通っとは?

「年初めに、一番最初に鷹通の顔が見たいから、大晦日の晩にこっそりお邪魔してもいいかな?」
鷹通の過ごしている離れでも聞こえてくる本邸の宴のざわめきに混じって除夜の鐘の音が響く。
その鐘の音を聞きながらいつもならこの時間は眠っているはずの鷹通はそわそわと裾を直したり、こっそりと準備していた酒の器の角度を変えたりしていた。
(鷹通が本邸の宴に出ていないのはただ単に、過保護な兄達による『悪い虫』に目をつけられる可能性のある物は全て排除しようとする動きによる。)
何度目かの除夜の鐘の音とともに、夜更かしにあまり慣れていない鷹通はこくりこくりとしはじめてしまった。
ぷるぷるぷるっと、頭を振って目を覚まそうとするけれど、そうしている端から瞼は下がり始め、再び、ぼーっと眠りの国に誘われ始める。
除夜の鐘がそろそろ百を数えようとする頃、闇にまぎれて鷹通の待つ部屋へと友雅はやってきたが、そこには、自分のためだけに用意されたのだろう酒と、その膳の前に丸くなって眠っている鷹通の姿。
鷹通を起こさないようにそっと抱き起こして自分が被ってきた衣を掛けて抱きしめると、暖かいのかぴとっと擦り寄ってくる。
ああでも、この場所のままではいつ兄君たちが乱入してくるかわからないからねぇ・・などとつぶやきながら何やら思案し始める友雅。
ということで。前回の話の続きは・・・今年中に頑張りますということで。(煮詰まっていた私)
大晦日、除夜の鐘を聞き終わらずに眠ってしまった鷹通(小鷹)を、1年真面目に働いた御褒美としてお持ち帰りした友雅は、しっかり自分の褥で、一緒になって眠っていた。
起きたらいきなり、見知らぬ(・・・という訳でもないけれど)部屋というか、大好きではあるけれど、間近で香るにはちょっと刺激の強すぎる友雅の侍従の香と、抱き込まれている体勢に、鷹通は思考回路がプチッとスイッチを切られたようにしか働かず、それでもその原因となったはずの友雅の名を呼んだ。

いつもの愛らしいボーイソプラノの声ではなく、ちょっと大人になったそれでもやさしい響きの声に、風邪でも引いたのかと慌てて友雅は鷹通を抱えたまま起き上がり鷹通を見つめて、声を失ってしまった。
腕に抱えていたのは、小さい鷹通ではなく、青年と呼んでも差し支えのない、二十歳前後の男性が一人。鷹通と同じ、琥珀色の大きな(小さい鷹通の瞳よりはさすがに小さいが)瞳に、小さい鷹通とは長さが違うけれど、同じ艶やかな黒髪。そして、鷹通と同じ侍従の香。
鷹通が大きくなったらこんな感じかと友雅が想像していた以上の可愛らしさで、友雅をぱちくりとした顔で見上げている。
あまりにしげしげと友雅が顔を覗き込むので、顔に何かついているのかな?とか、もしかして寝癖がひどいのでしょうか??と不安になった鷹通はぺたぺたと顔をさわったり、髪を触って・・・、自分の髪の長さがいつもより長いことに気付き、はてな?と自分の体を見下ろして、初めて自分の体がいつもより大きくなっていることに気付いた。
驚きのあまり、叫んだ後はぱくぱくと、口を開けたり閉めたりしながら、自分の体と友雅の顔を見比べている鷹通を見て固まっていた友雅はようやくいつもの自分を取り戻した。
ふぇぇと、いつもなら友雅にさえめったに涙を見せない鷹通も、この異常事態に涙腺のほうまでちょっと故障気味になっているのか涙で潤んだ目で見上げてくるのを、軽く口付けを落として、宥める。羽が触れるかのように、涙の滲んだ瞼に。前髪をかきあげて、額に。そして桃色に染まっている頬に。仕上げにまだ眼鏡を付けていない鼻の天辺に口付けを落とす頃になると、鷹通も落ち着いてきたのか、力を抜いて友雅に寄りかかってきた。
「ふふふ。誰でもいきなり年をたくさん取ったら驚くと思うよ?本当は一つ年を取るはずだったのにね?竜神様がちょっと間違えたのかな?」
新しい年を鷹通と楽しく二人だけで過ごそうと自分の館にお持ち帰りしたところ、竜神様のお年玉なのか、鷹通が青年と呼んでもおかしくない年頃に成長していた。中身は子供のままで。友雅としてはそれは全然問題なかったのだが、何時までも二人で寝ているわけにもいかないので(友雅は、それに関してもまったく、全然、これっぽっちも!かまわなかったのだが、一度目が覚めてしまったら即行動を開始する鷹通にせがまれたので。)とりあえず、都合良く体と一緒に大きくなっていた単以外の着物は小さくて着れなかったので友雅の衣を借りることにした鷹通の着付けが終わるのをいまかいまかと待ち構えている友雅の問いに、あまり歯切れの良いとはいえない鷹通の答えが返る。
鮮やかな衣が多い友雅に比べ、年頃の者が着けている衣にしてはどちらかと言うと落ち着いているというか、地味目な色合いの衣をいつも着ている鷹通である。鷹通にはどんな衣も似合うとは思っているが、そこは個人の嗜好の問題なので、友雅は几張の影からなかなか出てこない鷹通に続けて問いかけた。
「いっ、いえっ!その様な事はありません!友雅殿の袍はどれも鮮やかで美しい色合いですっ!」
やっと姿を見せてくれた鷹通に安心しながらも、その必死の姿に「ほんとに中身は今まで通りなのだね」と思いつつ、鷹通の姿に笑みを誘われる。
大きくなっても華奢な体つきの鷹通には武官の友雅の衣は大きかったらしく、肩や袖の丈が長く、いつもの友雅の着方ではなくきっちりと襟元を正していてもちょっと首周りがあまってしまっている姿は、微笑ましいというか、かなり、可愛らしい。
しかも、袖丈が余っているのを気にしているのか、頬をうっすら桜色に染めて友雅を見上げている鷹通は、友雅の理性をこれでもかって言うほど揺さぶっていた。
そんな訳で、お持ち帰りした小鷹は朝目覚めてみるとおっきくなってました。 (かなりはしょったな、私。でも、全然問題なし・・・それはそれで、問題が・・・。)
(腐神子にとっては都合の悪い)ことにはもちろんなりません。(えぇ、絶対させませんとも!)
とりあえず、何も着ていないと風邪を引いてしまうので(布団から出さない方面に走りたい欲望はとりあえず理性の檻で一応囲った)友雅は、自分の服をシーツに包まって布団に隠れてしまっている鷹通に差し出しました。
「暖かいココアを作っているから、着たらリビングにおいで?一息ついて落ち着いてからどうしてこうなったのか考えよう。」
なんて、落ち着いた大人な言葉を残し、理性がぶちっと切れる前に敵前逃亡(←ちょっと違う) をして、部屋を出ました。
が、しかし。ココアを作って、ついでに鷹通の大好きな大きくてまん丸なホットケーキを朝ごはん用に作り終わった後も鷹通がリビングに出てくる様子はなく。友雅は寝室のドアを軽くノックして、声をかける。
いつもなら、ホットケーキと聞くと喜んですぐにでも出てくる(一応、本人としてはこんなことで喜んでいては子供っぽいと思っているので、一生懸命隠しているのだけれど一目瞭然。尻尾を振っているように見えるby.友雅)鷹通は今ひとつ、歯切れの悪い返事を返す。
そう言って、友雅が寝室のドアを開けると、そこには友雅の理性の強さをまるで試しているかのような鷹通の姿が。
たいしてがっちりして見えない友雅でもやはり、脱いだらすごいんです!(←それはかなり違う) な体型の友雅に比べ、いくらお子様サイズから大きくなったとはいえ、華奢な体型の鷹通にはやっぱり友雅の服は大きかったらしく、襟ぐりはちょっと鎖骨が見えてしまっていたり、袖口は手のひらを覆っていて。ズボンにいたってはどうやら手で押さえていないとずり落ちるようで(一応、友雅の名誉のために。友雅が太っているわけではない)。
小鷹は、今日は龍神の神子・茜に連れられて100年後の今日の龍神の神子・花梨を尋ねることになりました。
どうやら、100年後の天の白虎の誕生日らしく、その彼が花梨に誕生日プレゼントに何が欲しいかと聞かれて100年前の天の白虎に会いたいと言ったのが事の始まりで、今と昔(未来?)を繋ぐ良い日柄を選んで今日になったらしいのです。
本当は、地の白虎(過保護な恋人)・友雅も同行したかったらしいのですが、恐れ多くも帝の呼び出しがありしぶしぶあきらめた模様です。(それでも、小鷹が「内裏で働いていらっしゃる友雅殿は誰にも負けないほど美しくって、かっこいいですよね」なんて天然に釘を刺したからで、そうでなければ物忌みと称して休むつもりだった。)
そんな訳で、かって知ったる100年後とばかりに歩く茜に連れられて、興味深く100年後の京を見物しながら付いて行くと大きな邸に着きました。どうやら、こちらが天の白虎の住んでいるお邸のようです。
なんて、ちょっと罰当たり・・・というか、無礼と言うかな事を平気で言うのはやはり現代人というべきでしょうか?どうやら茜の来訪は邸の者に通達されていたのか、すんなりと案内されました。幸鷹そっくりの小さな鷹通の存在も大きかったのかもしれません。どう見ても、親戚筋か、隠し子に見えます。
「こちらこそ、いきなり呼びつけてごめんね。幸鷹さんは、ちょっとお仕事入っちゃったみたいで今出掛けてるの。でも、すぐ戻ってくるからこれ見てもらっていてくださいって・・・」
分厚い草書を受け取った鷹通は傍から見ても、大きな目をくりくりと嬉しそうに瞬きながら、読みたい・読みたいとオーラを発している。
「そうみたい。鷹通君、私達は向こうでお喋りしているから、奥のお部屋で読ませてもらったら?」
「でしょう!?もう、かわいくって、かわいくって。でもね、何時もは過保護の友雅さんがいて、遊ばせてくれなくって・・・。」
「やっぱり・・・。うちの方も同じっ!幸鷹さんとお喋りしているといつの間にか翡翠さんが現れてはっと気付くと幸鷹さんと翡翠さん二人で痴話げんかしててねぇ・・・。」
何時もより高い位置にある鷹通の肩に腕を回して、さりげなく(そつなく?)エスコートする友雅に、素直にこくんと頷く。
鷹通は顔を赤くして友雅の腕から離れ、またぽてぽてと歩き出すが、やはり5歩ほど進んだところで、よろっと体勢を崩した。
何しろ急に大きくなってしまったからねぇといいながら、鷹通を心配そうに見下ろしていた友雅はあぁと、ぽんと手を合わせ、はてな?と小首をかしげて見上げている鷹通をさっさと抱き上げてしまった。
小さなときにも、具合が悪かったりしないとされたことのない体勢に鷹通は、じたばたと友雅の腕の中から下りようとするが、そんな些細な鷹通の抗議などまったくお構いなしにどんどんと友雅は廊下を進んでいく。
「いいから。誰も見ていないから。それに、あのまま歩いていたらきっといつかは転ぶだろう?そんなことになったら、私は自分が許せなくて、食事も喉を通らないからね。」
「たしかにね。体は元気そうだとは思うけれど、ほら、いきなり大きくなったから、視線の位置が変わって何時もどおりに歩いていると危ないだろう?歩幅も違うだろうし・・・。それとも、私に触られているのが嫌なのかな?」
だったら、他のものを呼ぶけれど・・・と、続ければ、今までじたばたと腕の中で暴れていた鷹通はぎゅっと友雅の袍を握り締めて大人しくなる。
くすくすと笑いながら友雅は鷹通の額にちゅっと口付けを落とすと、ぽっと頬を染めて友雅の胸に顔を隠してしまった。
(まったく、自分が何をしているのかわかってないのだろうねぇ。何時まで持つかちょっと自信がなくなってくるよ。)
そっと、鷹通を部屋内にしつらえられた座に下ろすと、じっと友雅の顔を見ないように(自分の真っ赤になった顔を見られないように)下を向いていた鷹通がそのままの姿勢のままで友雅に運んでもらった礼を言う。
ちゃっかりと、『ご挨拶』を請求する友雅に、鷹通は赤く染まったままの顔をそれでも(どうしよう・・)とふらふらと視線を漂わせながら、しばらく考えていたが、えいっとばかりに、何時もどおり友雅の膝上に伸び上がって友雅の頬に口付けた。
(※いつもの鷹通だと小さすぎて友雅の膝の上に乗らないと友雅の頬に届かない・・・と、友雅に教え込まれている。)
そそくさと友雅の膝上から女房殿が作ってくれた自分の席に戻ろうとしたところを友雅に腕をつかまれてそのまま友雅の膝上に固定されてしまう。
どうかしたのですか?と「くにっ」と小首をかしげて見上げられた鷹通に、それでなくても切れ掛かっていた友雅の理性はぷちっと軽い音を立てて切れてしまった。
いまひとつ、友雅の問いの意味の分かっていない鷹通は聞きようによっては肯定しているような返事を返してしまう。
?マークを飛ばしている鷹通を置いて、友雅はここであったが100年目(←それは少し違う)今を逃すと後5年は無理だという危機感(?)もあり、いそいそとまだ膝の上に捕獲していた鷹通を出てきたばかりの寝所へと連れて行こうとした。
ちょっとお腹が空き始めていた鷹通は友雅の袖をくいくい引っ張ってささやかに主張してみたが、そんなしぐさもプチッといってしまった友雅には火に注ぐ油にしかならなく、「大丈夫だよ。もっと暖かくて美味なものを頂くから。」
等と、ふふふと笑いながら思わせぶりにささやいている。もっとも相手がお子様・鷹通なのでさっぱり通じてはいないのだけれど。
何時もの友雅と様子が違うことにやっと気付いた鷹通はなんとなく身の危険を感じて友雅の腕の中から抜け出そうとした。
がばっと起き上がった友雅は目の前にいた鷹通を引き寄せ、手、腕、足とすばらしく手早い動作で確認していく。
心配そうに友雅の顔を覗き込む鷹通に、火傷のないことを確認し終わった友雅はやっと落ち着いて鷹通の顔を見て、固まってしまった。

[ 110] 小鷹日記3
[引用サイト]  http://homepage3.nifty.com/Chat_Ilot/kotaka4.htm

ゆらゆらと、陽炎が揺らめく土御門殿の庭。これでは折角朝と夜、ダブルで美白4週間をやってもシミが出来ちゃうわと、流れる汗を拭って鷹通はため息をついた。←えぇっ!鷹通が!?
嬉しさのあまりぴょんと飛び跳ね、ずれた眼鏡をさりげなく元に戻し鷹通は思わずときめき乙女ポーズを取った。ちなみに瞳はハートマークとかなりレトロな表現。
最近出番が減っていた為に免疫力が下がってしまったらしい鷹通は、ただ名を呼ばれただけでぶっ倒れてしまった。
何だかホストみたいに優しく抱き起こす友雅。おまけにバックには紫のバラの人…じゃなくてバラの花。
うっとりしながら抱き起こしてと右手を差し出す。友雅はその手を取ると、抱き起こ…さずに鷹通の顎に手をやりくいっと持ち上げた。
ちょっぴり呼び捨てっぽく言っちゃって独占欲見せちゃったけど、まぁそれもいいかな?なんて♪
彼の手にはツッコミの必需品ハリセンが握られていた。普段扇を使いなれているのでこれぐらい御手の物の友雅。
もう何が何だか、何故に友雅が2人いるのか、いや2人いたら1人貰っちゃってもいいかな〜とか貰っちゃったらあ〜してこうしてとか色々な考えがない交ぜになって鷹通の顔を百面相させていた。
ちょっと対抗気味に友雅があの良い声をフル稼動させて言う。ちなみに後ろの鷹通はぴくぴくと妙な具合に痙攣していた。
妙にキラキラした瞳で見詰め返してくる鷹通。その横には開明墨汁が置いてあり、何故かスクリーントーンが…もう準備万端♪←いったい何を描くつもりだ
ぎゃんぎゃん叫ぶ友雅にしれっと言ってのける鷹通。おまけに新刊なんですよ、とか言ってる。
顔は真剣そのものでカッコ良く決めているが心の中では喜びまくり泡踊り…もとい阿波踊りな友雅と、折角フルカラー箔押しでやばいところは袋とじの新刊だったのにとか思っている鷹通の二人。
まったく、リクは晴明x友雅だというのにこんなに遅くに登場させおってとちと不機嫌気味な稀代の陰陽師安倍晴明がそこにいた。
そう言ってその紙切れを指2本で持ってひらひらさせながらじとーっとした目で友雅は見詰める。
「うむ。細部に至るまでものの見事に複製してみたのだが、どうも一箇所上手くゆかぬのだ」
「そりゃぁもう世の乙女(一部男も)が泣いて喜び腰にくるもの余す所無く…いや、その大切な一箇所が上手くゆかず困り果てておったのだ」
どうやら友雅は頭にくらくら来ちゃったらしい。そしてその一箇所って何?と言う目を晴明に向ける。
常人には目にも止まらぬ早業な程のツッコミが入る。どうやらハリセンが何度も晴明の頭を行き来したらしい。
そこではたと気付いた。そういえば確か先程晴明殿が「頼まれて」とか言ってなかったか?
やっぱ人知れずアヤシイ通販グッズで身体を鍛えているというウワサは本当だったのか。
ところですっかり友雅が忘れ、そして皆様にも忘れ去られているかもしれないある人物…そう、鷹通なのだが……
晴明x友雅ご希望…なのに何だか鷹道が出張ってしまって申し訳ありません〜(汗)切なく無い…ってところだけクリアでした…。あぅっ。

[ 111] 友雅の受難
[引用サイト]  http://homepage2.nifty.com/GOOSEBERRY/ss.requ21.htm



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