あだ名とは?

「ええ、以前、お客さんをあだ名で呼んで失敗したなんて話を聞いたことがあるんで、気になって。」
「そうそう、あったねえ。内海さんていうちょっと髪の毛が心もとない人がいてね、薄井さんて言われてたんだ。それを知らない若い営業が本人に薄井さんなんて言っちゃってさ、大変だったよ。」
「まあ、基本的にはあだ名で呼ばないことだよな。でも薄井さんのように本名だと思ってたら、大変なことになるからな。」
「まあ、普通は、あだ名って言っても名前を縮めたものだよね、例えば、お前は山本だから山ちゃん、田端さんは端さん、とか。佐藤さんをサトチャン、なんてのもあるな。苗字でなく名前で言えば、信之助を信ちゃん、恵だからめぐちゃん、ずばり、茂とか和則とか。」
「その場合はわかりますから、こっちもあだ名で読んだりしませんよね。薄井さんのようなケースですよね、問題は。」
「そうねえ。他には太ってるのに細井って人がいてね、太井さんって言われてるな。もっとこえてるんでデブタって言われてる人もいるよ、寺田さんて人だけどね。」
「違うよ、一九分けしてるだろ。あれがバサッと落ちて、横から見ると漫画の花形満のようになるんだ。」
「ええ、聞いといてよかったです。今は直接お話しするようなことないんですけど、知らないでいたら大変でした。」
「ああ、高橋さんね。まことって言うんだけど、しんりって書くんだ、まりって読めるでしょ。」
「おにひろとかね。広岡って部長で鬼の広岡って言われてたのがオニヒロになったんじゃないの。」
「言いませんよ、問題は名刺を頂かないで、ご担当者に鬼ヒロさんに聞いてみな、何て言われたときが危ないですよね。」
「まあ、あんまり人の話に頼らないで、名刺を頂くんだな。山本の名前を覚えてもらうのも大事だからな。」
「そうですね。僕なんかありふれた名前だから、どこの山本だってことにならないように、ちゃんと覚えていただかないといけないですから。」
「そう。山本といえばお前、と思われるようにならなくちゃね。俺だった田中なんてごろごろいるからね。顔見りゃわかるだろうけど、電話でもあの田中だってすぐ判ってもらわなくちゃいけないからね。それにはさ、逆に相手をよおく覚えておくんだ。名前や所属、職位だけじゃなく誕生日や趣味や家族構成やこの間何があったってことまでさ。」
「なんだ、お前やってないの。客先から帰って営報書くだろ。そのときにちょっと思いついたことを、営報には書けないから手帳に書いたりメモ帳にして顧客ごとのフォルダーに入れとくんだよ。」
「ああ、なるほど。次回のお約束なんかも付箋紙でデスクトップにはっつけてますけどあの要領ですね。」
「そうそう、付箋紙は、捨ててけばいいからデスクトップが一杯にはならないけど、メモは付箋紙に向いてないな、紐付けも難しいしね。」
「まあ、持ち歩きが必要だから結局は紙かな、うちはまだPDAを支給してくれないからね。自前でPDAを用意してPCと連携させてなんてちょっと面倒だもんね。」

[ 28] あだ名
[引用サイト]  http://www.ne.jp/asahi/thiroi/kgr/adana.htm



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