厚くとは?
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政府の教育再生会議(野依良治座長)は1月の第1次報告で「ゆとり教育」の見直しを提言しましたが、そのなかで、「薄すぎる教科書の改善」を求めています。確かに教科書は学校になくてはならないものですし、教科書がどうなるかということは、子ども自身や保護者の方々、そしてもちろん先生方にとっても大きな関心事でしょう。しかし、どれくらい「厚く」できるかというと、実はいろいろと難しい問題も含んでいます。 お子さまの教科書をご覧になれば、昔に比べてずいぶん大判でカラフルに、そしてまた薄くなったという印象をもたれるかたも少なくないと思います。大判化、ビジュアル化というのは、今どきの子どもが多様化するなかで、何とか興味をもたせようとする教科書会社の工夫の成果でもあります。一方、「薄い」ということには、少し詳しい説明が必要です。 「ゆとり教育」批判にも見られるとおり、今の学習指導要領は毎週土曜日が休みになる「完全学校週5日制」に合わせて、全員が一律に学習する内容を約3割削りました。それに合わせて文部省(当時)は当初、削った分だけ教科書も薄くすべきだという方針を取り、実際に2002(平成14)年度から使用された小・中学校の教科書はページ数でおおむね1割程度減りました(教科や教科書会社によって違います)。しかし、学力低下批判の高まりのなかで文部科学省は2003(平成15)年度以降に使用する高校教科書の検定から方針を変え、発展的な内容を盛り込んだり、説明を詳しくしたりすれば、ページ数を減らさなくてよいこととしました。小学校でも2005(平成17)年度以降の使用分、中学校でも2006(平成18)年度使用分から、同様の方針が取られるようになりました。 それでも昔に比べれば、薄くなったのは確かです。カラフルな教科書は勉強の苦手な子にとっては親しみやすい一方で、理解の早い子には物足りなさも感じさせます。「薄すぎる教科書を厚くせよ」という提言は、ある意味でもっともなことです。 ところで、小・中学校の教科書が国から無償で配布されていることはご存じかと思います。2007(平成19)年度の文科省予算案では、教科書無償給与に約395億円が計上されています。各教科書の定価も、文部科学大臣が認可することになっています。教科書を厚くすれば、当然コストもかさみます。もちろん首相の肝いりで設置された教育再生会議が「厚くせよ」と提言したのですから、教科書給与の予算も増額されることになるのでしょう。しかし、国の財政は依然として厳しいままですから、無条件に増やせるものではありません。 教科書会社にとっても、頭の痛い問題です。定価は低く抑えられ、ビジュアル化でコストはかかり、しかも今は少子化で全体の発行部数は減少傾向にありますから、昔に比べて大きな利益を出すことが難しくなっています。ここにも、大幅にページ数を増やしにくい事情がひそんでいます。 ところで、先生の世界では昔から「教科書『を』教えるのではなく、教科書『で』教えなさい」ということが、よく言われてきました。教科書を基にしながら、しかも、プリントや副教材も使って自分で工夫しながら授業をしなさい、という教訓です。裏を返せばそれだけ教科書「しか」教えない先生が昔は多かったということですが、いずれにしても教科書をどう使いこなすかは、ひとえに先生の力にかかっています。教科書がどうなるかは確かに大切なことですが、それによって実際に授業がどう変わるのか、ということも、一方で注目していきたいところです。 1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代〜模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。 コメント(11)|トラックバック(0)|友だちに紹介する| オンラインブックマークに登録する この記事にコメントを投稿するためにはログインが必要です。コメントは編集部がルールに基づき確認してから掲載します。※掲載されたコメントは、あくまでも個人の意見や考えを基にしており、内容については編集部では保証できません。 中学の教科書はわかりにくいな〜と常々思っていました。学校の授業だけでは落ちこぼれている子どもに教科書に沿って教えようとしても 考え方がほとんど載っていません、英語は単語の訳や発音記号も載っていないため 初めての単語がまったく分らず。理科も実験の結果が分らずに 教えようがなくて困ります。授業を休んでいたり うっかり聞き漏らすともう ついていけない教科書に 意味があるのかしら? 教科書が薄いのは本当に実感です。しかも昔の教科書は、復習しようと思ったら、教科書を見れば何とかなったのに、今の教科書は、考えさせることを前面に出しすぎているのか、問題定義や調べてみようといったことばかり。教科書で予習したり復習したりすることが、できなくなってしまいました。これを ただこのまま厚くすることはできるかもしれませんが、内容が伴わないと意味が無いと思うのですが。 そうなんです。結局、最後は先生の腕によるところが非常に大きい!本来なら日本全国津々浦々、同じレベルの授業が受けられるというのが日本の義務教育だったはずなのに・・・同じ教科書を使って授業をしてもこの格段の差!先生も生徒を選べないけど生徒だって先生を選べない!教科書の質も大事!教える先生の質も大事!そこんとこ、どうにかならんでしょうか? 国の教科書代が大変負担になっていることや、プリントやその他の教材を使用したりもできるので、安易に教科書を厚くし、勉強時間を長くすればいいものでもないことがわかりました。少し納得させられました。 現在の教科書は大判で、しかも紙が上質(なのか?)すごく重いと思います。厚くするのも大切ですが、もっと軽い紙質にできないものでしょうか?我子は、1年と3年ですが、学校区の一番はしっこに家があり、帰宅した時には冬でも肩にくっきりランドセルの痕が・・・・私達の頃は、1年生は大きな教科書でしたが、それ以降はB5よりも一回り小さな本でした。勿論、ノートも小さいサイズでしたし。カラフルで絵が多くなくても、何とか「親しみやすい」ものができないものでしょうか。 教育について、何が本質なのかは答えがあるものなのでしょうか?「ゆとり」を適用した時にはそれなりの事情や言い訳や思惑があったのでしょう。今度は「ゆとり」が問題になり、教科書が薄いとか問題となる。子供はモルモットではありません。取り合えず今時点を考えると先生の教え方や教える内容、授業がどう変わるかがポイントとなるでしょうけれども、本質的な教育というものの研究を本気で進めているのかは伝わってきません。全てが対処療法に感じます。その時代を育った子供達は取り戻しがつくのでしょうか?国、社会、学校、家庭は本気で将来への影響を考え教育のあるべき姿を模索すべき時期だと思います。 ビジュアルを意識してカラフルなだけが重要でなく、また厚みというのも初めから決めるものではないのでは?やはり内容をもう一度精査して学年毎に必要な知識量、やるべき事を見直して欲しいです。絵や写真ばかりでなくてもわかりやすい教科書はできるはずです。 文部科学省には、教科調査官がいます。大学の教育学部の教授など、教科内容を良く知っている有識者がやっていて、一定の任期があります。教科調査官は、指導要領を決めます。この教科調査官が辞めた後、頼まれて教科書会社で教科書の編集に関わることが多いです。最初は、教科書の内容は豊富です。ところが、教科書調整官(こっちは役人)の検定によって、内容を削りまくられるんですよ。でもって、できたのが、今の薄い教科書ということになります。指導要領を決めた人は役人ではないので、文言の使い方は下手です。役人は文章解釈のエキスパートですから、教科調査官が想像もしなかった解釈でもって、内容を削ってきます。教科書は、こういう綱引きの結果で出来ています。 なお、教科書を厚くすることに抵抗しているのは、ほかならぬ、生徒を持っている親だという面があります。教科書に書いてあることは入試に出ることでもあるんです。教科書が分厚くなると、試験対策の負担は必然的に増えます。それでも、みんなが同じ条件で競争するのなら、競争の大変さも結果は同じはずです。しかし、そのことを理解できない人の声が大きい場合、たとえば「あまりにもたくさん覚えなくてはいけないから子供がかわいそう」「その過程で落ちこぼれが出るのは困る」といった意見が出てくると、結果として内容を減らす圧力として働くのではないでしょうか。 教科書は子供に知的好奇心を植え付ける、とても大切なツール。考え方の基礎。反復。応用。発展。全てが含まれているものが望ましいのではないでしょうか?子供が小学生なので、中学のことはわかりませんが、教科書を見る限り基礎の断片だけ…今の教科書のみで「ゆとり教育」が唱える発展的な思考を得られるのか疑問です。厚さ・薄さが問題なのではなく内容自体、しっかり見直して欲しいものです。例え今より薄くても内容の充実は出来ると思うのです。やる気のある子が塾に通わなくても、家庭学習で教科書が使えるような内容の物になって欲しいですね。 もう登録しましたか?中学準備ができる「プロジェクト中学0年生」サイトはこちら。新「学習指導要領」で、教育はどう変わる? 新しい教育内容とはどんなものなのかをお知らせして行きます。(01/23) メンバー専用マイページ|登録内容変更|ポイント参照 |メール配信設定|パスワード変更|ログインID変更|退会受け付け メンバー登録 | このサイトについて | 会員規約 | サイトマップ| Q&A | お問い合わせ |
[ 144] 「薄すぎる教科書」はどれだけ厚くできるのか【Benesse(ベネッセ)教育情報サイト】
[引用サイト] http://benesse.jp/blog/20070301/p4.html
