本当とは?

佐々木さんはCNET JAPANでの自身のブログに「平野日出木さん、本当にそれでいいんですか?」というエントリを書いた。

佐々木さんは以前から編集部に関わりを持ちながらも、オーマイニュース編集部批判を繰り返してきた。ぼくはそれこそ佐々木さん本人が言うとおり、オーマイニュースに「どこかで何かの可能性を見いだ」し、何らかの生産的議論につながるものだとぼくは思ってきた。

しかし、このエントリは実がなさ過ぎる。佐々木さんが本当に建設的な批判をしたいのか、はなはだ疑問だ。

「8月のスタート直後から、オーマイニュースのコメント欄は荒れまくった。その原因のかなりの部分は、人々が期待したほどには記事の質が高くなかったことがある。説得力がない強引な記事がオーマイにはあふれていて、それらに対して批判的なコメントが集中したのは当然だった」

だが、この書き方は公平ではない。そもそもオーマイニュースは最初から嫌韓寄りの人々に目の敵にされ、荒らされてきた。なぜ、その事実を無視するのか。ぼくには、「コメント欄」が「荒れまくった」原因はそれしか思いつかないが。

また、佐々木さんはオーマイニュースに掲載された「記事の質、最終的には『説得力』」という記事で「記事の質」の基準についてこう書いている。

「一方で、オピニオンの信頼度にはまた別の指標がある。まず第一に、情報源(リソース)もしくは書き手が拠って立つ場所(スタンス)が、きちんと提示されているかということ。第二に、そのリソースやスタンスに基づいて、破綻なくロジックが組み立てられているかということ」

オーマイニュースに破綻したロジックの記事がどのくらいあるのか、それについてはここでは問題にしないことにしよう。3000記事を調べるほどの時間もないから。

しかし佐々木さんに聞いてみたい。では本当に「記事の質」についてロジックが純粋に問題になったのか、と。

「サヨク的なロジック」なるものが問題なるとき、書き手の問題がロジックの問題と不可分に結びついているのではなかろうか。つまり、「誰が言ったか」と「何を言ったか」というのは、そこまで明確に分けられるのか。むしろ多くの場合、読者は「誰が言ったか」だけで判断し、非難したり、賞賛したりしたのではなかったか。

さらに本質的なことを言うが、佐々木さんが常々おっしゃるウェブ2.0的であるとか、メディアと受け手(視聴者、読者)のフラット化であるとか、そういうネットに対する佐々木さんの姿勢そのものが、本当に、中立的といえるのかぼくには疑問だ。

「だがその一方で、オピニオン会員の中にはかなりひどい罵声を市民記者に対して浴びせる人も少なくなかった。それは日本のネット文化としてはごく普通の出来事なのだが、しかしこうした罵声の集合体が、ネットのコミュニティに慣れていなかった編集部や一部市民記者の神経を逆なでしてしまったのだった」

ここで佐々木さんはひどい罵声を「ごく普通の出来事」と安易に一般化している。ここは佐々木さんの無意識な偏向が感じ取れる箇所である。ぼくもネット歴は比較的長い方だが、そんなものは一度たりとも「ごく普通」と感じた覚えはない。

まず「ごく普通」に「かなりひどい罵声」を使うことは通常はありえない。そういう態度は自分たちが特殊であることを示そうとしてやるのである。

そもそも、「日本のネット文化」というもの自体、自宅にパソコンを持ち、それがインターネットにつながっている環境の持ち主が少数派であるところから始まったものではないだろうか。

少数派だからこそのお高くとまったスノッブな態度を「ごく普通」などと一般に適用できるものだろうか。単に佐々木さんや、それからぼくなどの、古くからのネット利用者のおごりなのではないだろうか。古くから、といっても、10年やそこらしか歴史のないものだが。

「私は彼に『それは違う』と異論を唱えた。そしてこう説明した。『オピニオン会員という制度はたしかにオーマイニュース編集部という運営サイドの側が恣意的に作ったものだけれども、その制度が実際に運用されて動き出せば、そこに集まってくる人たちによって新たな文化、新たな圏域が作られていく(略)』」

このように佐々木さんは自身の編集部とのやり取りの他には、主に「ひと言」欄での議論を取り扱っている。つまり、オーマイニュースを運営する編集部に対し、オーマイニュースの利用者として「ひと言」欄を代表させているわけである。しかし、この構図の見立て方は妥当なのか。

「【ご意見募集】『この記事にひと言』欄について」が掲載されたときから、少なくとも「『ひと言』欄」を含む記事に関して、すべて調査した。おそらく「『ひと言』欄」に関するコメントについては全数調査に近い。

たった255人である。これには、編集部の人間も、佐々木さん本人も、捨て台詞をひとこと言っただけのようなものも含まれる。

ごく最近でも(「ひと言」欄の利用法変更後に)、編集部を挑発するため、「ひと言」欄にわざと誹謗のようなコメントをつけているような人が存在し、ある人はその挑発的なコメントに「『編集部により削除』の文字を見つけるのが楽しくなってき」たと楽しげに吹聴していた。

この人たちは佐々木さんがそこだけを取り上げる「ひと言」欄に積極的に参加していた人たちである。このような過剰な、というか、もはや悪戯半分の言説もオーマイニュースの記事の質の向上に本当に役立つと佐々木さんは思っているのか。

オピニオン会員の間に発生したのは、佐々木さんが喧伝するような「新たな文化、新たな圏域」などではない。オピニオン会員の間で発生したのは、編集部を挑発することが当たり前で、それを楽しみにするような「腐った内輪」である。

例えば、「ひと言」欄については、ぼくが書いたような冷めた意見(=そもそも「記事の質」を上げるために「ひと言」欄は必ずしも有効ではない、という意見)もあったわけである。

あるいは、佐々木さんがエントリの文中で「そもそも市民記者はコメント欄での議論にほとんど参加していないではないか」というオピニオン会員の意見に同意し、ごく控えめな形で非難したような「ひと言」欄を、あえて無視する記者の方々もそう考えているのかもしれない。

そういった意見に「違う」と佐々木さんが考えているのならば、どうして価値判断を提示しないようなふりをするのか。なぜ、ぼくらに説得的に反論しようとしないのか。

「ネットのメディアが『場』であるとすれば、その場には漠然とした空気が作られていく。掲示板やブログコメント欄などで書かれる『空気読め』というのが、その空気に最も近いものかもしれない。かりにその場で醸成された『空気』が、オピニオン会員の廃止の方向へと集約されていくのであれば、それはそれで構わない。つまりは主導権はユーザーの側にあるのであって、運営側にはない。このあたりの『主権』をどう見るかが、実のところ、ネットコミュニティではもっとも重要な概念なのだ」

しかし、オーマイニュースは「ひと言」欄だけの場所ではない。書いたとおり、「ひと言」欄の「外」にも、少ないながらもぼくであるとか「ひと言」欄に関する意見は存在していて、そしてさらに想像がつかない範囲でこの件に関するオーマイニュース利用者の頭の中にある意見、「語られていないこと」が存在するわけである。

佐々木さんはそれらを「なかったこと」としていないか。語られていないことを完全に汲み取るのは無理でも、それを考慮に入れなくていいだろうか。

だいたいにして、佐々木さんのエントリを支持する声が、まず「オーマイニュースなんて始めからみてないけど」と前置きするような人たちから多く出ていることを佐々木さんはどう考えているのか。オーマイニュースをよく知る人々からではなく、あまり興味を持っていない人が主に佐々木さんのエントリを支持していることに。

オーマイニュース編集部は自分の都合のいいことばかり聞いている、と佐々木さんがおっしゃりたいようだが、それは佐々木さんも一緒なのではないだろうか?

悪いけれども、この件で佐々木さんのおっしゃるような「ウェブ2.0」的な方向性というのには、ぼくはまったく関心が持てなくなった。「ウェブ2.0」というものが、例えば「現状のオーマイニュース」といったものを仮想敵として、そんな「古い言説」はもうすぐ終わると大げさに予言するようなつまらないエンディズム(終末論)だと考えるぼくの理解が誤解でないならば、である。

【編集部注】同じタイトルの編集前段階の記事が編集部の手違いで一時的に掲載されましたが、正式な記事はこちらです。

[ 241] 佐々木俊尚さん、本当にそれでいいんですか? - OhmyNews:オーマイニュース
[引用サイト]  http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003597

「今のカップ焼きそばって、めんにお湯を入れただけで、本当に焼いたわけじゃないですか? 本当に焼いたカップ焼きそばを食べたかったんです」
上の言葉はエースコックの商品開発担当の山田さんの言葉である。僕はこれを聞いたとき、何十回も「なるほど!」と手を打ちたくなった。盲点をつかれた気分だ。
確かに今のカップ焼きそばは、あげた麺をお湯で戻しているだけで、それはそれでおいしいんだけど縁日の日に食べる鉄板で焼いたあの香ばしい焼きそばとは、ちょっと違う性格のものだ。
「ホントに焼いた本焼そば」は縁日の味を目指して4年間商品開発に費やしたという。ならば、これは取材せねば。
梅田「9月18日に、『ホントに焼いた本焼きそば』という商品が発売されますよね? あれについて伺いたいのですが」
エースコック「はいはい。あれはですねー、当社が4年間開発した商品で。弊社一押しの商品になっております」
エースコック「いいですよ。でも本社は大阪なんですよ。東京にも支店はありますが広報部や商品開発部の機能は本社に集中しておりまして、東京では対応できるものがいないんです」
現在の僕の住居は東京。焼きそば一杯のために大阪まで500キロ移動はちょっと厳しい。実現しやすい方法を選んで、現物を送ってもらうことになり、電話にて本社の開発担当者に話しを伺うことになった。
エースコック「いや、まずは食べていただいてからお話ししましょう。食べてみて、本当においしいと思ったら記事にしてください」
エースコックのかたの言うとおり、まずは食べてみないと始まらない。わざわざ大阪から届いた商品をいきなりバクバク食べ出すのはちょっともったいないような気もしたがさっそく調理に取りかかることに。
3.かやくを入れお湯を入れる。お湯が茶色くなったよ!! この時点で従来のカップ焼きそばにはない香ばしい香りが漂ってきた。
できあがりのみために関して言えば、従来のカップ焼きそばとそれほど変わらない。さて、味はどうだろうか? にわかに興奮しながら食べる。
どんなに頑張ったところで所詮はカップ焼きそばである。おいしいといっても限られている。そう思うだろう?
一口食べたときはいつものカップ焼きそばとそれほど変わらない気がした。しかし、従来のカップ焼きそばは一口目が一番おいしくて、食べ続けるごとに飽きてくる、というものならば、このホントに焼いた本焼きそばは一口目こそそれほど変わらないが、その後も持続するおいしさだ。
カップ焼きそばの味で興奮するとは! カップ焼きそばの底意地を感じ、さっそくこの『ホントに焼いた本焼そば』を開発した山田さんにお礼を言い、話しを聞くことにした。
山田「そう言っていただけるとうれしいです。開発に4年かかりましたからね。お客様に喜んでいただけると本当に嬉しいです」
山田「僕は29歳で、生まれたころからカップ焼きそばを食べて育ったんですよ。で、自分もカップ焼きそばが大好きなんですが、最近カップ焼きそばの売り上げは実は落ちています。今、カップ麺業界は“春雨”や“フォー”なんかが売り上げを伸ばしていて、焼きそばはずいぶん肩身が狭くなってしまった。もちろん時代の流れもありますが、他のラーメンや春雨と比べここ30年間商品に大きな動きがないことも原因かと思いまして」
山田「まず、屋台で食べるあの焼きそばの味をどうにかしてカップ焼きそばで再現できないかと悩むところから始まりました。結論として、もうこれは本当に焼くしかないだろう、と。で、実際にどういう方法を使って焼くのか、そこにすごく時間がかかりました。最初はオーブンなんかで焼いたりもしたんですけど真っ黒焦げにんなったり(笑)。結果、遠赤外線で焼くという方法を見つけました。もちろん、どういった方法で焼くのかは企業秘密ですが、いろいろと手間はかかっております」
梅田「本当に麺を焼く以外のところで、実はこんなところもアイディアが生きている、というところはありますか? 小技と言いますか。」
山田「麺以外にも、かやく(キャベツ等)も焼いたんですよ。キャベツも従来の焼きそばに比べ香ばしくなっているはずです」
山田「ワクワクしますが、反面かなりドキドキです。僕にとっては自分の分身のようなものですから。会社に入社してほとんどの期間をこのホントに焼いた本焼きそばの開発に当てましたから」
梅田「ありがとうございました。移り変わりの激しいカップ麺業界で、ロングヒットを生むことは優しいことじゃないかもしれませんが、長く愛される商品になるといいですね」
と、言うわけでいかがだったでしょうか? 今週のワールドビジネスサテライト。いかした新商品の登場でした。コンビニで買いましょう。
たくさん送ってくれたので、今、僕は毎日本焼そばを食べている。こうして僕はまた口内炎になるのかもしれない。

[ 242] @nifty:デイリーポータルZ:カップ焼きそばに革命が!? 本当に焼いたカップ焼きそば試食
[引用サイト]  http://portal.nifty.com/2006/09/18/b/

マイクロソフトが、情報システム設計者、運用管理者を対象に、「IT Proへのマニフェスト」と呼ばれる新しいプロジェクトを発表した。このマニフェスト(公約)は12月1日に公開される予定である。
IT Pro の皆様へのマニフェスト(マイクロソフトIT Proマーケティング・グループ・ブログ)
マニフェスト(manifesto)といえば、選挙を前に政党が掲げる公約として広く知られている。「IT Proへのマニフェスト」とはいったいどのような施策なのか。そのような取り組みを実施する背景には何があるのか。今回の施策を担当するマイクロソフトの吉川顕太郎氏に話を伺った。
吉川:インターネットなどを利用した双方向コミュニケーションの中で広く顧客の要望を聞き、実現可能なものをマニフェストとして公約して、実現していこうという施策です。マニフェストとして事前に顧客に通知し、その進ちょくを評価してもらえるようにします。四半期に1度程度のペースで進ちょく状況をご評価いただき、その結果を次のマニフェストに反映します。こうしたプロセスを構築することで、顧客は自分の声がマイクロソフトに届いていると確信でき、マイクロソフトとしては顧客の声を正しくとらえていると確信できるようになると考えています。
―― 対象は「IT Pro」ということですが、そもそもこの「IT Pro」とはどんな人を指すのでしょうか。システムの運用管理者という意味でよいのでしょうか。
吉川:企業の情報システムにかかわるIT関連業務の担当者で、ソフトウェア開発者以外の方を指しています。
―― 情報システムのライフサイクルでいう「システム企画/設計→開発→展開→運用・管理」から、「開発」以外を担当するIT技術者ということでしょうか。
吉川:そうですね。それ以外にも、例えば企業のヘルプデスク担当者などもIT Proの範疇に入れています。
―― IT Pro、特に日本のIT Proは、マイクロソフト製品に非常にネガティブな印象を持っている人が少なくないという声があります。
吉川:ソフトウェア開発者は新しいものを作り上げることが仕事であり、新しいテクノロジに触れる環境に恵まれています。一方IT Proは、新しいものを作っていくというより、既存のシステムを維持・運用して、結果責任を問われる仕事です。順調に動いているときには認められないのに、何か起きると激しいクレームが寄せられる。とてもワクワクするような環境とはいえません。そういう中で、マイクロソフト製品はバージョンアップやサポート・ライフサイクルが短いとか、セキュリティ・パッチを毎月リリースするとか、顧客の神経を逆なでするような部分があり、とりわけそれが日本で厳しく受け止められている側面があります。このようなIT Proの仕事環境をいかに改善して、ワクワクできてIT Proであることにプライドが持てるような環境にするか。それらを皆さんとつくっていくことが、非常に重要だと思っています。
―― これまでマイクロソフトは、そうしたIT Proに対して十分な支援ができていなかったということですか。
―― 「IT Proへのマニフェスト」というのは、IT Proに対するマイクロソフトの新たなメッセージだと思いますが、これが日本独自に展開されるということは、特に日本でネガティブな印象を持つ人が多いと感じているのですね。マイクロソフトの過去のアプローチには、いろいろと問題もあったと考えているのでしょうか。
吉川:アジア全体といえるかもしれませんが、欧米と比較して、日本はITに関するガバナンス(統治)があまり利いていない国だと認識しています。CIO(最高情報責任者)にあまり力がない国、ともいえるでしょう。このITガバナンス不在が、結果的にIT Proへのしわ寄せとなっているところが多々あります。IT Proの仕事環境を改善するために、IT Pro向けの技術情報を提供するだけでなく、経営層も含めてもっと幅広く業界に働き掛ける必要があることが分かりました。これまで、このような働き掛けは十分ではなかったと思います。
―― ユーザー取材などをすると、マイクロソフトの企業としての戦略や製品開発のアプローチ、競合製品への非情な戦略などについて、マイナス・イメージを持っているIT Proに出会います。「過去に反省すべき点があった」ということですが、もう少し具体的な反省点はありますか。
吉川:多々あります。例えば、新しい製品が出ると、旧製品への情報サポートがおろそかになった、情報はあるけれど見つけにくくなったという意見をよく耳にします。ユーザーにすれば、興味があるのは自分がいま使っている製品であって、最近マイクロソフトが発売した製品ではないのです。そういう声を聞いていながら、直接目に見える形では対処できていませんでした。
―― いま現在マイクロソフトは、メインストリームのサポートは最短5年、サポート技術情報などのオンライン・セルフ・サポートは最短10年と発表しています。しかしWindows 95やNT 4.0の時代には、きちんとしたライフサイクルは規定されていませんでした。当時のイメージを持つ人は「新しい製品ばかりが次々に出てきてしまう」というネガティブな印象を持っているようです。
吉川:1ついえることは、「マイクロソフトはコミュニケーションがへたくそな会社」ということです。ここまで、全製品にわたってサポート・ライフサイクルを確約しているソフトウェア・ベンダは多くありません。それでもネガティブな印象を持たれているとすれば、私たちのコミュニケーション方法が間違っていたということでしょう。時間はかかると思いますが、「有言実行」を辛抱強く続けるしかないと考えています。
―― 「非常に手厳しい競争戦略を繰り返してきた」ということもありますね。Windows 95の標準通信機能として提供されたパソコン通信のThe Microsoft Networkは、当時インターネット対抗の機能としてユーザーを囲い込もうというものでした。その後もブラウザ戦争、Java戦争、最近ではRealPlayerの問題などもありました。排他的な戦略によって選択肢が狭められるのを嫌うユーザーもいます。
吉川:何でもWindowsに組み込んでしまうということに対して、ネガティブな意見もありますが、その一方では、より多くのソフトウェアをWindowsに統合して、追加料金なしでさまざまなソフトウェアを使いたいという声もあります。残念ながら、メディアをはじめとして、前者の意見を持っている人の声が大きいために、前者ばかりが目立つという部分があります。
―― ブラウザ戦争やJava問題のときには、とにかく市場を独占するのだ、という印象が強かったように思いますが、インターネット対応に大きくかじを切ってからこれまで、オープンなWebサービス仕様を積極的に策定するなど、だいぶ変わってきたと思います。
吉川:小川さんのように、ずっとマイクロソフトを見続けてきた人には分かるのでしょうが、10年前の固定したイメージのままでいる人も少なくありません。
―― ということは、吉川さんの目から見ても、10年前と比べてマイクロソフトはだいぶ変わったということですね。
吉川:だいぶ変わりました。特に、インターオペラビリティ(相互運用性)の重視という点で大きく変わったと思います。
―― Windowsはセキュリティ的に弱く、攻撃を受けやすいという評判があります。正直なところ、Windows NT 4.0の当時は、安全なイントラネットで利用することが暗黙の前提になっており、かなりセキュリティ的には甘いところがありました。またセキュリティ修正についても、現在のように月例で発表されるのではなく、いつ提供されるのか、提供されるかどうかすら分からないという不安の中で、CodeRedやNimdaなどのワーム被害に遭って、大変な苦労をした管理者もいるでしょう。そうした過去を振り返ってみて、どう思いますか。
吉川:いまから5年前、Windows 2000が発売された2000年当時、英語版以外の修正プログラムは、1カ月遅れとか、場合によっては出るかどうかすら分からない状態でした。これではいけないと思い、私を含めた担当者3人で「1泊3日シアトルの旅」を敢行し、本社のパッチ開発チームに「日本語版の修正も即刻提供せよ」と直談判したことがあります。こうした私たちの声が届いたのかどうか分かりませんが、その後セキュリティ担当副社長であるブライアン・バレンタインが、「各国語版の修正も3日以内に出す」と開発チームに宣言してくれました。とにかくテストに大変な工数がかかっていましたから、当時の感覚では「3日以内」というのは信じられませんでした。それから5年。当時から比べると、いまでは同時公開ですから、5年間でセキュリティ修正のプロセスがここまで改善されるものかと感じるときがあります。
吉川:そうですね。セキュリティ対策はマイクロソフトだけが実行すればよいわけではなく、他社も含めたすべてが対応しなければユーザーは安全な環境を手に入れられません。今後は、マイクロソフトが5年間かけて作ってきたセキュリティ対策のベスト・プラクティスのノウハウなどを他社と共有して、インターネット全体をセキュアにしていきたいと考えています。
吉川:セキュリティ修正の厄介な点として、適用による互換性問題の発生があります。これに対応するためWindows XP 2/Windows Server 2003以降では、ソースコード・ツリーを2種類管理するようになりました。1つは、QFE(Quick Fix Engineering)と呼ばれるセキュリティ以外の修正とセキュリティ修正の双方が反映されたもの、もう1つはQFEを除くセキュリティ修正のみが反映されたものです。QFEとは、簡単にいえばバグ修正です。従来はソース・ツリーが1つしかなく、QFEもセキュリティ修正も同じツリーに対して実施していました。そのため、QFEによる修正が施されたモジュールに対してさらにセキュリティ修正を行うと、パッチには、セキュリティ修正だけなく、QFEによる修正もすべて含まれてしまっていました。互換性問題の原因を調べていくと、セキュリティ修正を原因とする互換性問題よりも、それ以外のQFEによる修正が原因となっていたというケースが少なからずありました。このため現在は、QFE適用済み環境向けのパッチと、QFE未適用環境向けのパッチの2つを別々に作成し、セキュリティ修正のパッケージに双方を入れて、インストール時に環境によってどちらをインストールするかを切り替えるようにしています。この対策によって、互換性問題の発生は劇的に減少しているはずです。
吉川:IT Proの立場がきちんと確立していないことですね。先にITガバナンスの話をしましたが、私の考えとしては、IT Proはもっとビジネスマンにならなければいけない、私たちはそういう雰囲気をつくっていかなければならないと思っています。現在のIT Proは、企業を「支えている」という程度の位置付けですが、これからは企業を「積極的にドライブしていく」立場になる必要があります。
吉川:はい。私たちの一番の関心は、顧客の声を反映しようとした取り組みが、本当に顧客の心に訴えたのか、ニーズに合致したのかを確かめたいということです。今回のマニフェストを策定するにあたり、インターネットで要望を聞くためのアンケートを実施しています。ぜひともたくさんの要望をお寄せいただき、より多くの顧客がうなずいてくれる実行リストにしていきたいです。
吉川:もちろん、ビジネス上不可能なものはお約束できません。しかしそれも含めて、そういう声があるということは公表しても構わないと思っています。
―― 顧客の要望を公約化して、それを実行するという今回のプロジェクトは、正直なところかなりのリスクがあると思います。過去には及ばないこともあったし、IT Proに迷惑を掛けたかもしれない。それはそれとして率直に認めて、未来に向けた新しいIT Proとの関係を築くために、あえてそうしたリスクを取っていくという意気込みはよく分かりました。ぜひとも多くのIT Proが、「マイクロソフトは変わった」と思えるプロジェクトになってほしいですし、私たちもメディアとしてマイクロソフトがどう変わるのかを注目していきたいと思います。
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[ 243] 「MSは変わる」は本当か? − @IT
[引用サイト]  http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/itpropower/powerinterview/kyoshikawa/kyoshikawa.html



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