発生とは?

発生生物学(はっせいせいぶつがく)は多細胞生物の個体発生を研究対象とする生物学の一分野。個体発生とは配偶子の融合(受精)から、配偶子形成を行う成熟した個体になるまでの過程のことである。広義には老化や再生も含む。
この分野は、言ってみれば「カエルの子はカエル」になる理由を、その経過を追うことで知ろうとするものである。他方、その理由を原因から調べようとするのが遺伝学であり、両者は裏表とも言える関係にあるが、この両者が結びつくようになったのは、二十世紀後半以降のことである。
この分野は、古くは発生学 (embryology) と呼ばれていたが、現在ではより広い意味を持たせた発生生物学という名称で呼ばれている。発生学ではウニなどの胚 (embryo) の発生を観察し記載することを主としていた。これは技術的な限界により研究対象が大きくて透明な卵に限られていたためである。また多種生物間での比較を主とする場合は比較発生学と呼ばれる。 後に、移植などの操作を行う実験発生学と呼ばれる分野が発達してきた。
近年になり分子生物学や遺伝学、細胞生物学の手法・知見を取り込みながら発展し、研究対象は多様な生物種・発生過程に及んでいる。多様な生物の発生生物学的知見が蓄積され、それらを比較することにより進化を探ろうとする進化発生生物学 (evo-devo) も盛んになっている。
現在の発生生物学研究では主にモデル生物を用いて研究が行われる。動物全般のモデルとしてはショウジョウバエと線虫が、脊椎動物レベルとしてはニワトリ、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュ、メダカなどが、哺乳類のモデルとしてはマウスがしばしば用いられる。植物ではシロイヌナズナが最も有名。
古代ギリシアから既にヒポクラテスやアリストテレスなどによって、ニワトリの胚を用いた研究が行われていた。アリストテレスは他の動物についても観察しており『動物誌 Historia animalium』『動物部分論 De partibus animalium』『動物発生論 De generatione animalium』などにその考察をみることができる。
発生過程の研究は、顕微鏡観察が行われるようになってから発達した。発生初期の観察には、細胞レベルの観察が不可欠だからである。 特に、無脊椎動物の各群の発生に関する知識の集積から、動物の発生における基本的な型があって、多くの動物の発生には共通した特徴があることがわかってきた。それらをまとめて、そこに進化的な意味を見いだしたのがエルンスト・ヘッケルである。彼は各群の動物の発生が、その動物のたどってきた進化の過程を簡略化したものになっていると考えた。このことは『個体発生は系統発生を繰り返す』という表現で知られており、これを『反復説』という。
18世紀までは生物の体はあらかじめ完全な形で形成されているという前成説が有力であった。顕微鏡を作成したレーウェンフックは様々な動物の精子を観察し、精子の中には完全な形をしたホムンクルスが入れ子になっているという前成説を支持した。
実質的なこの分野での発展は、ウィルヘルム・ルーによる実験発生学によって始まる。ルーは発生の各段階の胚にさまざまな刺激を与え、それによる胚発生の変わり方を見ることで、発生機構を解明しようとした。たとえば、彼の実験で有名なものに、カエルの卵の二細胞期に、片方の割球(細胞のこと)を加熱した針で殺す、というものがある。その結果、残りの割球は発生を続け、半分の形の胚ができた。このことから、彼は第一卵割の時に胚の左右の分化が起きると結論づけている。この実験は、割球を取り除くと完全な胚が生じるため、この結論は正しくないが、このような方法で発生の仕組みに迫ろうとしたものである。
彼の弟子であるハンス・シュペーマンは、彼の手法を推し進め、胚の切断や縛ることによる分断、胚の一部の交換移植などの技法を開発し、さまざまな実験を行った。その中で、イモリの胞胚から原腸胚初期の原口の上側(原口背唇部)を他の胚に移植すると、本来の胚が作る頭とは別に、移植した組織を中心として第二の頭が作られることを発見した。このことから、彼はその組織片が周囲の組織に働きかけ、表皮から神経管を作らせる能力があることを見つけた。彼はこの部分に形成体(けいせいたい・オーガナイザー)という名を与え、その働きを誘導と呼んだ。その後、誘導があちこちの組織でも起こっていることがわかり、誘導の連鎖によって動物体が作られてゆく仕組みについて詳しい研究がなされるようになった。
なお、誘導がどのような機構によるものかについての研究は、まず、殺した形成体にもその能力があることが発見された。このことは、形成体の働きがそこに含まれる物質によるものであることを示唆する。そこで、それがどのような物質であるかを解明することで、大きな進展があるものとの期待があった。しかしながら、研究が進むにつれ、特に関わりのなさそうな組織にも同じような働きのあるものが発見され、さらにはごく簡単な無機化合物にもそのような作用を持つものがあることがことが発見されたことから、次第のその方向での解明はあきらめられた。

[ 114] 発生生物学 - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E7%94%9F%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6

胚発生(はいはっせい)または生物学における発生(はっせい)とは、多細胞生物が受精卵(単為発生の場合もある)から成体になるまでの過程を指す。広義には老化や再生も含まれる。発生生物学において研究がなされる。
オランダの科学者ハルトゼーカー (Nicolas Hartsoeker) が唱えた精子の姿。中にホムンクルスが入っている
古くは精子には小さな人の形をしたもの(ホムンクルス)(つまり、卵の中に、子孫の雛形がある)があらかじめ存在し、発生はホムンクルスが大きくなる過程であるという前成説があったが、後の研究で、そのようなものが存在しないことが明らかになった。他方、卵の中には何もなく、次第に形ができて来るという考え方を後成説という。
実際には顕微鏡を使用して、細胞レベルの観察が行われるようになって、具体的な発生の過程が観察できるようになった(もっとも、研究の初期には「顕微鏡を通してホムンクルスが観察された」といったような報告がされたこともあった)。動物の発生については多くの研究がなされているが、植物についてはかなり遅れて研究がなされた。
様々な無脊椎動物の発生過程の研究から、動物の発生には、一定の共通する型があると考えられるようになった。
多細胞動物の発生は、受精卵の細胞分裂、いわゆる卵割から始まる。卵割は同調的な分裂により、細胞数を2の級数で増やす。通常は2細胞期に左右に、4細胞期に前後に、8細胞期に腹背に分かれる。卵黄の多い卵では、このとき動物極側(卵黄が少ない)の方が細胞が小さくなる。
ある程度細胞数が増えると、多くの場合、内部に空洞ができる。その外側は一層の細胞に覆われた形になる。この時期を胞胚(ほうはい)期と呼ぶ。胞胚の内部の空洞は卵割腔(らんかつこう)または、胞胚腔(ほうはいこう)と呼ばれる。ウニ卵は胞胚期に孵化し、表面に繊毛を持って泳ぐ。
胞胚の表面の細胞層が内部に入り込む。これは陥入(かんにゅう)と呼ばれる。そして、一つの口を持った袋を内部に形成する。これが消化管の始まりである。この袋は原腸と呼ばれ、その出入り口は原口と呼ばれる。この時期の胚を嚢胚(のうはい)または原腸胚(げんちょうはい)とよぶ。
刺胞動物や扁形動物では消化管には一つしか出入り口がない。その他の動物では消化管は管状である。そのような動物では、原口の反対側に新たにもう一つ出入り口ができる。このとき、どちらが口になるかは動物門によって異なる。軟体動物、節足動物、環形動物など、多くの無脊椎動物など原口動物(先口動物ともいう)では原口が口になるが、棘皮動物や脊椎動物など新口動物(後口動物ともいう)では原口は肛門になる。
原腸が陥入したことで、それまで平等に並んでいた細胞が、内側と外側に分かれたことになる。そこで、外に残った細胞群を外胚葉(がいはいよう)、内側に入った細胞群を内胚葉(ないはいよう)と呼ぶ。外胚葉からは主に表皮と神経が、内胚葉からは消化管が形成される。刺胞動物は、このような構造をほとんどそのままに成体になるので、二胚葉性動物と言われる。
それ以外の動物では、外胚葉と内胚葉の隙間に細胞群が入り込み、そこで発達を始める。この細胞群を中胚葉(ちゅうはいよう)とよぶ。中胚葉からは筋肉、血管系などが作られる。また、中胚葉からは体腔が作られる。
ドイツのハンス・シュペーマンはイモリ胚での移植実験(1924年)から、原口背唇部(げんこうはいしんぶ)に分化を引き起こす作用を発見し、原口背唇部を形成体(オーガナイザー)と名付け、未分化の細胞群に分化を促す形成体の作用を誘導と呼んだ。
また、ドイツのフォークトが、イモリの胚を部分的に染色する「局所生体染色法」を開発した。フォークトはこれにより染色された胚がどのように分化するかの追跡調査を行い、胚が将来形成する原基の位置を示した原基分布図(予定運命図)を作成した(1929年)。
シュペーマンの実験において、原口背唇部の誘導の後に次々と組織・器官が形成されたことから、誘導の連鎖が推測された。
† 原口背唇とは原口の上下にある細胞群のうち、背側(動物極側)にあるものをいう。原口を口とすると、この部位は唇の位置に当たるため、このような名前がつく。動物極とは、卵ができる過程で極体が放出される側を指す(動物極の反対側は植物極と呼ばれる)。極体とは、細胞核を持つが細胞質を持たない細胞で、減数分裂の途中で放出されるが、後々に退化して消えてしまう細胞。
誘導は分泌性因子を介した細胞間相互作用により行われると考えられるが、しばしば多数の因子が複雑な制御系を形成しており、分子メカニズムが解明されていないことも多い。例えば、上記の形成体の誘導にはWntシグナル系と呼ばれるシグナル伝達系路が重要であることが知られているが、その際にWntシグナル系がどのようにして活性化されるのかについては不明な点も多い。また、眼胞/眼杯による誘導には神経成長因子および骨形成因子が関与していると考えられているが、その詳細は明らかではない。
『編・太田次郎 本川達雄 高等学校新編:生物I 新興出版啓林館 平成17年12月10日発行 平成14年3月10日検定済・高等学校理科用』
この項目「胚発生」は、生物学に関連した書きかけの項目です。加筆・訂正などをして下さる協力者を求めています。(P:生物学/PJ生命科学)

[ 115] 胚発生 - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%9A%E7%99%BA%E7%94%9F

A. 幹細胞の機能に注目し、内胚葉、特に膵臓の発生と再生に関する基礎研究
なお、こちらの研究テーマの紹介は、下記のホームページをご覧下さい。
膵内分泌細胞にはα、β、δと PP 細胞が存在し、それぞれグルカゴン(α)、インシュリン(β)、ソマトスタチン(δ)及びpancreatic polypeptide (PP) を分泌する細胞があり、膵臓のランゲルハンス島(islet of Langerhans)に存在し、ヒトではそれぞれランゲルハンス島の15?20%、70?80%、5%、1%を構成している。なかでも、β細胞は血中グルコース濃度依存的にインシュリンを分泌する機能を持つ重要な細胞である。膵臓の発生分化、β細胞の再生の機構を理解することは、糖尿病の治療の観点上、大変重要である。膵臓は内胚葉に由来する臓器で、マウスでは胎生9.5日に前腸(foregut)の内胚葉の特定の部位から膵臓原基が形成され、ここに内分泌細胞と外分泌細胞への多分化能を持つ前駆細胞が存在し、そこから4種類の内分泌細胞が分化してくると考えられている。
一方、マウス胚性幹細胞( ES細胞:embryonic stem cell)が1981年に樹立されてからは、それを使ってキメラマウス、遺伝子ノックアウトマウスの作製などの技術が確立され、マウスの遺伝学解析においては中心的な役割を担っている。'98年にはヒトES細胞が樹立されて 9 からは、再生医療における可能性を秘めることで、ES細胞を用いた分化研究がにわかに注目を集めるようになってきた。マウスES細胞を in vitro 培養下では、その条件を変えることで、種々の分化した細胞に誘導することが可能である。胎児の幹細胞や、成人幹細胞に比べると、in vitro でドナー細胞を大量に用意できる点、遺伝子改変を比較的に容易に行える点で、臓器の修復、再生などには有用性が高いと考えられる。また、アクセスのしやすさや、リアルタイムで観察できる点から、ES細胞の分化の系は発生分化の解析のモデル系として非常に有用な系と考えられる。
図1には、1つの卵(あるいは ES細胞)からスタートし、膵臓β細胞までに至る発生分化の細胞系譜の模式図を示す。内胚葉の成立過程、領域化する前後の遺伝子発現変化、膵前駆細胞の起源の追跡、膵の発生分化に関わる誘導シグナルの本体などについて正常胚発生・ES細胞を用いた研究の両方からのアプローチを行っている。図2には、内胚葉由来器官の発生分化研究を行う上で我々の研究室で使用しているモデル生物、および研究の構想を示す。  
ES細胞を用いた研究では、図3に示すように、正常膵臓発生分化の各段階をIn vitro での培養系を用いて再現する条件を検討している。ES細胞からインシュリンを分泌する膵臓β細胞に特異的分化誘導することを目指す。そして、試験管内で初期発生のプロセスをES細胞が辿ることで、膵臓への分化誘導を試験管内で再現できると考えられる。
同時に ES細胞から得た内胚葉前駆細胞、膵臓幹細胞、膵内分泌前駆細胞において発現する新規遺伝子を同定し、その機能を解析する。これらの知見を統合して、膵臓の発生分化メカニズム、幹細胞の細胞的特性を包括的に理解することを目指す(図4)。さらに、マウスES細胞で得られた知見をヒトES細胞にも応用し、ヒトの内胚葉系器官の発生分化のメカニズムを解明し、そして再生医学への応用を目指す。

[ 116] 熊本大学発生医学研究センター
[引用サイト]  http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/divisions/stem_cell_biology/



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