カユイトコとは?

まさに「暗黒の21世紀」の幕開けといえよう。株価下落、KSD問題による国会紛糾、のり高騰、『探偵ナイトスクープ』新局長に西田敏行就任…。あとはドラマにデヴィ婦人とかが出ないことを祈るのみ。
題材からして、丈博エキスがだんらだら流れると思われた『永遠の仔』だったが、原作に縛られっぱなし……無念。これまでさんざん原作モノで揉めたので躊躇したのか、それとも『元禄繚乱』での勘九郎との喧嘩が尾を引いているのか……。ま、それでも、無理して熟年版松田優作に向かいつつあった古尾谷雅人がイイ感じのオヤジに変身してたし、桔平のおしりもみられたし、適度に満足。でもやっぱり、丈博エキス……飲みたかったッス。 『金八』では、やはり、風間君が泣きながら「せんせぇ〜い」と叫びながら金八の胸に飛び込んだ場面で涙腺を刺激されたことは否めない(こうやって文章化すると安っぽいシーンに思えるが)。あの瞬間に『anan』読者にアンケートすれば、武田鉄矢が「抱かれたい男」NO1に輝いていたかもしれない。余談だが、あれだけ「腐ったみかん」たちの叫びをすくいとっていた小山内先生(ほぼ引退状態)が、今年の成人式で騒いでいた青年たちに対する、高松市の措置を全面的に支持するコメント(日経)。この人には「学校」は語れても「社会」は語れんと実感。
日本人好みの作風に仕上がっていた『合い言葉は勇気』が、なぜ視聴率が振るわなかったのか疑問。最終回、杉浦直樹の登場で一気に作品が引き締まった感あり。最後の杉浦と津川雅彦の対面シーン、杉浦の「だから君は大企業相手の弁護士止まりなんだよ」(確かそんな感じ)との言葉に、うつむきながら苦笑する津川――ここでこの作品は昇華したといえよう。
そもそもリアリティなど求めていない三谷作品だから、ある意味どうでもいいことであるが、ちょっと気になったことを一つ。「産廃(産業廃棄物)」と「一廃(一般廃棄物)」は、処理方法も管理体制も異なるのだが、本作品では一部混同しているような部分が見受けられた。まぁ、ごみ問題を考える上での「指標」は同じといえるが。
完成度の高さでいえば『玩具の神様』が傑出していたが、なぜだか素直に評価できん。たぶん『町』さえなければ、この題材に悪意を感じることはなかったと思う(こういう評価の仕方は間違っていると思うが…。すまねぇ。私にとって『町』はここ数年で、もっとも脱力させられたトホホ作品だったので、許してくれ……って誰に許しをこうてんだろう?)。
『IWGP』と『ラブコン』(略すのはちょっとどうかと思うが…)は、あからさまに「脱テレビドラマ」をめざしていたのが、ちょっとイヤ。話は変わるが(正確には変わらないけど)、昨年からNHKでひっそり始まった『NHKアーカイブス』のドキュメンタリー群(主に60年代から70年代初めのもの)は、いまみるとあまりに斬新で毎度面食らってしまう。イメージ映像だけ延々と流してそこに対象人物の独白が最後まで流れたり、東京に出てきた青年が都会で別の「自分」を演じる様を虚実取り混ぜ構成したり、果ては『明るい農村』なんて明るさのかけらこれっぽっちもナシ、減反・過疎化・跡継ぎ問題……とイヤな現実をどこまでもどこまでも追い続け、取材側の苦悩まで伝えてくれる。
「テレビ」を手探りでつくる時代はとうに過ぎていたのに、これらは手法がてんでバラバラなのだ。もちろん、そういう作品を厳選したとの見方もできるが、一昨年の『時の記録』(ここ20年以内のモノ)と比べると、あまりにやりたい放題、そして傑作が多い。これらには、決して「新しいことをやる」という気負いは感じられない。「とにかくやりてぇからやるんだよぉ!」っていう強引さ、さらには非情さのようなものがそこにはある。
「新しい」と映るドラマが毎年何本かブラウン管に登場するが、そのように荒削りでもググッと押し込んでくるような作品はほとんど見受けられない。……なーんて苦言をば。
続いては、コラムで毎度苦言を呈している(正確には毒舌だが)放送作家・町山広美の手による『ナツのツボミ』。ちょっぴり恥ずかしくなるようなセンチメンタルな本作に、悪友ナンシーはちゃんと突っ込んだのだろうか? 気になるぞ。三枝孝臣の演出によって、「淡い思い出」モノに走りがちな作品を、今一歩のところでブレーキかけていた点を評価したい。
「無意味なことをどんどん積み重ねていって、あらためて『無意味』の意味を確認する」という作業に作品の意味を見出した『カユイトコ』は、『伝説の教師』が見失った方向性を見事に結実させていた。
山本周五郎版『バイオレンスジャック』なキャラ総登場の『柳橋慕情』。かつて司馬遼太郎の原作を同様の手法で見事に料理した大野靖子だが、「人情話」が中心だった前半ではかなり空回りしていた印象がある。この次点で離れていった視聴者も多いのではなかろうか? 後半の、まさにバイオレントな極限・非情な展開にいたって、大野脚本爆発。今にも堕ちていこうとする人間たちが、必死に踏みとどまる姿を丹念に描いていた。最終回を見逃したのがいまもって悔やまれる。
うーん……「連続モノ」は、ボケッとしながらもそれなりに毎回いろいろみてたんだけどなぁ…。いざ挙げようとすると、全然思い浮かばん。昨年の『櫂』や『TEAM』のような傑出した作品がなかった……のかなぁ……いや、全部みてたわけじゃないですから、自信ないんスけどね。
評判になっていた『六番目のサヨコ』と『深く潜れ 八犬伝2001』は未見の回が多く除外。だからあまり大きなことはいえんのですが、『深く〜』はともかく、『〜サヨコ』は脚本に難を感じました。
くいずです。くいずのようでくいずじゃない、どらまのようでどらまじゃない、なかみがあるようでまったくない、それでよくよーくみてみたらやっぱりほんとになんにもなかったものってなーんだ。こたえは2ちゃんねんにて。……視聴率泥棒め! 時間かえせ!
・同時期の『明日を抱きしめて』(YTV)の珍作ぶり(ある意味カルト)が嘘のような市川森一作品『乳房』
・ちょっと後に放送された似たような題名の失笑作品のせいで損した感がある『真夏のクリスマス』(TBS……のドラマ制作の総括責任者は何でどっちかの題名を変えんかったのだろう?)
・正確にはドラマではないが、演出の妙が味わえる『にっぽんの名作・朗読紀行』(NHKBS2―特に市川準演出の『江分利満氏の優雅な生活』が出色)
傾向として地方を舞台にした作品(特に北海道と広島)に質の高いものが多かった。 す……すまん……ここまで書いて締め切りを過ぎてしまった。……というわけで、一刻も早く提出せねばならんので、気になった作品についてのみコメントをば。
2000年最大の収穫は「火サス」の復活。一時は視聴率の安定に安穏としていたのか、行き当たりばったりのシリーズもので穴を埋めていた感があったが、昨年は特に秋以降に意欲作をそろえてきた。残念ながら一昨年の『苦い夜』のようなしっとりとした作品はなかったが、まぁ、それも今年には充分期待できよう。
1971年の広島呉市を舞台にした青春譚『19』。この熱き時代を一つの角度からしかみることのできなかった(ある意味ほとんどの場合そうなりがちだが)『喪服のランデヴー』など軽く凌駕した佳作といえる。原爆症によって青春時代の多くを失い、またいまもそれに怯えながら暮らす父母(白竜と新藤恵美)の描写も、声高に叫ぶことなく微妙なバランスで挿入されていたのが見事。
『忠臣蔵こぼれ話・仲蔵狂乱』では斎藤光正の底力をみせられた……と思っていたが、最近、これは単に映像京都のおかげだと気づいた。というのも、先日放送された斎藤監督作品『四つの終止符』(TX)は、河合我聞・高橋かおり(子役コンビ)、大鶴義丹・坂上忍(なんかはずみで映画監督してしまったらしいコンビ)、美保純、織本順吉、ケーシー高峰、東野英心、河原崎健三(あの「死神」が本作では「牧師」役)、斉藤清六(なんと台詞は一つ! 欽ちゃんファミリーも今は昔)などの思いっきり使いがいのある役者が総登場したにもかかわらず、原作への愛がまったく感じられない異常なほどの駄作に仕上がっていたからだ。ここ最近であんなひどい2時間ドラマはなかったと思う。世間一般に語られるときのベタな「2時間ドラマ」の要素をぶち込んだ(というかぶちまけた)ようなシロモノだった。とにかくひどい。もう一度いっておく。ひどいぞ(今期のベスト5でももう一度言ってやる!……っていうか、ここで書くことないだろ)

[ 96] 2000年度ドラマ総合ベストテン・選考委員部門【キクチサヨコA】
[引用サイト]  http://www.tvdrama-db.com/best/2000/senkou/kikusayo.htm



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