改称とは?

ところで、以前にもざっと読んでちょっと気になっていたのだが、今日改めてオウム真理教自身のホームページ (http://aum-internet.org/) にアクセスしてじっくり読んでみた。そこで、いまさら迂闊な話だが、彼らは今月18日に改称したというわけではなく、「改称したい」という意思表明をしただけであることを発見した。
まず、トップページのタイトルが、「『オウム真理教』は名称を『アレフ』に変更いたします。」となっていて、「変更した」とはどこにも書いていない。いつ変更するとも書いていない。
という二つの文書がかかげられている。内容を1月18日の新聞記事と照らし合わせてみると、これがつまり、当日に各報道機関にむけて発表された文書の全文だと思われる。
これが、二人の個人名による「見解表明」と「概要説明」にすぎないことに注目する必要がある。要するに、この二人がこのような個人的な見解を表明した、ということでしかない。
最後に、「以上の見解は、数日前の執行部会で決定され、全出家信徒にはその概要を説明済みであり、在家信徒に関しても現在説明を進めているところです。」と書いてあるが、この「執行部会での決定」というものが、「教団としての正式決定」なのかどうかははっきりしない。というよりも、そこをあえて曖昧にしているとしか思えない。あるいは、曖昧にせざるをえなかったのか。
そもそも何をもって「教団としての正式決定」とされるのか、第三者はもちろん、今や彼ら自身にとってすらよくわからないのではないだろうか。
「執行部会で決定され」たにもかかわらず、個人名での「見解表明」などという曖昧な表題で発表していること自体が、語るに落ちている。
よしんばこれが「正式決定」だったとしても、文章を読んでみると、やはり「教団を以下のとおり抜本的に改革したいと思います。」等々、「こうしたい」ということしか書いてないのである。英語での「will」という未来形を使ったタイトルは、このへんについてきわめて正直だと言える。
これはどう読んでも、「こうしました」という発表ではない。最大限でも「『こうしたい』ということが決まった」というだけの発表である。
いつそうなるのか、どうなればそうなったと言えるのか、ということも書いてない。彼ら自身わからないのかもしれない。
ところが、いつのまにそうなったのか、その後の報道はすべて、「改称した」ということが既成事実として伝えられている。「オウム真理教 (アレフに改称) 」という新聞の表記も、どう考えてもこれは既成事実としての注記であって、予定についてわざわざこんな表記をしているとは思えない。予定だったらそもそもこんな表記をいちいちする必要はない。
だとすれば、この間の騒ぎは何だったのか。まさしくマスコミがオウム真理教に踊らされた、あるいは勝手に踊った空騒ぎ、「情報公害」そのものではないか。この誤認によって、「アレフ」に関連する社名を持つ多くの企業が、有形無形の大きな損害を受けている。この事に対する報道機関の責任はかなり重いと思うがどうだろうか。
読売新聞、朝日新聞、産経新聞の三紙しか確認していないのだが、今日の段階で、読売新聞と朝日新聞の両紙は相変わらず「オウム真理教 (アレフに改称) 」という表記を続けている。
インターネット上で見る産経新聞の今日の夕刊では、オウム真理教関連の記事に「オウム真理教」とだけ表記していて、昨日の夕刊まであった「オウム真理教 (アレフに改称) 」という注記がなくなっている。もしかすると産経新聞は、今後この注記をやめてくれるのであろうか。
前にもさんざん書いたが、18日のオウム真理教の発表が、実質的には「こうしたい」という「個人的見解」の表明に過ぎなかったとすると、「オウム真理教 (アレフに改称) 」という新聞表記はますます看過しがたい。こういう報道が続いて、「オウム真理教=アレフ」という認知が高まるほど、「オウム真理教」という、すでに「歴史的事実」である彼らの名称を捨てたいという彼ら自身の意図が実現しやすくなるのは明白である。
またおそらくは、「名称変更」ということは彼ら自身の間でも容易に浸透しがたいことなのではないか。現時点ではこのことに関する十分な認識の一致がなさそうなことも、18日の彼ら自身の文書に書いてある。とすれば、新聞がわざわざ「オウム真理教 (アレフに改称) 」と呼び続けることは、このように改称することで何とか社会的認知を得て生き延びようとする、オウム真理教内部の一部の勢力の後押しをすることにもなる。
こうなってはもはや黙過しがたい、いや、黙過しているわけではなく、この「日誌」には前から書いているのだが、この「日誌」をかなり多くの方に読んでいただいているとすると、ここでこれだけ新聞報道を批判していながら、当の新聞に対して直接には何も言わないというのもアンフェアでもあるかもしれない。
われわれは、オウム真理教に直接アプローチしたくなかったのとはまた別の、前に書いたような事情があるため、これまた正直に言えば、あまり新聞社に直接アプローチしたくなかった。しかしやむをえず、とりあえずは発行部数順に最大の読売新聞と朝日新聞の読者対応窓口に電話してみることにしたのである。
また、今日から「オウム真理教」に (アレフに改称) と注記することを止めた産経新聞にも、読者対応窓口を通じてその真意を確かめてみることにした。
当初、産経新聞はオウム真理教の名称変更を認めないということを表明していたため、他の新聞による「オウム真理教 (アレフに改称) 」という連呼から外れてくれるものと期待したのだが、そうではなく、結局同じ表記になっていた。
今日の夕刊を境に、今後はこの注記をやめるということであればありがたいのだが、もしかすると、たまたまスペースの都合などで省略しただけかもしれない。
「読者サービス室」に問い合わせたところ、今後、あらためて、オウム真理教を「アレフ」として認識せざるをえないはっきりした事実が出てこない限り、この注記はせず、たんに「オウム真理教」と呼ぶということだった。一安心である。
理由を尋ねたところ、 (アレフに改称) という注記をつけることは、オウム真理教の意図を利するだけではないかという編集現場の意見だという。健全な認識である。オウム真理教というのは、彼らがどう自称しようと、すでにいわば社会化された名称だ、という点でも、すくなくとも電話窓口で対応なさった方とは意見が一致した。
オウム真理教は「改称した」わけではなく「改称したい」と言っただけだ、という点についても、理由をあげて詳しく説明したところ、少なくとも、この方は当方の主張を理解してくれたし、「アレフ」関連社名を持つ企業の苦衷についても理解していただいたと思う。
オウム真理教について、今後は特段の理由がないかぎり (アレフに改称) という注記をしない、という産経新聞社読者対応窓口の説明が、事実その通りであることを期待したい。
読売新聞の読者対応窓口で、当方に電話で対応していただいた方にも、すくなくとも個人的には、当方の主張を理解していただけたようである。
アレフ改称が、予定もしくは願望に過ぎないという点についても、オウム自身の文書についての当方の説明を聞き、読売新聞18日夕刊の記事を改めて確認し、関連する箇所を読み上げて下さって、たしかに記事上でも、改称が既成事実なのか予定なのかあいまいであることに同意された。
警察その他の公的機関でも、オウム真理教に対する呼称を変えるという対応は一切無いこと、テレビ、週刊誌など、新聞以外の報道機関は「オウム真理教」で通していること、そうした中で新聞だけが「オウム真理教 (アレフに改称) 」という呼称を続けることが、むしろオウム真理教を利することになっているのではないか、またそれによって「アレフ」に関連する企業名を持つ企業が多大な損害を被っているということについても、少なくとも個人的には理解していただけたと思う。
その上で、ぜひ読売新聞編集局長あてに、文書で申し入れるべきであるとアドバイスしていただいた。読者対応窓口から、電話でこういう意見があったということで伝えるよりも、その方が有効性が高い、という。何のための相談窓口か、という気がしないでもないが、当然そう受け取られる可能性があるにもかかわらず、実質的に有効性のある対応を率直に教えてくれた好意と受け取った。
上記二社にしたのと同じ主張、説明をしたが、当方の主張を一切受け入れてくれなかったというのがわれわれの印象である。オウム真理教自身の原資料について説明しても、根拠はよくわからないのだが、改称が既成事実ではないということを決して認めようとしなかった。
(アレフに改称) という注記を続けることにどういう積極的な意味があるのかという説明を求めても、納得のできる説明があったとは言い難い。
「心機一転するために、朝日が新たに昇るように再スタートしたいということで、『アサヒ』と改称したい」と彼らが言い出したら、「オウム真理教 (アサヒに改称) 」としつこく書き続けるのか、だとしたらあなたはそれが不愉快だとも迷惑だとも思わないのか、などと当方も感情的になって余計なことを言った。この点は謝りたい。しかし、報道される側のこういう気持ちに対する理解もまったくなかったというのが率直な印象である。
こちらの主張を編集部に伝えてくれるとは言ったが、伝えた結果どうだったのかを知らせてくれるのか、という問いには、それはできないということだった。
直接編集部に申し入れるほうがいい、といった、読売新聞で得られたようなアドバイスもなかった。こちらから、そういうことなら文書で直接申し入れるということで、話はいわば物別れに終わった。

[ 173] Aleph Zero, inc. | 社名問題対策日誌
[引用サイト]  http://www.alephzero.co.jp/alz/lab/name_08.html



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