議論とは?

作者の死後、著作権は何年間保護するべきか――こんな議論が盛り上がっている。クリエイターの創作意欲を高め、文化を発展させるためには、現行の50年のままでいいのか、70年に延長すべきか。それぞれの立場で議論が行われた。
著作権保護期間を、著作者の死後70年に引き伸ばすべきか、現状の50年のまま維持すべきか――こんな議論が活発化している。漫画家の松本零士さんや日本文芸家協会など16の権利者団体は前者の立場で保護期間延長を訴えるが、劇作家の平田オリザさんや、「青空文庫」呼びかけ人の富田倫生さんなどクリエイターや著作物の2次利用者の中には後者の立場を取る人も多い。
それぞれの論者が12月11日に都内に集まってシンポジウムを開き、講演やパネルディスカッションで意見を戦わせた。零士さんが、スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授のメッセージにかみつくシーンもあるなど、議論は白熱した。
左から司会者で慶応大学教授の中村伊知哉さん、「青空文庫」呼びかけ人の富田倫生さん、劇作家の平田オリザさん、漫画家の松本零士さん、小説家の三田誠広さん、評論家の山形浩生さん
日本の著作権法では、一般著作物の著作権・著作隣接権は著作者の死後50年間保護されるが、米国や英国、フランスなどでは70年間だ。
「日本も70年に延長すべき」という意見が権利者団体などから上がっており、16の権利者団体からなる「著作権問題を考える創作者団体協議会」が発足。文化庁に対して延長を求める要望書を提出した。
これを受け、保護期間延長に反対するクリエイターや、中立的な立場の作家などが「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」を発足。十分な議論なしに保護期間を延長しないよう訴えている(関連記事参照)。今回のシンポジウムも、同会議が主催して行われた。
パネルディスカッションの登壇者は、延長賛成派が、作家で「著作権問題を考える創作者団体協議会」代表の三田誠広さん、松本零士さんの2人、反対派が平田オリザさん、富田倫生さん、評論家の山形浩生さんの3人。中立的な立場として慶応義塾大学助教授の田中辰雄さんが参加。同大教授の中村伊知哉さんが司会を務めた。
ディスカッションに先立ち、賛成派代表として三田さんが、反対派代表として弁護士の福井健策さんが講演。立教大学法学部教授の上野達弘さんが法的な解説を行った。
延長派の三田誠広さんは、延長が創作のインセンティブになると語る。「芸術家はお金のために創作している訳ではないが、『誰かにちょっとほめてほしい』と思っている。著作権は、50年後や70年後に誰かにほめてもらうための権利。著作権が切れ、自分の作品がフリーで出回ったり100円ショップで売られたりするのは嬉しくない」(三田さん)
松本零士さんも「作家は『できるだけ長く世に伝えられるものを書きたい』と思っている。作家の多くは、金のためではなく、できるだけ多くの人に作品を伝え、共感してほしいと思っている」とし、20年の延長が長く残る作品を作ろうという意欲につながると語る。
延長反対派の山形浩生さんは「自分の作品がタダで使われることが本当に不名誉だろうか」と、三田さんの意見に疑問を投げかける。「作品をすばらしいと言ってくれる人はネット上や100円ショップにいるかもしれない」(山形さん)。青空文庫の富田倫生さんは、作品が将来にわたって残り、誰かの目と心に触れることこそが作家にとって重要と語り、芥川龍之介の「後世」の文章を引用する。
「けれども私は猶想像する。落莫たる百代の後に当つて、私の作品集を手にすべき一人の読者のある事を。さうしてその読者の心の前へ、朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を(原文ママ)」
創作する際にいちいち自分の死後50〜70年後のことを考え、「70年保護されるからもっと創作しよう」と考えるクリエイターがいるかどうかは疑問の余地がある。賛成派の三田さんは「20年の延長で創作意欲がわくかどうか、個人的にはよく分からない」とも語る。
反対派のローレンス・レッシグ教授がシンポジウムに寄せたメッセージによると、英国の研究で、50年から70年の延長による著作物からの増収は2.5%に過ぎないという結果が出たという。レッシグ教授は「延長は創作のインセンティブにはならない」と断言している。
それでも延長しないと創作意欲が減退するのだと三田さんは言う。「ヨーロッパで死後70年保護されると聞くと『同じような物を作っているのになぜ日本だけ50年なんだ』と思う。『日本も70年にして下さい』と訴えても『お前の作品はもうかっていないから50年でいいんだ』と言われると、わたしも意欲をなくす」(三田さん)
クリエイターの創作意欲を高めるには、死後の著作権存続期間の延長よりも、生前の保護や支援こそ考えるべき、という意見もある。延長反対派で弁護士の福井建策さんは講演で、「文化庁に配分される芸術文化振興のための予算は、道路整備に使われている予算の0.5%以下。文化の振興を言うならば、保護期間の延長よりももっと声をあげるべきことがあるはず」と訴えた。
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[ 156] 著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱 (1/3) - ITmedia News
[引用サイト]  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/12/news063.html

「著作権保護期間の延長にメリットはあるのか」――クリエイターや弁護士など64人を発起人とした団体が発足し、保護期間延長を議論なしで決定しないよう文化庁に要望書を提出した。Webサイトなどで意見交換を促し、望ましい著作権のあり方を考える。
「著作権保護期間の延長については、国民的な議論を尽くすべきだ」――クリエイターや弁護士など64人が発起人となった団体「著作権保護機関の延長問題を考える国民会議」は11月8日、文化庁に対して、議論を尽くさずに保護期間を延長しないよう求める要望書を提出した。今後はWebサイトやシンポジウムを通じて意見交換を促していき、望ましい著作権のあり方を考える。
日本の著作権法では、一般著作物の著作権・著作隣接権は著作者の死後50年間保護される。しかし米国や英国、フランスなど欧米先進国の多くでは70年間。日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本漫画家協会など16の著作権保護団体は、日本も欧米に合わせて70年に延ばすべきと訴え、このほど文化庁に要望書を提出した(関連記事参照)。
保護期間の延長は、著作物のあり方を大きく左右する可能性があるにも関わらず、十分な議論がされていない――同会議はこんな危機感から設立された。保護期間の延長にただ反対するのではなく、著作権について改めて考え、議論を尽くして適切な結論を得ることを目的としている。
会議の呼びかけ人は、ライターの津田大介さんと弁護士の福井建策さん。発起人には、編集者の竹熊健太郎さんや劇作家の別役実さん、ライターの小寺信良さん、スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授などが名を連ねている。
11月9日にWebサイト開設して意見を発信していくほか、12月11日に、延長賛成派・反対派を交えて議論するシンポジウムを、東京ウェイメンズプラザホールで午後5時半から開く予定。その後も議論を続けていく。
「米国が著作権保護期間の延長を毎年のように要求してきている。国内の著作権管理団体も延長するよう要望している。だが、延長することは本当に、日本にとってメリットになるのだろうか」――福井弁護士はこう指摘し、会議で賛否さまざまな意見を集めていく方針を示した。
著作の多くをフリーで公開することで知られている評論家・翻訳家の山形浩生さんは、保護期間延長に反対の立場だ。「私が2050年に死ぬとして、2100年まで守られていた著作権が2120年まで延びると言われても、『すばらしい! これで安心して創作活動できる!』などと思うわけがない」(山形さん)
弁護士の金井重彦さんは「著作者が生きている間は権利が守られるのは重要。だが、死後に孫の貯金通帳に印税が振り込まれることを、著作者は創作時に想像するだろうか」と疑問を投げかける。
「銀河鉄道の夜はかなり以前から戯曲化したいと思っていたが、宮沢賢治作品の中でも特にガードが固く、許可がもらえなかった。死後50年経ってやっと使えるようになり、まずアニメのシナリオにし、戯曲にした。このように活用されることで、作品も活性化されたのでは。著作権法保護期間が切れるということは、私財が公共の物になるということ。自分の戯曲も含め、公共物になる時期は早いほうがいいと思う」(別役さん)
山形さんは、自由な2次利用が著作物の価値を高める可能性を指摘する。「ジョージ・オーウェルの小説や、ケインズの経済学書ももうすぐ著作権が切れるため、翻訳しようと楽しみにしている。海外の名著で、偉い先生がひどい翻訳をしているが、偉い人だから誰も手を出せない、というケースもある」(山形さん)
また、著作者の死後何十年も経つと、権利を相続している人を探し出すことも難しい。「延長してしまうと、2次利用したい時に著作権者を捜すことが今よりも大変になり、古い著作物が死蔵される可能性が高まる。延長は、著作権法の目的としている『文化の発展』につながるのだろうか」(金井弁護士)
竹熊さんは「延長で誰が得するのか分からない」と疑問を投げかける。「著作権管理団体はみな、権利者に代わって守ると言っているが、50年が70年に伸びたところで権利者が得しているのか、正直言って分からない」
小寺さんは「著作権保護期間を延長しても、クリエイターには全く関係ない、という事態もありうる」と指摘する。著作財産権が譲渡可能。保護期間が延長されても、得するのは著作者本人の相続者ではなく、財産権の譲渡を受けた第三者、という可能性もある。
欧米先進国では保護期間を70年としている国が多い。ただ福井弁護士によると、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」加盟国のうち、70年に延長したのは3分の1だけ。「古い作品の輸出額が多く、延長すると得になる国が延ばした。日本は今延長しても経済的にはデメリットの方が大きいのでは」
米国で弁護士経験がある城所岩生成蹊大学法学部教授は、米国が70年に延長した背景に、先行して70年に延ばしていた欧州との不均衡を是正し、米国が不利にならないようにするため、という理由があったと指摘する。
会議には、延長反対派だけでなく、態度を保留している人、条件によっては延長に賛成する人などさまざまな立場の人が参加しているが、「より深い議論が必要」という点では意見が一致している。
城所教授は、延長については「ニュートラルな立場」だが、議論を深める必要があると語る。「1998年、米国で著作権保護期間が延びた。『ミッキーマウス保護法』と呼ばれる通り、ディスニーのロビー活動の成果ではあったが、米国では広く議論され、最高裁まで行った」(城所弁護士)
日本では、映画の著作権保護期間が2003年に70年に延長された。映画配給会社代表を務めるくまがいマキさんは「映画業界関係者は、保護期間の延長について知らなかった。欧米で延長が決まった際はきちんと議論されており、日本で議論がなかったのは恥ずかしいこと」と語る。
慶應義塾大学経済学部の田中辰雄助教授は、延長する場合としない場合の経済的利益を比較すべきと指摘する。過去の延長について、延長の前後で創作物の量が増えたかどうか、消費者にとってのメリットが高まったかどうかを調査し比較すれば、どちらがメリットがあるか見えるという意見だ。
会議は、まずシンポジウムを開いて延長賛成派・反対派を交えて議論して論点を整理。今後の活動を検討していく。
著作権の保護期間を、著作者の死後50年から、同70年に伸ばすよう業界団体が文化庁に要望書を提出した。会見では、保護の強化を訴えつつも、ネット時代に配慮した慎重な発言も目立った。
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mixiはなぜ、独り勝ちできたのか 笠原社長が語る「GREE」など競合を押しのけてmixiが独り勝ちできたのは、「コンテンツが動的だから」と笠原社長。今後はAPIを公開してユーザーに機能を追加してもらうほか、小説など「文化的コンテンツ」が集まる仕組みを整える。
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[ 157] ITmedia News:「著作権保護期間の延長、議論を尽くせ」――クリエイターや弁護士が団体発足
[引用サイト]  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0611/08/news103.html



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