も避けられます。また、予防は治療よりも経済的に安く上がることは言うまでもありません(参考資料3,4)。 地域がん登録(厚生労働省)に基づく肺がんの罹患率の推計では、図2に示すように、男女共に加齢とともに増加し、また昭和50年と比較して、ここ20年余りで急速に増えていることがわかります。 肺がんの発生を未然に防ぎ、肺がんに罹らないようにすることを「一次予防」と呼びます。環境中の危険因子を避けることや、がんを抑制する因子を取り込むことが大切です。 肺がんの発生には喫煙が強く関与しているといわれ、喫煙者の肺がんの発生は非喫煙者に比較して約4倍から10倍といわれています。したがって、肺がんを防ぐには、禁煙が最も有効であるといわれています。喫煙者であっても、禁煙することによって肺がんの発生率を低下させることができます。 最初から喫煙しないことが最も大切ですので、特に小・中学生からの青少年に対する禁煙教育を徹底する必要があります。このため、がん研究振興財団では「君たちとタバコと肺がんの話」という小冊子を作って啓蒙を行っています(参考資料5)。 また、職業性の肺がんとして、六価クロムやアスベストの関与が指摘されています。現在では、これらの物質を扱う職場の環境が整備され、問題がなくなっていますが、以前には、大勢の発生が認められました。米国ではウラン鉱山での肺がん発生も問題になりました。 喫煙は肺がんの発生に直接的に関与するのみならず、肺気腫、慢性気管支炎、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、胃・十二指腸潰瘍などの原因にもなります(図3)。また、これらの疾患をもった人が肺がんになると肺がんの治療が制限されます。 肺気腫や慢性気管支炎では肺の機能が低下しますので、たとえば肺がんが早期に発見されても充分な手術ができないことがあります。また、虚血性心疾患のある場合には、肺の切除による心臓への負荷が過大になるために手術の対象から外されることがあります。さらに胃・十二指腸潰瘍からの出血が肺がんの手術後に認められることもあり、術後管理に難渋することになります。このように、喫煙は肺がんの治療を制限することにもつながりますので、禁煙しましょう。 じん肺症で喫煙者である人が肺がんになると、じん肺による肺機能の低下のために治療が制限されるうえに、さらに不利な条件が加わります。じん肺による肺の病変が胸部X線写真による肺がんの発見を困難にするので、せっかく検診を受けていても発見が遅れることになりかねないのです。 たばこを吸わない非喫煙者の肺は鮭の切り身のようにきれいな桃色で、サーモン・ピンクと呼ばれています。しかし、喫煙者では、喫煙による煙が肺の奥深くに入り込み、煙の中の炭紛が肺に沈着し、肺を黒く汚します。 肺がんの内、太い気管支にできる扁平上皮がんや小細胞がんと喫煙との関係は明らかです。さらに、最近では肺の奥にできる腺がんや大細胞がんの発生にも関与していると考えられます。 肺がんに限らず、がんは無症状の時期に発見しないと早期発見は難しいとされています。健康である時こそ検診を受けることが必要です。症状が出て発見された肺がんはほとんどが進行がんで、手術ができるのは稀です。したがって、症状が出ている肺がん患者はすぐにでも治療をしないと、わずかな手術の機会をも失うことになります。 肺がんによる症状には、咳、痰、血痰、発熱、胸痛などがあります。特に、血痰、数日以上続く頑固な咳や胸痛を認めたら、かかりつけの医師を受診して、胸部X線写真と喀痰細胞診検査を受けることが必要です。 また、発熱がないのに咳が続く時には風邪と考えずに肺がんの可能性を考えて、すぐにかかりつけ医を受診することが大切です。自覚症状があっても、風邪だろうと軽く考えて受診しないことや、逆に、肺がんといわれるのが怖くて受診を躊躇することがしばしば認められます。躊躇していると直ぐに3カ月や半年過ぎてしまうことが多く、治癒できたものが時機を失してしまうことになります。 肺がんは発生する部位によって、太い気管支にできる“気管支がん”とも呼ばれる「肺門型肺がん」と、気管支が4ないし5回以上分岐してからの、より末梢の細い気管支や肺胞にできる「肺野型肺がん」とに分けられます。 肺門型肺がんは早期には気管支の壁内に留まっているために、胸部X線写真には写らないことが多いといわれています。したがって、肺門型肺がんの早期発見には喀痰細胞診(注1)による検診が必要とされます。 また、肺門型肺がんは太い気管支に発生するので、早期に痰や血痰など呼吸器症状がでやすく、検査を受ける人に対し、これらの症状の有無を聞く、問診も大切です。 肺野型肺がんはかなり進行するまで症状が出ないのが特徴です。血痰、頑固な咳や胸痛などの症状が出た時点では治療が困難な進行がんとなっています。したがって、肺野型肺がんの早期発見には胸部X線写真が必要とされてきました。胸部X線写真では肺がんが直径2cm位で発見されますが、この大きさですでに25%の方にリンパ節転移が認められます。したがって、もっと小さな時期に発見することが求められるようになってきました。そこで、現時点で推奨されているのはCTによる検診です。CT検診では直径1cmないし1.5cmで発見せれるようになってきました(図4)。 肺がんの中には太い気管支にできて、早期には胸部X線写真には写らない、いわゆる気管支がんと呼ばれるものがあります。 これらは、比較的早い時期から、痰の中にがん細胞を撒き散らしますので、痰を採取して顕微鏡で調べる喀痰細胞診検査が早期発見に有効で、検診に用いられています。1日だけよりも3日連続で調べることによって発見率が高くなるといわれています。また、このような肺がんは血痰を出すことも多く見られますので、血痰が出たときには喀痰細胞診を行うことが勧められています。 左右の肺の入り口で気管や心臓から出る血管の近くの部位を肺門と呼びます。肺門にある太い気管支から発生する肺がんは肺門型肺がんと呼ばれ、気管支鏡で観察することができます。図(A)は、気管から左右に分かれた主気管支のうち、右主気管支に発生した扁平上皮がんのCT像です。この方は幸いに、気管分肢部切除を伴う右肺全摘術で根治的切除ができ、手術後16年後の現在も再発の徴候もなく元気に過ごされています。 一方、肺門から離れた部位を総称して肺野と呼びます。この肺野部に発生した肺がんを肺野型肺がんと呼びます。肺野型肺がんは細い末梢気管支との関与しかありませんので、気管支鏡で観察することはできません。肺野型肺がんの発見や観察は胸部X線写真やCTを用います。図(B)は肺野型の腺がんです。 1995年(平成7年)から国立がんセンターの指導で、東京都予防医学協会が世界に先駆けてCTによる肺がん検診を開始しました。それまでに行われていた胸部X線写真と喀痰細胞診による検診で発見された肺がんの直径が約3cmであったのに対し、CTの導入によって、1cmで発見されるようになり、90%が病期1期の肺がんでした。CT検診で発見された肺がん患者の5年生存率は80%と良好な結果となっています。 CT検診ではより早期の肺がんを発見できることがわかりましたが、間隔はどのくらいが良いのか?撮影方法は?被爆量は?肺がんかどうかの確定診断は?など、まだ解決すべき問題が多く残されています。これらを解決する研究の早急な推進が求められています。 CTの進歩の速度は著しく速く、ことに最近では、被検者を移動させながら検査し、画像情報を連続的に採取するヘリカルCTの開発によって短時間でより詳細な画像が得られるようになりました(図5)。これらの進歩によって、従来の胸部X線写真では確認できないような、「すりガラス」のように見えるごく早期の肺がんや類似疾患が多数発見されるようになりました。「すりガラス」状の影が本物の肺がんなのか類似疾患なのかを鑑別する手段が必要となってきました(図6)。 患者さんの身体を頭から足に向かってCTの中を移動させながら、高速に撮影すると、CTが得る放射線による情報が“らせん状”に得られることから“らせん”を意味する“ヘリカル”CTと呼びます。 ヘリカルCTで撮影すると、短時間に密度の高い情報が得られます。したがって、薄い断層面や、拡大した画像での観察ができることから、より小さな肺がんの発見や、病期の性状、進展度が的確に診断できるようになりました。 ヘリカルCTの普及によって、従来の胸部写真では発見が困難であったいわゆる“すりガラス状”陰影の肺がんが発見できるようになりました。顕微鏡で病理像をみると、肺胞の表面を被う細胞のみががん細胞で置換されていることがわかります。肺胞上皮型の腺がんです。 肺がんの発見には、検診、自覚症状のほかに、他の疾患で受診中に撮影した胸部X線写真やCTによるものがあります。 検診や他疾患受診中に肺がんが疑われた場合には、すぐ精密検査を受けるか、経過を観察するかを、検診施設やかかりつけの医師に判断していただくのが良いでしょう。 自覚症状の場合には、先ずかかりつけの医師を早く受診することが大切です。咳、血痰、胸痛などの呼吸器症状は肺がん以外の疾患でも出る頻度が多く、これらの症状の大半はかかりつけの医師によって解決できます。したがって、自覚症状が出た時点でかかりつけの医師を受診することを躊躇せず、受診後は、医師の指示に従うことが大切です。 胸部X線写真やCTはあくまでも影絵ですので、これらの検査だけで肺がんと断定することはできません。肺がんと断定するには、組織を採取して顕微鏡でがん細胞を確認することが必要です。これを「病理組織学的検査」と呼びます。この検査によって肺がんと診断することを「確定診断」と呼びます。 肺の組織をとる方法には、気管支鏡を用いて鉗子でとる方法、胸壁を針で貫いてとる方法、開胸や胸腔鏡で手術的にとる方法があります(図7・8)。気管支鏡では呼吸が障害され、針では肺が傷つき肺から空気が漏れる気胸が生じ、手術では胸壁と肺に傷がつきます。確定診断には必ず負担がかかることになります。したがって、きわめて初期の肺がんが疑われる症状では、経過を診ることによって、他の疾患との鑑別が行われることもあります。 開発当初の気管支鏡は円筒形をした真っ直ぐな硬い筒状のものでしたので、検査の際は、患者は首を後方に強く進展して挿入しましたので、大変に辛い検査でした。しかし、国立がんセンターの故池田茂人先生が思い道り彎曲できる気管支ファイバースコープを開発してからは、患者さんの負担が減り、検査も十分な観察と必要に応じて肺野末梢からも生検による標本を得ることができるようになりました。最近では、気管支ファイバースコープによる処置や治療も広く行われています。 肺野にできるいわゆる肺野末梢型肺がん(色抜き矢印)ではX線透視を用いても気管支ファイバースコープを用いても、適格な標本を採るのが困難な症例が多く見られます。このような症例では、直接、皮膚に針(黄色矢印)を刺し、さらに奥へ針を進め肺の中の病変に針を突き刺し生検の標本を得ます。この方法を経皮肺針生検と呼びます。 肺がんは、組織学的な特長によって分類される「病理組織学的分類」と、肺がんの進行度によって分類する「病期分類」とがあります。 病理組織学的分類では、代表的なものに腺がん、扁平上皮がん大細胞がん、小細胞がんがあります。小細胞がんは進行した状態で診断される症状が多く、手術の対象とならず、化学療法や放射線療法の効果が得やすいことから、小細胞がん以外の肺がんを“非小細胞がん”と呼んで、二種類に分類することがあります。 病期分類は1期から4期なでに分けられ、それぞれの期がAとBに分けられます。1期と2期は手術が最も効果的な病期です。3A期は多くは手術の対象とされますが、縦隔リンパ節転移のある症例では手術だけでは良い成績が得られないことから、手術の前に化学療法や放射線療法、あるいは両者が行われ、その後に手術を行うことが試みられています。3B期では一部の特殊な症例を除いては手術で治癒することは難しいとされています。4期はすでに他の臓器に転移がありますので、手術の対象にはなりません。しかし、一つだけの脳転移や副腎転移は切除したほうが、化学療法よりも成績が良いとされ、手術が行われます。 治癒を目指す肺がんの手術は、肺の切除をリンパ節の郭清が行われます。最近では、皮膚にできる傷が小さいことから、胸腔鏡による手術が推奨されることがあります。美容上、また、患者さんの心理からは、傷は小さいに越したことはありません。しかし、肺がんに対しては肺の切除とリンパ節の郭清を充分に行うことが優先される必要があります。したがって、胸腔鏡によっても十分にこれらの処置ができる場合に限って用いるべきといえます。(図9) テレビを用いた“ビデオ胸腔鏡”手術は、皮膚切開や筋肉の切除が小さく、患者の負担が減るだけでなく、美容上も良好な結果を得ることができます。しかしながら、肺がんの特徴である腫れていないリンパ節転移を見逃したり、採りそこなったりする恐れがあります。したがって、現時点では、肺がんに対する胸腔鏡手術は従来の手術では負担が大きいと考えられる、心肺機能の低下例や、極めて早期と思われる、“すりガラス状”陰影で2cm以下の症例などに限られています。 小細胞がんは化学療法や放射線療法に対する感受性が高く、効果が明らかです。したがって、進行がんで発見されることが多いことからも、小細胞がんはこれらの治療法の良い適応とされています。これらの治療で治療できた症例も多く経験されるようになってきています。 非小細胞がんで手術の適応のない症例もこれらの治療法の対象とされていますが、治癒を目指すものではなく、臨床試験として行われるべきものと考えられています。 肺がんは、病理組織学的分野と病期分類との組み合わせによって、治療方法が決定されます。最近では、小細胞がんも病期分類に従って治療法に手術も加えることが勧められています。小細胞がんのうち病期1期の症例は、まず、手術が行われ、病理組織的に小細胞がんであることを確認し、術後に化学療法を追加することが推奨されています。 手術成績は図10に示すように、病期1期では満足できますが、2期以上の病期では5年生存率が50%ないしそれ以下であり、他の治療法との組み合わせによる治療成績の向上が望まれています(参考資料6,7)。 肺がん切除術を受けた感者さんの予後は次第に改善していますが、それでも、1期の肺がんの5年生存率は約70%で、まだ、早期胃がんの90%以上には及びません。今後、CT検診の普及などによる、より小さな、より早期の肺がんの発見が求められています。 肺がんの治療は、手術、放射線治療法、化学療法が主な手段ですが、いずれの治療も目的は社会復帰です。したがって、治療を計画する階段から社会復帰に向けた努力が必要になります。すなわち、治療が終了してからリハビリテーションを考えるのではなく、治療計画の中にリハビリテーションを組み入れることが大切です。ことに、治療を目指す手術の場合には、治療計画と共にリハビリテーションの計画を入れた、「クリニカル・パス」という方法がとられるようになってきました。 これは、定型的な手術の治療計画を患者さんに示すと共に、治療に伴う処置、看護、介護、リハビリテーション、退院予定、自宅療養時の指針、社会復帰の過程をも書類にして患者さん並びに家族の方に開示いたします。 このようにして、病気とそれに伴う医療事情をよく理解していただくことは、順調な回復を図るうえで役立ちます。 治療後の通院は、手術、化学療法、放射線療法からの回復状況と治療による影響を観察することと、再発の監視とを目的をします。 手術や放射線療法では、治療直後には手術創や照射部位の観察が必要です。治療後、時間が経つと再発の監視が通院の主目的になりますので、胸部X線写真、腫瘍マーカー(注2)を観察します。手術後では、1年に2回ないし3回の観察が、術後5年ないし10年間にわたって行われます。化学療法や放射線療法の場合には再発の可能性が高くなりますので、進行の程度に応じて頻繁に観察することになります。 肺がんをはじめとした悪性腫瘍の中には、腫瘍に特有な物質を血液中に放出します。このような物質を腫瘍マーカーと呼んでいます。腫瘍が他の臓器に転移した時や、かなりの大きさになった時でないと、異常な値にはなりませんので、早期発見には用いられません。しかし、手術などで治療した後に再発の出現を監視するのに有効です。また、異常値を示す症例の化学療法や放射線治療の効果を見るのにも有効です。 肺がん治療の最終の目標は社会復帰です。医師から許可があった時点で躊躇せず、すぐに社会復帰することが大切です。社会復帰することで、運動量も多くなりますし、精神的なよりどころも増し、気持ちの張りが出てきます。「病は気から」の言葉どおり、社会復帰による精神的な安定と体力に対する自信を持つことは、療養上大切なことといえます。 肺がんでは、発見が遅れ胸壁にがんが浸潤したための胸痛、手術の傷の痛み、骨転移による疼痛が問題となります。 胸壁に浸潤したがんは、治療の可能性を高めるために、まず放射線療法を行ってから手術を行うのが一般的です。放射線療法によって多くの患者さんは胸痛が消失します。また、放射線療法によって肺がんが縮小するので、手術による完全切除の可能性を高めることができます。 手術の傷の痛みは、多くの胸壁の筋肉を切断することによる胸壁の虚血が原因となります。傷が冷えると痛むのは、より血流が悪くなるからです。したがって、お風呂に入って傷を温めると血行が良好になり、痛みが和らぎます。冬の寒い時期に外出するときには、下着の上に使い捨ての「カイロ」を貼り付けておくと痛みに苦労せずに済みます。カイロを傷に直接貼りますと、傷の周囲の感覚が麻痺している場合に、火傷をしても気づかないことがありますのでカイロは下着の上に貼り付けるのが良いでしょう。 残念にして、骨に転移した時には、骨転移による疼痛が出現いたします。しかし幸いなことに、多くの場合、骨転移による疼痛は放射線照射によって消失させることができます。放射線照射による効果が認められないときは、鎮痛剤を用います。近年、この方面の研究が進み、経口薬、座薬、注射、硬膜外注入(注3)など様々な方法を駆使して、疼痛を緩和し、日常生活を楽しめるようになりました。骨転移以外の原因による疼痛に対しても同様です。疼痛を専門に扱う医師に相談し、指示を受けることが大切です(参考資料2,8)。 手術の後の疼痛は患者の活動を制限し、食欲を落とし、痰の喀出を妨げ、肺炎の原因となったりします。従来は、筋肉注射や静脈注射あるいは内服薬やお尻に入れる座薬などが痛み止めとして使われてきました。これらは副作用として、消火器に障害を来たし、益々食欲をなくし、意識を朦朧とさせ、食事や唾液を誤嚥する原因となってきました。 そこで、これらの障害を起こさないように導入されたのが、硬膜外注入です。硬膜外注入では局所麻酔剤や麻薬であるモルヒネを使用しますが、意識を低下させることなく、痛みをほぼ完全に除くことができます。したがって、活動が制限せれず、合併症の心配もなくなりました。 肺がんが進行しますと、疼痛以外にも、吐き気、嘔吐、めまい、うつ状態、呼吸困難、腹満、倦怠感など様々な不都合が生じます。このような不都合に対しても研究・工夫が行われ、専門の医師や看護士が増えてきています。また、このような患者さんを施設としてケアするホスピスも多くなりました。緩和医療やホスピスの専門家とご相談ください(参考資料2)。 最近では、往診、訪問看護、介護サービスが充実してきましたので、肺がんの進行による不都合が、自宅でもかなり解決できるようになりました。患者さんに肺がんであると病名を告げ、病状も正確にお話しすることによって、患者さん自身が、限られた時間を自宅で家族と共に楽しく過ごしたいと希望される方がふえています。 このように希望に添えるように、在宅ケアの充実が望まれます。現在でも、様々な制度を利用することによって患者さんの希望に添えることができますので、医療連携室(注4)や医療社会事業の専門家と相談されると良いでしょう。 病院にある医療連携室では、手術や放射線治療など主たる治療を終えた後のリハビリテーションや、不幸にして再発し、限られた時間を自宅やホスピスあるいは介護施設で落ち着いた生活を維持したいと希望される方に、在宅ケアのための訪問看護、介護サービス、あるいはホスピスをはじめとした他施設の紹介などを行っています。 高齢社会が進むなかで、わが国の肺がん罹患数はますます増加する傾向にあります。肺がんに対する総合的な対策が望まれます。 禁煙の徹底、有効で効率的な肺がん検診の開発、早期発見・早期治療による治癒率の向上、進行肺がんに対する有効な治療法の開発、標準的診断法・治療法の全国への普及などが必要となっています。 がん研究振興財団は、官民一体で取り組む「がん克服新10か年戦略」の一翼を担っています。がん研究の助成、若手研究者や医療従事者の人材育成、国際研究交流の推進、国民へのがんに関する正しい知識の普及と予防啓発など多面的な活動を展開しています(参考資料9,10,11)。 新たな世紀を迎え、これからのがん対策は、地域・国・世界レベルの視点から、国民と保健医療の専門家と行政とのなお一層の力強い連携が求められます。また、患者さんと専門家相互はいうまでもなく、ときには患者さん相互の連携、さらにはボランティアによる支えも大きな力になるものと思われます。 おわりに、国民一人ひとりの健康と福祉の向上、とくに「がん克服」へのひとつの道標として少しでも役に立つことを願い、この小冊子をまとめてみました。今後とも、研究の進歩や社会的ニーズに応じて、内容の見直しを図っていきたいと考えています。 (プッシュホン回線使用の場合は音声ガイドの指示どおり。ダイヤル回線使用の場合は番号コードを入れる前にトーンを切り替える。) |
[ 5] がんとどう付き合うか(肺がん) - がん研究振興財団
[引用サイト] http://www.fpcr.or.jp/publication/dou_hai.html
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新町クリニック健康管理センター所長・高木 敏先生インタビュアー ニッポン放送アナウンサー 那須恵理子 ―「若者と女性の飲酒」が今日のテーマです。最近の中学生や高校生は、いけないことですが随分飲んでいるみたいですね。 月に1〜2回以上お酒を飲んでいる未成年者の割合は、中学3年の男子で25%、女子で17%。高校3年の男子は52%、女子は36%という調査があります。日常的に飲んでいるといってもおかしくないですね。 ―お酒が飲めるのは20歳になってからで、若い時に飲むのはそれだけ「害」があるということですよね。 未成年のうちから飲み始めると短期間でお酒に強くなります。だから非常に依存症になりやすい。普通は20年ぐらいかかるのですが、未成年のころから飲んでいると20代で立派な「アルコール依存症」になってしまいます、しかも非常に治りにくい。 若い人は仕事を持っていないとか、いろいろ問題があるでしょう。社会的基盤がないから立ち直りにくい、だから非常に治療も難しい。体の面から見ても、20歳前から飲んでいると、たとえば脳の委縮なども非常に早くきます。 認知試験というのがあります。知能テストみたいなものですが、それで調べてみると20歳前から飲んでいる人はぐっと落ちている。だからお酒の飲み始めは遅い方が安全です。 女性は特に、アルコールの害を受けやすい「体質」だということを知っておかなければいけません。男性の場合は先ほど話したように、飲み始めてから20年ぐらいでアルコール依存症になりますが、女性の場合は5年未満で30%ぐらいが発症しています。 少ない飲酒量で短期間になるという、その理由はよく分かりません。私たちの研究では女性ホルモンが関係しているのではないかと思われます。もともと女性ホルモンというのは、アルコールの代謝を抑えるような働きがあります。だから女性は本来、あまり飲めない体質ということです。 ところが、一生懸命に飲んでしまうと飲めない体質のために、すぐ酔っぱらい状態になり、それを繰り返して依存症が早くなると考えられます。 妊娠中にお酒を飲むと「胎児性アルコール症候群」という、赤ちゃんが生まれる可能性があるからです。発達障害や知能障害というような障害を持った子供が生まれる危険があります。 それを防ぐためには妊娠と分かったら絶対にお酒を飲まないこと、これ以外に方法はないですね。安全な飲み方、飲酒量というのは分かっていませんから。とにかく妊娠と分かったら、お酒は絶対に飲まないことです。 ・・・・・ 番組およびホームページへのご意見・ご感想をお待ちしております ・・・・・ |
[ 6] 酒と上手に付き合う法4日目
[引用サイト] http://kk.kyodo.co.jp/kenko/thema/20011129.htm
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>糖尿病と上手に付き合う糖尿病のコントロ―ル運動療法糖尿病の薬低血糖の原因と対策高血糖の原因と対策糖尿病性合併症糖尿病の日常的ケアのポイント自己管理のしかた 糖尿病と上手に付き合う監修東京慈恵会医科大学 内科教授田嶼 尚子東京都済生会中央病院 内科部長渥美 義仁糖尿病と上手に付き合う糖尿病の主治医は、あなた自身です。 イーライリリー社は、過去80年間糖尿病の治療と研究をリードしてきました。その研究が大きく実を結び、糖尿病治療における画期的な薬とされているヒューマリンR=ヒトインスリン(遺伝子組換え)を開発、糖尿病をもつ人々の治療に貢献しています。私たちが糖尿病研究を通じて発見したなかで、患者さんにお伝えしたいメッセージがあります。 それは、糖尿病はコントロール可能な病気だということです。患者さんと医師、医療チ―ムの連携作業ですが、いつ何を食べるか、運動するか、糖尿病薬を実際にどのように飲むか、注射するかは最終的にあなた自身にかかっています。 いわば、糖尿病の主治医はあなた自身なのですから、ご自分の糖尿病にもっと関心をもっていただきたいのです。糖尿病医療チームのアドバイスに従いながら、あなた自身もできるだけ糖尿病への知識を高めて、体調を良い方向にもっていきましょう。将来、合併症が起こるリスクを少しでも減らすために。 糖尿病の基礎知識 糖尿病は、あなたがこれまでかかったことのある病気とは違います。かぜやインフルエンザとも、進行の仕方が違います。いちばんの違いは、糖尿病の治療には、あなた自身の努力が大きく影響することです。日々の治療は、あなたの日々の生活に影響されるところが大きいからこそ、糖尿病の知識を身につけることが何よりも大切なのです。この情報を、その第一歩にしていただきたいものです。糖尿病はこんな病気多くの方がかかっている病気です。世界中で増加傾向にあり、糖尿病患者は少なくとも40代以上の10人に1人の割合といわれます。 コントロールできる病気です。完治はしないものの、血糖値を正常レベルに保つことで管理できます。そのためには食事療法、運動療法が必要です。薬を使用することもあります。 生涯にわたって付き合う病気です。血糖値は治療で改善するでしょうが、それで糖尿病が治ったわけではありません。血糖がコントロールされているというだけです。 自己管理する病気です。あなたにアドバイスをし、支えてくれる医療チームが必要ですが、直接管理をするのはあなた自身です。あなたの毎日の生活がこれからの血糖値を左右するといえるでしょう。 絶えず変化する病気です。医師は時々薬や治療計画を変えることがあります。糖尿病の病態は、時の経過とともに変化するからです。 食物を代謝するしくみは? 食物の一部は糖に分解される(その糖の1つに、体の主な燃料になるブドウ糖がある) 糖が血流に取り込まれ、血液中のブドウ糖(血糖値)が上昇し始める 体が血糖の増加を感知すると、膵臓に信号を送る 膵臓はインスリンを作り、血液中に送り込む インスリンは体の細胞に鍵を開ける働きをし、糖が血液から細胞の中に入り込み、血糖値を抑える 糖が細胞中に流れ込むとともに、血糖値は減少する 体の細胞は糖を燃料として利用し、エネルギーを生む。 当コンテンツでは、Macromedia Flashを使用しています。 何も表示されない場合はプラグインを入手してください。 |
[ 7] Diabetes.co.jp - 糖尿病と上手に付き合う
[引用サイト] https://www.diabetes.co.jp/CACHE/dbt/index_page_pageobj3.cfm
